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第一章
3生まれ変わる私
しおりを挟むアズライル様は「ふむ」と言ったあと、う~んと考えていた。
そこにベテル様が話しかけて何やら二人で話して盛り上がっている。
二人ともすごく仲がいい。もしかして結婚してるのかな?
と思ってたら話しかけられた。
「今、ベテルと話し合っていた。そなたが我が地にて転生することを決めたのならば、我等が侘びの意を持って祝福を与えようと。どんな能力がいいのだ?」
「……えっと、私、アズライルの地がどんな所でどんな能力が必要なのかわからないのですが……」
「アズライルは地球よりかなり文明が遅れていて、そうね、ヨーロッパの中世時代みたいなものかしら? 地球より国の数が少なくて覇権を争ってるせいか、始終戦争をしているわ。そのせいか死者が多くて魔心核の品質は良くない様です。あと、地球とは違う法則があって魔法が使えます」
「魔法が使えるんですか!?」
どうやら私の瞳は、わくわくしてキラキラしていたようだ。
アズライル様が気を利かす。
「そなたが魔法を使いたいならば、かの地では全ての魔法が使えるように全属性にしておこう。そなたがあちらで困らぬように人々に愛され、そなたに悪さをする者には罰を与えるようなスキルも付与しよう。そなたは我の愛し子であるからな」
といってアズライル様がいつのまにか持っていた小さな光る杖で空中に何か書いていくと私の体は光の帯に包まれた。
「では次はわたくしが。アズライルが中身に祝福を与えたならば、私は見目に祝福を与えましょう。その体ではかの地に行けないので見目を変えなければいけません。どのような希望がありますか?」
「そうですね……私、中学も高校も家事やバイトで終わってしまって、青春が全く無かったんです。だから、学生に戻って青春を謳歌して、彼氏とか親友とか、作りたいです! 見目は顔を見ただけで振られるような不細工じゃなければいいかなって思ってます。あちらの美の基準がわからないので……」
「では、年齢は少し若く、中学生ぐらいがいいかしら? 見目はわたくしの美の基準で美しくいたしましょう。多分、アズライルの地で一番の美女になりますよ」
と言ってアズライル様が持ってる杖と同じ光る杖で空中に何か書いていくと、私の足元に水色に光る魔方陣が現れ私を囲むように床から光の柱が立ち上がっていく。そして、私はなんだか自分の体が縮こまっていく違和感を感じた。光の柱も魔方陣も消えた後、自分の目線がさっきより随分下の位置にあることに気付いて自分の足元を見て激しく驚いた。
私、小さくなってる!?
自分の手を恐る恐る確認してみると……明らかに子供のもみじのような手だった。
「あっ、あの……ベテル様、私、子供になってしまったようですが?」
「はっ」と閉じていた目を見開いたベテル様が一瞬私を見て、その目が宙を泳いでいるのを見てしまった。ベテル様、失敗してしまったんですね?
「まぁ許せ。我等には少ない年数の調整など、細かい作業をするには不器用すぎるのだ。今そなたにもう一度年齢調整しても、今度は年を取りすぎるかも知れぬ。そのままでよい」
「アズライル様、でもこの体では私が一人で生きて行くのは大変だと思います」
「そうだな……いたいけな子供一人では、アズライルの地ではやっていけぬな。よし、そなたに庇護者を用意しよう。成人するまでその者の傍におるがよい」
「ちなみに私の年齢設定はいくつなんでしょうか? あと、あちらの成人年齢はいくつなのでしょう?」
「そなたの年齢は8歳設定だ。本日そなたは生まれた。今日を誕生日とするが良い。かの地の成人年齢は15歳である。まぁ、2度目の人生だ、青春は必ず来るのだから焦らず人生を謳歌し、そなたに友や恋人が出来たなら私にも教えるが良い。そなたの愛する者達ならば我も祝福しようぞ」
不安はあったけど、確かにアズライル様の言うとおりだ。青春は必ずやってくるし、ゆっくりまったり人生を謳歌するのがいいのかもしれない。今までの人生を考えるととても緩いじゃないか。私はコクリと頷いた。
アズライル様が東屋の柱の近くに移動し外に向かってピューと指笛を吹くと上空から天馬がやってきた。バサッと羽音を立ててヒヒーンと前足を上げつつ立ち止まる。「行くぞ」と言うので私はアズライル様の後を追い、東屋の外にでた。
綺麗な緑の芝生の上に天馬がいる。外に出ると色取りどりの花々が咲いていて、とても良い匂いがする。ベテル様も私の後ろに付いてきた。アズライル様が私を天馬に乗せるとベテル様が私の手を両手で包むように握った。ベテル様の手が暖かい。
「あなたはどんな困難や苦難にも負けずに立ち向かい前へ突き進むことのできる、とても心が強く優しい子です。今度こそ幸せになるのですよ? 可愛いわたくしの愛し子よ」
「そなただけがこの子を愛してるわけではないぞ? 我にとっても愛し子である」
「では、私はお二人の子供なのですね!」
とにこりと笑ったら二人はお互いの顔を見合わせて微笑んだ。
「思えば二人で創造に関する作業をしたことはありませんね? アズライル?」
「そうだな。どうやら我等は夫婦神になったようだ。脳内に鐘が鳴り響いている」
「まぁ……わたくしも鐘がなり響いているようです」
ベテル様が頬を赤く染めた。アズライル様が馬に乗っている私を見上げてふむっと頷いた。
「本日我とベテルは夫婦神となった。そなたが私達の子供であるという証に名を授けよう。そなたの名はアリア=アズライル。アズライルの地にて唯一、我の名を名乗ることを許された者だ。我を父神、ベテルを母神と思ってよいぞ」
そう言ってアズライル様は颯爽と馬に乗った。凄くカッコイイ。このイケメンが私の父神とかマジですか? ちなみに母神となったベテル様も美女過ぎる。この美麗なお二人の子ってめっちゃ恥ずかしいんですが。分不相応な気がする。
「では行くぞ!」
天馬が空を駆け上り、ベテル様が地上で手を振っている姿がだんだん小さく見えて行った。
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