悪役令嬢は穢れを知らない~溺愛王子に処女を奪われて、淫蜜と愛蜜の狭間で~

一ノ瀬 彩音

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10.

「着いたよ」
「ここにその宝物があるの?」
「多分ね」
王子は家の扉を叩く。
しばらく待っていると、中から老婆が出てきた。
「おや、誰かと思えば、王子様ではありませんか」
「こんばんは。突然ですが、ここで『宝物』を売っていると聞いたのですが」
「はい、確かに売っておりますが、それが何か?」
「それを僕に譲ってはもらえませんか?」
王子の言葉に、老婆は驚いた顔を見せる。
「これは大変申し訳ありませんが、当店ではお客様からの買取は行っていないのですよ」
「そこをなんとかお願いできませんか?」
王子は頭を下げる。
「そう言われましてもねぇ」
老婆は渋い顔をして難色を示す。
「もし、どうしてもと言うのであれば、お金ではなく別のもので取引をして
頂くことになりますがよろしいでしょうか?」
「金以外のもの? 一体何を支払えばいいんですか?」
王子が尋ねると、老婆はニヤリと笑みを浮かべる。
「簡単なお仕事ですよ。この家の中に隠してあるものを取って来てもらえば結構です」
「なるほど。それなら問題ないですね」
王子はあっさりと承諾した。
「殿下!?」
アイリスは慌てて制止する。
「一体どういうつもりですか?」
「まあまあ、任せておいてよ」
王子はそう言うと、一人で勝手に家に上がり込んでしまった。
「殿下! 待って下さい!」
アイリスは止めようとしたが、時すでに遅し。
王子の姿は見えなくなっていた。
「殿下……」
アイリスは呆然と立ち尽くす。
(まさか、こんなことになるなんて……)
アイリスは後悔していた。
(こうなった以上、仕方がないわ)
アイリスは王子の後を追うことにした。
一方、その頃。
王子は家に入るなり、真っ直ぐに二階へと向かった。
(ここかな?)
王子は一室のドアを開ける。
すると、そこにはベッドの上に横になっている男がいた。
「うーん」
男は苦しそうに寝返りを打つ。
(なんだ。まだ生きてるじゃないか)
王子はその男の胸に耳を当てて鼓動を確認すると、安堵の吐息を漏らした。
「それじゃあ、さっさと仕事を済ませてしまおう」
王子は部屋を見回す。
すると、机の上に置かれたガラスケースを見つけた。
「これのことかな?」
王子は慎重に近寄ると、蓋を持ち上げて中身を取り出す。
「ビンゴ!」
中には宝石らしきものがいくつもあった。
王子はそれを懐に入れると、急いで一階に向かった。
ところが、階段を下りたところで、王子は思わず足を止めた。
「これは……」
目の前には、縄で縛られた老婆と、それに剣を突き付ける男が立っていた。
「殿下!」
アイリスが駆け寄ってくる。
「いったいこれはどういうことですか?」
「それはこちらが聞きたいところだけど」
王子は苦笑いしながら肩をすくめた。
「君こそ、どうしてここに来たんだい?」
「私は殿下を追いかけてきただけです」
アイリスは不満げに口を尖らせる。
「そうだったのか。しかし、君のおかげで助かったよ」
王子はそう言いながら、後ろ手で合図を送る。
「え?」
次の瞬間、王子の手から短刀が放たれ、一直線に飛んでいくと、
男の背中に突き刺さった。
「ぐあっ」
男は断末魔の声を上げて倒れ込む。
「な、なに?」
老婆は状況が飲み込めず、目を白黒させていた。
「大丈夫ですか?」
アイリスは老婆に手を差し伸べる。
「あ、ありがとうございます」
老婆は戸惑いながらもアイリスの手を取った。
王子は二人に歩み寄りながら、手に持ったものをかざして見せる。

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