王子の妹君を虐めて婚約破棄される私～実家で療養の為にお屋敷を貰い そこの領主となったのでのんびりスローライフを満喫したい～

55.

私は自分の気持ちが分からなくなっていた。
あの人に対して、 好意を抱いているのか、そうでないのか？ そもそも恋とは一体どういうものなのか？
私はまたため息をついて考える。
しばらくすると玄関の扉がノックされた音が聞こえてきた。
私は体を起こして、 ドアの前まで歩いていく。
そしてゆっくりと扉を開けると、
「こんにちは、クレアさん」
「あ！ どうも、いつもありがとうございます。
いつもすみません。
わざわざ来て頂いてしまって。
ささっ、中に上がってください」
「いえ、ここで大丈夫ですよ」
「そうですか？ わかりました。
それじゃあお大事になさってくださいね。
いつも本当に助かっています。
ありがとうございます。
それでは私はこれで帰りますので、 どうか気をつけて帰ってください。
何かあったらいつでも連絡してきてください。
相談に乗りますから」
「はい、分かりました。
いつもありがとうございます。
では、お邪魔しました」
「はい、お待ちしております」
私はそう言って、男性を見送りました。
私は今日もいつものように仕事をしていました。
私が書類を整理していると、
「クレア、ちょっと良いか？」
「はい、何でしょうか？」
「実はお前に会わせたい奴がいるんだ」
「私に会わせたい方？」
「ああ、そうだ」
「そうなんですね。
それで、誰に会えばいいのですか？」
「それは今から紹介する」
「分かりました」
私は席を立つと、男性の後に付いて行きました。
やがて男性は立ち止まると、 目の前にある部屋の扉を開けました。
そして私に向かって、 入ってくれと言わんばかりに手招きをしてくるので、 私は部屋の中に足を踏み入れました。
私はそこで信じられない光景を目の当たりにしました。
それは私の夫であるスティラが、見知らぬ女性と一緒にいた事でした。
女性はスティラの腕に抱きつくようにして、 スティラの体に密着させています。
そしてスティラは女性の腰に手を回している状態でした。
私は何が起きているのかわからずに、
呆然としてしまいました。
するとスティラは私に気がつきます。
するとスティラは私を見て、嬉しそうにして、 私の方へ駆け寄ってきて、私に話しかけてきました。