271 / 274
6章 変な石とその後の話
第270話 子供達の出会い(孤児少年視点)
しおりを挟む
「お兄ちゃん、お腹すいた」
チビが悲しそうに呟く。言われんでも分かってる、何時でも皆腹ぺこだ。
俺がどうにかしてやるからと、言葉では応えずに頭を撫でて応えた。
俺達はこの間の疫病、黒皮病で親を亡くした孤児達の集まりだ、元からの孤児も孤児院が経営が立ち居か無くなり、そもそもの経営者も居なくなってしまい、放り出されている、仕事を貰うためのギルド登録も10歳からなので、こうなると食うにも困る、元は家が農家だった者も居るが、あくまで家を持っていたのは親な為、親が居なくなってしまったらなんやかんやで家も畑も没収されてしまう、コレは領地の土地が総て領主の持ち物で有って、親が借りているだけだと言う状況のため、契約者で有る親が居ない時点で全部持って行かれてしまうのだ。
当然、子供達は寒空の下放り出されるだけで、こうして孤児として宙ぶらりんとなる。
こうなると生存戦略は、親類か何かを頼るか、何処かしらの下働きとして雇って貰えれば良いのだが、親も居ない後ろ盾も無いと成ると、保証が無い、結局雇って貰えないと言うことになる。
やはり飢える訳だ。
教会の炊き出しも毎日有るわけじゃ無いし、そもそも黒皮病の患者が未だ居るため、うつると死ぬぞと脅されては近づけない。
そもそも教会もあの患者達を治療するために蓄えを使い切ってしまっているとかの噂もある、どっちにしても頼れない。
家はもうないので、人の目の無い集落の外れの方に有る空き家に身を寄せることに成った。
そして、食料の確保には……
刈り終えた麦の畑に入る、刈り残したり、刈った後で投げ捨てた分は拾っても咎められることは無い、捨てられているのは黒い角が生えた毒麦だが、黒いモノを取り除けば食えないことも無い。
そもそも贅沢を言える立場では無い、何でも食べて生き残ることしか出来ないのだ。
ごりごり
拾い集めた落ち穂を皆で磨り潰す様にして皮を剥く、粉にしてパンにするのは燃料的に辛いので、剥いた後は軽く茹でて麦粥として食べることにする、人数が多くても、水気を多くすれば多少腹が膨れるのが救いだ。
食事を一粒も一滴も残さずに平らげる、顔に浮かんだ表情は、揃って物足りないという不満げな顔だが、食べられるだけマシだった。
そんな有る日
ごん
ごん
ごんごんごん
ばたん!
居るとバレると何を言われるか分からないので、居留守を決め込んでいると、勢いよく戸を開けられた。
「こんにちわ! 父様から届け物!」
居たのは、未だ5歳ぐらいの小さな少女の二人組だった、俺達とは違う、上等な服と、栄養状態が良さそうな、良い肌つやと肉付きをしていた。前に居るのは黒髪の娘、後ろに居たのは金髪の娘、育てば美人になるのだろうなと一目で分かる育ちと血筋の良さを感じる。
だがそんな良いところのお嬢様がこんな所に来るはずが無いだろうと、頭を振って変な想像を追い出す。
そんな呆然とした、いぶかしげな視線の中、背中から背嚢を取り出し、テーブルに展開した。
ふわんと、小麦が焼けた良い香りが広がった。
それは、香ばしく焼けた白パンだった。
香りの暴力に抗えるハズも無く、目線がパンに吸い込まれる。
呆然と手を伸ばそうとして、そんなはず無いだろうと手を引っ込める。
そもそもこの娘達は何者だ? このパンの出所は何処からだ? こんな物を貰ういわれは無い、そもそも父様と言うのも何者だ?
頭の中を疑問が駆け巡る、考えすぎと言われるかもしれないが、このメンバーの中では自分が最年長のリーダーだ、自分がコイツらを守らなきゃ成らない。
チビが吸い寄せられるようにパンに手を伸ばそうとして、近くに居た妹がそっと窘める、そうだ、勝手に手を出したら何を言われるか分からない、誰も手を出さない、それで良い。
「食べて良いんですけど?」
最初の得意気な様子から、すこしだけ気分を害した様子で告げてくる。
チビがその言葉に飲まれて手を伸ばそうとして。
「よせ!……そうだ、毒?!」
咄嗟に制止させて、おもわず思いついた言葉を叫んだ。
ビクリと皆が動きを止めた。
そうだ、こんないい話があるはずが無い、どうせ趣味の悪い何かだ。
ズン!
バキン!
「父様がそんな事するはず無い!」
衝撃が周囲を揺らす、先程まではニコニコと笑みを浮かべていた黒髪の方が、怒気を強めた。
睨まれた衝撃で息が詰まる。
(ひっ?!)
自分よりも小さい娘に睨み付けられ、息が詰まる。
声が出せないし、息も吸えない。
咄嗟に首元に手を当てる。
「ほら、ヒカ姉落ち着く」
しょうが無いなあという感じに、一歩下がっていた金髪の小さい方が一歩先に出て、黒髪の方をポンポンと叩くように撫でて宥めている、少女が一瞬振り向くと、次の瞬間には巨大な猫が黒髪の方にのしかかっていた。少女の頭の上に猫の頭がある、重さに負けたのか、首が斜めに曲がっていて、毛に埋まって圧を発するその目を塞いでいた。
「ぜえっはあっ」
圧が消え、やっと戻ってきた呼吸の感覚に、思わず膝から崩れ落ちる。
「毒ねえ?」
金髪の方がパンを一つ取って、小さく千切ると、自らの口に放り込んだ、何の気負いも無く、もう一つ千切って黒髪の方の口に放り込む、残りは巨大な猫の口に放り込まれた。
それぞれ特に問題無さそうにもごもごと口を動かしている。
「これで良いでしょ?」
「貰う謂れが無い……」
咄嗟に一言絞り出した。いくら飢えても、落ち穂を拾おうと、未だソコまで落ちては居ないつもりだ。
「めんどくさい……」
黒髪の方が小さく呟いたのが聞こえた。
「子供のうちはそんなモノ気にするなって御父様なら言うんだろうけど………そうだなあ……?」
金髪の方も呟き、少し考える風に溜める。
パン!
「そだ、代わりに私達の子分って事なら良いでしょ? 親分が子分の世話をするのは当然なんだし?!」
黒髪の方が、コレで解決という感じに手を叩いた。
追伸
背中に背負っていた背嚢は、風呂敷です、鞄的な物じゃ有りません。
この子達、ヒカリとイリスはファザコンとまでは行きませんが、普通に父大好きな類いです、悪く言われると怒ります。
チビが悲しそうに呟く。言われんでも分かってる、何時でも皆腹ぺこだ。
俺がどうにかしてやるからと、言葉では応えずに頭を撫でて応えた。
俺達はこの間の疫病、黒皮病で親を亡くした孤児達の集まりだ、元からの孤児も孤児院が経営が立ち居か無くなり、そもそもの経営者も居なくなってしまい、放り出されている、仕事を貰うためのギルド登録も10歳からなので、こうなると食うにも困る、元は家が農家だった者も居るが、あくまで家を持っていたのは親な為、親が居なくなってしまったらなんやかんやで家も畑も没収されてしまう、コレは領地の土地が総て領主の持ち物で有って、親が借りているだけだと言う状況のため、契約者で有る親が居ない時点で全部持って行かれてしまうのだ。
当然、子供達は寒空の下放り出されるだけで、こうして孤児として宙ぶらりんとなる。
こうなると生存戦略は、親類か何かを頼るか、何処かしらの下働きとして雇って貰えれば良いのだが、親も居ない後ろ盾も無いと成ると、保証が無い、結局雇って貰えないと言うことになる。
やはり飢える訳だ。
教会の炊き出しも毎日有るわけじゃ無いし、そもそも黒皮病の患者が未だ居るため、うつると死ぬぞと脅されては近づけない。
そもそも教会もあの患者達を治療するために蓄えを使い切ってしまっているとかの噂もある、どっちにしても頼れない。
家はもうないので、人の目の無い集落の外れの方に有る空き家に身を寄せることに成った。
そして、食料の確保には……
刈り終えた麦の畑に入る、刈り残したり、刈った後で投げ捨てた分は拾っても咎められることは無い、捨てられているのは黒い角が生えた毒麦だが、黒いモノを取り除けば食えないことも無い。
そもそも贅沢を言える立場では無い、何でも食べて生き残ることしか出来ないのだ。
ごりごり
拾い集めた落ち穂を皆で磨り潰す様にして皮を剥く、粉にしてパンにするのは燃料的に辛いので、剥いた後は軽く茹でて麦粥として食べることにする、人数が多くても、水気を多くすれば多少腹が膨れるのが救いだ。
食事を一粒も一滴も残さずに平らげる、顔に浮かんだ表情は、揃って物足りないという不満げな顔だが、食べられるだけマシだった。
そんな有る日
ごん
ごん
ごんごんごん
ばたん!
居るとバレると何を言われるか分からないので、居留守を決め込んでいると、勢いよく戸を開けられた。
「こんにちわ! 父様から届け物!」
居たのは、未だ5歳ぐらいの小さな少女の二人組だった、俺達とは違う、上等な服と、栄養状態が良さそうな、良い肌つやと肉付きをしていた。前に居るのは黒髪の娘、後ろに居たのは金髪の娘、育てば美人になるのだろうなと一目で分かる育ちと血筋の良さを感じる。
だがそんな良いところのお嬢様がこんな所に来るはずが無いだろうと、頭を振って変な想像を追い出す。
そんな呆然とした、いぶかしげな視線の中、背中から背嚢を取り出し、テーブルに展開した。
ふわんと、小麦が焼けた良い香りが広がった。
それは、香ばしく焼けた白パンだった。
香りの暴力に抗えるハズも無く、目線がパンに吸い込まれる。
呆然と手を伸ばそうとして、そんなはず無いだろうと手を引っ込める。
そもそもこの娘達は何者だ? このパンの出所は何処からだ? こんな物を貰ういわれは無い、そもそも父様と言うのも何者だ?
頭の中を疑問が駆け巡る、考えすぎと言われるかもしれないが、このメンバーの中では自分が最年長のリーダーだ、自分がコイツらを守らなきゃ成らない。
チビが吸い寄せられるようにパンに手を伸ばそうとして、近くに居た妹がそっと窘める、そうだ、勝手に手を出したら何を言われるか分からない、誰も手を出さない、それで良い。
「食べて良いんですけど?」
最初の得意気な様子から、すこしだけ気分を害した様子で告げてくる。
チビがその言葉に飲まれて手を伸ばそうとして。
「よせ!……そうだ、毒?!」
咄嗟に制止させて、おもわず思いついた言葉を叫んだ。
ビクリと皆が動きを止めた。
そうだ、こんないい話があるはずが無い、どうせ趣味の悪い何かだ。
ズン!
バキン!
「父様がそんな事するはず無い!」
衝撃が周囲を揺らす、先程まではニコニコと笑みを浮かべていた黒髪の方が、怒気を強めた。
睨まれた衝撃で息が詰まる。
(ひっ?!)
自分よりも小さい娘に睨み付けられ、息が詰まる。
声が出せないし、息も吸えない。
咄嗟に首元に手を当てる。
「ほら、ヒカ姉落ち着く」
しょうが無いなあという感じに、一歩下がっていた金髪の小さい方が一歩先に出て、黒髪の方をポンポンと叩くように撫でて宥めている、少女が一瞬振り向くと、次の瞬間には巨大な猫が黒髪の方にのしかかっていた。少女の頭の上に猫の頭がある、重さに負けたのか、首が斜めに曲がっていて、毛に埋まって圧を発するその目を塞いでいた。
「ぜえっはあっ」
圧が消え、やっと戻ってきた呼吸の感覚に、思わず膝から崩れ落ちる。
「毒ねえ?」
金髪の方がパンを一つ取って、小さく千切ると、自らの口に放り込んだ、何の気負いも無く、もう一つ千切って黒髪の方の口に放り込む、残りは巨大な猫の口に放り込まれた。
それぞれ特に問題無さそうにもごもごと口を動かしている。
「これで良いでしょ?」
「貰う謂れが無い……」
咄嗟に一言絞り出した。いくら飢えても、落ち穂を拾おうと、未だソコまで落ちては居ないつもりだ。
「めんどくさい……」
黒髪の方が小さく呟いたのが聞こえた。
「子供のうちはそんなモノ気にするなって御父様なら言うんだろうけど………そうだなあ……?」
金髪の方も呟き、少し考える風に溜める。
パン!
「そだ、代わりに私達の子分って事なら良いでしょ? 親分が子分の世話をするのは当然なんだし?!」
黒髪の方が、コレで解決という感じに手を叩いた。
追伸
背中に背負っていた背嚢は、風呂敷です、鞄的な物じゃ有りません。
この子達、ヒカリとイリスはファザコンとまでは行きませんが、普通に父大好きな類いです、悪く言われると怒ります。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
構造理解で始めるゼロからの文明開拓
TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。
適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。
だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――!
――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。
ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主
雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。
荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。
十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、
ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。
ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、
領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。
魔物被害、経済不安、流通の断絶──
没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。
新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。
俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件
こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。
・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。
・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。
・物静かで儚げな美術部員。
・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。
・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。
拓海の生活はどうなるのか!?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる