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第四章
10 取り戻した日常
しおりを挟むカタンと物音がしてビクッっと私は起きた。
レイジェス様が寝台にいる私にに歩み寄る。
仕事用のローブを着ているのを見ると、これから出仕する様だ。
「すまぬ、起こしてしまったな」
「いえ……、出仕するのにお見送りもせず、すみません」
「いや、リアは疲れているだろう? 寝てなさい。では私もそろそろ行くな?」
私のおでこにちゅっとして、レイジェス様は部屋を出て行った。
私はどさっと、お布団に沈む。
……ああ、ほっとする。戻ってこれたんだ……。
レイジェス様は昨日私に何もせず、ただ抱きしめて眠った。
少しの間しか離れて無かったのに、彼の温かみが懐かしくて、心地良く感じて私はいつの間にか眠っていた。
迎えに来てくれて、助けに来てくれて……嬉しかった。
でもそれとは別に、ワイアットの何も罪の無い人達を殺した事や混乱に陥れた事を心苦しく思う。
「わたくしのせいで」
と言うと、レイジェス様はそれは違うと言った。
「元々はユリウスが悪い。あいつが何もしなければ、私も何もする事は無かった」
と言う。
結果的にはそうかも知れないけど、お亡くなりになった方達を思うと、そんなにあっけらかんと出来ないんだけど……。
この惑星の人達の価値観なのかな? 命の扱いが軽すぎる。
はぁ~と溜息をして私は目を閉じた。
目を閉じるとカンカンと微かに音がした。外で礼拝室の工事をしている音だ。
明日には礼拝室が出来上がると聞いて、父神様に質問する内容をまとめておかなきゃと思った。じゃないと忘れそうだ。
まず、私の特殊スキルの魅了について聞きたい。
【私を自身を愛したら魅了状態は解除されるのか?】
これ重要。
解除されるとか言われちゃったら……私、今愛されてないって事だよ!
だって、レイジェス様は今、私の魅了にかかってる状態なんだから。
うわ~聞きたくないいぃぃぃ。
あ、セバスが庇護者かも聞かなきゃね。
次に【どういった人が悪しき者になるのか?】
多分犯罪歴と関係がある様な気がする。
あとは【レイジェス様の記憶を弄ったか?】
レイジェス様はしきりに気にしてたからね~。
あと何か聞くことあったっけ?
とりあえず、この三つの質問を忘れないようにしよう。
礼拝室が出来たら多分、いつでもお話し出来るから、気になることがあったらまた聞けばいいもんね。うんうん。
一人うなずいてから、着替えを手伝ってもらうのに、インターホンでリリーを呼んで貰えるようにセバスにお願いした。
少ししてからノックの音がして、リリーが入って来た。
「おはようございます、姫様。お支度に参りました」
「おはよう、よろしくね」
私がクローゼットの前に行くとリリーも付いて来て二人でドレスをどれにするか話し合った。
結局ピンク色のふわっとしたエンパイアドレスにした。
それに着替えて後ろのファスナーを上げて貰ってからドレッサーの椅子に座る。
リリーが髪を梳かしてくれる。
私の髪の毛は背中の半分位まで伸びた。
「本当に伸びましたよね~切らないのですか?」
「レイジェス様が切るなっておっしゃるの。どうして? って聞いたら、髪が長いと魔力の伝導率が良いんですって、それで、君も私の様に伸ばすといいって言われて伸ばそうかな? って思ったのです」
「あら、では伸ばしている最中なのですね」
「ええ、でも伸ばしているとたまに邪魔ですわ。お団子にしたいのですけど、うなじを見せてはいけないと言われているし……」
「姫様も私みたいに三つ編みにしますか? 一纏めにしてすればうなじも見えませんよ?」
「あら、三つ編みいいですわね! では今日はそれでお願いね」
「はい」
私が着替えて三つ編みにしてもらってから食堂に行くとオーティスがエドアルドに壁ドンされていた。
「あっ! 姫様! 」
すぐにオーティスが私に気付いて走って食堂から出て行った。
私は自分の席についてじろりとエドアルドを見た。
「職場であの様な事はどうかと思いますよ?」
「明日北の領地に帰るので、つい焦ってしまいました」
「あら……わたくしが攫われている間にあっという間に一週間だったのね」
私とエドアルドが話しているとセバスが厨房の方から出てきた。
「おはようございます、姫様、あれ? いつもと髪型が違いますね」
「おはよう、セバス。今日は三つ編みにしてもらって、間に髪飾りの造花を挿して貰ってるの。どう?」
私がくるりと回ってセバスに髪を見せると、セバスの赤い瞳が細くなった。
「大変可愛らしいですよ」
「えへ、ありがとうセバス。エドアルドなんて全然気付いて無かったのよ?」
「まぁ、私が今興味あるのはオーティスですからね」
「はいはい」
エドアルドは庭の芝生に水をやりにいくと行って外へ出て行ってしまった。
「姫様は魚と紅茶でいいですか?」
「ええ、魚は小さいのでお願いしますね」
「承知しました」
セバスは厨房に行って魚を注文してからワゴンにお茶セットを持って来てトウミ紅茶を作って私に出した。
お魚が出来るまで私はまったりお茶を飲む。
「は~、……やっぱりお屋敷がほっとします」
「……大変な目に遭われましたね」
「ええ、でもなんとか自分を守れたわ? 一時は舌を噛んで死んじゃうのも有りかと思ったけどね……」
セバスが目を見開いて驚いていた。
「やめて下さい! そんなこと!」
「考えただけ……しないわ」
セバスは険しい顔で私を窘めたあと厨房へ行った。
焼きあがった魚をスティックと共に持って来て私の前へ差し出す。
「本日の音楽の授業はお休みにしましたよ?」
「あら? 別に入れても良かったのに?」
「姫様、音楽の授業は本当に必要ですか?」
私はう~んと考えた。こちらの世界の楽譜も基本のロジックは一緒なのだ。
という事は私にも分かる。出来るという事で、必要なのかと言われればさして必要でもない。
「……あんまり?」
「必要では無いのですね?」
「言いにくいけど、今まで受けた授業の中で自分の知りたい事は分かっちゃった」
「だったら、もう音楽の授業は辞めましょう。時間とお金の無駄です」
「そうね……でもなんだか、先生に悪い気がするわ?」
「ああ、それに関しては次の仕事先を紹介すれば問題ないでしょう」
「では、そのようにお願いしますね、セバス」
「承知しました」
私はお魚さんを食べ終えて、またお茶を入れて貰った。
「あ、あともう一つ報告がございます」
「何?」
「エドモンド商会に注文していたドレスと靴が今日納品されます」
「わたくしは居た方がいいの?」
「いえ、納品作業ですから、私達が荷を受け取りクローゼットに整理して行きますから、姫様には関係ございません。ただの報告です」
「そう、いつ来るの?」
「昼時位でしょうか?」
私はお茶を飲みながらこくりと頷いた。
お茶を飲み終わった後、図書室へ行った。
音楽の授業もないし、することが無い。だから読書でもしようかと思った。
昨夜レイジェス様に、暫く商会のお仕事は休めと言われた。多分、ユリウス様の最後の言葉を気にしているのだと思う。
『この借りは必ず返す!』
とユリウス様は言っていた。
どんな風に返されるのか分からないけど、レイジェス様が私の事を心配しているのは伝わった。だから私も大人しくお屋敷にいる。
でも、流星祭はどうしようか……。ルイーズ様に流星祭のコンサートに出るか出ないかさっさと返事しろと言われている。
本心としては出たいかな~と思うけど、人目に付く様な行動をすればユリウス様みたいな人も増えるって事だし……。庇護者候補様なのにあんなに執着するって事は普通の人だったらどうなってたんだろ? 考えると怖い。
頭をふるふる左右に振って本を選ぶ。なんだか気が落ち着かなくて本を読む気が無くなった。選んでいても上の空になるし、私は部屋に戻ることにした。
部屋でぼうっとしているとコンコンとノックの音がしたのでどうぞと言った。
入って来たのはアーリンだ。
「おはようございます! 姫様!」
「おはよう、アーリン」
「……姫様が攫われてしまって……いてもたってもいられなかったです! 戻ってきて良かった!」
アーリンは私をぎゅっと抱きしめた。
私も一応ぎゅっと抱きしめ返す。
「心配かけました……。わたくしも無事に戻ってこれて本当に良かったと思ってます。皆が助けに来てくれたからよ? ありがとう、アーリン」
私はアーリンの頭をぽんぽんした。
するとアーリンがくんくん私の匂いを嗅いでいる。
「ああ、姫様からいい匂いが……はぅ~幸せですっ」
「アーリン? ……わかったから、ちょっと離れましょう? ……ミドルキュア! ミドルキュア!」
「ああああ! なぜミドルキュアをおおお! 」
「だって、離れてくれないんだもん……」
「す、すいません、つい、くんかくんかしてるといい気分になっちゃって」
私はくすっと笑った。
「今日は出かけないのですか?」
「攫われたばかりなのに、出歩くのはどうかと思ってね。レイジェス様にも暫く商会のお仕事はお休みしなさいと言われているし……」
「それでは暇ですね?」
「ええ、でも、ちょっとぼ~っとしていたかったから……丁度良いのかもね?」
アーリンが渋い顔をして聞いてきた。
「何か考え事でも?」
「流星祭の事、国立劇場でのコンサートのオファーが来ていて、出てみたいって気持ちと出るのは良くないんじゃないかって気持ちでちょっとぐちゃぐちゃしてるの」
「流星祭といえば文化や芸術に関するお祭りですよね? 国立劇場でコンサートなんて凄いじゃないですか! 何故良くないと思うんです?」
アーリンは不思議そうに私に聞いた。
「だって……皆さんの目に付いちゃうとそれだけ魅了されちゃう人が増えるって事でしょ? ユリウス様みたいにわたくしを攫う人がまた現れるかも知れないでしょ……?」
私がしょんぼりして言ったせいか、アーリンは真面目に答えてくれた。
「じゃあ、あれを着たら良いですよ」
「あれ?」
「グレーロック城で着ていた真っ黒い服ですよ」
「ええ? アバヤの事?」
「前に言ってたじゃないですか、姿を見せないようにすれば魅了を制限できるみたいな事を。歌なんて声が聞こえれば良いのですから。姿は隠したまま歌えば良いんですよ」
私は目から鱗が落ちた。そうだよ! 歌さえ歌えれば良いんだよ! 姿を見せなければ! でも、それで観客は納得するのかな? 疑問だけど。
「アーリン、ありがとう! レイジェス様にそれで相談してみます!」
「お? 元気、出ました? 良かった良かった」
私はニッとアーリンに笑った。
お昼になって昼食を取って、沢山ドレスが届いた。それをちらっと見てから、セバスと小広間でダンスをした。
アーリンがそれを突っ立って見ていて、私も姫様と踊りたい! と言い出して、何故かアーリンとも踊った。
可笑しくて、楽しかった。私は沢山笑った。
私がここに居なかったなんて信じられない位、いつもの日常だった。
レイジェス様の帰宅の時間になり玄関で使用人達と待った。
「ただいま戻った」
「おかえりなさいませ!」
私はジャンプしてレイジェス様に抱きついた。
「おっと」
私はがっちり抱き止められた。
「どうした? 機嫌が良いな?」
ひょいっと抱き上げられて、レイジェス様の目線と一緒になる。
「えっと、……くっつきたくて……」
レイジェス様は私をぎゅううううっと抱きしめてそのまま食堂へ行った。
そして私の席へストンと下ろすと自分も席に着いた。
セバスとエドアルドが夕食を運んで来た。今日のメニューはレイジェス様はメインがお肉の煮込みで私は魚の煮込みだった。それと、スープにパン、サラダ。
私のパンはちょっと米粉が入っている。
食事が終了してお茶を飲んでいる時だった。
「そう言えば、国立劇場のコンサートの件はどうするんだ? 断るでいいのか?」
「あ、その件なんですけど……引き受けたいです」
レイジェス様は渋い顔をした。
「私はリアにあまり人目に触れて欲しくないと思っている。……それは独占欲からでは無くて、魅了の件を心配しているからだ。今回の誘拐事件みたいな事がまた起こるのは嫌だ」
「わたくしもそう思います。だから、アバヤを着ます」
「アバヤ……? ああ、あの真っ黒いのか」
「ええ、あれで全部姿を隠して歌だけ歌えば魅了問題はちょっとは大丈夫かな?って思うんですけど……」
「まぁ、確かにあれだと認識しずらいかもな? しかし……あの格好で歌うのか? 異様だぞ?」
「一応口の変は開けておきますよ? じゃないと声が響かないですもん」
「まぁ、歌うなら最低限それ位はしないとな?」
「じゃあ……いいのですか?」
私がにこやかに聞くと渋い顔で頷いた。
「全面的に賛成では無いが、君が歌いたいと言うなら仕方無い。リアの歌は素晴らしい、私が制限するなど愚の骨頂だ」
「わ~い! ありがとうございます、レイジェス様!」
「では明日にでもエドモンド商会でアバヤを作らせないと間に合わないな」
「え? 神呪でいいかなと思ってたのですが?」
「きちんと作りなさい。リアが幼い時間はあっという間に過ぎて行く、作った服も記念や思い出になるんだぞ?」
「は~い」
「セバス、今から通信でエドモンド商会に連絡を取って、明日来て貰え」
「承知しました」
セバスは通信室に行ってしまった。
「じゃ、風呂に入るか」
レイジェス様は立ち上がって私を抱き上げるとゲートを開いてそのまま脱衣所へ行った。
いつも通りドレスや下着を脱がされてすっぽんぽんになる私。先に私を脱がした後に自分もローブを脱いでいる。
「先に入っちゃいますよ?」
「ん? 走るなよ?」
たたっと走って浴室に入るとすぐの所でバスチェアと桶を持って湯船の近くに行った。そして壁の凹みの石鹸置き場から石鹸を取って両手で泡立てているとレイジェス様が来た。
「私が洗いましょうか?」
「いや、いい時間が掛かる。私が洗う、石鹸を貸しなさい」
「え~」
あっという間に石鹸を取られて、泡立てた手で洗われた。頭もわしゃわしゃ現れてリンスされた。やっぱり大人は手際が良くて早い。多分、手が大きいから? 私がリンス待ちしてる間にレイジェス様はもう体を洗い終えている。
洗うの早いな~と思って見ていると頭からザバッっとお湯を掛けられた。
リンスを流すためとは言え、先に言ってよ! って感じです。
私はちょっとふくれっ面で湯船に浸かった。
髪を洗っているレイジェス様をじ~っと見ていると橘が少し起きているのが目に入った。
「ねぇ、レイジェス様、どうして橘が起きているのです? 触っても無いのに」
「ブホッ!」
何故かレイジェス様が噴いた。
「あれ? わたくし何か変な事言いましたっけ?」
「い、いや別に……。まあ、あれだ、期待に胸が膨らむとよく言うだろ? それだ」
「? まったく意味が分かりませんが?」
「……気にするな、そのうち収まるから」
レイジェス様もお風呂に入ってきたので膝の上に乗っかった。
「どうした? 今日はやけにくっついて来るな?」
「え? ……だって、一緒にいれて嬉しくて」
レイジェス様はこめかみを押さえて溜息をついたあと、後ろからぎゅっと私を抱きしめた。そして照れた様に言った。
「私も君と一緒に居れて……嬉しい」
お風呂を上がって脱衣所の棚に用意してある着替えを見て私は喜んだ。今日エドモンド商会に納品された【胸当て】が着替えの中に入っていたからだ。
スポーツブラみたいな感じで薄い水色に黄色の水玉模様だった。ショーツも同じ生地で出来ていて上下お揃いだ。胸当ての方は肩にダイヤが三個付いていて両肩で六個、ショーツの方も紐の根元にダイヤが三個両方で六個付いていた。どちらも装飾下着だった。
「見て見て! レイジェス様! これ可愛いです!」
「う、うむ、可愛いな……しかし、他の者にそんな風に見せるなよ?」
「そんな事するわけないでしょ」
私はその下着の上から寝巻きを着た。寝巻きも今日届いた物でデザインが可愛い。
「これも可愛いです。レイジェス様、ありがとうございます」
「ん?」
「作ってくれたお礼ですよ~」
レイジェス様は私の頭を撫でたあと、その場でゲートを開いて部屋に行った。
私は部屋に着くと例のごとくお花を摘みに行った。
自分の中を空にしながら考える。
ゲートって凄い便利だなぁ……私も早く使える様になりたい。
私の使えるゲートはスキルで元から使えるゲートで、庇護者の元へしか開かないからなぁ……。
レベル自体を上げるか無属性空間魔法のレベルを上げるかしないと普通のゲートは使えない、やっぱり大事なのはレベル上げか~……。
私が部屋に戻って、先にたたたっと寝台にあがってお布団に入ると、レイジェス様は部屋の明かりを消して、サイドテーブルの魔石灯を点けてからお布団に入って来た。どきどきする私の心臓。レイジェス様がこちらを向いた。
「君に言っておかなければならない事がある」
「え?」
「君はいつも私に大事な事は教えて欲しいとか、ちゃんと話して欲しいとか言っていたよな?」
「え? ええ……」
「そう思うのは私も一緒だ。セバスから聞いたのだが……アメシストのペンダントはもう発動してしまったのだろう?」
「あっ! あれは……その……ごめんなさい」
「別に発動してしまった事、触れられた事を怒っているわけでは無い。きちんと言ってくれなければ、君の身を守る事が出来なくなると言う事を言いたい」
「……」
「これからは、ちゃんと私に話して欲しい、良いか?」
「……はい」
……どうしたんだろう? 何だかレイジェス様が優しいし、雰囲気が変わった気がする。前だったら「何故触らせた!?」とか言ってそうだったのに……。
だから言いにくくて言えなかった。
けど、灯篭飛ばし祭りの時位からかな? 変わったと思ったのは。
北の領地の時には、私の事を色々言って来たローラントに撃沈していたのに、灯篭飛ばし祭りの時、あれだけ「ロリコン領主」と馬鹿にされていたのに、レイジェス様は「気にするな、君もいつか成長して大人になる」と言い切っていた。
その言葉を聞いた時は特に何も感じなかった。
でも今は……。何となく分かってしまった。
レイジェス様は【子供の私と一緒にいる】事を覚悟してくれたんだ。
私は子供だから、私と居れば心無い事や色々嫌な事を言う人もいて、その心を傷つけられる事も多々ある。
でも、それでも良いから一緒に居たいと思ってくれたんだ……私の成長を見守ってくれるんだ……と思ったら、何だか胸の辺りがじ~んとして鼻がつんとなった。
私はレイジェス様が好き、大好き。
愛しい。
「どうした? 黙ってしまって……」
レイジェス様は私の瞳を伺うように覗きこんで来た。薄暗い部屋の中で魔石灯の光に照らされて、紫色の瞳がきらきらしている。
私は何も言わずにレイジェス様に乗っかって、勝手に舌を入れるキスをした。
レイジェス様の舌を甘噛みしてちゅっちゅと吸う。
私の背に大きな手が這わされてツーと撫でてお尻をにぎにぎする。
「く、くすぐったい……です」
私はぺたんとレイジェス様に張り付いた。
「リアのここ……まだ消毒されてません。……ねぇ、消毒、して?」
私はお尻をにぎにぎしている手を取って菊へ導いた。
「私がどれだけ心配していたか、わかるか?」
眉間に皺が寄っている。私はそれを人差し指で伸ばした。
「……いっぱい?」
「いっぱいより、もっとだ。……無事で良かった……」
レイジェス様は私をぎゅっと抱きしめた。そして寝巻きをすっと脱がした。
「この装飾下着は可愛らしいな」
「でもまだレイジェス様の魔法が掛かってません」
「明日にでも納品された分を魔法処理するか……」
私はレイジェス様の体を跨ぐように乗っかっていて、胸当ての下から両手を入れられて私の乳房が揉まれる。
「ふぁっ、んっ、」
レイジェス様の亀頭が私のお尻に当たる。硬くなっているのがお尻に当たった感じで分かってしまった。
「ちっぱい、もみもみされると気持ち良いよぅ……」
跨いでいるお股からじゅわっとした感覚が広がった。
「我慢出来なくなってきた……」
レイジェス様はそう言うと、私の背を持って押し倒して下にした。
両脚を持ち上げられてお股を開かせられると、はむっと私の蕾にぱくついた。
久しぶりのレイジェス様の舌と吐息が蕾を刺激する。その舌が皮を捲り上げ蕾の敏感な部分をいきなり吸うと、ビクンと体が勝手に動いた。
腰が引けると両手で腰を押さえつけられてぴちゃぴちゃと音を立てて舐められる。
段々と蕾が熱を持ってきて足先に力が入ってしまう。
それが分かったのかレイジェス様は私の足の裏や甲をもみもみした。
くすぐったいような気持ち良い様ななんとも言えない気持ち。
「ちょっと、くすぐったいです」
足を揉むのを止めて、両足首を持たれてM字開脚させられた。膝を押さえられているので足はもう伸ばせない。蕾を舐められて舌でこれでもかというくらい弄繰り回されて、じんじんして頭の中がふわっとした。
「あっ、あっ、くっ……!」
耳がキーンとして、何かが自分から押し出た様な感覚がして私はイった。
……凄く気持ち良くて、イったあとも蕾が痺れた様な感じが残っていた。
レイジェス様は私の頬をぺろりと舐めると頭を撫でた。
「リアが可愛くて可愛くて仕方無い……リアの中に入りたい……」
ぎゅっと抱きしめられて、私は頷いた。
レイジェス様は空間収納からゼリーを出して私の菊の周りと中に塗りこんだ。
ぬるっとしたままの手で自分の肉棒を撫でると、それはぬらぬらと艶光した。
「久しぶりだから……入るかなぁ……?」
「痛かったら言いなさい、止める」
「いや! お願い……痛くても止めないで? ヒールして下さい。だって、ユリウス様やオリオンの指が入った後、消毒して貰って無いもの。レイジェス様の物を入れたまま消毒して欲しいんです」
私が少し頬を膨らまして言うとレイジェス様は目をぱちぱちした。
「君は、オリオンにも指を入れられたのか……」
「あの方は男色の方ですから、ユリウス様より危険でした。ラブドール? にするとか言ってて……怖かった」
「あいつも殺せば良かったな」
私は笑った。
「あんなにお国をボロボロにしては、ユリウス様だけでなく、オリオンも困ってますよ、きっと」
レイジェス様は私の菊の周りを亀頭でマッサージしてから少しずつその先を沈めて行った。
「ふぁっ」
変な声が出て口を手で押さえるとレイジェス様が微笑む。
「大丈夫か?」
「ん、レイジェス様のあれがおっきくて、ちょっと苦しいだけ」
ずずっと腰を進めるとぐっと私の菊が押し広げられる。
「はぅっ」
私はレイジェス様の首に自分の腕を巻きつけた。
「ちゅうして?」
「ちゅう?」
「キス……のこと」
レイジェス様の舌が入って来て私の舌を弄ぶようにくねくねと動いていた。
その間にも腰はぐいっと押し付けられて私の菊はレイジェス様の肉棒を飲み込んでいた。
「入る所までは全部入ったが……大丈夫か? リア」
正直、キツキツで涙目になっていた。少しだけ痛かったからどこか切れちゃったのかも知れない。
「……ヒールしてぇ……」
私が涙目で見上げたせいか、レイジェス様は焦っていた。
「ヒール!」
「ちょっと落ち着くまでこのままでいて?」
「ああ、もちろんだ」
レイジェス様は私の頭をなでなでしておでこにちゅっとした。
そんな事するから私のあそこがビクっとして菊が締まると、レイジェス様の物がギュンと大きくなった気がした。
「もう、動いても大丈夫、消毒して下さい」
「分かった」
レイジェス様は目線で(多分?) 魔方陣を描いた。
暫くすると菊がしゅわしゅわした。
「あっ、あっ、しゅわしゅわして気持ち良いぃ」
フッと笑ってそのまま腰をグラインドさせて前後にゆっくり動かし始めた。
私の菊からぬぷぬぷと水音がいやらしく響く。
レイジェス様を見ると頬が蒸気して赤く染まっていた。
「うっ、ああ、リア……愛してる」
「うん、わ、わたくしも……レイジェス様が好き、大好き!」
お互いぎゅっと抱きしめ合って、舌をねっとり絡ませてキスをした。
ぐいっと奥まで突かれて、いい所に擦れてしまった。
「あ、そこ、凄い良い……」
「ここか」
同じ所を執拗に突いて来て、いい所が擦れて甘い痺れに変わる。私の蜜花から愛液がとろりと流れるのが分かった。
「溶けちゃう……気持ち良くって……」
「ああ、リアの中が蕩けてぬるぬるしている……」
「ああ、だめ、もう我慢できないよぅ……」
「私も達するから、我慢しなくても良い」
レイジェス様が達すると言うと腰を早めてピストン運動をした。
「あっ、あっ、い、いく! いぐぅ、ぁああっ!」
「うっ、私もだ……リア、愛してるっ!」
達する瞬間、レイジェス様は私にキスをしながらぎゅっと抱きしめていた。
達した後、暫くそのまま抱きしめられていたけれど、満足したのか菊からあれを抜いた。
とろりとレイジェス様の汁が私の菊から溢れてきて、すぐにアクアウォッシュされた。自分もアクアウォッシュしたあと裸で抱き合った。
レイジェス様のあれがまだ落ち着いてなかったので、私はそれをお股に挟んでそのまま横になった。
「ここに挟んでいればレイジェス様も寂しくないでしょ? 暖かいでしょ?」
「ん? 何の事だ?」
「え? わたくしに入れたまま寝ていたのって寂しかったからじゃないんですか?」
「ん? ……どうしてそう思った……?」
「だって、一つになれるのはエッチな事をしてる時だけだもん。終わって離れちゃえば一つじゃ無くなっちゃう。だから、レイジェス様は寂しかったんでしょ?」
レイジェス様は目をぱちぱちして暫く考えていた。
「……やはり君は私の……宝だな……」
私はいつもと同じ体勢で眠った。レイジェス様は背後から私を抱きしめている。
ただ、今日はレイジェス様の物は私に入っていない……けれど、私のお股に挟まれて、私のぬくもりに包まれているのは変わらない。
やっといつも通りに戻ったんだと実感して眠りについた。
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