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それから部屋を出ようとした時、私は立ち眩んでしまった。
最近はめっきりと足腰に力が入らないことが多くなってきている。
年なのかしらと思っているとバレッド様に抱き上げられて慌てて降りようとしたが遅かった。
私はお姫様ダッコされたまま部屋に連れ戻されてしまう。
それからソファーに寝かされて膝枕をしてもらえて私は至福の時を過ごすことになるのであった。
それからしばらくの間そうしていたがやがてバレッド様は用事で出かけることに。
私は名残り惜しいと思いながらも仕方なく一人で留守番をすることに。
だがバレッドが戻るまで暇だったので娘の遊び相手を務める。
「マーマ。オナカ空いたー。なんか食べ物ないの?」
そう言われたので何か無いかなと思い棚を探していくとクッキーを発見した。
これは以前お菓子屋さんの主人にレシピを聞いて作り置きしておいたものなのだ。
他にもいくつか置いてあったのでそれを全て持っていくことにする。
そして庭に出ると焼きたての状態で放置しておいていたので香ばしい匂いが
充満しているのだが子供達はその香りに興奮しているようだったのだが
私が取り出した袋を見ると途端に残念がるのだった。
というのも私はそのクッキーを全て一人占めしようとしたのだった。
「まあまあお待ちなさい皆さん。まだ沢山ありますので一緒に仲良く召し上がりましょう。
バレッド様には内緒ですよ。あの方嫉妬深いのですからね」
私がそう告げた後に小分けしてある包みを開けるとその中身を取り出して一枚を半分にするとそれを差し出す。
「さてと頂きますか。モグモグ、う~ん、やっぱり自分で作ったのって格別ですね」
サクサクとした歯応えに素朴な味わいはいくらあってもいいものだと感じると
パクついていると子供たちは物欲しそうに見てくるのである。
仕方ないのでもうちょっとだけあげると喜んでいたのであった。
そうしたやりとりを終えてようやく落ち着いてくれたようだが
やはり空腹なのは変わりなかったので結局全部を渡さないわけには
いかなくなり私は困ってしまったのである。
ただでさえあまりたくさん食べられなくてダイエットしないと
まずいと悩んでいるというのに追い討ちをかけられるようなものだったのだ。
「まったくこんなに食べさせてしまうなんて悪いお母さんね」
ついつい甘い顔ばかり見せてしまう自分が情けないと思うがついつい許してしまうのだ。
だってこんな風に無邪気に懐かれたりして頼られたら嫌と言えるはずがない。
私が悪い母親であることに変わりはないのだけれども。
それにしてもよくここまで育ったとしみじみつまらない事を考える。
私はバレッド様と出会うまではずっと独り身であり寂しく生きてきたのにいつの間にかに
こうして家族に恵まれるようになったのだ。
これもバレッド様のおかげだと思う。
本当に彼のおかげで幸せになれたのだから感謝してもしきれなかった。
「ねえねえママ遊ぼう」
そうせがまれた私はしょうがないかといった感じに付き合う事にする。
そうして三人で過ごすうちにお昼になるとまたクッキーを作ってそれをみんなに配ることにしたのであった。
すると今度は娘たちは遠慮しているのか誰も受け取ろうとしなかった。
私は少し考えたあとこう言ったのである。
「あら? 皆のぶんが無いから要らないのでしょうか?
そう言えば最近太ってきたから控えた方がいいのかしら……?」
と口にしてみると一斉に飛びついてきて口に入れてくれと懇願される。
最近はめっきりと足腰に力が入らないことが多くなってきている。
年なのかしらと思っているとバレッド様に抱き上げられて慌てて降りようとしたが遅かった。
私はお姫様ダッコされたまま部屋に連れ戻されてしまう。
それからソファーに寝かされて膝枕をしてもらえて私は至福の時を過ごすことになるのであった。
それからしばらくの間そうしていたがやがてバレッド様は用事で出かけることに。
私は名残り惜しいと思いながらも仕方なく一人で留守番をすることに。
だがバレッドが戻るまで暇だったので娘の遊び相手を務める。
「マーマ。オナカ空いたー。なんか食べ物ないの?」
そう言われたので何か無いかなと思い棚を探していくとクッキーを発見した。
これは以前お菓子屋さんの主人にレシピを聞いて作り置きしておいたものなのだ。
他にもいくつか置いてあったのでそれを全て持っていくことにする。
そして庭に出ると焼きたての状態で放置しておいていたので香ばしい匂いが
充満しているのだが子供達はその香りに興奮しているようだったのだが
私が取り出した袋を見ると途端に残念がるのだった。
というのも私はそのクッキーを全て一人占めしようとしたのだった。
「まあまあお待ちなさい皆さん。まだ沢山ありますので一緒に仲良く召し上がりましょう。
バレッド様には内緒ですよ。あの方嫉妬深いのですからね」
私がそう告げた後に小分けしてある包みを開けるとその中身を取り出して一枚を半分にするとそれを差し出す。
「さてと頂きますか。モグモグ、う~ん、やっぱり自分で作ったのって格別ですね」
サクサクとした歯応えに素朴な味わいはいくらあってもいいものだと感じると
パクついていると子供たちは物欲しそうに見てくるのである。
仕方ないのでもうちょっとだけあげると喜んでいたのであった。
そうしたやりとりを終えてようやく落ち着いてくれたようだが
やはり空腹なのは変わりなかったので結局全部を渡さないわけには
いかなくなり私は困ってしまったのである。
ただでさえあまりたくさん食べられなくてダイエットしないと
まずいと悩んでいるというのに追い討ちをかけられるようなものだったのだ。
「まったくこんなに食べさせてしまうなんて悪いお母さんね」
ついつい甘い顔ばかり見せてしまう自分が情けないと思うがついつい許してしまうのだ。
だってこんな風に無邪気に懐かれたりして頼られたら嫌と言えるはずがない。
私が悪い母親であることに変わりはないのだけれども。
それにしてもよくここまで育ったとしみじみつまらない事を考える。
私はバレッド様と出会うまではずっと独り身であり寂しく生きてきたのにいつの間にかに
こうして家族に恵まれるようになったのだ。
これもバレッド様のおかげだと思う。
本当に彼のおかげで幸せになれたのだから感謝してもしきれなかった。
「ねえねえママ遊ぼう」
そうせがまれた私はしょうがないかといった感じに付き合う事にする。
そうして三人で過ごすうちにお昼になるとまたクッキーを作ってそれをみんなに配ることにしたのであった。
すると今度は娘たちは遠慮しているのか誰も受け取ろうとしなかった。
私は少し考えたあとこう言ったのである。
「あら? 皆のぶんが無いから要らないのでしょうか?
そう言えば最近太ってきたから控えた方がいいのかしら……?」
と口にしてみると一斉に飛びついてきて口に入れてくれと懇願される。
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