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9話
しおりを挟む熱い。
痛い。
怖い。
私の思考は、その三つの原始的な感覚に完全に支配されていた。
目の前で、自分の着ている衣装が、赤い舌を伸ばす炎に、じりじりと喰われていく。
布が焦げる、鼻をつく嫌な匂い。
パチパチと、命を貪る不吉な音。
「きゃあああああっ!」
私は、ただ意味のない悲鳴を上げながら、舞台の上を無我夢中で走り回っていた。
燃えている袖を振り回し、火を消そうとすればするほど、炎は喜んで勢いを増していく。
観客たちの絶叫が、地鳴りのようにテントを揺らす。
楽しいはずだった空間が、一瞬にして地獄絵図へと変わってしまった。
「マリアム! 動くな!」
アクセルさんの、雷のような怒声が聞こえた。
舞台袖から、彼が鬼のような形相で飛び出してくるのが見えた。
その手には、消火用に用意されていた、なみなみと水が入った大きなバケツが握られている。
助けに来てくれた。
その事実に安堵するよりも早く、私の目の前で、信じられない光景が繰り広げられた。
私が着ていたピエロの衣装は、安物の化学繊維でできていたのだろう。
炎は、まるで待ちかねていたかのように、その生地に一気に燃え広がった。
バリバリ、と音を立てて。
赤い炎が、青い炎に変わり、私の体を覆う衣装を、まるで意志を持った生き物のように、あっという間に駆け上がっていく。
アクセルさんが、水をかけるよりも、ずっと早く。
熱風が、私の顔を撫でた。
ああ、もうダメだ。
私は、ここで死ぬ。
ぎゅっと目を瞑り、体に走るであろう、灼熱の痛みに備えた。
しかし。
予想していた、肌が焼けるような痛みは、いつまで経ってもやってこなかった。
代わりに、ふわり、と体が軽くなるような、不思議な感覚に襲われた。
何が起きたのかわからず、おそるおそる目を開ける。
そして、言葉を失った。
あれほど激しく燃え盛っていた炎が、消えていた。
いや、違う。
炎が、燃やすべきものを、すべて燃やし尽くして、消えたのだ。
私の体を覆っていた、あの滑稽で、だぶだぶのピエロ衣装だけが、まるで魔法のように、綺麗さっぱりと焼失していた。
幸いだったのは、衣装が大きすぎたことだろう。
私の肌と、燃え盛る布との間には、常に空気の層があった。
炎は、私の肌を直接舐める前に、その燃料となる衣装だけを貪り食い、満足して消え去ったのだ。
ひらり、ひらりと、黒い灰が、雪のように私の周りを舞っている。
スポットライトに照らされて、その灰は、まるで不吉な蝶の群れのように、きらきらと輝いて見えた。
熱風が止み、音が消えた。
観客たちの悲鳴も、団員たちの叫び声も、何も聞こえない。
完全な静寂が、テントを支配していた。
私は、舞台の真ん中に、ただ一人、立ち尽くす。
何が起こったのか、まだ理解できないまま。
燃え残った衣装の残骸が、私の足元に、黒い円を描いていた。
まるで、それは、私を異界から呼び出すために描かれた、魔法陣のようにも見えた。
静寂。
それは、まるで時間が止まってしまったかのような、深く、濃密な静寂だった。
先ほどまでの熱狂と悲鳴が、まるで嘘だったかのようだ。
テントにいる誰もが、呼吸を忘れ、舞台の中央に立つ私に、視線を釘付けにしていた。
何が、起きたのか。
観客も、団員たちも、そして私自身でさえ、このあまりに劇的な展開を、すぐには理解できずにいた。
スポットライトだけが、無情に、そして煌々と、私を照らし続けている。
滑稽な道化の仮面は、炎によって、跡形もなく焼き尽くされた。
カラフルなカツラも、大きな赤い鼻も、すべては灰となって消え去った。
そこに立っていたのは、ピエロではない。
煤で頬を汚し、恐怖と混乱にいまだ潤む瞳をした、一人の生身の女。
マリアム・フォン・アイゼンだった。
炎は、私の肌を焼く代わりに、私が身に纏っていた偽りの姿を、すべて剥ぎ取っていったのだ。
今、私の体を覆っているのは、ピエロ衣装の下に着ていた、一枚の質素なシュミーズだけ。
貴族令嬢の肌着としては、あまりにも粗末な、ただの薄い木綿の布。
それが、かいた汗と、アクセルさんが駆けつける寸前に浴びせようとした水しぶきで、肌にぴったりと張り付いていた。
激しい呼吸のせいで、私の肩は大きく上下している。
それに合わせて、薄い布の下の、胸の起伏や、しなやかな体の線が、露わになってしまっていることに、私はまだ気づいていなかった。
長い間、固いコルセットで締め付けていたせいで、不健康なほど白かった肌。
雑用仕事で少しだけ日に焼けた腕。
恐怖で固く握りしめられた、華奢な指先。
そのすべてが、スポットライトの下に、恥ずかしいくらいにさらけ出されていた。
描かれた涙の模様は、本物の涙で流れ落ち、頬に黒い筋を作っている。
乱れた髪が、額や首筋に張り付いている。
その姿は、痛々しく、か弱く、そして、どこか神聖ですらあった。
それは、作り物の道化師が消え去り、その下に隠されていた、一人の人間の魂が、むき出しになった瞬間だったのかもしれない。
客席の最前列で、誰かが、ごくりと息をのむ音が聞こえた。
それは、恐怖や同情の音ではなかった。
予期せぬ、抗いがたいほどの美を、畏怖すべき何かを目の当たりにしてしまった時の、畏敬の念に満ちた音だった。
舞台袖で、アクセルさんが、立ち尽くしていた。
彼の手に握られたままだった水のバケツが、かたり、と音を立てて床に落ちる。
彼は、言葉を失っていた。
今まで、マリアムを、厄介な家出娘か、あるいは手のかかる妹のような存在として見ていた。
彼女の頑張りは認めていた。
彼女の持つ不思議な魅力にも、気づき始めていた。
だが、今、彼の目に映っているのは、そんな生易しい存在ではなかった。
炎の中から生まれ変わった、女神。
あるいは、堕天使。
その、危うく、そして抗いがたいほどの魅力に、アクセルは、生まれて初めて、女という生き物に心を奪われるという感覚を、身をもって知った。
彼の心臓が、今まで経験したことのない、激しいリズムで高鳴り始める。
それは、ショーの成功を確信した時の興奮とは、まったく質の違う、どうしようもない衝動だった。
彼は、ただ、舞台の上で光を浴びるマリアムから、目を離すことができなかった。
どれくらいの時間が、その濃密な静寂の中で過ぎ去ったのだろう。
十秒か、あるいは一分か。
それは、まるで永遠のようにも感じられた。
私の頭は、まだ正常に働いていなかった。
ただ、何百という視線が、私の肌を射抜くのを感じていた。
もう、笑い声は聞こえない。
悲鳴も聞こえない。
その静けさが、何よりも恐ろしかった。
私は、観客を、仲間たちを、失望させてしまったのだろうか。
ショーを、台無しにしてしまったのだろうか。
恐怖で、また涙が溢れそうになった、その時だった。
テントの静寂を破ったのは、一人の男だった。
客席の中ほどに座っていた、裕福そうな身なりの商人のような男が、ゆっくりと席を立ち上がったのだ。
彼は、舞台の上の私を、まるで奇跡でも見るかのような目で見つめていた。
そして、次の瞬間、彼は、魂を震わせるように、力強く、手を打ち鳴らした。
パァン!
乾いた拍手の音が、静まり返ったテントの中に、一つだけ響き渡る。
その音は、まるで号砲のようだった。
彼の隣にいた婦人が、はっとしたように、それに倣って拍手を始める。
一人、また一人。
その拍手は、波が岸に打ち寄せるように、客席全体へと、瞬く間に広がっていった。
最初は、まばらだった拍手の音。
それが、あっという間に、一つの巨大なうねりとなる。
やがて、それは、テントを根こそぎ揺るがすような、割れんばかりの大喝采へと変わっていった。
地響きのような、拍手の嵐。
私は、その音の渦の中心で、ただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。
「ブラボーッ!」
誰かが、野太い声で叫んだ。
「最高だ! 今まで見たどんなショーよりも、最高だったぞ!」
「女神だ……! 炎の中から、女神が現れた……!」
賞賛。熱狂。興奮。
観客たちのボルテージは、明らかに異常な域に達していた。
彼らは、もはや単なるショーの観客ではない。
ある種の、奇跡を目撃した、信者と化していた。
そして、あの、最初に拍手を始めた商人が、信じられない行動に出た。
彼は、おもむろに自分の革袋から、一枚の金貨を取り出すと、それを、高々と舞台の上へと放り投げたのだ。
チャリン、という硬質な音を立てて、金貨が私の足元に転がった。
それが、合図だった。
「素晴らしいショーに、敬意を!」
「この感動の、代金だ!」
次から、次へと。
客席のあちこちから、金貨が、銀貨が、雨のように舞台へと降り注ぎ始めた。
チャリン、カラン、キン、という金属音が、拍手の音に混じって、鳴り響く。
「おい、待て! わしも!」
「わたくしの、この指輪を、女神様に!」
熱狂は、もはや誰にも止められない。
ある者は、財布の中身をすべてぶちまけ、またある者は、自分の身につけている装飾品を、惜しげもなく舞台へと投げ込み始めた。
きらびやかな宝石が埋め込まれた指輪。
真珠のネックレス。
ルビーのブローチ。
金銀財宝が、私の足元に、次々と積み上がっていく。
それは、常軌を逸した、狂乱の光景だった。
私は、何が何だか、まったく理解できなかった。
なぜ?
どうして?
私は、ただ失敗して、衣装を燃やしてしまっただけなのに。
なぜ、こんなことに?
私は、自分の足元に降り注ぐ、まばゆい光を放つ財宝の山を、ただ、夢でも見ているかのような気持ちで、見つめていた。
この熱狂の中心にいるのが、自分だという実感が、まったく湧かなかった。
狂乱の一夜が、終わった。
最後の観客が、興奮冷めやらぬといった面持ちでテントを後にしてから、ずいぶんと時間が経ったように思う。
あれほど熱気に満ちていた空間には、今はただ、祭りの後のような静けさと、紙吹雪、そして、信じられない量の金銀財宝が残されていた。
私は、アクセルさんがどこからか持ってきてくれた、分厚い毛布に体を包み、舞台の隅に置かれた木箱に、ただぼんやりと座っていた。
まだ、心臓がドキドキと音を立てている。
足の震えも、完全には収まらない。
夢だったのではないか。
今、目の前で起きていることこそが、本当は幻なのではないか。
そんなことばかりを考えていた。
団員たちは、誰一人として、言葉を発しない。
みんな、まるで狐につままれたような顔で、舞台の上に散らばった金貨や宝石を、一つ、また一つと、麻袋に拾い集めていた。
チャリン、という金属音が、静かなテントの中に、虚しく響く。
その作業は、延々と続いた。
やがて、大小いくつもの麻袋が、アクセルさんの前に、ずらりと並べられた。
ずしり、と重そうな音を立てて、袋が床に置かれる。
その重さが、これが現実であることを、何よりも雄弁に物語っていた。
「……おい」
アクセルさんが、かすれた声で、一座の経理を担当している、年配の男に声をかけた。
「……勘定、できるか」
「へ、へい……団長」
経理の男は、震える手で麻袋の一つを恐る恐る開けると、その中身を床にぶちまけた。
金貨、銀貨、そして宝石。
まばゆい光が、薄暗いテントの中で、乱反射する。
団員たちが、ごくりと喉を鳴らす音が聞こえた。
そこから、気の遠くなるような作業が始まった。
金貨を数える者、銀貨を数える者、宝石の価値を見積もろうとする者。
みんな、自分の目を疑うように、何度も何度も、数え直していた。
私は、その光景を、ただ遠くから見つめていた。
あれは、私に向けられたものではない。
何かの間違いだ。
そう思うことでしか、私は心の平静を保てなかった。
どれくらいの時間が経っただろうか。
夜が、さらに深くなった頃。
経理の男が、震える足で、アクセルさんの元へと歩み寄った。
その手には、計算結果が書きなぐられた、一枚の羊皮紙が握られている。
彼の顔は、青ざめていた。
「だ、だ、団長……」
声が、上ずっている。
「で、出やした……今夜の、投げ銭の、総額が……」
アクセルさんは、何も言わずに、彼の手から羊皮紙をひったくった。
そして、そこに書かれた数字に、目を通す。
次の瞬間、アクセルさんの動きが、ぴたりと止まった。
いつも自信に満ち溢れている彼の黒い瞳が、信じられないというように、大きく、大きく見開かれている。
彼は、何度も、羊皮紙と、目の前の麻袋の山を、見比べた。
やがて、その手から、羊皮紙がはらりと滑り落ちる。
「……嘘だろ……」
絞り出すような、彼の声。
その声を聞いて、近くにいたギードさんが、たまらずに叫んだ。
「団長! いったい、いくらなんだ!」
アクセルさんは、ギードさんの声にも反応せず、ただ、一点を見つめていた。
そして、まるで自分に言い聞かせるように、震える声で、呟いた。
「……借金が、全部返せる……。それどころか……この先、何年か、遊んで暮らせるほどの……金だ……」
その言葉に、テントの中が、再び、水を打ったように静まり返った。
借金が、返せる。
一座は、解散しなくて、すむ。
その事実を、誰もがゆっくりと、噛み締めていた。
「……助かった……」
最初に、声を上げたのは、セラフィーナさんだった。
その目には、大粒の涙が浮かんでいる。
「俺たちは……助かったんだ……!」
その声が、引き金だった。
次の瞬間、団員たちの間から、嗚咽が、そして、歓喜の雄叫びが、一斉に上がった。
「うおおおおおっ!」
「やった! やったぞー!」
男たちは抱き合い、女たちは涙を流して喜びを分かち合う。
解散の危機という、重く、暗い雲が、嘘のように晴れていく。
私は、その歓喜の輪の中心にいながらも、どこか他人事のように、その光景を眺めていた。
そして、気づけば、私の頬にも、一筋の温かい涙が、伝っていた。
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