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第三章
6 すれ違う二人 レンブラント視点
しおりを挟む私はレンブラント=フロンティーニ20歳、次期子爵である。
私は最悪の人間だ。ヒューイットという婚約者がありながら、ユリウスの妹であるクロエ様と閨事をしてしまった。あの日私は少し飲みすぎていたせいもあって自制心が効かなかった。初めてクロエ様を見た時、あまりの美しさにため息がでた。
ユリウスと同じ艶のある銀髪に紫色に妖しく輝く瞳。色素の薄い北の女の肌。さくらんぼのような朱色の唇。会ってすぐに彼女を手に入れたいと思った。
その時はヒューイットの事は忘れていた。
そして気が付くとクロエ様と口付けをしていた。
彼女は私を拒まなかったので嬉しかった。その気持ちが口付け以上の事をしてしまうことになった。私は彼女の胸をまさぐると彼女は私のその手を止めた。
やめろと言われるのかと思ったら、歓楽室では嫌だと言われ、部屋に誘われた。
私はこの時点で彼女を勝手に所謂貴族の女なのかと残念に思ってしまった。
遊んでいる女など妻には出来ない。けれど彼女の美しさに惹かれた。
そして女と致した事が無い私の閨への好奇心が、彼女としたいという気持ちにさせた。
私は彼女に誘われるまま彼女の部屋へ行きドレスを脱がせ、二人裸になり、ついに最後まで致して私は本当の男になった。喜んだのはつかの間だった、私が彼女に一物を挿入した時に、何かが流れ伝わるのを私の物を通じて感じた。触って自分の手を見るとそれは真っ赤な血だった。彼女は所謂貴族の女などではなかった。
蜜花の女だったのだ。
どうりで挿入する時にその美しい顔を歪ませていたはずだ、痛かったのだろう。
私はピストン運動をして激しく腰を振って彼女の腹に射精した。そのあと彼女と抱き合って、彼女は眠ってしまったが、私の心の中は酷い嵐だった。
どうしよう? 同僚の妹の蜜花を散らしてしまった。やってしまった物は元には戻らない。
けれど、私には婚約者のヒューイットがいる。
私はヒューイットに対して罪悪感を感じている自分に自虐的に、ははっと笑った。
ヒューイットは私を愛してなどいない。
最初婚約が決まったくらいの時はそれなりに好きでいてくれただろう。
けれどピレーネの夕べで師長様のお宅に泊まってからは、私に内緒で師長様の家に勝手に行ったりしているようだった。
師長様はもちろんヒューイットに興味などない、アリア様一筋だ。
それをヒューイットもわかっているはずなのに師長様を求めている。
私との閨事は断るが、師長様から致したいと言われたら、きっと断らないだろう。
私はヒューイットに少し冷めていた。
この隣で寝ている美しい女、私の初めての女。この女と一緒になるのもいいかもしれない。
と考えて、家格が合わないかと諦める。ヒューイットに対しては冷めてはいるが、今すぐは別れたいと思うほど冷めてもいない。
しかしクロエが目覚めたらなんと言うかだ。
一応合意だった、無理やりはしていない。私が一番怖いのは女から責められる事だ。
もしクロエが目覚めて、私が出来心だったと言えば傷つくだろうし、私を責めるのではないか? ヒューイットを抜きにして考えてみる、付き合いたいとは思う。
この美しさだ、毎日抱いても飽きないだろう。
問題は家格とヒューイットか。
もし私から婚約を解消したいと、ヒューイットに言えば、慰謝料で大金を払わなければいけない。書類上の傷物になるわけだから。婚約契約の内容では解消の場合の違約金は8000万ギルだったはず。
金のない貧乏子爵家ではとてもじゃないが払えない。
私は結局逃げるようにユリウスの屋敷から自宅に帰った。
しばらくしてから結局、ユリウスにはクロエとの事を話した。凄く怒っていた。
当たり前か……妹が傷物にされたのだから。最初はヒューイットとクロエをどちらか選べみたいな感じだったが、私がユリウスに何の話もしないので、もう選ばせない、終わった事にしろと言われた。
終わった事にして忘れるなんて出来きない……初めての女を。
でも……クロエの事はもうどうにもできないし、忘れるしかない。
ユリウスにはっきりと言われてしまったのだ。仕方ない。
けど、ヒューイットにまた私の気持ちが向くのかというとそれは難しかった。
アリア様に魅了されているのでは? とユリウスに確認しろと言われて確認したらユリウスの言うとおり私は魅了にかかっていた。
……前はかからなかったのに。
自分でもあのコンサートに行った時におかしな気分になったのが分かっていた。
アリア様がいつもとは違って輝いて見えた。近づいて触れたい気持ちになった。
しかし魅了とは心地いい。
ヒューイットを愛してこんなに心地いい気持ちになったことはない。
正直、今の私にはヒューイットもクロエもどうでも良かった。
アリア様さえいれば。
しかしこの気持ちに正直になって行動すればアルフォード公爵家には出入り禁止になってしまうだろう。ザイードみたいな展開になる恐れもある。
だからこの気持ちを抑えなくてはいけない……。
それにヒューイットの蜜花を散らさなければならない。師長様がそうして仲直りをしろと言ったからだけれど、まぁ閨事くらいはしようと思えばヒューイット相手でもできるだろう。しかし、食堂ではいい感じになりたいと言ったのは建前で仲直りは難しいかと思う。私はアリア様がいいし、ヒューイットは師長様がいいと思っている。
ちなみにヒューイットは私がアリア様に魅了されているのを知らない。
未だに自分は愛されていると思っている。魅了されているのがバレたら閨は拒むだろう。バレないうちにさっさと済まさなければいけない。
私は部屋に案内されたあと部屋に鍵を掛けてヒューイットに言った。
「閨事をするぞ」
「え? 今からですか?」
「さっさと終わらせたいだろ?」
「まぁ、でもお風呂にはいらないと……」
「アクアウォッシュで済ませればいい」
私はヒューイットにアクアウォッシュを掛けてから自分にも掛けた。
そして押し倒して服を脱がせていた。初めて見たヒューイットの体。
乳首が黒くて脇毛が生えてて下の毛もぼうぼうだった……。
これはショッキングだった! クロエと比べては悪いが、クロエは乳首は薄桃色だったし、脇毛は剃っていたし、下の毛も剃ってつるつるにしていた。
いきなりヒューイットが汚く見えてしまった。
しかし、ヒューイットは自分が愛されていて綺麗だと思われていると思ってる。
ああ、ややこしい。
私は乳首を舐め甘噛みしながら秘所を弄った。しばらく続けているとびちゃびちゃと音がしてきた。秘所が濡れている。私はヒューイットの秘所を見ようと股間に顔を近づけた。そして股を開かせる。
「何を!?」
ヒューイットが驚いて、見開いた目で私を睨む。
「見るだけだ」
花びらを広げてそこを見た。花びらは黒くて蕾は赤く充血している。蜜花からは愛液がどろどろと滴っていた。下の毛があるからか全然美しく見えない。あんなに見たいと思っていたヒューイットの裸なのに……。
クロエの秘所の方が薄桃色で綺麗だった。
蕾も薄桃で小さくてこんなに充血して真っ赤になって勃起などしていなかった。
ヒューイットは蜜花を守ってきたはずなのに、使い古した蜜壷のような感じだ。
クロエのは蜜花の女だけあって初々しくて水みずしかった。そして美しかった。
私はヒューイットの蜜花に中指を一本入れた。そして出し入れする。
「大丈夫か? 痛くないか?」
「ええ、恥ずかしいだけよ」
ヒューイットが言った。私は充血して勃起した蕾を舐めた。
「あっ、ああん」
ぺろぺろと舐める。
「うっ、んんああん」
指を出し入れしてると愛液がどんどん出てきた。
「もう一本いれるぞ」
私は人差し指も入れて2本で出し入れをした。ぐちょぐちょっと液の音がする。
「ああん」
2本でも滑りが良くなった。私はもういいかな? と思った。正直クロエにはこんな風にやっていない。ちょっと濡らして入れたぐらいだ。
初めてだと思ってなかったから。
今考えると彼女は黙っていたけど、私の事を下手糞と思っていたかも知れない。
「ヒューイット入れるぞ」
「え、怖い!」
「大丈夫だ。誰でも通る道だ」
私はそっと亀頭をヒューイットの蜜花に当て、ゆっくり沈めて行った。温かくて気持ちいい。何故かアリア様をイメージしてしまった。そこからは興奮した。
ゆっくりと自分の一物を蜜花に静めていくとぶちぶちと何かを破ったような抵抗感があった。蜜花だと思った。クロエの時もその抵抗感は感じていたので同じだなと思った。
何かが垂れた感覚が自分の物に伝わる。私は手で触って見た。やはり血だった。
「アクアウォッシュ」
私は自分とヒューイットをアクアウォッシュした。
そして腰をゆっくりグラインドさせる。
ヒューイットは師長様に蜜花を散らせと言われていた。
それはもう終わった、なのであとは私が達すればいいだけだ。
「少し早く動くぞ」
私は腰を早く動かした。
「うっ、ああぁぁん」
正常位で激しく突いて私は外に射精した。それがヒューイットの体にかかる。
私はアクアウォッシュをヒューイットにかけた。
そして服を着た。
「さてと、みんなもう部屋から出て、何かしらやって遊んでいるだろう、私達も行くか」
ヒューイットはまだ寝台で横になっている。
どうしたのか? と思っていると言った。
「レンブラント、あなたそれでも男なの?」
「自分だけ達して、わたくしを極みに導かないなんて」
「え? 君は善がってただろ?」
「そこそこ良かったですよ? でもレンブラントみたいに達してないから!」
「それは私が下手糞だと言いたいのか?」
「違うわ! 極みに導いて欲しいのよ。どうせやるなら気持ちよくなりたいわ?」
と言われて私は正直困った。極みなんてどう導けばいいのか分からない。
「あの8歳のアリア様でさえ、極みを知っているのよ?」
それを聞いて私の心はドクンと激しく脈打った。
「何故君がそんなことを知っている」
「アリア様と話した時に教えて頂きましたの、レイジェス様に極みに導いてもらったと。閨事は気持ち良いからお好きだそうです」
あの清純なアリア様がそんな事を言うか? 信じられない。
「私は女の経験が無い」
本当は一度だけあるが。
「ヒューイットを気持ちよくさせられるかどうかは分からないぞ?」
「とりあえずやってみましょうか」
そう言うので私はもう一度服を脱いだ。
そして、そんな感じで5回ほどヒューイットと致した。が、彼女は達しない。私の力不足だと思うが…。私の物の長さが足りないんだろうか。段々回数を増すごとに自信が無くなって来た。そのせいか私の一物は萎えてしまった。
「もう、今日は無理だ」
私はそう言って服を着ようとした。
「わたくしはまだ達していませんよ!?」
「また、明日すればいいだろ? 私の物を見てみろ。もう無理だ!」
ヒューイットは私の一物が萎えているのに気付き私を寝台に押し倒した。そして私の物にしゃぶりついた。ヒューイットの口の温かさとぬめった感覚が私の物を刺激して甦らせる。
「ほら、甦ったじゃない」
そう言ってヒューイットは私の上に乗って自ら私の一物を自分の蜜壷へ入れた。もう痛くはないのだろうか? 苦しそうな顔もしていない。そして自分で腰を動かす。
私は体に気持ちよさを感じても心が萎えていくのを感じた。
私が以前、好きで好きでどうしようもなかった、あのヒューイットは幻だったのか?
光輝いて見えたあの彼女の面影は今のヒューイットには無かった。
そして私はアリア様の姿を思い出した。優しく慈愛溢れる笑顔。誰にでも変わりなくする心配り。吸い込まれそうなくらい、深くて暗闇に輝くように光る星のような瞳。
アリア様のお顔が見たい。私の上に乗って、自分が達しないと切れているヒューイットの顔など見たくない。私は目を瞑ったままアリア様を想像し、その清廉な姿を想像の中で穢した。ヒューイットが私の物の反応に喜ぶ。
「ほら、レンブラント、あなたは私に夢中だわ? 私がこんな風に少し乱れただけで、もうここはこんなに硬く大きくなってる」
いや、君を想ってじゃないが。
「でも私が達するまでいってはだめよ?」
私は想像の中のアリア様といいところまで行っていた。もうあとは出すだけだ。ヒューイットを極みに導くより先に達してしまうだろう。
「無理だ。もういきそうだ」
「そんなにわたくしがいいの?」
別にそういうわけじゃないが頷く。
ヒューイットは勝ち誇ったように高笑いをした。
「あ~はははっはっはは。これならわたくしのここであの人も落とせるかしら?」
もう隠す気もないのか私に言ったので、私は内心むっとした。騎乗位からごろんと体勢を奪い正常位に変えてヒューイットを押さえ込んで腰を激しく振った。
「あっ、ああん、い、いいわ、気持ちいい…そのまま突いて!!」
言われなくても突いてやる! そして私の種をぶちこんでやる! お前など妊娠してしまえばいい! そして捨ててやる!
「あっ、んん、もうちょっと、もうちょっとよ! 頑張って、レンブラント!」
私はヒューイットの真っ黒な乳首をがりっと齧った。
「あっ! いいぃぃ、来てる……来てるわ、ああん、あと少し!!」
私はヒューイットのうるさい口を塞いだ。
「黙って突かれてろ!!」
私は腰を振り続けた。ヒューイットが喚いている、もうヒューイットのことはどうでも良くなっていた。一物が中に出したいとはちきれそうだった。
その時、中からびくびくとした動きが私の物に伝わってぎゅっと締められた気がした。それと同時に私はヒューイットの中で果てた。
私が一物を抜くとだらりとヒューイットの蜜壷から私の白い白濁の液が垂れてきた。もう6回目なので量は少ない。
ヒューイットは放心状態になっていた。私は疲れて寝台で大の字になっていた。
するとヒューイットがむくっと起き上がり私の顔を平手打ちした。
「何故中に出したのです!? 妊娠してしまうではないですか!」
私はフッと自虐的に笑った。
「君は私と婚約状態にあるのだから、別に妊娠してもいいじゃないか。妊娠したら結婚すればいいだけの事だろ?」
ヒューイットは酷く私を睨んだ。
「わたくしは結婚なんて……」
「私達は婚約しているのに、君は結婚を考えてないのか?」
正直、私ももうヒューイットとの結婚は考えてない。でも婚約を解消する方が違約金を払わなければいけない。自分からではなくヒューイットから婚約を解消して欲しかった。
「考えてくれていないなら……婚約を解消してくれても構わない」
ヒューイットの家もたいしたことのない、しがない男爵家だ。私に婚約の違約金など払えないだろう。どうするつもりか?
「わたくしはそんなつもりで言ったんじゃ……」
「だったらいいじゃないか。中にだしても問題ないな」
時計を見ると夜の7の刻半を少し過ぎていた。
「夕食の時間の終わりが迫っている。食堂にいくぞ? 早く着替えろ」
私は寝巻きにガウンを羽織り、ガウンに付いてる腰紐を前で結わえた。ヒューイットは部屋着に着替えて袖の無いロングカーディガンを羽織って食堂に向かった。
食堂に着いて昼自分が座った席に座るとエドアルドが来た。
「時間がぎりぎりですね」
「軽いものでいい、すまない」
エドアルドは無表情で頷き、ヒューイットを見た。そしてふぃっと厨房へ消えた。
食事が出てくるのを待っているとざわざわと人声が聞こえてきて食堂のドアを開いてやってきたのはコモンとシエラ様だった。その二人に付いてきたのはコモンの執事ルイとシエラ様の執事メルヴィンと側仕えのベティだった。
「お茶が飲みたいですわ? 冷たいのが飲みたいの」
シエラ様が言うと、シエラ様の執事と側仕えはお茶の準備に厨房へ消えた。
シエラ様とコモンが自分の席に着くと、コモンの執事のルイはコモンの後ろに立った。コモンがちらりとヒューイットの顔を見て言った。
「出てこないと思ったら、ふ~んそうか、女の顔になったな? ヒューイット」
と普通に言う。顔を見ただけでわかるものなのか?遊び人というのは?
「あなたにとやかく言われたくないわ? コモン。シエラ様、コモンには気を付けてね? 遊び人ですからね?」
ヒューイットの言葉でコモンが焦る。
「俺はもう遊んでいないし、シエラに本気だ! だから婚約をしたんだ。シエラを惑わすような事を言うのはやめろ!」
「あなたが先にわたくしにちょっかいを掛けたのよ?」
「もう言わない、だからお前もやめろ」
「そう? それならいいわ。やめてあげる」
いきなり雰囲気が悪くなって私はげんなりした。
シエラ様を見るとおろおろしている。
「私達は皆と共に行動が出来なかったが今日は何をやったんだ?」
私が聞くとシエラ様が答えた。
「中庭で公爵様とユリウス様が剣の試合をしてましたわ、アリア様も剣のお稽古をしてました。それからみんなでダンスをして、大浴場からさっき戻ってきたばかりで喉が渇いてまして、お茶を飲みたいと思いこちらに来ました」
みんな楽しく遊んでいたようだ。その話を聞いてヒューイットが興味深げに聞く。
「ユリウス様とレイジェス様はどちらが勝ったのです?」
そこでコモンが笑う。
「あれはレイジェスが勝ったが、アリアちゃんの応援が卑怯だったな? シエラ」
「あの応援の仕方ではレイジェス様は頑張るしかありませんでしたね」
二人は顔を見合わせて笑っている。こちらはなんの事かわからない。
「レイジェス様が勝ったのですね? さすがですわ」
自分のことのように喜ぶヒューイット、それを見たコモンが意地悪く言う。
「残念だったな、ヒューイット。剣のあとのダンスではコントルダンスというのを皆で踊って、あそこにいた女性全員レイジェスと踊ったぞ? いなくて本当に残念だったな?」
それを聞いてヒューイットの目の色が変わる。
「コントルダンスって何ですの?」
シエラ様が説明しだした。
「男女が二重に輪になってどんどん相手を替えて踊るダンスです」
「では、シエラ様もレイジェス様と踊ったのですか?」
「はい、わたくしだけでなくクロエ様も公爵様と踊られましたよ?」
何気ない一言だったが、ヒューイットの心には嵐が吹いていた。
クロエは美しい。アリア様と違って大人だし。ヒューイットは彼女に嫉妬していた。
ユリウスは師長様にクロエを嫁がせたいと言っていた。ダンスはそのための下準備かと、私は納得する。
彼女のことはユリウスに無かったことにしろと言われた。
私の初めての女、優しく美しい……。
クロエの事は私にとっていい思い出になった。
厨房からお茶の準備をしていた二人が戻ってきて二人に冷たいお茶を注ぐ。
後ろからエドアルドが城の使用人と食事を運んできた。肉の煮込み料理とパン、スープにサラダ。軽くでいいと言ったのにお腹がすいているのがわかったのか?
味も良く、私はぺろっと食べて、ヒューイットも残さず食べていた。
ヒューイットはシエラ様にまた質問する。
「大浴場にもレイジェス様は行ったのですか?」
「ええ、わたくしとアリア様が行くと言ったら付いて行くとおっしゃられて」
「俺も付いて行ったけどな」
コモンが笑う。
「結局みんなで行く事になりましたよね」
シエラ様も微笑んだ。
「ではクロエ様も?」
「ええ? ユリウス様と一緒に来ました」
エドアルドが食後の温かい紅茶を私達二人に持ってきた。そしてテーブル全体が見える位置に立っている。
シエラ様の執事と側仕えもお茶を入れ終わりシエラ様の後ろに少し離れて立っている。
ここで使用人が付いていないのは私とヒューイットだけだった。
私の邸宅に行けばそりゃ使用人はそこそこいる。
だが終春節の時期に旅行に付いてくるような使用人はいない。
そもそも家格が違うのだ。
コモンもシエラ様も伯爵家。ユリウスは辺境伯爵。伯爵よりも爵位は上だ。師長様は公爵家一番爵位が高い。
私がユリウスにヒューイットとクロエのどちらを選ぶかと聞かれた時にクロエを選んでいたら…辺境伯爵家につらなる者になれたかもと…少し後悔をする。
「シエラの湯浴み着姿が可愛かったなぁ……あの湯浴み着をエドモンド商会に作らせようか?」
「え? でも、コモン様とお風呂に入るなんて、ここでなければ無理ですよ?」
「うむむ、今すぐお嫁においで?」
コモンは真面目な顔をして言っていた。
「無理を言わないでください? もう、コモン様ってば……」
シエラ様はそう言われて悪い気はしていないようだ。
ヒューイットが小声で呟いているのが聞こえた。
「遊び人が幸せそうにしてんじゃないわよ」
小声すぎて目の前にいる二人は気付いていない。
シエラ様が欠伸をしたのを見てコモンが言った。
「シエラ、そろそろ休もう」
「はい」
そう言ったあとシエラ様の執事がコモンに言った。
「すみませんが、コモン様、シエラ様と少々話したいことがございます。シエラ様を部屋まで送りますので少しだけ時間を頂いてもよろしいですか?」
「ん? 構わない。じゃあシエラ、後でね」
コモンは手を軽く振って執事のルイと出て行った。
シエラ様の執事メルヴィンはシエラ様の手を引いて食堂を出て行った。
私もお茶を飲み終えたので食堂を出る。ヒューイットはまだ食堂にいた。
私は自分の宿泊部屋である、東の棟の牡丹の間に向かった。
食堂は南西の棟1階にある。東の棟までは遠かった。中庭沿いのベランダを通って東の棟に向かう。ふと空を見ると三日月が夜空に浮かんでいた。
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