悪役令嬢は穢れを知らない~溺愛王子に処女を奪われて、淫蜜と愛蜜の狭間で~

一ノ瀬 彩音

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2.

「今日はこれぐらいにしておこう」
そう言って服を着始める王子。慌てて服をかき集めて身につけるアイリスだったが、 
その姿を見た王子は笑い声をあげた。
「ふはははは!  はしたない姿だね」
「えっ?」
言われて自分の姿を見てみると、
「きゃっ!」
下着もつけずに裸体のままだということを思い出し、 急いでシーツを引き寄せる。
「も、申し訳ありません」
「別に謝ることじゃないさ。それだけ良かったってことなんだから」
「はい」
そう答えると、アイリスは再び頭を下げた。
「こんな私を抱かせていただけたこと感謝しておりますわ」
「気にすることは無いよ」
「ありがとうございます。それで、私はこの後どうすればよろしいでしょうか?」
「ん?  ああそうだなぁ」
一瞬考える素振りを見せた後王子は答えた。
「今日のところは帰ってもらって構わない」
「わかりました」
「また明日来てくれ」
「はい」
「ああそれと、このことは誰にも言わないように」
「はい。わかっております」
そう言って部屋を出ると、アイリスは修道院へと帰った。
それからというもの、王子は毎日のようにアイリスの元を訪れた。
アイリスもまた、彼の訪れを待つようになっていた。
初めは戸惑った行為も、今では積極的に受け入れている。
むしろ、王子に喜んでもらいたいと、自分なりに努力して奉仕までするようになった。
そんな日々が続いたある日のこと。
いつも通り王子の部屋を訪れると、彼はベッドの上で待っていた。
「やあアイリス」
「こんにちは」
挨拶を交わした後、二人はベッドの上に並んで座る。
「実は君にプレゼントがあるんだ」
「まあ、何でしょう?」
「これだよ」
王子が取り出したのは小さな箱。
それを開けると、中には指輪が入っていた。
「これは……」
「君への婚約を申し込もう」
突然の言葉にアイリスは困惑する。
「どうして今になってそのようなことを仰るのです?」
「ずっと考えていたんだよ。君は私の婚約者に相応しい女性だ。
だから改めてプロポーズしようと思ったのさ」
「嬉しいです!」
思わず涙ぐむアイリス。
「でも、何故いきなり?
私がこの部屋に呼ばれた時はいつも何もせず帰らされていましたのに……」
「それは君に嫌われたくなかったからだ」
「嫌うなんてそんな!」
「ああそうだとも。君はそんな人ではないことは知っている。でも、万が一ということもある」
「……」
「それに、君だって物足りなく思っていたんじゃないのかい?」
「……はい」
図星を突かれ、アイリスは俯く。
「でも、これからは違う」
「どういうことです?」
「これを見てくれるかい?」
王子は懐から小瓶を取り出す。
「これは?」
「これは聖水だよ」
「まあ」
その言葉を聞いてアイリスは驚く。
「君は信じていないかもしれないけど、これは本物の聖なる力が込められているんだ」
「そんなものがあるんですの?」
「ああ。これは王家に伝わる秘薬でね。
どんな人間であろうと、この水を飲めばたちまち神の加護を得られると言われている」
「そのようなものが」
「ああ。だけど、これには一つ欠点があってね。
一度飲むと効果は24時間続くんだけど、効果が切れると反動で全身に激痛が走るらしい」
「まあ」
「それでもいいかい?」
「もちろんですわ」
即答したアイリスに王子は笑みを浮かべる。
「では早速」
王子はアイリスの手を取るとその指先に口づけをする。
そしてそのまま口に含むと、指先を舐り始めた。
「ひゃっ!?︎」
今まで感じたことのない感触に思わず声を上げるアイリス。
やがて王子の口から解放された手には、銀色に輝くリングが嵌められていた。
「綺麗……」
うっとりと見つめていると、王子が声をかけてきた。
「アイリス。左手を出してくれ」
「はい」
言われるがままに左手を差し出す。すると、その手を掴まれ、王子の方へ引き寄せられる。
「え?」
次の瞬間、アイリスは自分の指が何かに包まれる感覚を覚えた。
見れば、いつの間にか王子が手袋を脱ぎ捨てており、自分の指が第二関節辺りまで埋まっていた。
「え、あの、何をなさっているのですか?」
慌てて尋ねるアイリスだったが、王子は黙々と作業を続ける。
そしてしばらくして、ようやく手が離された。
王子の顔を見上げると、満足げな表情をしていた。
「よし。これで準備完了だ。じゃあさっきの小瓶を渡しておくから、
もし途中で効果が無くなっても安心してくれ」
「わかりましたわ」
その後、アイリスの身体に変化が現れたのは次の日のことだった。
朝起きてから身体の節々が痛み、昨日の王子の言葉を思い出す。
(これが副作用なのかしら?)
少し不安になりながらも、王子の待つ部屋へと向かった。
扉をノックし、返事が返ってくるのを待ってから中に入る。
王子は既にテーブルの前に座り、こちらを見ていた。
その顔を見て、アイリスは思わず顔を赤らめる。
(かっこよすぎる)
これまでも整った容姿をしているとは思ってはいたが、
今の王子の姿はそれに加えて神々しさすら感じる。

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