貞操逆転世界の温泉で、三助やることに成りました

第165話 番外 皇族（ミサゴ視点）

「アヴぁ……」
　予約のメールリストを見て思わず変な声が出た。
『from・セキレイ　宿泊直近、お忍びで1週間ほどお願いします』
　何の変哲も無い文面だが、差出人の名義が問題だ。
「何？　ミサゴ？　変な声出して？」
　近くで出納帳を書いて居たツグミ母さんがこちらの画面を覗き込む。
「あら、セキレイちゃんかあ、公式発表前なのに、思ったより耳が早い事で」
　母さんが軽いノリで受け取る。
　カチカチ
　無造作に操作に割り込まれて、本文が表示される。
『例の男性の情報がこっちまで届きました、続報の連絡無しなんて酷いじゃないですか、もっと仲良くしましょうよ、という事で、私にもちょっとおこぼれ下さいな？　お忍びで娘のキセキも連れて行くので、よろしく』（要約）
　本文を見てズーンと沈む。尚、本文は微妙に古臭い文体だった
　あの二人はちょっと内心扱いにくい、腹違いな姉妹なので、親戚の内には入るが、あまり付き合いも無いのだ。
「部屋どうしよ？　一般客室全部埋まってるよ？」
「特別室開けるだけだから、まあ平気ね？」
「成る程……」
「奥の手とタコの足は出しきるなってね？」
「ソレはごもっとも……」
　ぐうの音も出ない。
　一般的には投資の格言だが、普通に使える辺り、頭良さげであった。

　そんな訳で、ぐいぐい来るお忍びでバレバレな身内が増えたのは、当然の帰結であった。


　追伸
　娘　キセキ21　鳥イメージはキセキレイ　ミサゴやスズメに並ぶ直接組最年少クラス。
　母　セキレイ38、鳥イメージはそのまま、ハクセキレイ
　役職、皇族。
　旧くは日本書紀、古事記において、子作りの極意をイザナミイザナギに教えた鳥。
　表向き権力は無し、あくまで象徴。実権としては、國を裏から牛耳る神主や巫女の元締め。
　翡翠をこちらに招いた犯人の関係者だが、昔の代で、あくまでランダム的に地脈・龍脈・霊脈の組み合わせで色々溜まったら時々境界の門が開くと言う仕掛けを作っただけ。
　この世界だと、人がよく死んでる歴史があって、特別な天然石が採れて、温泉とか色々沸いてる地形なんかが狙い目。一般的にジオスポットと呼ばれる場所。
　多少引きずり込んだ時にエネルギー保存の法則的に、引きずり込んだ者に余剰分がチャージされるのと、一旦本体が死んで精神の形に多少再構成される関係上、多少若くなるかもしれない。良くも悪くも、翡翠は微妙に精神的に幼かった可能性も有ったりする。
　古傷的なのは魂に染み込んでいるので、治らない。
　翡翠の都合の良い性質はチートとかそんなのではなく、生来の気質と体質、まるっきりの素、詐欺でも何でもない。運が良かっただけ。
　皇族は数少ないボルバキア無しの女性。
　腹違いシリーズでセキレイはツグミと同年代なので、そっちと仲が良い。
　見た目は若く美人だが、ツグミと並ぶと若干劣る。色々と若作りが努力の人達。
　時々泊りには来るのでミサゴも顔見知りでは有るけど、世代が若いのでミサゴとしては距離感が謎。
　親戚のめっちゃ偉い人とだけ。ヤタとツグミ、トキ辺りは特に気にせず付き合える、いわゆる大物。
　尚、琥珀が頑張っていた関係上、腹違い姉妹シリーズだと世代違ってもほぼほぼ2親等以内、血が濃いにも程がある。更に言うと、琥珀の正妻枠として親に成ってる場合は、義理でも1親等と成ります、法律的にはめっちゃ近い。
　その上の世代にツルが居る、こっちはトキと同世代、見た目的には白髪で一部黒い、上品で元気なお婆ちゃん。
　トキと並ぶとボルバキア適合因子持ちの化け物加減がよくわかる。

　そんな訳で、男親の関係で親戚だけどミサゴ達は貴族とか皇族扱いでは無い、そもそもヤタは権力のしがらみで雁字搦めとか大っ嫌いな類なので。
　そんなのだけど、相手を情とかで縛るのは大好きなのは、自己矛盾であるけれど。

　身内系としては、この皇族系が一番ヤバい方々。