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「どうしたの? 頭が痛むのかい?」
そう言われて、初めて気づいたのだが、なぜか、おでこに冷却シートが貼られていた。
おそらく、熱があるのだろう。
そのことを彼に告げると、彼は少し考えるような素振りを見せた後、こう言った。
「……じゃあ、今日はゆっくり休んでいったほうがいいね。
僕は今から仕事に行かなきゃいけないけど、夕方には帰ってくるから、
それまで、ここで大人しくしていてね」
そう言って、優しく微笑むと、そのまま部屋を出ていってしまったのだった……。
(はぁ、これからどうしたらいいんだろう……?)
そんなことを思いながら、しばらくぼーっとしていると、不意に眠気に襲われてきたので、
再びベッドに横になることにした。
次に目が覚めた時には、夜になっていて、枕元では、スマホがチカチカと光っていた。
画面を見てみると、彼からメッセージが届いていた。
内容は、体調は大丈夫か? という内容だったので、私は大丈夫だ、心配かけてごめん、というような内容の返信をした。
その後、私はシャワーを浴びることにした。
(さすがに汗臭いし、気持ち悪いもんね……)
そんなことを考えながら、着ていた服を脱ぎ捨てる。
下着姿になったところで、ふと、鏡に映った自分の姿が目に入った。
(あれ、なんか、痩せたかな……?)
そう思った瞬間、突然、激しい頭痛に襲われた。
あまりの痛みに立っていることができず、その場にしゃがみこんでしまう。
(なにこれ、痛い、苦しい、助けて……!)
そう思いながら、なんとか立ち上がろうとするが、身体に力が入らない。
(誰か、助け、て……)
そこで、意識は途切れたのだった……。
そうして、私が目が覚めるともう夕方で蓮さんが戻って来ており、心配そうにこちらを見ているの。
私が目を覚ましたことに気づくと、ほっとしたように微笑んで、こう言うのでした。
「良かった、気がついたんだね、具合はどう?」
そう聞かれて、私が正直に答えると、彼は安心したような表情になって、私にこう言ってくれたの。
「そうか、それならよかったよ。でも、まだ本調子じゃなさそうだね、もう少し休んだ方がいいんじゃないかな?」
そうかもしれないですね、と答えると、今度はこんなことを提案してくれたの。
「そうだ、せっかくだから、夕食はうちで食べていかないかい?」
その言葉に甘えて、お言葉に甘えることにしました。
(それにしても、本当に優しい人だなぁ、この人となら、うまくやっていけそうな気がするなぁ)
なんてことを思っていると、彼は、私に何が食べたいか聞いてきたの。
(うーん、何にしようかなぁ、やっぱり、お肉がいいかな、最近、あんまり食べれてないし)
そう思い、私がハンバーグと答えたら、彼はわかった、と言って、キッチンの方へと向かっていきました。
(わぁ、楽しみ!)
そして、しばらくすると、美味しそうな匂いとともに彼が、料理を運んできてくれたのです。
それは、とても豪華なもので、思わず、涎が出そうになりました。
それから、二人で一緒に食事をした後、後片付けを手伝おうとしたのですが、断られてしまいました。
その代わり、お風呂に入るよう勧められたので、そうすることにします。
湯船に浸かりながら、ぼんやりと考えます。
(あの人のこと、好きになっちゃったかも……)
そんなことを考えつつ、私は眠りにつくのでした――。
翌朝、目を覚ますと、隣には、裸身のまま眠っている彼の姿があった。
どうやら、昨夜はそのまま眠ってしまったようです。
その寝顔はとても美しく、まるで彫刻のような美しさだった。
そう言われて、初めて気づいたのだが、なぜか、おでこに冷却シートが貼られていた。
おそらく、熱があるのだろう。
そのことを彼に告げると、彼は少し考えるような素振りを見せた後、こう言った。
「……じゃあ、今日はゆっくり休んでいったほうがいいね。
僕は今から仕事に行かなきゃいけないけど、夕方には帰ってくるから、
それまで、ここで大人しくしていてね」
そう言って、優しく微笑むと、そのまま部屋を出ていってしまったのだった……。
(はぁ、これからどうしたらいいんだろう……?)
そんなことを思いながら、しばらくぼーっとしていると、不意に眠気に襲われてきたので、
再びベッドに横になることにした。
次に目が覚めた時には、夜になっていて、枕元では、スマホがチカチカと光っていた。
画面を見てみると、彼からメッセージが届いていた。
内容は、体調は大丈夫か? という内容だったので、私は大丈夫だ、心配かけてごめん、というような内容の返信をした。
その後、私はシャワーを浴びることにした。
(さすがに汗臭いし、気持ち悪いもんね……)
そんなことを考えながら、着ていた服を脱ぎ捨てる。
下着姿になったところで、ふと、鏡に映った自分の姿が目に入った。
(あれ、なんか、痩せたかな……?)
そう思った瞬間、突然、激しい頭痛に襲われた。
あまりの痛みに立っていることができず、その場にしゃがみこんでしまう。
(なにこれ、痛い、苦しい、助けて……!)
そう思いながら、なんとか立ち上がろうとするが、身体に力が入らない。
(誰か、助け、て……)
そこで、意識は途切れたのだった……。
そうして、私が目が覚めるともう夕方で蓮さんが戻って来ており、心配そうにこちらを見ているの。
私が目を覚ましたことに気づくと、ほっとしたように微笑んで、こう言うのでした。
「良かった、気がついたんだね、具合はどう?」
そう聞かれて、私が正直に答えると、彼は安心したような表情になって、私にこう言ってくれたの。
「そうか、それならよかったよ。でも、まだ本調子じゃなさそうだね、もう少し休んだ方がいいんじゃないかな?」
そうかもしれないですね、と答えると、今度はこんなことを提案してくれたの。
「そうだ、せっかくだから、夕食はうちで食べていかないかい?」
その言葉に甘えて、お言葉に甘えることにしました。
(それにしても、本当に優しい人だなぁ、この人となら、うまくやっていけそうな気がするなぁ)
なんてことを思っていると、彼は、私に何が食べたいか聞いてきたの。
(うーん、何にしようかなぁ、やっぱり、お肉がいいかな、最近、あんまり食べれてないし)
そう思い、私がハンバーグと答えたら、彼はわかった、と言って、キッチンの方へと向かっていきました。
(わぁ、楽しみ!)
そして、しばらくすると、美味しそうな匂いとともに彼が、料理を運んできてくれたのです。
それは、とても豪華なもので、思わず、涎が出そうになりました。
それから、二人で一緒に食事をした後、後片付けを手伝おうとしたのですが、断られてしまいました。
その代わり、お風呂に入るよう勧められたので、そうすることにします。
湯船に浸かりながら、ぼんやりと考えます。
(あの人のこと、好きになっちゃったかも……)
そんなことを考えつつ、私は眠りにつくのでした――。
翌朝、目を覚ますと、隣には、裸身のまま眠っている彼の姿があった。
どうやら、昨夜はそのまま眠ってしまったようです。
その寝顔はとても美しく、まるで彫刻のような美しさだった。
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