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第1章:道化たちの狂宴
第7話:妹「ゼウス様に会える!」清純派の仮面を脱ぎ捨て、"メス"の顔で勝負下着を選ぶ(※相手は兄ですが大丈夫?)
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会社での下準備を終え、俺が帰宅したのは深夜だった。 ドアを開けた瞬間、普段ならあり得ない光景が広がっていた。
「あ! 帰ってきた! おい社畜! ちょっとこっち来なさいよ!」
リビングにいた妹の莉奈が、血相を変えて俺の手首を掴み、強引に部屋の中へ引きずり込んだ。 怒っているのではない。顔が紅潮し、目がギラギラと輝いている。興奮状態だ。
「な、なんだよ急に……」 「とぼけてんじゃないわよ! 見たわよニュース! あんたのあの底辺会社、ゼウス様とコラボするんですって!?」
莉奈が突きつけてきたスマホには、今朝プレスリリースされた『GDソリューションズ、神配信者ゼウスと夢のコラボ実現!』というニュース記事が表示されていた。 SNSではすでにトレンド入りし、ファンの間で大騒ぎになっている。
「……ああ、そうだよ。俺が担当者だ」 「はあ!? あんたが担当!?」
莉奈は信じられないものを見る目で俺を凝視し、次の瞬間、爆笑した。
「アハハハ! ウケる! あの神様みたいなゼウス様の担当が、こんなゴミみたいな兄貴だなんて! 世も末ねー。ゼウス様も運がないわ」
ひとしきり笑ったあと、莉奈は急に真顔になり、俺の胸ぐらを掴んだ。
「で、あんた担当なんでしょ? ……持ってるわよね?」 「何をだ?」 「『招待券』に決まってんでしょ! 関係者席のチケットよ! 私をそのパーティーに入れなさい!」
予想通りの反応だ。 ゼウスの狂信者である彼女が、このチャンスを見逃すはずがない。
「……一応、関係者家族枠の招待状はあるけど」 「よこせッ!!」
俺が鞄から招待状の封筒を取り出すや否や、莉奈はひったくるように奪い取った。 封筒の中身を確認し、震える手でそれを抱きしめる。
「やった……! 嘘みたい……本物のゼウス様に会えるんだ……!」
その表情は、いつもの兄を蔑む冷徹なものでも、配信用の可愛らしいものでもなかった。 完全に『オスを求めるメス』の顔だ。 頬を染め、荒い息を吐きながら、うっとりと天井を見上げている。
「ねえ、聞いてる? 私ね、決めてるの」 「……何を?」 「当日、絶対にゼウス様の目に留まってやるって。ただのファンじゃ終わらせない。私っていう『女』を刻み込んでやるの」
莉奈は恍惚とした表情で、とんでもないことを口走り始めた。
「ゼウス様だって男だもん。私のこのルックスで本気で迫れば、イチコロに決まってるでしょ? 連絡先交換して、ホテル行って……あわよくば付き合って、玉の輿に乗るの。そうしたら、あんたみたいな底辺兄貴とも縁が切れるし、最高の人生じゃない?」
「……お前、相手がどんな奴かも知らないのによく言うな」 「うるっさいな! ゼウス様なら何でもいいの! あの声だけで妊娠できるくらい好きなんだから!」
莉奈は俺を突き飛ばすと、そのまま自分の部屋へ走り去ろうとした。 だが、すぐに戻ってきて、俺にスマホの画面を見せつけてきた。
「ねえ、どっちがいいと思う?」
画面に映っていたのは、極めて布面積の少ない、過激なランジェリーの画像だった。
「黒のレースか、清楚ぶった白か……。やっぱ『勝負』なら赤かな? ゼウス様の前で脱ぐことになるかもしれないし、一番エロいやつ選ばないとね♡」
「……兄貴に下着の相談をするな。気持ち悪い」 「はあ? 勘違いすんなキモオタ。あんたを男として見てるわけないでしょ。単なる『壁』よ壁。客観的な意見を聞いてるだけ」
莉奈はフンと鼻を鳴らし、「ま、あんたみたいな童貞に聞いた私がバカだったわ」と吐き捨てて部屋に入っていった。
バタン! とドアが閉まる音。 その向こうからは、「キャー! どうしよー! エステ行かなきゃ!」という浮かれた声が漏れ聞こえてくる。
リビングに残された俺は、深くため息をついた。
「……一番エロいやつ、か」
莉奈よ。 お前がその勝負下着を見せるつもりでいる相手は、今お前が「キモオタ」「ゴミ」と罵った、この俺だぞ。
実の兄を誘惑するために、数万円の下着を買い込み、玉の輿を夢見る妹。 その滑稽さと浅ましさに、吐き気と同時に、どす黒い愉悦が込み上げてくる。
「いいぜ、莉奈。招待してやるよ」
お前が最高にめかしこんで、希望に胸を膨らませてやってくるその会場は、夢の舞踏会じゃない。 お前の「神様」が、お前の「兄」だと判明する、絶望の処刑台だ。
俺は招待者リストの『佐藤莉奈』の名前の横に、チェックを入れた。 これで役者は全員揃った。
「あ! 帰ってきた! おい社畜! ちょっとこっち来なさいよ!」
リビングにいた妹の莉奈が、血相を変えて俺の手首を掴み、強引に部屋の中へ引きずり込んだ。 怒っているのではない。顔が紅潮し、目がギラギラと輝いている。興奮状態だ。
「な、なんだよ急に……」 「とぼけてんじゃないわよ! 見たわよニュース! あんたのあの底辺会社、ゼウス様とコラボするんですって!?」
莉奈が突きつけてきたスマホには、今朝プレスリリースされた『GDソリューションズ、神配信者ゼウスと夢のコラボ実現!』というニュース記事が表示されていた。 SNSではすでにトレンド入りし、ファンの間で大騒ぎになっている。
「……ああ、そうだよ。俺が担当者だ」 「はあ!? あんたが担当!?」
莉奈は信じられないものを見る目で俺を凝視し、次の瞬間、爆笑した。
「アハハハ! ウケる! あの神様みたいなゼウス様の担当が、こんなゴミみたいな兄貴だなんて! 世も末ねー。ゼウス様も運がないわ」
ひとしきり笑ったあと、莉奈は急に真顔になり、俺の胸ぐらを掴んだ。
「で、あんた担当なんでしょ? ……持ってるわよね?」 「何をだ?」 「『招待券』に決まってんでしょ! 関係者席のチケットよ! 私をそのパーティーに入れなさい!」
予想通りの反応だ。 ゼウスの狂信者である彼女が、このチャンスを見逃すはずがない。
「……一応、関係者家族枠の招待状はあるけど」 「よこせッ!!」
俺が鞄から招待状の封筒を取り出すや否や、莉奈はひったくるように奪い取った。 封筒の中身を確認し、震える手でそれを抱きしめる。
「やった……! 嘘みたい……本物のゼウス様に会えるんだ……!」
その表情は、いつもの兄を蔑む冷徹なものでも、配信用の可愛らしいものでもなかった。 完全に『オスを求めるメス』の顔だ。 頬を染め、荒い息を吐きながら、うっとりと天井を見上げている。
「ねえ、聞いてる? 私ね、決めてるの」 「……何を?」 「当日、絶対にゼウス様の目に留まってやるって。ただのファンじゃ終わらせない。私っていう『女』を刻み込んでやるの」
莉奈は恍惚とした表情で、とんでもないことを口走り始めた。
「ゼウス様だって男だもん。私のこのルックスで本気で迫れば、イチコロに決まってるでしょ? 連絡先交換して、ホテル行って……あわよくば付き合って、玉の輿に乗るの。そうしたら、あんたみたいな底辺兄貴とも縁が切れるし、最高の人生じゃない?」
「……お前、相手がどんな奴かも知らないのによく言うな」 「うるっさいな! ゼウス様なら何でもいいの! あの声だけで妊娠できるくらい好きなんだから!」
莉奈は俺を突き飛ばすと、そのまま自分の部屋へ走り去ろうとした。 だが、すぐに戻ってきて、俺にスマホの画面を見せつけてきた。
「ねえ、どっちがいいと思う?」
画面に映っていたのは、極めて布面積の少ない、過激なランジェリーの画像だった。
「黒のレースか、清楚ぶった白か……。やっぱ『勝負』なら赤かな? ゼウス様の前で脱ぐことになるかもしれないし、一番エロいやつ選ばないとね♡」
「……兄貴に下着の相談をするな。気持ち悪い」 「はあ? 勘違いすんなキモオタ。あんたを男として見てるわけないでしょ。単なる『壁』よ壁。客観的な意見を聞いてるだけ」
莉奈はフンと鼻を鳴らし、「ま、あんたみたいな童貞に聞いた私がバカだったわ」と吐き捨てて部屋に入っていった。
バタン! とドアが閉まる音。 その向こうからは、「キャー! どうしよー! エステ行かなきゃ!」という浮かれた声が漏れ聞こえてくる。
リビングに残された俺は、深くため息をついた。
「……一番エロいやつ、か」
莉奈よ。 お前がその勝負下着を見せるつもりでいる相手は、今お前が「キモオタ」「ゴミ」と罵った、この俺だぞ。
実の兄を誘惑するために、数万円の下着を買い込み、玉の輿を夢見る妹。 その滑稽さと浅ましさに、吐き気と同時に、どす黒い愉悦が込み上げてくる。
「いいぜ、莉奈。招待してやるよ」
お前が最高にめかしこんで、希望に胸を膨らませてやってくるその会場は、夢の舞踏会じゃない。 お前の「神様」が、お前の「兄」だと判明する、絶望の処刑台だ。
俺は招待者リストの『佐藤莉奈』の名前の横に、チェックを入れた。 これで役者は全員揃った。
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