3 / 14
第3話 男と少女の出会い
しおりを挟む
目を覚ますと、何故か子供が此方の顔を覗き込んでいた。
子供の頭には包帯が撒かれている。
「どうした?」
一先ず聞いて見る。
「おはよう」
子供がそんな挨拶を返して来る、そうか朝か・・・
「おはよう」
一先ず挨拶を返す、反応が有って嬉しいのか、子供が無邪気な笑みを浮かべる。
「入院してるの」
「其れは大変だな」
其れは見ればわかるが、子供はそんなもんだと納得して当たり障りなく返事を返す。
「あ、こんな所に、ほら、大人しく寝てなさい」
白い衣装の女医が子供を見つけてそんな事を騒ぐ。
「退屈なんだもん」
子供が不満そうに膨れる。
白衣の胸元に赤い蛇の刺繍がされているのは医者の印だ、緑の蛇は助手だったはずだからアレは医者と言う事か、前に見た時には暗くて其処まで分らなかったな。
瞬時にそんな事を考えつつ。
その膨らんだ子供の顔を見るとほのぼのとした気分に成る。
「そんなわがまま言わないで、迎え来る迄は大人しくしてなさい」
そう言って、部屋から連れ出そうとする。
「良いですよ、どうせ暇なんだ、子供の一人ぐらい相手する位、気楽なもんだ」
実際、この程度の子供のやかましさなど、酒場に居る暴れる酔っ払いの類と比べれば。実害が無い分微笑ましい。
酔っぱらったあいつ等だと、口喧嘩から暴れた挙句に刃物が出て来ても良くある事で済ますのだ。
怪我人所か死人が出ても可笑しく無いし、実際出て居るのだ。
騒がしく駆け回る子供程度、実害は無いので微笑ましいだけだ。
「じゃあ、すいません、お願いします。」
少し申し訳無さそうに医者は部屋の外に出て行った。
ほどなく、子供用の寝台が此方に移動した。
「ぶう」
子供が膨れて居る。
「どうした坊主? 退屈か?」
医者から借りた本「生き残るサバイバル」を読みつつ、子供に話しかける。
「うん・・・」
「なら、兄ちゃんが色々話してやろう」
自分の提案に子供が目を輝かせる。
「うん! してして!」
あっさりと釣れた、よっぽど退屈だったらしい。
正直、頭が回り始めても大して身動きが取れないこの状態と言うのは、大人である自分も退屈だったのだ、色々と話し相手が居るのは悪くない。
他にも怪我人は居たようだが、自分より軽症で、先に退院して行ってしまったので、話相手は居なかったのだ。
傷の状態がかなり酷かったので、寝込んで魘(うな)されて居る内に結構な日数が立って居たらしい。
「ねえ? どんな話?」
子供が身を乗り出して此方の顔を覗き込んで来る、此処迄しっかり釣れたのなら、相手してやろう、本を閉じて、子供に向き直る。
「そうだな、こんな話は知って居るか?」
冒険者と言う物は、各地を回り、色々な人と出会い別れ、命懸けで戦ったりして居る物だ、安全マージンは目一杯取って居るが、予定外の不意討ちは幾らでも出て来る、こう言ったお話のネタには困らない。
その子供は、そんな冒険者の色々な法螺話や、自分語りを色々としてやった、子供は只目を輝かせて、次々と展開する物語をせがむ様になった。
飲み屋で有る事無い事を自慢げに語る歳を食った爺様の気持ちも良く分かる、自分は興味深そうに聞いてくれるその子供相手に得意気に、知って居る限りの話を聞かせていた。
そして、無事身体も動くように成った頃、そろそろ退院と言う運びと成った、長々と世話に成ったので、なけなしの金貨払おうとした所。
「その手では之からの生活の事を考えて、今は収めて置いて下さい」
やんわりと断られた。
「そもそもこういう強制参加依頼で怪我した時はギルド持ちですから、安心してください」
苦笑を浮かべて2重に断られた。
「どうしてもだったら、生活が安定した頃にもう一度顔を見せて下さい」
商売っ気の無い医者だなと、思いつつ、深々と頭を下げて礼をする。
視界の隅に、寂しそうな顔を浮かべた子供の顔が写った。
「そう言えば、あの子の親は?」
自分には、現PTメンバーが見舞いに来たが、あの子供の縁者の類が見舞いに来たのを見た事が無い。
此方の見舞いも、それぞれの生存報告と、怪我の状態の確認、餞別として金貨を一枚置いて行った程度だが、子供に見舞が無いと言うのは酷い。
「一家纏めてやられてしまったらしくて、役所とギルドの方にも縁者が居ないか問い合わせて居るのですが、どうにも良い返事が無く・・・」
歯切れの悪い返事が帰って来る。
「天涯孤独か・・・このままだと?」
「此処でずっと育てる余裕も無いですから、孤児院送りでしょうか・・・・」
医者も気が進まない様子だ、奴隷として売ろうかと出て来ない辺り人格者だろうか?
「それじゃあ、俺が引き取っても?」
提案して見る、袖すり合うも多少の縁だ、知らない仲では無い。
「良いのですか?」
少し驚いた様子で聞き返して来る。
「どうせ冒険者も廃業だが、子供の一人ぐらいは面倒見れるさ」
そう言って一息止まり、子供の方に視線を送る。
「まあ、彼奴の反応次第だがな」
嫌だと言われれば其処までだ
「懐いて居るから大丈夫でしょう」
改めて、一緒に来ないかと聞いて見ると、少し寂しそうな、複雑な表情を浮かべて、足にしがみ付いて来た。
どうやら、自分がどんな境遇で居るのかは理解できているらしい。
見た所、5歳程度だが、結構頭が良いのかもしれない。
子供の頭には包帯が撒かれている。
「どうした?」
一先ず聞いて見る。
「おはよう」
子供がそんな挨拶を返して来る、そうか朝か・・・
「おはよう」
一先ず挨拶を返す、反応が有って嬉しいのか、子供が無邪気な笑みを浮かべる。
「入院してるの」
「其れは大変だな」
其れは見ればわかるが、子供はそんなもんだと納得して当たり障りなく返事を返す。
「あ、こんな所に、ほら、大人しく寝てなさい」
白い衣装の女医が子供を見つけてそんな事を騒ぐ。
「退屈なんだもん」
子供が不満そうに膨れる。
白衣の胸元に赤い蛇の刺繍がされているのは医者の印だ、緑の蛇は助手だったはずだからアレは医者と言う事か、前に見た時には暗くて其処まで分らなかったな。
瞬時にそんな事を考えつつ。
その膨らんだ子供の顔を見るとほのぼのとした気分に成る。
「そんなわがまま言わないで、迎え来る迄は大人しくしてなさい」
そう言って、部屋から連れ出そうとする。
「良いですよ、どうせ暇なんだ、子供の一人ぐらい相手する位、気楽なもんだ」
実際、この程度の子供のやかましさなど、酒場に居る暴れる酔っ払いの類と比べれば。実害が無い分微笑ましい。
酔っぱらったあいつ等だと、口喧嘩から暴れた挙句に刃物が出て来ても良くある事で済ますのだ。
怪我人所か死人が出ても可笑しく無いし、実際出て居るのだ。
騒がしく駆け回る子供程度、実害は無いので微笑ましいだけだ。
「じゃあ、すいません、お願いします。」
少し申し訳無さそうに医者は部屋の外に出て行った。
ほどなく、子供用の寝台が此方に移動した。
「ぶう」
子供が膨れて居る。
「どうした坊主? 退屈か?」
医者から借りた本「生き残るサバイバル」を読みつつ、子供に話しかける。
「うん・・・」
「なら、兄ちゃんが色々話してやろう」
自分の提案に子供が目を輝かせる。
「うん! してして!」
あっさりと釣れた、よっぽど退屈だったらしい。
正直、頭が回り始めても大して身動きが取れないこの状態と言うのは、大人である自分も退屈だったのだ、色々と話し相手が居るのは悪くない。
他にも怪我人は居たようだが、自分より軽症で、先に退院して行ってしまったので、話相手は居なかったのだ。
傷の状態がかなり酷かったので、寝込んで魘(うな)されて居る内に結構な日数が立って居たらしい。
「ねえ? どんな話?」
子供が身を乗り出して此方の顔を覗き込んで来る、此処迄しっかり釣れたのなら、相手してやろう、本を閉じて、子供に向き直る。
「そうだな、こんな話は知って居るか?」
冒険者と言う物は、各地を回り、色々な人と出会い別れ、命懸けで戦ったりして居る物だ、安全マージンは目一杯取って居るが、予定外の不意討ちは幾らでも出て来る、こう言ったお話のネタには困らない。
その子供は、そんな冒険者の色々な法螺話や、自分語りを色々としてやった、子供は只目を輝かせて、次々と展開する物語をせがむ様になった。
飲み屋で有る事無い事を自慢げに語る歳を食った爺様の気持ちも良く分かる、自分は興味深そうに聞いてくれるその子供相手に得意気に、知って居る限りの話を聞かせていた。
そして、無事身体も動くように成った頃、そろそろ退院と言う運びと成った、長々と世話に成ったので、なけなしの金貨払おうとした所。
「その手では之からの生活の事を考えて、今は収めて置いて下さい」
やんわりと断られた。
「そもそもこういう強制参加依頼で怪我した時はギルド持ちですから、安心してください」
苦笑を浮かべて2重に断られた。
「どうしてもだったら、生活が安定した頃にもう一度顔を見せて下さい」
商売っ気の無い医者だなと、思いつつ、深々と頭を下げて礼をする。
視界の隅に、寂しそうな顔を浮かべた子供の顔が写った。
「そう言えば、あの子の親は?」
自分には、現PTメンバーが見舞いに来たが、あの子供の縁者の類が見舞いに来たのを見た事が無い。
此方の見舞いも、それぞれの生存報告と、怪我の状態の確認、餞別として金貨を一枚置いて行った程度だが、子供に見舞が無いと言うのは酷い。
「一家纏めてやられてしまったらしくて、役所とギルドの方にも縁者が居ないか問い合わせて居るのですが、どうにも良い返事が無く・・・」
歯切れの悪い返事が帰って来る。
「天涯孤独か・・・このままだと?」
「此処でずっと育てる余裕も無いですから、孤児院送りでしょうか・・・・」
医者も気が進まない様子だ、奴隷として売ろうかと出て来ない辺り人格者だろうか?
「それじゃあ、俺が引き取っても?」
提案して見る、袖すり合うも多少の縁だ、知らない仲では無い。
「良いのですか?」
少し驚いた様子で聞き返して来る。
「どうせ冒険者も廃業だが、子供の一人ぐらいは面倒見れるさ」
そう言って一息止まり、子供の方に視線を送る。
「まあ、彼奴の反応次第だがな」
嫌だと言われれば其処までだ
「懐いて居るから大丈夫でしょう」
改めて、一緒に来ないかと聞いて見ると、少し寂しそうな、複雑な表情を浮かべて、足にしがみ付いて来た。
どうやら、自分がどんな境遇で居るのかは理解できているらしい。
見た所、5歳程度だが、結構頭が良いのかもしれない。
0
あなたにおすすめの小説
転生後はゆっくりと
衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。
日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。
そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。
でも、リリは悲観しない。
前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。
目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。
全25話(予定)
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ハイエルフの幼女に転生しました。
レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは
神様に転生させてもらって新しい世界で
たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく
死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。
ゆっくり書いて行きます。
感想も待っています。
はげみになります。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる