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第166話 スズメの初日 状況確認の打ち解け
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カタカタカタカタ……
ふるふるふるふる……
抱き締めた腕の中で、スズメさんは相変わらず小さく震えていた。
(思ったより大変そうだ……)
思わず口に出さずに途方に暮れた。
因みに流れとしては、直前には皆でお風呂に入り、念入りにふにふにもみもみと解してから、さあ始めるかという流れで。
後は二人でごゆっくりと皆が温かい感じの笑顔で解散して、部屋で二人きりに成ったとたんに、スズメさんが白い顔で過呼吸気味にカタカタ震え始めたので、寒いですか? と手を握り。
爪とかが自分自身の手の平に食い込む程、指先が真っ白に成る程な状態だったので、ゆっくり指先を解し、怪我しないようにと自分の手を握らせて。
未だカタカタして居るので、そんな流れでは無いなと言う感じに、一先ず圧迫感を与えないように、後ろから抱き締めるだけ抱き締めたまま、布団に潜り込んだ訳であった。
思ったより怖がられてるのか……
「もしかして、嫌われてたりしますか?」
ふるふる。
言葉での返事ではなく首を振っての返事だった。
「私が怖いですか?」
……ふるふる。
一瞬タメが有ったが、否定らしい。
ふう……はあ………
「……男の人が怖いだけです」
やっとスズメさんの言葉で返事が返って来た。
「種族的には嫌いだと」
こくん。
「個人的には?」
「翡翠さん本人自体は怖くないですけど」
「そりゃあ良かった」
一先ず安心しておこう。
「で、何が有ってそんなに怖いので?」
……ふう。
溜め息の後で、コチラをぐるんと振り向いた。
目線がコチラに向く、何処か、覚悟とか感じる目線だった。素直に目線位は受け止めようと、コチラも真面目な顔を浮かべる。
「子供の頃、本当に赤ん坊の頃なんですけど、ハチクマとミサゴで、一緒に子供部屋に居た時に、男の人に抱き上げられまして、その人はくわえ煙草してまして、灰の塊が落ちて、こう、運悪く開いてた目玉に直撃したのです」
「そりゃまた……」
「もう、ギャン泣きですよ、根性焼きどころか目玉焼きですよ、痛いんですから」
「犯人と言うか、何なのさその男」
ヤニカスエピソードだ、子供がいる状態でタバコを吸う時点で、正直まともな人間とみなせない。
「琥珀お爺様が亡くなったからって事で、国から旦那候補って派遣されて来たらしいです」
「そんなのもあるのか……」
見合いの民間業者ではなく、国主導な所に、微妙なデストピア味を感じる。
「当人としては、灰の事なんか認識すらしてなくて、抱き上げたら勝手に泣き出した、こんなの可愛くないって感じで、追い打ち気味に怒鳴られて、喚き散らされて、投げられそうになったらしいです、其処でツグミ母さんに、救助されて、謎ギレかましたその男性が殴りかかって来て、その時はハチクマが間に挟まって止めようとして、蹴とばされまして、ハチクマも当時小さかったんで、乳歯だったんですけど、血が出て前歯ポロって。その男、何だか俺は悪くない、泣いてるコイツが悪い的なの喚いてまして、ツグミ母さんが呆れかえった調子で、それはもう、すごい剣幕で念入りに蹴り出したんです」
「その眼は大丈夫だったの?」
「無事かと言う意味では、ギリギリ? 駄目でしたよ?」
この通りですと、右目をあかんべーして見せる。
「ん?」
部屋の枕元に置いてある常夜灯だけでは暗くて見えにくい。
「わかり難いですか?」
今度は布団から起き上がり、かちりと明かりを着けて、両目の瞼を下げて見せる。
言われてみると、若干のオッドアイと言うか、瞳孔の大きさが違って見えた。
「微妙に大きさが違う?」
「そんな訳です。見えると言う意味では無事ですけど、火傷した方の視力下がっちゃったので、ちょっと特別な眼内レンズ入れて補正してます、結構なお値段したらしいですよ?」
少し自慢げだ。レンズ自体は悪くないのか。
「無事かどうかという意味では、大分微妙な……」
「命が有ると言う意味では無事ですけどね? おかげで、男性に対する不信感とか、恐怖心とかでっかく成っちゃいまして」
はははと、スズメさんが力なく笑う。
「玉ねぎの皮みたいに、外側剥いて行っても、真ん中のは残るんですよ?」
ちょっと言葉が出て来ないが。一連の記憶、トラウマとしては十分だろう。
玉ねぎ剥く前提なら真ん中が残るが、出来る順番だと逆なのは野暮なツッコミと言う事で、黙る。
「私、ちょっとした自慢ですけど、記憶力良い方でして、小さい頃、それこそ0歳の頃から割と覚えてるんですよ、人間の記憶は程よく忘れるから円滑に回せるって言いますけど、その証明です、あの時口から血を出したハチクマはあっけらかんとしたもので、ミサゴは小さい頃で、目が明かない感じに、まあ寝てたにしても、すっかり忘れてああして、あなたとイチャイチャラブラブちゅっちゅしてましたからね?」
「それはもう………堪能させてもらいました……」
近況のアレコレを若干拗ねた調子で畳みかけて来る、何とも言えない感じに、気まずさを感じつつ、肯定する。
「それ自体はおめでとうございます! うちの義姉と義妹が大変お世話に成りました! ありがとうございます! という事ですけど!」
赤くなって大声で返してくる、若干不本意そうだが、姉妹の真ん中、生真面目な板挟みの悲哀とか感じられた。
「そこらこそ、お世話に成ってます」
改めて向き合い、スズメさんの手を両手で握って、深々と頭を下げた。
「お世話してます?」
スズメさんが微妙に首を傾げる。
「相場的には、私達が貴方からもらった分、かなーり高いですよ?」
精液の価値的な物と、客寄せパンダ分なのだろうが……
「渡世人のオキテとして、一宿一飯の恩義なら、命をもって恩返しですよ? 安い安い」
軽い調子で返す事にした。
感覚としては、例の四角い顔の怪しい行商人である。お控えなすって。と言う感じに…
「じゃあ、程よくうぃんういんって事にしておいてください」
「ええ、程よく」
二人でクスリと笑う。
やっと距離感が縮まったと言うか、打ち解けた様子だ、混浴で揉んで抱き締めて添い寝してから話し合いで有る、もう順番とか色々めちゃくちゃであった。
追申
このカウンセリング、おっぱじめてからピロートークでやるかと思ってたんですけど、やっぱり予定通りにはいきませんね?
ふるふるふるふる……
抱き締めた腕の中で、スズメさんは相変わらず小さく震えていた。
(思ったより大変そうだ……)
思わず口に出さずに途方に暮れた。
因みに流れとしては、直前には皆でお風呂に入り、念入りにふにふにもみもみと解してから、さあ始めるかという流れで。
後は二人でごゆっくりと皆が温かい感じの笑顔で解散して、部屋で二人きりに成ったとたんに、スズメさんが白い顔で過呼吸気味にカタカタ震え始めたので、寒いですか? と手を握り。
爪とかが自分自身の手の平に食い込む程、指先が真っ白に成る程な状態だったので、ゆっくり指先を解し、怪我しないようにと自分の手を握らせて。
未だカタカタして居るので、そんな流れでは無いなと言う感じに、一先ず圧迫感を与えないように、後ろから抱き締めるだけ抱き締めたまま、布団に潜り込んだ訳であった。
思ったより怖がられてるのか……
「もしかして、嫌われてたりしますか?」
ふるふる。
言葉での返事ではなく首を振っての返事だった。
「私が怖いですか?」
……ふるふる。
一瞬タメが有ったが、否定らしい。
ふう……はあ………
「……男の人が怖いだけです」
やっとスズメさんの言葉で返事が返って来た。
「種族的には嫌いだと」
こくん。
「個人的には?」
「翡翠さん本人自体は怖くないですけど」
「そりゃあ良かった」
一先ず安心しておこう。
「で、何が有ってそんなに怖いので?」
……ふう。
溜め息の後で、コチラをぐるんと振り向いた。
目線がコチラに向く、何処か、覚悟とか感じる目線だった。素直に目線位は受け止めようと、コチラも真面目な顔を浮かべる。
「子供の頃、本当に赤ん坊の頃なんですけど、ハチクマとミサゴで、一緒に子供部屋に居た時に、男の人に抱き上げられまして、その人はくわえ煙草してまして、灰の塊が落ちて、こう、運悪く開いてた目玉に直撃したのです」
「そりゃまた……」
「もう、ギャン泣きですよ、根性焼きどころか目玉焼きですよ、痛いんですから」
「犯人と言うか、何なのさその男」
ヤニカスエピソードだ、子供がいる状態でタバコを吸う時点で、正直まともな人間とみなせない。
「琥珀お爺様が亡くなったからって事で、国から旦那候補って派遣されて来たらしいです」
「そんなのもあるのか……」
見合いの民間業者ではなく、国主導な所に、微妙なデストピア味を感じる。
「当人としては、灰の事なんか認識すらしてなくて、抱き上げたら勝手に泣き出した、こんなの可愛くないって感じで、追い打ち気味に怒鳴られて、喚き散らされて、投げられそうになったらしいです、其処でツグミ母さんに、救助されて、謎ギレかましたその男性が殴りかかって来て、その時はハチクマが間に挟まって止めようとして、蹴とばされまして、ハチクマも当時小さかったんで、乳歯だったんですけど、血が出て前歯ポロって。その男、何だか俺は悪くない、泣いてるコイツが悪い的なの喚いてまして、ツグミ母さんが呆れかえった調子で、それはもう、すごい剣幕で念入りに蹴り出したんです」
「その眼は大丈夫だったの?」
「無事かと言う意味では、ギリギリ? 駄目でしたよ?」
この通りですと、右目をあかんべーして見せる。
「ん?」
部屋の枕元に置いてある常夜灯だけでは暗くて見えにくい。
「わかり難いですか?」
今度は布団から起き上がり、かちりと明かりを着けて、両目の瞼を下げて見せる。
言われてみると、若干のオッドアイと言うか、瞳孔の大きさが違って見えた。
「微妙に大きさが違う?」
「そんな訳です。見えると言う意味では無事ですけど、火傷した方の視力下がっちゃったので、ちょっと特別な眼内レンズ入れて補正してます、結構なお値段したらしいですよ?」
少し自慢げだ。レンズ自体は悪くないのか。
「無事かどうかという意味では、大分微妙な……」
「命が有ると言う意味では無事ですけどね? おかげで、男性に対する不信感とか、恐怖心とかでっかく成っちゃいまして」
はははと、スズメさんが力なく笑う。
「玉ねぎの皮みたいに、外側剥いて行っても、真ん中のは残るんですよ?」
ちょっと言葉が出て来ないが。一連の記憶、トラウマとしては十分だろう。
玉ねぎ剥く前提なら真ん中が残るが、出来る順番だと逆なのは野暮なツッコミと言う事で、黙る。
「私、ちょっとした自慢ですけど、記憶力良い方でして、小さい頃、それこそ0歳の頃から割と覚えてるんですよ、人間の記憶は程よく忘れるから円滑に回せるって言いますけど、その証明です、あの時口から血を出したハチクマはあっけらかんとしたもので、ミサゴは小さい頃で、目が明かない感じに、まあ寝てたにしても、すっかり忘れてああして、あなたとイチャイチャラブラブちゅっちゅしてましたからね?」
「それはもう………堪能させてもらいました……」
近況のアレコレを若干拗ねた調子で畳みかけて来る、何とも言えない感じに、気まずさを感じつつ、肯定する。
「それ自体はおめでとうございます! うちの義姉と義妹が大変お世話に成りました! ありがとうございます! という事ですけど!」
赤くなって大声で返してくる、若干不本意そうだが、姉妹の真ん中、生真面目な板挟みの悲哀とか感じられた。
「そこらこそ、お世話に成ってます」
改めて向き合い、スズメさんの手を両手で握って、深々と頭を下げた。
「お世話してます?」
スズメさんが微妙に首を傾げる。
「相場的には、私達が貴方からもらった分、かなーり高いですよ?」
精液の価値的な物と、客寄せパンダ分なのだろうが……
「渡世人のオキテとして、一宿一飯の恩義なら、命をもって恩返しですよ? 安い安い」
軽い調子で返す事にした。
感覚としては、例の四角い顔の怪しい行商人である。お控えなすって。と言う感じに…
「じゃあ、程よくうぃんういんって事にしておいてください」
「ええ、程よく」
二人でクスリと笑う。
やっと距離感が縮まったと言うか、打ち解けた様子だ、混浴で揉んで抱き締めて添い寝してから話し合いで有る、もう順番とか色々めちゃくちゃであった。
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