大富豪とシンデレラ ~おひとりさま生活を満喫していたら、大企業の御曹司に拾われました。でも、溺愛されすぎて、毎日ドキドキしています~

一ノ瀬 彩音

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今日も今日とて、私は満員電車に乗っている。
(はぁ……疲れたなぁ)
連日の残業、そして、今日は休日出勤までしてしまったので、もうくたくたである。
私の名前は、月城美羽。
都内にある、そこそこ有名な商社に務める、しがないOLです。

自分で言うのもなんだが、容姿には自信があるほうだと思うのです。
身長は160センチ、体重は秘密、スリーサイズは上から、89、57、82、という具合です。
ちなみに彼氏はいない。
いや、正確に言うといたことはあるのだが、半年前に別れてしまった。
その理由は、私の仕事が忙しくなったから、というものなのだが、実はそれだけではない。

その元カレとは、大学時代からの付き合いだったのだが、就職して、私が働き始めた途端、
彼は私に冷たくなり、連絡すらくれなくなってしまったの。
(なんでだろう? やっぱり、仕事の邪魔になると思われたのかな……?)
なんて、今となってはどうでもいいことをつい考えてしまって、落ち込んでしまう。
その時、不意に誰かに声をかけられた気がした。

「ねぇ、君、大丈夫?」
振り返るとそこには、スーツ姿の男性が立っていた。
年齢は20代後半くらいだろうか。
背が高く、顔立ちはかなり整っていて、いわゆる、イケメン、という感じだ。
(うわっ、かっこいい人だなぁ、この人誰なんだろう?)
そう思った瞬間、突然、意識が遠退いていくのを感じた。

そこで、ふと、あることを思い出す。
そういえば、このところ、ずっと残業続きで、ろくに睡眠時間も取れていなかったの。
だから、きっと、これは夢なんだわ、と思ったところで、また、意識が遠のいていったのだった……。

目が覚めると、そこは見知らぬ部屋だった。
どうやら、ベッドに寝かされているようです。
起き上がろうとして、身体を動かすと、鈍い痛みが走る。
(あれ、なんか、身体が痛いな……それにここ、どこだっけ……?)
そう考えた時、ふいに、昨日の記憶が蘇ってきた。

そうだ、昨日、私は、会社を出た後、駅のホームで倒れたの。
それを誰かが助けてくれたのだろうか?
そこまで考えて、はっ、とする。
(もしかして、ここは病院じゃないよね? どうしよう、知らない男の人の家にいるとか、ヤバくない?)
そう思い、慌ててベッドから出ようとすると、部屋のドアが開いた。

そこに立っていたのは、やはり、あの男性だった。
男性は、ベッドの横に置いてあった椅子に腰かけると、こう言った。
「おはよう、気分はどう?」
私は、とりあえず、お礼を言った。

すると、彼はこう続ける。
「うん、顔色も良さそうだね」
それから、彼はここがどこか、ということや自分が誰なのか、ということを説明してくれた。
彼の名前は、月城蓮28歳、職業は株式会社K&Mホールディングス代表取締役社長、つまり、社長さんらしい。
そして、私をここまで連れてきてくれたのは、彼だということがわかった。

さらに、昨日はたまたま取引先との会食の後、家に帰る途中で、倒れている私を見つけたのだという。
それで、家に連れ帰って、介抱してくれていた、というわけです。
(うわぁ、すごい、本物の社長さんだったんだ!)
そう思うと、なんだか、急に緊張してきた。

そんなことを考えているうちに彼が、こんなことを言い出した。
「ねえ、君、お腹すいてない?」
確かに言われてみれば、お腹が空いてきた気がする。
しかし、よく考えてみれば、今は何時なのだろうか?
そう思って、時計を見ると、すでに時刻は午後3時過ぎになっていた。

(えっ、嘘、もうこんな時間!? 早く会社に戻らないと……!)
そう思うものの、身体は思うように動いてくれない。
それどころか、頭まで痛くなってきたような気がする。
そんな私の様子を見て、彼は心配そうに言う。
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