勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

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時間の感覚が麻痺したように感じられるほど長い時が流れたような気がした直後、
俺は目覚めたのだった。
(あれ……? なんで生きてるんだ?)
そう思ったが考えるだけ無駄だと思い直し、とりあえず現状を把握するために
周囲の様子を確認することにした。
どうやらベッドに寝かされているようだということは分かったが、それ以外は何も分からない状態だ。
唯一分かることといえば自分が裸になっているということくらいだろう。
そこでようやく自分の身体を見下ろしてみる事にした。
するとそこには信じられないものが映っていたのである。
なんとそこには男の身体ではなく女の身体があったからだ。
驚きのあまり言葉を失っていると、ドアが開いて誰かが入ってきたのが見えたのでそちらに目を向けると、
そこにはアリアの姿があった。
彼女は驚いたような表情を浮かべていたが、やがて嬉しそうな笑みを浮かべると言った。
「よかったぁ、やっと起きたんだね?」
そんな声を聞いた瞬間、何故かはわからないが安心感を覚えた気がした。
そして同時に涙が溢れてくるのを感じたが、それを拭うこともできずにいると、彼女に抱きしめられてしまった。
そして頭を撫でられたことで余計に泣いてしまったが、
「よしよし、怖かったね」
と言いながら優しく抱きしめてくれる彼女の温もりを感じながらそのまま身を委ねることにした。
しばらくして落ち着いたところで再び話しかけてきた彼女に対して頷いて答えることで返事をすることができた。
それを見た彼女は嬉しそうに微笑むと、俺の手を取り立ち上がらせてくれた。
その後、彼女が部屋を出て行った後、俺は服を着ようとベッドから離れようとしたが、
その時になって初めて自分が裸のまま寝ていたことに気付き、顔が熱くなるのを感じた俺は慌てて近くにあったシーツを
手繰り寄せて身体に巻き付けると、その場に座り込んでしまうのだった。
そんな状態のまま呆然としていると、不意に扉が開き、そこから顔を覗かせた人物を見て驚くことになった。
何故ならその人物は俺のよく知る人物だったからだ。
「やあ、目が覚めたみたいだね」
そう言ってにこやかに笑いかけてきたのはルミナスさんだった。
なぜ彼女がここにいるのかという疑問はあったが、それよりも気になることがあったので聞いてみることにした。
すると、彼女は困ったような表情を浮かべた後でこう言った。
「実は、君が倒れた後、この子達が君を運んできたんだよ」
そう言われて後ろを見てみると、そこにはルミナスと見知らぬ少女達の姿があった。
全員、心配そうにこちらを見ているのが分かったので大丈夫だという意味を込めて頷き返すと、
彼女達の表情が和らいだように見えた。
そこでふとあることを思いついて質問してみることにした。
その内容とは、自分が今どのような姿になっているかということだ。
「ふむ、君は自分の姿を確認したいということかな?」
そう聞き返すルミナスさんに頷いて答えると、彼女は顎に手を当てて考え込んだ後でこう言った。
それから少ししてから、何かを思い出したかのように顔を上げるとこう言った。
「そういえば、鏡を持ってきていたんだったかな」
そう言うと、荷物の中から手鏡を取り出して手渡してくれたので、
お礼を言って受け取ると自分の顔を映してみた。
(おお、これはすごい!)
鏡に映った自分の姿を見た瞬間、
「どうだ? 満足できたかね?」
と聞かれたので素直に頷くことにした。
正直ここまでとは思っていなかったからだ。
何しろ目の前にいるのはどう見ても美青年にしか見えないのだから無理もないことだろう。
そんなことを考えているうちに自然と笑みが溢れてきてしまったようで、
それを見たルミナスが怪訝そうな表情を浮かべるのが見えたので慌てて表情を引き締めることにした。
しかし、一度緩んだ表情はなかなか元に戻すことができず、しばらくの間ぎこちない笑みを浮かべることしかできなかったが、
何とか落ち着きを取り戻すことができたところで改めて自分の置かれている状況を確認するために質問をすることにした。
まずはこの場所について聞いてみたところ、ここは王都から少し離れた場所にある屋敷で、彼女の知り合いが所有する別荘なのだそうだ。
「どうしてこんなところに?」
俺が尋ねると、彼女は答えた。
何でも、彼女がこの屋敷に来たのは、ここで休養するためだったらしい。
そのため、使用人達も最小限しかいないので、静かに過ごすことができるというわけだ。
確かにここなら人目につくこともないだろうし、
ゆっくりするには最適かもしれないと思った。
そんなことを考えているうちにふと疑問が浮かんだので聞いてみることにする。
それは、何故俺が連れてこられたのかということだった。
そのことを聞くと、 彼女は苦笑しながら答えてくれた。
曰く、たまたま通りかかった時に、道端で倒れている俺を見かけて、放っておくわけにもいかず、
こうして連れてきたのだという。
それを聞いて納得した俺は礼を言うことにした。
すると、なぜか不思議そうな顔をされてしまったので、どうかしたのかと思っていると、
「ふふ、君にもお礼が言えるんだなと思ってね」
彼女はそう言って笑った後で言った。
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