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第6話 ドランカー
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気分が悪くなったというのは口から出まかせだったが、実際、外に出てみるとすっきりした。
原因を考えてみて、鬼頭はすぐに煙草の煙だと思い当たった。
わずか数ヶ月前までは、自分もその煙の生産者側だったのだが、今ではすっかり煙草嫌いになってしまったようだ。いったい何がきっかけでそうなったのか、いまだによくわからないのだが。
(さて、これからだ)
――どうやって別れを切り出すか。
何となく駅の方面に向かって歩きながら、鬼頭はそれだけを考えはじめた。
雅美はおとなしく、鬼頭の少し後方を歩いている。
いまや、彼は完全に鬼頭に主導権をゆだねてしまっていた。鬼頭が来いと言えば――もちろん、言うつもりはまったくないが――どこへでもついてくるだろう。もう、賭けてもいい。
それだけに、今日はもうここで別れようとは言い出しにくくて……しかし、言わなければ、いつまでたっても帰れない。
「雅美……あのな」
意を決して、鬼頭は雅美を振り返った。
「何?」
静かにそううながされて、鬼頭は口まで出かかっていた、〝今日はもうこれで別れよう〟という言葉を呑みこんだ。
街灯に照らし出された雅美の白い顔は、〝今日はもうこれで別れようなんて言っても承知しない〟と主張していたので。
だが、ここでひるんでいては、本当に帰れなくなってしまう。鬼頭は改めて気を引きしめた。
「雅美。俺は明日も仕事があるんだ」
「……うん」
力なく雅美はうなずいた。そのまま深くうつむいてしまう。
「だからその……早くうち帰って寝なきゃ……」
「…………」
――ええい、くそ! もっとうまいこと言えないのか!
そんな自分に苛立って、鬼頭は癖のある髪を掻きむしった。雅美はうつむいたまま動かない。
「鬼頭さん」
下を向いたまま、突然、雅美が名前を呼んだ。
「な、何だ?」
いったい何を言うつもりなのだろう――と考える間も雅美は与えなかった。
「俺のこと、嫌い?」
雅美が何を言ったかを理解するのに、鬼頭は少々時間を食った。
さらに、理解しても理性が認めたくなくて、もっと時間を食った。
「おまえ、酔ってるな?」
長い沈黙の末、鬼頭は願望をこめて言った。
「酔ってない」
しかし、雅美は言下に否定して、うつむいていた顔を上げる。
「それより、返事は? あんたは、俺のことが嫌いなのか?」
――酔っている。
鬼頭はやはりそう思った。いや、そう思いたかった。
雅美の表情はいつもとまったく変わりがない。先ほど店で酒は好きかと訊いてきたときと同じような調子だ。
もっとも、雅美に色目を使われたり、科を作られたりしていたら、鬼頭は即座に逃げ出していただろう。たとえ世界が滅びようとも、鬼頭は雅美とはそういうことになりたくなかったし、そういう雅美も見たくなかったのである。
「嫌いなのか?」
いつまでたっても答えようとしない鬼頭に、雅美は柳眉をひそめた。
苛立っているようにも見えるし、鬼頭の沈黙は肯定なのだと受け取って、落胆しているようにも見える。
いずれにしろ、鬼頭が何らかの答えを返さないかぎり、雅美は延々この質問を繰り返すに違いない。やはり酒など飲ませるんじゃなかったという後悔と共に、鬼頭は今夜何度目かの溜め息をついた。
「嫌いじゃない」
「…………」
「でも、好きでもない」
本当に、それがいちばん正直な気持ちだった。
もし相手が雅美でなかったら、『嫌いじゃない』だけで終わりにできただろう。
雅美だからこそ、かえって嘘はつきたくなかった。たとえそれがどんなに残酷に響いたとしても。
しばらく、雅美は無表情のままだった。また傷つけてしまっただろうかと多少心が痛んだが、雅美は唐突に眉をひそめた。
「どういう意味だ?」
そのままの表情で、雅美は訊ね返してきた。
「つまり、俺のことは何とも思っていないということか?」
「いや、そうじゃない」
このとき、そうだとうなずいていれば、かねてからの望みどおり、雅美と縁が切れたかもしれなかったが、とっさに鬼頭は否定してしまった。何とも思っていなかったら、もっと簡単に別れも言い出せていただろうから。
「そうじゃなくて……何というか……」
困り果てて、鬼頭は自分の頭を掻いた。そんな鬼頭を、雅美が真顔でじっと見上げている。その視線に屈して、鬼頭は吐き出すように答えた。
「嫌いなのか好きなのか、よくわかんないんだよ」
最初こそ驚いたものの、雅美はすぐに呆れたような顔をした。
「何だよ、それ」
「何だよって……だからつまり、そうなんだよ」
そうなのだった。
実のところ、きっぱり嫌いだと言いきれるほど鬼頭は雅美を嫌ってはいなかったし、かといって、全面的に好きにもなれなかったのである。
だが、それは雅美には理解不能な感情であったらしい。いかにも不審そうな、ただの言い逃れじゃないのかと疑っているような顔つきで鬼頭を睨んでいる。
「だったらおまえは?」
つい、鬼頭はそう訊ねてしまった。
「おまえは、俺のことが好きなのか?」
しまった! と気がついたのは、雅美が無言でうつむくのを見てからだった。
何だって自分はこう、余計なことばかり言ってしまうのだろう。仕事のときのように、当たり障りのないことは言えないのか。ここでもし雅美にうなずかれでもしたら、本当にもう逃れようがないではないか。
「俺は……」
鬼頭の動揺を知ってか知らずか、雅美はうつむいたままそう言いかけた。我知らず、息を潜めて続きを待つ。
「雅美じゃない!」
鬼頭の背後で、甲高い少女の声が上がった。一応、人通りがなくなったところで話を切り出していた鬼頭は、一瞬、確実に呼吸が止まった。
「ああ、おまえか。そういえば、ここはおまえのテリトリーの近くだったな」
一方、突然自分の名前を呼ばれた雅美は、驚いたことは驚いたようだったが、すぐに表情を和らげた。どうやら雅美の知り合いだったらしい。この雅美にそんなものがいるのかと、鬼頭は声の主を振り返った。
十歳くらいの、快活そうな少女だった。肩まで伸びた髪をおさげにしていたが、そのうちの右側だけがすべてほどけてしまっていた。真夏だというのに、夜目にも鮮やかな赤いケープを身につけていて、下には青いデニムのスカートをはいている。
一目見て、おかしいと思った。
こんな時間にこんな子供が一人でいること自体おかしいが、何かが違う。
「ずいぶん久しぶりね。こんなに早い時間にどうしたの? それに、この人は? お友達?」
雅美のそばへと駆けてきた少女は、鬼頭を見上げてにこっと笑った。つられて鬼頭も笑ってしまう。決して〝お友達〟ではないのだが。
雅美もそう思っていたらしい。しばらく悩むような表情をしていたが、「そうだ」とぶっきらぼうに言った。
「へえ、雅美が誰かと一緒にいるのなんて初めて見たわ。あたしは佐伯可奈。よろしくね!」
「あ、ああ……俺は鬼頭和臣。こっちこそよろしく」
そんな二人のやりとりを、雅美はじっと眺めていたが。
「鬼頭さん。あんた、手先は器用か?」
「え? まあ、人並みには」
なぜいきなりそんなことを訊くのか、鬼頭にはさっぱりわからなかったが、とりあえずそう答えておいた。
「じゃあ、こいつの髪。編んでやってくれないか。俺だと、どうしてもうまくできないんだ」
「編む?」
鬼頭は少女――可奈を見下ろした。右側の三つ編みがほどけている。編めとはこのことだろうが、これくらいなら、この少女も自分で編むことができるのではないか。
そう鬼頭が考えているのがわかったのか、可奈は困ったような笑みを浮かべた。
「あたしだって、みっともないから、自分で編みたいんだけどね……」
そう言って、ケープの間から両腕を出す。
「あたし、手がないのよ」
可奈が差し出した両腕には、白いブラウスごと肘から先がすっぱりなかった。恥ずかしいのか、すぐに両腕をケープの下に戻してしまう。
「電車に轢かれて、先がなくなっちゃったの」
何も言えない鬼頭に対して、可奈は何でもないことのように話しつづける。
「でも、その前にあたし、ひき逃げされて死んでたんだけどね」
――幽霊!
どうして一目見て違和感を覚えたのか、鬼頭はようやくわかった。雅美に言わせれば、〝幽霊と人間の見分けがつかないのか〟ということになるのだろうが、それにしては可奈は明るくて屈託がなかった。
「きっと、あたしを電車に轢かれたように見せかけようと思ったのね」
まるで他人事のように可奈は言葉を継ぐ。
「あたしを線路に捨てて帰ろうとしたんだけど、そいつ、間抜けなことに、線路に足引っかけて転んで、そのまま動けなくなっちゃったのよ。そのうち電車が来て、そいつもあたしと一緒に電車に轢かれちゃったわ。そうね……おじさんくらいだったかな。新聞にはあたしを助けようとして、なんて載ったこともあるけど、後であいつがあたしをひき逃げしたことがわかって、胸がスッとしたわ。バカよねえ。ちゃんと警察行けば、命だけは助かったのに」
可奈の表情はあくまで穏やかだった。まるで思い出話をしているかのように。
あるいはもう本当に、〝思い出〟になっているのかもしれない。自らの死も笑って語れるほどに。
「いいよ。編んであげる。ここで編むの?」
「あっちの公園のベンチがいいわ。あたし、いつもはそこにいるのよ」
可奈はにっこり笑うと、鬼頭たちの返事を待たず、自分がいた方向へと駆け出していった。
原因を考えてみて、鬼頭はすぐに煙草の煙だと思い当たった。
わずか数ヶ月前までは、自分もその煙の生産者側だったのだが、今ではすっかり煙草嫌いになってしまったようだ。いったい何がきっかけでそうなったのか、いまだによくわからないのだが。
(さて、これからだ)
――どうやって別れを切り出すか。
何となく駅の方面に向かって歩きながら、鬼頭はそれだけを考えはじめた。
雅美はおとなしく、鬼頭の少し後方を歩いている。
いまや、彼は完全に鬼頭に主導権をゆだねてしまっていた。鬼頭が来いと言えば――もちろん、言うつもりはまったくないが――どこへでもついてくるだろう。もう、賭けてもいい。
それだけに、今日はもうここで別れようとは言い出しにくくて……しかし、言わなければ、いつまでたっても帰れない。
「雅美……あのな」
意を決して、鬼頭は雅美を振り返った。
「何?」
静かにそううながされて、鬼頭は口まで出かかっていた、〝今日はもうこれで別れよう〟という言葉を呑みこんだ。
街灯に照らし出された雅美の白い顔は、〝今日はもうこれで別れようなんて言っても承知しない〟と主張していたので。
だが、ここでひるんでいては、本当に帰れなくなってしまう。鬼頭は改めて気を引きしめた。
「雅美。俺は明日も仕事があるんだ」
「……うん」
力なく雅美はうなずいた。そのまま深くうつむいてしまう。
「だからその……早くうち帰って寝なきゃ……」
「…………」
――ええい、くそ! もっとうまいこと言えないのか!
そんな自分に苛立って、鬼頭は癖のある髪を掻きむしった。雅美はうつむいたまま動かない。
「鬼頭さん」
下を向いたまま、突然、雅美が名前を呼んだ。
「な、何だ?」
いったい何を言うつもりなのだろう――と考える間も雅美は与えなかった。
「俺のこと、嫌い?」
雅美が何を言ったかを理解するのに、鬼頭は少々時間を食った。
さらに、理解しても理性が認めたくなくて、もっと時間を食った。
「おまえ、酔ってるな?」
長い沈黙の末、鬼頭は願望をこめて言った。
「酔ってない」
しかし、雅美は言下に否定して、うつむいていた顔を上げる。
「それより、返事は? あんたは、俺のことが嫌いなのか?」
――酔っている。
鬼頭はやはりそう思った。いや、そう思いたかった。
雅美の表情はいつもとまったく変わりがない。先ほど店で酒は好きかと訊いてきたときと同じような調子だ。
もっとも、雅美に色目を使われたり、科を作られたりしていたら、鬼頭は即座に逃げ出していただろう。たとえ世界が滅びようとも、鬼頭は雅美とはそういうことになりたくなかったし、そういう雅美も見たくなかったのである。
「嫌いなのか?」
いつまでたっても答えようとしない鬼頭に、雅美は柳眉をひそめた。
苛立っているようにも見えるし、鬼頭の沈黙は肯定なのだと受け取って、落胆しているようにも見える。
いずれにしろ、鬼頭が何らかの答えを返さないかぎり、雅美は延々この質問を繰り返すに違いない。やはり酒など飲ませるんじゃなかったという後悔と共に、鬼頭は今夜何度目かの溜め息をついた。
「嫌いじゃない」
「…………」
「でも、好きでもない」
本当に、それがいちばん正直な気持ちだった。
もし相手が雅美でなかったら、『嫌いじゃない』だけで終わりにできただろう。
雅美だからこそ、かえって嘘はつきたくなかった。たとえそれがどんなに残酷に響いたとしても。
しばらく、雅美は無表情のままだった。また傷つけてしまっただろうかと多少心が痛んだが、雅美は唐突に眉をひそめた。
「どういう意味だ?」
そのままの表情で、雅美は訊ね返してきた。
「つまり、俺のことは何とも思っていないということか?」
「いや、そうじゃない」
このとき、そうだとうなずいていれば、かねてからの望みどおり、雅美と縁が切れたかもしれなかったが、とっさに鬼頭は否定してしまった。何とも思っていなかったら、もっと簡単に別れも言い出せていただろうから。
「そうじゃなくて……何というか……」
困り果てて、鬼頭は自分の頭を掻いた。そんな鬼頭を、雅美が真顔でじっと見上げている。その視線に屈して、鬼頭は吐き出すように答えた。
「嫌いなのか好きなのか、よくわかんないんだよ」
最初こそ驚いたものの、雅美はすぐに呆れたような顔をした。
「何だよ、それ」
「何だよって……だからつまり、そうなんだよ」
そうなのだった。
実のところ、きっぱり嫌いだと言いきれるほど鬼頭は雅美を嫌ってはいなかったし、かといって、全面的に好きにもなれなかったのである。
だが、それは雅美には理解不能な感情であったらしい。いかにも不審そうな、ただの言い逃れじゃないのかと疑っているような顔つきで鬼頭を睨んでいる。
「だったらおまえは?」
つい、鬼頭はそう訊ねてしまった。
「おまえは、俺のことが好きなのか?」
しまった! と気がついたのは、雅美が無言でうつむくのを見てからだった。
何だって自分はこう、余計なことばかり言ってしまうのだろう。仕事のときのように、当たり障りのないことは言えないのか。ここでもし雅美にうなずかれでもしたら、本当にもう逃れようがないではないか。
「俺は……」
鬼頭の動揺を知ってか知らずか、雅美はうつむいたままそう言いかけた。我知らず、息を潜めて続きを待つ。
「雅美じゃない!」
鬼頭の背後で、甲高い少女の声が上がった。一応、人通りがなくなったところで話を切り出していた鬼頭は、一瞬、確実に呼吸が止まった。
「ああ、おまえか。そういえば、ここはおまえのテリトリーの近くだったな」
一方、突然自分の名前を呼ばれた雅美は、驚いたことは驚いたようだったが、すぐに表情を和らげた。どうやら雅美の知り合いだったらしい。この雅美にそんなものがいるのかと、鬼頭は声の主を振り返った。
十歳くらいの、快活そうな少女だった。肩まで伸びた髪をおさげにしていたが、そのうちの右側だけがすべてほどけてしまっていた。真夏だというのに、夜目にも鮮やかな赤いケープを身につけていて、下には青いデニムのスカートをはいている。
一目見て、おかしいと思った。
こんな時間にこんな子供が一人でいること自体おかしいが、何かが違う。
「ずいぶん久しぶりね。こんなに早い時間にどうしたの? それに、この人は? お友達?」
雅美のそばへと駆けてきた少女は、鬼頭を見上げてにこっと笑った。つられて鬼頭も笑ってしまう。決して〝お友達〟ではないのだが。
雅美もそう思っていたらしい。しばらく悩むような表情をしていたが、「そうだ」とぶっきらぼうに言った。
「へえ、雅美が誰かと一緒にいるのなんて初めて見たわ。あたしは佐伯可奈。よろしくね!」
「あ、ああ……俺は鬼頭和臣。こっちこそよろしく」
そんな二人のやりとりを、雅美はじっと眺めていたが。
「鬼頭さん。あんた、手先は器用か?」
「え? まあ、人並みには」
なぜいきなりそんなことを訊くのか、鬼頭にはさっぱりわからなかったが、とりあえずそう答えておいた。
「じゃあ、こいつの髪。編んでやってくれないか。俺だと、どうしてもうまくできないんだ」
「編む?」
鬼頭は少女――可奈を見下ろした。右側の三つ編みがほどけている。編めとはこのことだろうが、これくらいなら、この少女も自分で編むことができるのではないか。
そう鬼頭が考えているのがわかったのか、可奈は困ったような笑みを浮かべた。
「あたしだって、みっともないから、自分で編みたいんだけどね……」
そう言って、ケープの間から両腕を出す。
「あたし、手がないのよ」
可奈が差し出した両腕には、白いブラウスごと肘から先がすっぱりなかった。恥ずかしいのか、すぐに両腕をケープの下に戻してしまう。
「電車に轢かれて、先がなくなっちゃったの」
何も言えない鬼頭に対して、可奈は何でもないことのように話しつづける。
「でも、その前にあたし、ひき逃げされて死んでたんだけどね」
――幽霊!
どうして一目見て違和感を覚えたのか、鬼頭はようやくわかった。雅美に言わせれば、〝幽霊と人間の見分けがつかないのか〟ということになるのだろうが、それにしては可奈は明るくて屈託がなかった。
「きっと、あたしを電車に轢かれたように見せかけようと思ったのね」
まるで他人事のように可奈は言葉を継ぐ。
「あたしを線路に捨てて帰ろうとしたんだけど、そいつ、間抜けなことに、線路に足引っかけて転んで、そのまま動けなくなっちゃったのよ。そのうち電車が来て、そいつもあたしと一緒に電車に轢かれちゃったわ。そうね……おじさんくらいだったかな。新聞にはあたしを助けようとして、なんて載ったこともあるけど、後であいつがあたしをひき逃げしたことがわかって、胸がスッとしたわ。バカよねえ。ちゃんと警察行けば、命だけは助かったのに」
可奈の表情はあくまで穏やかだった。まるで思い出話をしているかのように。
あるいはもう本当に、〝思い出〟になっているのかもしれない。自らの死も笑って語れるほどに。
「いいよ。編んであげる。ここで編むの?」
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可奈はにっこり笑うと、鬼頭たちの返事を待たず、自分がいた方向へと駆け出していった。
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