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星の授与式Ⅰ

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 青龍リオさんから衝撃的な話を聞いて数日後。俺の屋敷をさらに拡張した。理由としては、外部の人間が通った時に、他の国の宮殿と比べても、小さいという印象を与えないようにだ。もう一つは、これから様々な冒険者などにも☆の授与をする時があるかもしれない。そう考えると授与式に使う会場が必要となる。原則、授与式は国主の宮殿で行うのが鉄則らしい。だから、この際もっと大きい屋敷を建てようと試みたわけだ。

 外観は3階建ての洋館だが、外には皆が大好きな温泉や日本庭園を造った。これがまた評判が良くて、幹部は勿論、仕事で疲れた国民達が、団子を食べながらお茶を飲むという光景も見られる。これ意外とリラックス効果があるらしく、そのまま俺の部屋に来て、こういうお店やってみたいので、今度練って来ていいですか!? って食い気味に来たり、もっと国をこうしませんか? っていう提案があったりする。

 新しい刺激を与えることによって効果は絶大だ。

 そして、今日一番のメイン行事だが、幹部達の意見を擦り合わせて結論に至った事を行う。

 俺とミクちゃんは宴表場えんぴょうじょうというパーティー会場を造ったので、そこの裏部屋で待っていた。この名前は宴をする場所と、発表する場所の2つの意味を込めて付けた名前だ。始めは宴会場やらパーティー会場などの名前で考えていたが、どうもしっくりこないので、LiRianリリアンのように造語にしたという訳だ。俺としては気に入っているけど果たして――。今度ルミエールとかに聞いてみよう。

 宴表場では既に従者サーヴァント達が食べ物などを用意してくれていた。幹部達とは割といつも食べているので、腕が立つ人間、 森妖精エルフ、獣人、人魚姫マーメイド猪戦士オーク牛獣人ミノタウロスなど、総勢100名を集めた。

 会場に続々と人が集まってくる。

「大分集まってきているみたいだね」

 ミクちゃんは会場の様子を映しているモニターを見ながらそう言った。

 宴表場えんぴょうじょうには、場内の様子を把握できるように監視カメラを設置している。なので、わざわざ様子を見に行く必要が無い。

「いよいよって感じだな」

「そうだね。皆の前で発表するって本当に国主っぽいことをしているね」

「まあ、一応国主だからな」

 俺がそう笑みを浮かべると、ミクちゃんも「そうだね」と呟いていた。

 しばらくすると、会場に全員が集まったようで宴表場えんぴょうじょうの扉が閉められた。

 ランベリオン、ノア、ベリト、アリシア、ベルゾーグ、アリス、フィオナ、アマミヤ、メイは勿論、タツノオトシゴの魔物、タツオさんも招いていた。

 そしてカイルに関しては、黒い紳士服に黄色の蝶ネクタイを付けており、ユイは淡い桃色のパーティードレスを着ていた。オジサン臭い事言うが、2人共めちゃくちゃ似合っている。

 そして、舞台に上がってマイクを持っているのはミーシャ。彼女を今回は進行役に抜擢ばってきした。

「長らくお待たせ致しました。本日はご来場頂き誠にありがとうございます。及ばずながら進行役に務めさせて頂きます従者サーヴァントのミーシャでございます」

 ミーシャが一礼を行うと会場が拍手に包まれた。

「さて、今回皆様お集り頂きましたのは、我が国の主ナリユキ・タテワキ閣下が、六芒星ヘキサグラムに加盟したことにより、☆の授与の権限を与えられました。そもそも☆とは何か? というご説明させて頂きますと、戦争や一国を左右するような大事件などに貢献した者に与えられる大変名誉な勲章ですが、その凄さはランベリオン・カーネル様を例にすると分かりやすいでしょう」

 ミーシャのその言葉でランベリオンへの視線が一気に集まる。それによりランベリオンは少し戸惑いを見せる。

「ランベリオン・カーネル様はカーネル王国に行けば、皆が知っている有名人となっています。それはカーネルという名前が付いているように、ランベリオン様は先代のカーネル王から、王族の1人としてカウントされるほど、カーネル王国に貢献してきました。その勇敢なる姿に、カーネル王国の国民は胸を打たれて、ランベリオン様の存在は伝説級となったのです」

 ミーシャがそう嬉しそうに語っていると、会場が拍手に包まれて、ランベリオンはデレデレとしていた。「褒めすぎではないか?」とか何か言ってそうだ。隣にいる久しぶりの登場のロドベルトは当然だと言わんばかりの表情を浮かべていた。

「これで☆の重要性を少しでもご理解頂けたかと思います。マーズベルから出た事ない方も中にはいらっしゃると思いますのでご説明させて頂きました。それでは☆の授与式典を行います。国主ナリユキ・タテワキ閣下、腹心のミク・アサギ様にご登場頂きましょう。盛大な拍手でお出迎え下さい」

 すると、会場は耳が痛い程の盛大な拍手に包まれた。嬉しいけど歓迎度合いが凄いな。

「行くぞミクちゃん」

「うん」

 そうして俺とミクちゃんはミーシャの紹介で登壇することになった。俺達が出て行くと歓声が凄いのでライブのようなノリになっていた。嬉しいんだけどね? 

「御二人共こちらへ」

 ミーシャにそう言われて俺とミクちゃんは壇上の中央に立ち会場を見渡した。俺はいつもとは違い淡いペイズリー柄が入ったグレーのファンシースーツを身に纏い、ブラウンの無地のネクタイをしていた。

 一方ミクちゃんは腕の部分がシースルーのライトカーキのパーティードレスに身を包んでおり、後ろでまとめた髪を編んで結っている。正直言って可愛すぎる。

 まあそれもそのはずだ。

「ミク様素敵!」

「ミク様あああ!」

 このように黄色い歓声や野太い声が聞こえる訳だ。

 ミクちゃんはこっちを見てくるもんだから――。

「きゅんです」

「声出てるよ。でもありがとう」

 と、2人にしか聞こえないくらいの声量で話をしていた。

 俺に関しては、ミクちゃんのような歓声は少ないものの、人間と森妖精エルフの女性陣からウケが良かった。死ぬ前に変わろうとして読み漁ったファッション雑誌も少しは役に立ってくれたようだ。

 言うまでもなく、一番肝心なミクちゃんの反応は凄く良かった。対面したときいきなり抱き着かれたくらいには性癖に刺さったらしい。
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