貞操逆転世界の温泉で、三助やることに成りました

峯松めだか(旧かぐつち)

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第219話 続正妻会議 温泉旅館の裏側業務

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「時期的にどうします?」
「早い方がいいじゃろ?」
 相変わらず結婚式のアレコレとか会議して居た。
「そろってコレですしねえ……」
 皆で揃って臍の辺り、下腹部を愛おし気に撫でる。
 例の出会いと初夜の種付けから、未だ半年もたっていないので、目立つほどの大きさではないけど、驚異の的中率であった。
 いや、自分の精子が優秀だったと言うより、きっと排卵日の調整とか、誘発剤の効果とかの精度が高いのだろう。
 ええ、犯人は私です、一切の申し開きのしようも、言い訳の言葉も御座いません。
 前世だったら、刺されるだろうコレと言う感じの、ハーレム状態であった。
「せめて正妻の初夜のお手付きが一巡終わってからと言いたい所ですけど………」
「増えるから無理じゃろ?」
「デスヨネー」
 なんとも、酷いバッサリ加減だった。
 言い訳も何も必要無しに、ソレで良いし、それが良いという扱いである。
 むしろ、ソレを許容しないと回らないこの世界のシステムが色々びっくりなのだが。

「増やすのやめる位なら出来ますけど?」
 心苦しいが、断るだけなのである。
 一世一代の勇気を出した、そんな絞り出すようなソレを、たった一言で断るだけである。
 理由はもう多すぎるからとか、それぐらいで許されるのだろう。
 男女逆で向こうなら、男が女にどれだけ手酷くフられようと、まあそんなモノだと笑われるヤツなのだが、こっちにその権利が来ると、困るモノであった。
「そういうのは、求めてないからな?」
 ヤタちゃんから、強めの圧をかけられた、しつこいようだが、そんなものなのである。
「基本的に、私等が絶対許さないとか、貴方が絶対ダメとか、そういうの以外は全員受け入れ位の感覚を継続で良いんです」
 ミサゴが続く。
「安心して見られませんもん」
 スズメも続く。
「そもそも、うちの宿、予約の時点で犯罪の経歴とかヤバそうなのは全員弾いてるんで、言うほどヤバいのは混ざりませんし」
 ツグミさんも続いた。
 淀み無く繋がる辺り、こういうのは、従業員とか経営者側の共通認識らしい。
「挙動が明らかに違うのは、私等が速やかに排除してるしね?」
 ちょっと得意げなハクトが混じる、オジロもうなずいている。 知らない所で、デストピア&バイオレンスな世界が展開されているらしかった。
「お手数おかけして?」
 こっちが仕事増やしているのだろうか?
「いや、割と元から、皇族のセキレイとか、キセキとか、総理大臣のイザギやら、幕僚長のフクロウやら、各所のお偉いさん御用達の宿なので」
 ツグミさんが、何だか大げさな名前をずらっと並べる。
「偉いんです」
 得意気にえっへんと胸をそらすキセキ、動きが可愛らしい、皇族らしいが、 見る限り、気さくなキャラであった。
 名前的に鳥っぽい辺り、ほぼ身内なのだろうけど、お偉いさんが多いらしい。
「脛に傷がない人じゃないと、そもそも宿泊できませんし」
「弾かれてもそれでも泊まりに来たのは、一見さんお断り的に、連れの紹介者にぜーんぶ責任おっかぶせますから」
「意外と格式高かったんですね……」
「意外とは余計じゃな?」
「ですね?」
「あと、変な切羽詰まり方してるのは、カウンセリングな駆け込み寺的に受け入れしてますけど」
「変な?」
「通院歴とか、傷とか? 拒食とか過食、栄養失調、虐待とか」
「DVとかパワハラ、ノイローゼ、鬱、自傷、自殺の手前とか、予約時点で身分証明書のナンバー提示されれば、いくらでも追いかけられますから」
「プライバシーが何やらと五月蠅そうですけど?」
 思わず突っ込むが、ナンバー制度が、良くも悪くも便利そうであった。
「私等の宿は地域の駆け込みホットライン的な認証受けてますから、悪用しないのなら、割と好き放題で調べ放題」
 法的にも死角はなかったらしい。
「お高い宿を予約しておいて、行く前にコロッとと言うか、サクッと? ぶらーんとかはあんまり無いので」
 手で色々ジェスチャーを入れて解説するミサゴ、ソコを詳しくしても誰得だと思うが。
「温泉の方でも常時監視カメラ動いてるんで、傷とか嫌でも見えますし」
「おかしいの居たら、翡翠さんの画面外でそれとなく裏を取りつつ、速やかにカウンセラーと病院に引き渡しですから」
「だから、温泉宿系は湯あみ着とかバスタオルは全面禁止ですよ」
「スケベなあれじゃないんだ?」
 混浴のルールに思ったより医療とか実用的な謂れが有ったらしい。
「あったとしてもちょっぴり…………」
 否定はしない辺りが、ちょっと可愛い。
「それ以前に、お客様に男性なんて、いるわけないじゃないですか」
「よく見たい感じの同性なんて居たとしても、その時は堂々と混浴して見に行きゃ良いだけですし」
「確かに」
「女同士なら基本遠慮なんてありませんし」
「混浴の表示何て飾りですよ、男性居ないんですから」
「デスヨネー」
 見も蓋もなさそうなことを言って、皆がワハハと笑う。
 混浴の表示で真に受けて、そのまま入った自分がどれだけ異端なのやら。
 色々ありそうだが、それなりにうまく回っているのだろう。

「因みに、処女フラなんかは、男性とあれこれしない限り治らんから、居たら手を出してあげると良いですよ?」
 まだ手を出していない、順番待ちな面々の目線がギラっと刺さる。
「頑張ります……」
 思わず小さく答えた、結構圧が強いんだこれが。
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