悪役令嬢はお嫁に行けません!~身代わりとしてなぜか婚約者から溺愛されて困っています〜

一ノ瀬 彩音

文字の大きさ
21 / 36

21.

しおりを挟む
(サディエル王太子の胸の中、気持ちが良い)
(あれ、何だろう、サディエル王太子の心臓の音、早いような気が)
(それに、サディエル王太子の胸、意外と大きいのですね、私とは大違いだなぁ~
でも、サディエル王太子の鼓動、早くなっているのかな、まさか、ドキドキしているとか……。
(ないない、私、自惚れないのよ、絶対にだめ)
そう思い私は自分を叱咤するのでした。
私がサディエル王太子を見上げるように顔を上げると、
サディエル王太子と視線が合います。
私は、サディエル王太子の胸元で深呼吸をしていたのでして、少しだけ顔を上げると、
サディエル王太子と顔が合ってしまい、私は慌てると、サディエル王太子の胸元の匂いを
嗅いでいまして、サディエル王太子の胸が少し早鐘を打っているのが聞こえてきました。
私は、サディエル王太子の胸で深呼吸をすると落ち着いてくると顔を上げます。
私は少し照れながらサディエル王太子を見上げました。
するとサディエル王太子は、私の髪をそっとかきあげるようにして触れてきて、
私は、その手がとても優しい事に気がつくと、その手の優しさが私を虜にしてしまっています。
その仕草があまりにも自然で、私は、その行為が当たり前のように感じてしまい、
その行動が私を魅了していくのです。
私は、そのサディエル王太子の行動が嫌ではなく、むしろもっとして欲しいと思ってしまい、
その大きな手で触れられる度に、私は、幸せな気分になってしまうのです。
私は、その幸せに浸っているうちに、いつの間にやら眠ってしまったようです。
次に目覚めた時、私は、ベッドに寝かせられており、サディエルが椅子に座って
本を読んでいたのです。
私は、その光景に驚いて起き上がると辺りをキョロキョロと見渡してしまいます。
そこは、どう見ても私の部屋ではありませんでしたので。
しかも、私は、何故かドレスを着ておりました。
その事実に私は混乱してしまっていました。
その私の様子に気づいたサディエル王太子は、本を閉じて私を見ると笑顔を浮かべました。
その表情を見ただけで私も何故かホッとしてしまったのです。
その瞬間、私は、自分が今置かれている状況を思い出しました。
私は確か、あの後、泣き疲れてしまったのでしょうか、そのまま意識を失ってしまったのです。
そして私は思い出すのです。
「王太子、その私」
「さてと、そろそろ、いいかな、どいてくれても」
「あっごめんなさい」
そうだった。
抱き着いていた。
サディエル王太子を見ていてドキドキが止まらなくて、何故、どうして、
そうなったのか分からないけどただ一つわかる事は、今の私は、この人が好きで好きで
仕方ないのだと自覚する事ができていた。
(そうだ、私は、この人が好きだ!この人を好きになっても良いんだよね。
だってこの人は婚約者なんだから。
婚約は破棄されたわけだけど。今は違うのだから良いのでしょう、
だってこの人と婚約する為に、
私はこの世界に転生したのだから。そう思う事で納得しよう。この感情は本物なのだから、
嘘じゃないのだし。この世界で生きていくには、必要な事なのだと思うから。
私は、この世界のリリアーナ・アウローラではないのかもしれないけれど……
それでもサディエルは、そんな事関係ないと言ってくれたもんね)
その言葉を噛み締めた後に冷静になってみると、とんでもない事をしていた
事に気づいていく。
私は一体何をやらかしていたのでしょう、 サディエル王太子が困り果てていますが、
それどころじゃありませんでした。
思わず赤面しながら離れていきましたが、その時に、ある違和感を感じとりまして
ふと足元に目を向けます。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

悪役令嬢のビフォーアフター

すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。 腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ! とりあえずダイエットしなきゃ! そんな中、 あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・ そんな私に新たに出会いが!! 婚約者さん何気に嫉妬してない?

〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です

ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」 「では、契約結婚といたしましょう」 そうして今の夫と結婚したシドローネ。 夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。 彼には愛するひとがいる。 それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?

[完]本好き元地味令嬢〜婚約破棄に浮かれていたら王太子妃になりました〜

桐生桜月姫
恋愛
 シャーロット侯爵令嬢は地味で大人しいが、勉強・魔法がパーフェクトでいつも1番、それが婚約破棄されるまでの彼女の周りからの評価だった。  だが、婚約破棄されて現れた本来の彼女は輝かんばかりの銀髪にアメジストの瞳を持つ超絶美人な行動過激派だった⁉︎  本が大好きな彼女は婚約破棄後に国立図書館の司書になるがそこで待っていたのは幼馴染である王太子からの溺愛⁉︎ 〜これはシャーロットの婚約破棄から始まる波瀾万丈の人生を綴った物語である〜 夕方6時に毎日予約更新です。 1話あたり超短いです。 毎日ちょこちょこ読みたい人向けです。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

処理中です...