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ゾーク大迷宮の魔物Ⅱ
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振り下ろされた一本の戦斧は誰にも当たることは無かった。
「こっちだ脳筋!」
そう言ってディルザードの顔に蹴りを入れたワイズ。しかしながら、ディルザードはビクともせずに。3本同時に腕を振り下ろした。
すかさずレイがディルザードの後ろに回り込んで、首を小太刀で斬りつける。が――。
キインという金属がフロアに響いた。
「何!?」
呆気を取られるレイ。2人がディルザードの攻撃対象になってしまったわけだが、振り下ろされた戦斧は2人には届かなかった。
「させません」
メリーザが両手をワイズとレイに向けていた。防御系のスキルを展開して2人の命を守ったのだった。
「なかなか小賢しい」
そう声を上げてニヤリと不敵な笑みを浮かべるディルザード。
「言ってろ! 悪の破壊光!」
ワイズの手から放たれる、邪悪で巨大なエネルギー光。
しかし、ディルザードは戦斧を振り回して、スーの方へと跳ね返した。
スーはその悪の破壊光を指でちょんと触れるだけでかき消した。
「残念ながら、アクティブスキルは効かないよ」
一旦、ディルザードから距離をとるレイとワイズ。
「なかなか楽しめそうだな。メリーザ、奴の戦闘値は?」
「5,500です。1vs1で戦えるのは、マカロフ卿とワイズだけですね」
「どうやらそうらしい。しかし、悪の破壊光を跳ね返されたのは何故だ?」
「恐らくただの腕力です。交配種と言えばワイズなら理解できるでしょう?」
「成程な。確かに納得した」
「貴様と同じ交配種は厄介だな」
「強いのはいいけど、ずっこいのは嫌だな」
ワイズが納得した表情を浮かべた後、レイとスーがそう感想を述べていた。奴のスペックを視る限りでは相当苦戦しそうだが、何本の腕があろうとシステマの技術さえあれば、奴の懐に入ることができる。
「私がやろう」
私は壁にもたれかかっていたが、立ってディルザードの前に立ちはだかった。
「やっとボスのお出ましだな」
と、不気味に口角を吊り上げるディルザード。
「腕試しがしたいのだろう?」
「ほざけ!」
まずは2本の腕を振り下ろして来た。私はディルザードの猛威をシステマを使って軽く腕をいなしてスルリと抜けていく。
「悪魔の分身」
自身の分身体を5人出してディルザードを翻弄した。勿論、この分身体は同じ身体能力を持つ。MPをなかなか持っていかれるが、私自身の力が弱くなるという、漫画によくあるようなデメリットは無い。
「クソ!」
ディルザードの攻撃をスルリと抜けていき、あらゆる体の箇所に、合計6人のスペツナズナイフがディルザードの動きを止めた。
ディルザードが膝から崩れ落ちて、「グルルルル」と威嚇している狼の如く唸っている。
「神経毒だ」
私がそう笑みを浮かべていると、6本の腕をむやみやたらに振り回し始めた。
「近付くなというサインか?」
「黙れ!」
そう怒号を散らし始めるディルザード。少し余裕が無くなってきているようだ。私がスペツナズナイフに仕込んでいた神経毒は先程入手したスキル、ベノムサーペントから入手したパッシブスキル、 猛毒の雫だ。これをスペツナズナイフに仕込むことで、毒耐性が無いほとんどの生き物が立てなくなる。また、種族によってはこのスキルで死に至ることもあるので非常に強力だ。
それに、ディルザードの戦闘値は高いが、我々には究極の阻害者が付いており、奴の鑑定士Ⅴでは、我々のスキルは見抜けない。しかし、ディルザードは究極の阻害者を持っていないことからスキルがまる見えとなっている。当然、戦闘値があっちのほうが上でも、メリーザ、レイ、スーで戦略次第では勝つことができる。
だが、ウカウカもしていられないことから、私が相手をするという訳だ。私には負ける未来が1%も見えない。後はどう調理をするかだ。
「貴様――。その強さもしや転生者では? 長い歴史のなかで見たことが無い人間の動きだ」
「凄いじゃないか。当たっているぞ」
6人の私がニヤリと口角を吊り上げると、ディルザードは顔が強張っていた。大方、勝てないという感情が芽生え始めているのだろう。
私達が一歩踏み出すと、「グッ……」と声を漏らすディルザード。
「改めて見ると気持ち悪りぃな」
と鼻で笑うワイズ。まあ私自身も、今この場に6人の私がいるというのは、未だに不思議でならないし、違和感しかない。
「行くぞ」
私がそう言った事によって、自身を含めた私達はディルザードを一気に畳みかける。
「クソオオオオ!」
ブンと、突如として放り投げられた戦斧は、分身体の私の顔に直撃し、刃が目にザックリと刺さって抉れていた。言うなれば脳天をかち割られた感じだ。分身体はそのまま姿を消して、戦斧は地面に落ちた。
自分の体があのような目にあうのは些か不愉快である。
しかしこれは逆に好機だ。分身体が消えると、他の分身体や私自身に経験値や感じた事を共有される。
故に――。
私達は5人はディルザードの攻撃を潜り抜けて、ディルザードの体に触れた。
「復讐の時限爆弾」
その言葉と同時に、ディルザードの体内にはナノサイズの爆弾が自動的に付与される。
「な、なにをした!」
私達は一旦離れて、焦るディルザードを見て、口角を吊り上がっていた。
「殺された恨みは大きいぞ?」
「何を……!?」
同時に、体の内側からディルザードの体を膨れ上がっていく。
バン! と大きく弾けた音と共に、肉片を辺りに撒き散らして起きた爆発。
身体はただの肉片となり、ディルザードは絶命した。
「こっちだ脳筋!」
そう言ってディルザードの顔に蹴りを入れたワイズ。しかしながら、ディルザードはビクともせずに。3本同時に腕を振り下ろした。
すかさずレイがディルザードの後ろに回り込んで、首を小太刀で斬りつける。が――。
キインという金属がフロアに響いた。
「何!?」
呆気を取られるレイ。2人がディルザードの攻撃対象になってしまったわけだが、振り下ろされた戦斧は2人には届かなかった。
「させません」
メリーザが両手をワイズとレイに向けていた。防御系のスキルを展開して2人の命を守ったのだった。
「なかなか小賢しい」
そう声を上げてニヤリと不敵な笑みを浮かべるディルザード。
「言ってろ! 悪の破壊光!」
ワイズの手から放たれる、邪悪で巨大なエネルギー光。
しかし、ディルザードは戦斧を振り回して、スーの方へと跳ね返した。
スーはその悪の破壊光を指でちょんと触れるだけでかき消した。
「残念ながら、アクティブスキルは効かないよ」
一旦、ディルザードから距離をとるレイとワイズ。
「なかなか楽しめそうだな。メリーザ、奴の戦闘値は?」
「5,500です。1vs1で戦えるのは、マカロフ卿とワイズだけですね」
「どうやらそうらしい。しかし、悪の破壊光を跳ね返されたのは何故だ?」
「恐らくただの腕力です。交配種と言えばワイズなら理解できるでしょう?」
「成程な。確かに納得した」
「貴様と同じ交配種は厄介だな」
「強いのはいいけど、ずっこいのは嫌だな」
ワイズが納得した表情を浮かべた後、レイとスーがそう感想を述べていた。奴のスペックを視る限りでは相当苦戦しそうだが、何本の腕があろうとシステマの技術さえあれば、奴の懐に入ることができる。
「私がやろう」
私は壁にもたれかかっていたが、立ってディルザードの前に立ちはだかった。
「やっとボスのお出ましだな」
と、不気味に口角を吊り上げるディルザード。
「腕試しがしたいのだろう?」
「ほざけ!」
まずは2本の腕を振り下ろして来た。私はディルザードの猛威をシステマを使って軽く腕をいなしてスルリと抜けていく。
「悪魔の分身」
自身の分身体を5人出してディルザードを翻弄した。勿論、この分身体は同じ身体能力を持つ。MPをなかなか持っていかれるが、私自身の力が弱くなるという、漫画によくあるようなデメリットは無い。
「クソ!」
ディルザードの攻撃をスルリと抜けていき、あらゆる体の箇所に、合計6人のスペツナズナイフがディルザードの動きを止めた。
ディルザードが膝から崩れ落ちて、「グルルルル」と威嚇している狼の如く唸っている。
「神経毒だ」
私がそう笑みを浮かべていると、6本の腕をむやみやたらに振り回し始めた。
「近付くなというサインか?」
「黙れ!」
そう怒号を散らし始めるディルザード。少し余裕が無くなってきているようだ。私がスペツナズナイフに仕込んでいた神経毒は先程入手したスキル、ベノムサーペントから入手したパッシブスキル、 猛毒の雫だ。これをスペツナズナイフに仕込むことで、毒耐性が無いほとんどの生き物が立てなくなる。また、種族によってはこのスキルで死に至ることもあるので非常に強力だ。
それに、ディルザードの戦闘値は高いが、我々には究極の阻害者が付いており、奴の鑑定士Ⅴでは、我々のスキルは見抜けない。しかし、ディルザードは究極の阻害者を持っていないことからスキルがまる見えとなっている。当然、戦闘値があっちのほうが上でも、メリーザ、レイ、スーで戦略次第では勝つことができる。
だが、ウカウカもしていられないことから、私が相手をするという訳だ。私には負ける未来が1%も見えない。後はどう調理をするかだ。
「貴様――。その強さもしや転生者では? 長い歴史のなかで見たことが無い人間の動きだ」
「凄いじゃないか。当たっているぞ」
6人の私がニヤリと口角を吊り上げると、ディルザードは顔が強張っていた。大方、勝てないという感情が芽生え始めているのだろう。
私達が一歩踏み出すと、「グッ……」と声を漏らすディルザード。
「改めて見ると気持ち悪りぃな」
と鼻で笑うワイズ。まあ私自身も、今この場に6人の私がいるというのは、未だに不思議でならないし、違和感しかない。
「行くぞ」
私がそう言った事によって、自身を含めた私達はディルザードを一気に畳みかける。
「クソオオオオ!」
ブンと、突如として放り投げられた戦斧は、分身体の私の顔に直撃し、刃が目にザックリと刺さって抉れていた。言うなれば脳天をかち割られた感じだ。分身体はそのまま姿を消して、戦斧は地面に落ちた。
自分の体があのような目にあうのは些か不愉快である。
しかしこれは逆に好機だ。分身体が消えると、他の分身体や私自身に経験値や感じた事を共有される。
故に――。
私達は5人はディルザードの攻撃を潜り抜けて、ディルザードの体に触れた。
「復讐の時限爆弾」
その言葉と同時に、ディルザードの体内にはナノサイズの爆弾が自動的に付与される。
「な、なにをした!」
私達は一旦離れて、焦るディルザードを見て、口角を吊り上がっていた。
「殺された恨みは大きいぞ?」
「何を……!?」
同時に、体の内側からディルザードの体を膨れ上がっていく。
バン! と大きく弾けた音と共に、肉片を辺りに撒き散らして起きた爆発。
身体はただの肉片となり、ディルザードは絶命した。
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