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いざアジトへⅠ

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 次の日、予約してた宿で十分に寝た後、午前の10時くらいに4人でティラトンというお店を訪ねた。っていうてもどうやらここはbarらしいから朝は開いてへんらしい。せやけど、店の前でほうきで掃除してる髭を生やしたお兄さんがおった。年齢で言うと30前後やから俺とさほど変わらへん。

 お店の外観は家から木が生えている変わったお店やった。日本で家から木なんか生えていたら、確実にその家に人が住んでへんような汚い感じがするんやけど、ここはウッド造り建物から木が生えてるという違和感の無いデザインやから、どこかリゾートの別荘っぽくて趣がある。

 俺達の存在に気付いたお兄さんは爽やかな笑顔で俺達に挨拶をしてくれた。

「こんにちは。生憎、お店は11時からでして」

 他の人に聞かれたらアカンような内容やから、小声で話しかけた。

「ランドールさんに仲間がいてるって言われたんですけど」

 そうすると、「おお!」と嬉しそうな笑みを浮かべてくれた。

「待ってましたよ。確かに変わったイントネーションの方ですね。私はここの店のオーナーをやっているローグ・ティラトンと申します。宜しくお願いします」

「俺は――」

「今視えているのは偽名でしょうから、後で教えて下さい」

「わかった」

「さあ。中に入りましょう」

 そう言われて中に入ると、一見普通のbarやった? でもbarにしては飲み屋みたいな席数やな。

「ここの場所を訪ねたとき、barって聞いていたんですけど、席数多いですね」

「ここはランチもやっているんですよ。30分ごろから皆来て準備にとりかかります。大まかな準備はいつも1人でしているんですよ」

「大変ですね」

「いえいえ。慣れたらなんてことないですよ。それより副団長からは皆を紹介してくれと申しつかっておりますので、奥の部屋へ入りましょう」

 そう言って連れられたのは、トイレがある廊下を抜けてさらに奥にある部屋やった。ちょっとビビったんはクラブみたいな広さの箱型の空間。一番奥にはステージもある。

「ここは夜になると常連のお客様がお酒を持って、音楽を聴きながら自由に踊ったりして楽しむ場所なんです。当然ながら夜しかここは開けません」

「そんで皆が集まってるとこはどこにあるんですか?」

 ティラトンさんはニッコリと微笑みむと、ステージに近い部屋の左隅に案内された。

「ここになります」

「え? 何も無いやん」

「見ていて下さい」

 ティラトンさんが壁を何度か押すと、驚く事に隠し扉が開いた。

「これは壁を押す回数があるので、一般人が間違って入ったことは一度もありません」

「成程な。それにしても夜に集まるとき、めちゃ大変じゃないん? 確かに隠し扉が開く音は、夜やと爆音で絶対聞こえへんと思うけど」

「人が多いからこそ紛れやすくていいんですよ。まあ何人か目撃している人はいるかもしれませんが、わざわざあそこに人が入って行ったのに、自分がやると入れなかったって広める人はいないですからね。お酒も入っているので、見間違いか――で済むんです。ここは一見ただの普通の壁なので」

「まあ言われてみたらそんな気もするな」

「さあどうぞ。入って下さい」

 そう言って中に入るとオレンジの灯りが付いてる階段を下って行った。

 100メートルほど進むと、こりゃまた随分重たそうな鉄製の門やった。

「 栄光と自由ピルテテ・アヴァンテ

 すると、門がギギギギギという音と共に勝手に開き始める

 ピルテテ? 何て? 俺の率直な意見はそうやって。転生してこっちの言語は勝手に理解できるようになっていたのに、さっきの言語はマジで理解できへんかった。

「ここがそうです」

 ティラトンさんはそう言って門が開いた中の空間を、誇張するかのように右手を大きく広げていた。

 地下空間は完全に避難用にもできるような地下シェルターやった。天井までの高さは約8m程ある広々とした空間。こんなもん、もし王国兵に見つかったらエライことやな。

「人がたくさんいますね」

 中に入ったらいるのは剣の稽古をしているのが数百人おった。

「めちゃ人いっぱいおるな」

「反乱軍は総勢1,000人ほどいます。皆、王国兵に恨み持つ者ばかりです」

「そんな反乱軍をまとめる団長は誰なん?」

「それは訳あって今は言えない」

「因みに何でなん?」

「その人の命が奪われるかもしれないからです」

「皇帝のスキルで縛られているか?」

「凄いですね。そういうことです。できるだけリスクを避けるために団長は表舞台には立ちません。実質のリーダーはランドール副団長です。その副団長と同等の力を持つ、皆さんがいれば戦力は一気に高まります」

 そう会話を続けると、ハットを被った葉巻を吸っている金髪の中年男性と、灰色の長い髪をした鎧を着た可愛い女の子が歩み寄ってきた。

「はじめまして。俺はクラッツだ。第3部隊の兵長をやってる」

「私はイーナ。第4部隊の兵長を務めているわ。私達の仲間になってくれて本当にありがとう」

 そうニコっと可愛い笑顔を見せてくれた。どこぞのハンバーガーショップの神対応な店員さんばりの笑顔や。

「どうする?」

「俺達も本名言うてええやろ。昨日覚悟決めたんやから」

「そうだな」

 ノーディルスとそう言っていると、真っ先に自己紹介したのはアズサやった。

「うちはアズサ・スギモト。宜しくなお願します」

 そう言って2人に握手をして自己紹介を行うと、次はネオンちゃんが前に出た。

「私はネオンです。宜しくお願いします!」

「俺はノーディルスだ」

「そんで俺が、レン・フジワラや。宜しくな」

「4人共若いのに凄いパワー感じるな。それにその特徴的な名前と喋り方転生者だろ?」

 クラッツはそう言った後、「お~い!」と誰か呼んだ。

 すると向かってきたんは30代前半位の金髪のオールバック、身長は190cm程ある、鎧を纏ったニキータ・クリンコフという男やった。
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