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3章 活躍する坊主
第78話 死体分析
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「所で、この傷って、さっきのドラゴンの噛み傷と爪ですよね?」
アカデさんが大きい方のキングの傷を分析、指摘する。塞がってはいるが、足周辺に等間隔に並んでいる噛まれた痕跡のような傷が有る。確かに其れっぽい。
「場所もそれほど離れていないから、やりあってたって線も捨てきれんな。」
ギルマスが状況を合わせて肯定する。
「体表も少し焼けただれたような跡が有りますから、ドラゴンが炎でも吐いたのでしょうか?」
「どんな構造だ?」
「後であの骨と牙と鱗の分析もさせて下さい。」
「ああ、好きなだけ分析してくれ。」
「それと、この傷、治ってますけど、牙の位置と形状、爪の本数はドラゴンとは別ですよね?形状的には草原の主辺りとやり合ってませんか?」
「前回の大量発生に居たって話のチャンピオンだとすれば有る線か・・・」
色々繋がるらしい。
顎の骨についている牙を2本引き抜いて火打石代わりに擦り合わせてみる、俺が使っているマグネシウムマッチやライター石と同じように火花が散った。
「普通の生き物と牙の材質違いますよね?」
自然界の火打石としては玉髄、チャート、石英、ジャスパー、サヌカイト、黒曜石、黄鉄鉱、白鉄鉱等々、火花を飛ばせる石なら結構有るので無理の有る話では無いだろう。
黄鉄鉱はパイライト(発火石)とも呼ばれている伝統材質だ、日本ではチャートが一般的だし、正直効率良くないのであまり使いたくはないが。
そもそもカルシウムとエナメル質では火花は散らないので謎材質だが・・・
自分でも手に取って見たが材質は判らなかった。
「油とか発火物を身体の中に仕込んでいるならば火も吐けない事も無いですかね?」
ガメ〇か何かかな?あれは石炭と石油だが・・・
「溶けたらキングの方解剖して見て良いんですよね?」
アカデさんは興奮しているようで顔が上気して目が輝いている。
「好きなようにしてくれて良い、人手と記録係欲しかったら職員呼んでくれ、後でレポート頼む。」
ギルマスも、もう好きにしてくれとぶん投げたようだ、こちらも帰るとしよう。
「こっちも出番無さそう何で、帰りますね?」
「ゴブリンキングのスケッチは之で良いですね?」
灯は何時の間にか一枚描き上げていたようだ。仕事が速い。
「ああ、お疲れ様。」
ぺこりとお辞儀をしてギルドから出た。
アカデ視点
ほかのメンバーは居なくなった、一人で解体場の個室に残されて改めて死体の分析を始める。こうして世紀の発見を自分が検分出来るとは思わなかった、このギルドをスポンサーにしておいた良かったと、つくづく思う。尤も、このギルドの出資金が無ければ生活資金がそもそも足りないので、運が良かったとしか言えないが。
ゴブリンキングの解凍が進むまでの数時間をドラゴンの骨格標本を調べて潰す。
骨格としては蜥蜴の類にも似ているが、ワニやトカゲと違って手足が長く、体高が有る。
背中の部分に羽の様な物も有る、多分皮膜の類だったのだろうか?
折れた骨の断面を調べると、中身はスカスカだ、鳥の類と見れば違和感は無いか。
鱗を調べる、生き物の鱗と言うより、岩や金属の様な感触だが、まさか身体の構成物質がそもそも違うとは言わないだろう、さっきの歯の構成物質からして怪しいが・・
目に付いた違和感や感想を思いつく端からメモに取って行く。
そうこうしている内にゴブリンキングの解凍が済んだので腹の部分を開いて見る。
「うえ??!!」
思わず変な声が出た、無い筈の物があったのだ。
ある筈の生殖器、産卵管は短く太く、先が開いて逆流出来る様に?まさかここに入るの?
ハイエナのメスが持って居る男根擬きの生殖器の様な物?
子宮にあたる部分を更に開くと中には未熟な幼生体が詰まっていた。
つまり、このサイズがゴブリン本来の成体?
この段階で初めてゴブリンのみの生殖が可能になると?
まさかと思い、小さい方のキングも問題の部分を開いて確認する、こちらは産卵管と子宮部分はそんな発達の仕方をしていない。大きい側だけの特徴だ。
と言うと、これが明確な差異で、即ちゴブリンチャンピオン?いや、メスで産む役なのだから女王(クイーン)?
他のゴブリンと分かりやすい差異が有れば、説明も分類も分かり易くて良いと思っていたが、これは予想外で更に嫌な方向に斜め上だ。
で、ゴブリンの幼生体は宿主母体を助けた場合は母体の胎を食い破って出て来るが、まさか同族の胎を食い破って出て来る訳では無いだろう、群れのボスが食い破られる訳が無い、となると、そちらでも認識を改める必要があるかもしれない・・・
つまり幼生体が大人しく生まれる方法が有ると、其方の方向でまた研究する必要がある。
新発見が多すぎる、他の研究者の論文にはこんな物は仮説でもこんな物は書いて居ない。
ぶつぶつと呟きながらレポート用のメモを取って行く。
しかし、自分達だけで子供が産めるようになっているクイーンが前回の大量派生から野放しで10年以上?
そう考えると背筋がぞわっとする、前回のこの近辺の大規模討伐が魔の森の外で100匹規模、それだけで済むのか?巣分けされていないか?考えすぎだとしてもその可能性はギルマスに報告しておかなければ。
報告を入れてからのギルマスの動きは速かった。周辺の各ギルドに緊急連絡の鳥を放ち、緊急依頼を出して各地の確認と、見事な物だ、之が無駄足の取り越し苦労であることを祈ろう・・・
アカデさんが大きい方のキングの傷を分析、指摘する。塞がってはいるが、足周辺に等間隔に並んでいる噛まれた痕跡のような傷が有る。確かに其れっぽい。
「場所もそれほど離れていないから、やりあってたって線も捨てきれんな。」
ギルマスが状況を合わせて肯定する。
「体表も少し焼けただれたような跡が有りますから、ドラゴンが炎でも吐いたのでしょうか?」
「どんな構造だ?」
「後であの骨と牙と鱗の分析もさせて下さい。」
「ああ、好きなだけ分析してくれ。」
「それと、この傷、治ってますけど、牙の位置と形状、爪の本数はドラゴンとは別ですよね?形状的には草原の主辺りとやり合ってませんか?」
「前回の大量発生に居たって話のチャンピオンだとすれば有る線か・・・」
色々繋がるらしい。
顎の骨についている牙を2本引き抜いて火打石代わりに擦り合わせてみる、俺が使っているマグネシウムマッチやライター石と同じように火花が散った。
「普通の生き物と牙の材質違いますよね?」
自然界の火打石としては玉髄、チャート、石英、ジャスパー、サヌカイト、黒曜石、黄鉄鉱、白鉄鉱等々、火花を飛ばせる石なら結構有るので無理の有る話では無いだろう。
黄鉄鉱はパイライト(発火石)とも呼ばれている伝統材質だ、日本ではチャートが一般的だし、正直効率良くないのであまり使いたくはないが。
そもそもカルシウムとエナメル質では火花は散らないので謎材質だが・・・
自分でも手に取って見たが材質は判らなかった。
「油とか発火物を身体の中に仕込んでいるならば火も吐けない事も無いですかね?」
ガメ〇か何かかな?あれは石炭と石油だが・・・
「溶けたらキングの方解剖して見て良いんですよね?」
アカデさんは興奮しているようで顔が上気して目が輝いている。
「好きなようにしてくれて良い、人手と記録係欲しかったら職員呼んでくれ、後でレポート頼む。」
ギルマスも、もう好きにしてくれとぶん投げたようだ、こちらも帰るとしよう。
「こっちも出番無さそう何で、帰りますね?」
「ゴブリンキングのスケッチは之で良いですね?」
灯は何時の間にか一枚描き上げていたようだ。仕事が速い。
「ああ、お疲れ様。」
ぺこりとお辞儀をしてギルドから出た。
アカデ視点
ほかのメンバーは居なくなった、一人で解体場の個室に残されて改めて死体の分析を始める。こうして世紀の発見を自分が検分出来るとは思わなかった、このギルドをスポンサーにしておいた良かったと、つくづく思う。尤も、このギルドの出資金が無ければ生活資金がそもそも足りないので、運が良かったとしか言えないが。
ゴブリンキングの解凍が進むまでの数時間をドラゴンの骨格標本を調べて潰す。
骨格としては蜥蜴の類にも似ているが、ワニやトカゲと違って手足が長く、体高が有る。
背中の部分に羽の様な物も有る、多分皮膜の類だったのだろうか?
折れた骨の断面を調べると、中身はスカスカだ、鳥の類と見れば違和感は無いか。
鱗を調べる、生き物の鱗と言うより、岩や金属の様な感触だが、まさか身体の構成物質がそもそも違うとは言わないだろう、さっきの歯の構成物質からして怪しいが・・
目に付いた違和感や感想を思いつく端からメモに取って行く。
そうこうしている内にゴブリンキングの解凍が済んだので腹の部分を開いて見る。
「うえ??!!」
思わず変な声が出た、無い筈の物があったのだ。
ある筈の生殖器、産卵管は短く太く、先が開いて逆流出来る様に?まさかここに入るの?
ハイエナのメスが持って居る男根擬きの生殖器の様な物?
子宮にあたる部分を更に開くと中には未熟な幼生体が詰まっていた。
つまり、このサイズがゴブリン本来の成体?
この段階で初めてゴブリンのみの生殖が可能になると?
まさかと思い、小さい方のキングも問題の部分を開いて確認する、こちらは産卵管と子宮部分はそんな発達の仕方をしていない。大きい側だけの特徴だ。
と言うと、これが明確な差異で、即ちゴブリンチャンピオン?いや、メスで産む役なのだから女王(クイーン)?
他のゴブリンと分かりやすい差異が有れば、説明も分類も分かり易くて良いと思っていたが、これは予想外で更に嫌な方向に斜め上だ。
で、ゴブリンの幼生体は宿主母体を助けた場合は母体の胎を食い破って出て来るが、まさか同族の胎を食い破って出て来る訳では無いだろう、群れのボスが食い破られる訳が無い、となると、そちらでも認識を改める必要があるかもしれない・・・
つまり幼生体が大人しく生まれる方法が有ると、其方の方向でまた研究する必要がある。
新発見が多すぎる、他の研究者の論文にはこんな物は仮説でもこんな物は書いて居ない。
ぶつぶつと呟きながらレポート用のメモを取って行く。
しかし、自分達だけで子供が産めるようになっているクイーンが前回の大量派生から野放しで10年以上?
そう考えると背筋がぞわっとする、前回のこの近辺の大規模討伐が魔の森の外で100匹規模、それだけで済むのか?巣分けされていないか?考えすぎだとしてもその可能性はギルマスに報告しておかなければ。
報告を入れてからのギルマスの動きは速かった。周辺の各ギルドに緊急連絡の鳥を放ち、緊急依頼を出して各地の確認と、見事な物だ、之が無駄足の取り越し苦労であることを祈ろう・・・
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