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考察と新たな事件

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「大方分かった。で、レイドラムの調査依頼はどこからだったのだ?」

「レイドラムの依頼は、レファレンス王国だ。しかし、我からすればベリトという男のほうが気になる」

「同感だな」

「転生者の君達はどう思う? あくまで所感でいい」

「転生者――やはり、ランベリオンとのさっきのアイコンタクトはそういう事だったんですね。ベリトという男がやはり気になります。これは皆同じ事を思っていると思います。ミクちゃんもそうだよね?」

「そうですね。まあ、ナリユキさんが凄すぎたので、正直、ランベリオンさんの強さは疑っていましたが、この国に来てランベリオンさんは凄く有名人ということが分かりました。ですので、それ相応の実力のうえ、S級の魔物となると、ベリトという男性は、S級の強さを持っていることが考えられます」

「付け加えるなら、用意周到で狡猾な性格をしていると私は考えています。ただ、今推測できるのはこれくらいかなと。正直、レイドラムが商売の邪魔になるので、モトリーナの村を襲ったのだとしたら、生産性があまりにも低い。襲っても何も残らない。また、村を襲って村を独り占めして、農作物やビガーポークなどの近くの魔物を狩って、出荷しようとしているなら飛んだ馬鹿だと考えております」

「ほう。続きを聞かせてくれ」

「モトリーナの村人だからこそあの質の高い農作物を提供することができます。しかし、モトリーナの村で起きた事件は、洗脳されたワイバーンが見境なく村を襲っていたのです。と、いうことは、村人を何人か生き残らせて、農作物のノウハウを伝授することはできないということです。残された道はただ一つ。レイドラムが独学、或いは、専門家の意見などを収集して耕すことしかできないのです。しかし、そうなると味が落ちて、購入者が減少することが想定できます。その味だから購入しているという国や消費者が多いはずなのです。ですので、村を洗脳した魔物に襲わせるのは生産性が悪いと考えます」

「成程。正直素晴らしい考察だと思う。つまり、今回モトリーナの村をレイドラムが襲ったのは、商売のライバルを潰すのが目的では無いと考えているのだな?」

「そうです。レイドラムは有名な闇の商人と伺いましたので、少なくとも頭が切れる人物だと思うんですよ」

「他の目的の推測はできるか?」

「いえ、今のところはできません。村がまだまだ安全とは言えませんので、ギルドから数名長期遠征という形で派遣してほしいのです。そのうえで、私、ミクちゃん、ランベリオンの三名で、レイドラムとベリトの調査を行いたいと考えております」

「仮に行ったとしても、今頃レンファレンス王国のお偉いさん方は大騒ぎしているんじゃないか? ランベリオンが行方をくらませたって。そのなかで行ったら叱責を君達まで受けることになると思うのだが」

「それは心配ない。部下ワイバーンに状況報告をすべく、レンファレンス王国に向かわせた。今頃情報が届いているはずだ。まあ、会ったら改めて謝罪をする」

「それなら良いが――まあいいだろう。ギルドから四名派遣してやる。期間は1ヶ月としよう」

「金貨3枚でいいか?」

「そんなにいらん。とりあえずは金貨1枚でいい。あとは出来高で追加請求する、最大3枚までだ」

「それでよいぞ」

 すると、ランベリオンは金貨1枚をルイゼンバーンさんに渡した。ルイゼンバーンが確かにと言って受け取ったとき、扉が勢いよく開かれた。

 ルイゼンバーンさんがめちゃくちゃ顔をしかめているので、見ているこっちはどんな怒号が飛ぶのかヒヤヒヤなんだけど。

「無礼者! 来客中だぞ! ノックもせずに入る馬鹿がどこにいる!」

「申し訳ございません。ですが、緊急事態でして!」

 甲冑を着た若い男は一瞬萎縮をしていたが、屈さずに口を開いた。偉いぞ。俺なら無理だもん――。

「民家が一軒爆破されました。犠牲者は四名。死者三名と重症者が一名です」

「何!?」

 そうか――このギルドは民間の警察みたいな感じなのか? ギルドっていう簡単な言葉でまとめているけど――。

「現場には不審な凶器がありまして、是非現場に来ていただきたく思います」

「三人ともさっきの話の依頼料は一旦預ける。代わりに私と同行してくれないか?」

 ルイゼンバーンさんはそう言ってさっき渡した金貨を、掌に乗せて差し伸べてきた。

「転生者であるナリユキ殿とミク殿の見解も参考になるかもしれない。何せ、私達は全く別の世界で生きていたのだろう?」

 ミクちゃんとランベリオンは頼む。みたいな事でこっちを見てくる。俺、面倒臭いことに首を突っ込むの本当に嫌なんだよな。絶対に悪い予感しかしないもん。くそ――。

「承知致しました。同行しましょう」

 その俺の一言で、さっきの報告してきた男を含めた計五人は慌てて現場に駆け付けた。

 現場は勿論やじ馬で騒然としている。

「ギルドだ。お前たちそこをどいてくれ」

 ルイゼンバーンさんもまた有名人なんだろう。民間人は直ぐに道を開けてくれた。ルイゼンバーンさんは有難うと感謝を述べた後、これは酷いと家の中の悲惨の状況を見て吐露していた。

 民家の窓ガラスのガラス片が散乱していて、血まみれになった上半身が焼きただれた人間が一人、外に放り出されていた。顔は布で覆われているが、相当グロテクスな酷い顔になっているはずだ。

 ミクちゃんに声をかけようとしたとき、ミクちゃんの顔面は蒼白していた。そして声を震わせながら口を開いた。

「あれって――C4爆弾じゃ――」

 ミクちゃんが指している、布で覆われた被害者の近くに落ちているもの――。

 傍に寄って確かめてみた。俺達がFPSゲームでしか見たことが無く、スキルに頼るこの世界で存在すること自体が吃驚な代物――。それは紛れもなくC4プラスチック爆弾だった。








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