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密告者Ⅳ
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「そんなものを持ってきて大丈夫なのか?」
「寧ろ良い事しかないぞ?」
「良い事?」
「コイツの頭の肉には特殊な成分があるらしくてな――殆どのウイルスや毒に対抗できる抗体を作ることができるらしい。俺達はお腹や心臓を頂いたからな。なかなかの美味だったぞ」
カルディアはそう言って舌なめずりをした。と、言う事はカリブデウス、スカーは何らかのスキルを手に入れている筈――。
そう覗いてみたら、滅菌Ⅴというスキルが付いていた。効果はあらゆる病の干渉を受けないということなので、もしかして心臓病とかも患わないってこと? 凄くない?
「カルディアのステータスはアテにならないけど、2人のステータスを見ると滅菌Ⅴっていうスキルが付いているな」
「わ! 本当だね」
ミクちゃんもこれには驚いていた。
「疫病竜は細菌系を扱う魔物の頂点だからな――なので、大人の疫病竜でも問題無い! とは言いたいが実際はどうか分からん」
「キメール山にいたのかい?」
「そうだ」
ルミエールの質問に不愛想にそう答えたカルディア。すると、ルミエールは怪訝な表情を浮かべていた。
「可笑しいね。疫病竜は人が住む場所には姿を現さないんだ。不思議な事に疫病竜は会ったら危険だけど、人口が0の所にしか姿を現さないとされているからね――キメール山の麓には人間が住んでいるから姿を現さないと思っていたけど――しかも子供だったんだろ?」
「ああそうだ」
「本当に不思議だね。無事ってことは親はいなかったんだろ?」
「そうだな」
ルミエールの質問に対して適当な返事をするカルディア。質問攻めされて怠いと感じているのが丸分りだ。
「そんなに変な事なのか? そりゃたまに人が住んでいるところに来ることだってあるだろうに」
「変だよ。疫病竜が人が住んでいるとこに現れると災いが起きるって言われているからね」
「そりゃ。疫病竜そのものが災いの集合体だからそうじゃない?」
「違うんだ。疫病竜が生み出す災いではなく別のものだ」
「疫病竜では無く別のもの――」
俺がそう呟いているとミクちゃんが口を開いた。
「例えば地震や噴火とかってことですか?」
「そんな感じだね。実際数百年前に未曾有の津波に襲われた町があって壊滅したという話があるんだけど、その数日前に疫病竜が別の町で目撃されたとことから、このような逸話が残されているんだ――」
俺は知っている。疫病竜が関係しているのかどうかは分からないけど、そう遠くない未来に黒龍が復活してしまうことを――もし、そうならば、その逸話が正しい事になる。人間と違い、生物たちは何らかの異変に気付き、普段と違った行動をとることはどの世界でも同じことだからな。
「ナリユキ君どうしたの? 考え事?」
「ん? 何でもないよ」
ミクちゃんにそう声をかけられたので、どうやら俺はめちゃくちゃ真剣に考えていたらしい。まあ無意識だったから気付かなかったけど、拳を作った手を顎に当てていた。
「絶対に何か別の事考えていた。後で教えてね」
バレバレだ。何で分かるんだ?
「そうだったのか。まあ俺には関係ない。とりあえずこの頭を焼き料理にして食べるといい」
カルディアはそう言って俺に疫病竜の子供の頭を渡して来た。
「有難うな」
そうお礼を言った後に気付いたが、この疫病竜に付いている水晶は何なんだろう?
「この水晶って何なんだ?」
「知らん」
カルディアにそうキッパリと言われた。
「その水晶は疫病を生成する疫病竜の第二のコアみたいなものだよ」
そう教えてくれたのはルミエールだった。
「武器にも使える事から重宝されているからね。市場に出せば大きさにもよるけど金貨3枚は貰えると思うよ」
ってことは日本円で30万円くらいか――。スゲーな。
「とりあえず有難うな」
俺はそう言って3人に金貨7枚を渡した。
「思ったより多いな」
カルディアはそう言いながら金貨を眺めていた。
「この幻幽蝶で治すことができるなら安い物だろ」
俺がそう言うと「金持ちは分からんな」と呟いていた。カルディアって実際にところ良く分からないところが多い。と、言うのもカルディアの性格なら「少ない」とか普通に言いそうだもんな。後は黙って受け取るとか。
「で、どうする? カルカラの貴族を襲った連中の調査は」
カルディアにそう言われた。依頼をこなしたばかりなのに、もう次の依頼を受けようとしているけど、どこからその体力湧いて来るんだ?
「長年やっていると疲れないように連続で動ける癖がつくらしい」
周りはカルディアがいきなり脈の無い話をしていたのでピンとこなかった。
「何か心読むの止めてくれね?」
「無理だな」
カルディアはそう言って鼻を鳴らした。
「とりあえずこれで抗体薬が作れるね」
ルミエールがそう言ったので俺は「そうだな」と言って笑みを浮かべた。
ヴェドラウイルスに関しては問題は無さそうだ――ただ、カルカラの貴族達では無いと仮定すると果たして誰が俺の情報を密告し、誰がカルカラの貴族達を襲ったのだろう。
その疑問に歯がゆさを覚えた。
「寧ろ良い事しかないぞ?」
「良い事?」
「コイツの頭の肉には特殊な成分があるらしくてな――殆どのウイルスや毒に対抗できる抗体を作ることができるらしい。俺達はお腹や心臓を頂いたからな。なかなかの美味だったぞ」
カルディアはそう言って舌なめずりをした。と、言う事はカリブデウス、スカーは何らかのスキルを手に入れている筈――。
そう覗いてみたら、滅菌Ⅴというスキルが付いていた。効果はあらゆる病の干渉を受けないということなので、もしかして心臓病とかも患わないってこと? 凄くない?
「カルディアのステータスはアテにならないけど、2人のステータスを見ると滅菌Ⅴっていうスキルが付いているな」
「わ! 本当だね」
ミクちゃんもこれには驚いていた。
「疫病竜は細菌系を扱う魔物の頂点だからな――なので、大人の疫病竜でも問題無い! とは言いたいが実際はどうか分からん」
「キメール山にいたのかい?」
「そうだ」
ルミエールの質問に不愛想にそう答えたカルディア。すると、ルミエールは怪訝な表情を浮かべていた。
「可笑しいね。疫病竜は人が住む場所には姿を現さないんだ。不思議な事に疫病竜は会ったら危険だけど、人口が0の所にしか姿を現さないとされているからね――キメール山の麓には人間が住んでいるから姿を現さないと思っていたけど――しかも子供だったんだろ?」
「ああそうだ」
「本当に不思議だね。無事ってことは親はいなかったんだろ?」
「そうだな」
ルミエールの質問に対して適当な返事をするカルディア。質問攻めされて怠いと感じているのが丸分りだ。
「そんなに変な事なのか? そりゃたまに人が住んでいるところに来ることだってあるだろうに」
「変だよ。疫病竜が人が住んでいるとこに現れると災いが起きるって言われているからね」
「そりゃ。疫病竜そのものが災いの集合体だからそうじゃない?」
「違うんだ。疫病竜が生み出す災いではなく別のものだ」
「疫病竜では無く別のもの――」
俺がそう呟いているとミクちゃんが口を開いた。
「例えば地震や噴火とかってことですか?」
「そんな感じだね。実際数百年前に未曾有の津波に襲われた町があって壊滅したという話があるんだけど、その数日前に疫病竜が別の町で目撃されたとことから、このような逸話が残されているんだ――」
俺は知っている。疫病竜が関係しているのかどうかは分からないけど、そう遠くない未来に黒龍が復活してしまうことを――もし、そうならば、その逸話が正しい事になる。人間と違い、生物たちは何らかの異変に気付き、普段と違った行動をとることはどの世界でも同じことだからな。
「ナリユキ君どうしたの? 考え事?」
「ん? 何でもないよ」
ミクちゃんにそう声をかけられたので、どうやら俺はめちゃくちゃ真剣に考えていたらしい。まあ無意識だったから気付かなかったけど、拳を作った手を顎に当てていた。
「絶対に何か別の事考えていた。後で教えてね」
バレバレだ。何で分かるんだ?
「そうだったのか。まあ俺には関係ない。とりあえずこの頭を焼き料理にして食べるといい」
カルディアはそう言って俺に疫病竜の子供の頭を渡して来た。
「有難うな」
そうお礼を言った後に気付いたが、この疫病竜に付いている水晶は何なんだろう?
「この水晶って何なんだ?」
「知らん」
カルディアにそうキッパリと言われた。
「その水晶は疫病を生成する疫病竜の第二のコアみたいなものだよ」
そう教えてくれたのはルミエールだった。
「武器にも使える事から重宝されているからね。市場に出せば大きさにもよるけど金貨3枚は貰えると思うよ」
ってことは日本円で30万円くらいか――。スゲーな。
「とりあえず有難うな」
俺はそう言って3人に金貨7枚を渡した。
「思ったより多いな」
カルディアはそう言いながら金貨を眺めていた。
「この幻幽蝶で治すことができるなら安い物だろ」
俺がそう言うと「金持ちは分からんな」と呟いていた。カルディアって実際にところ良く分からないところが多い。と、言うのもカルディアの性格なら「少ない」とか普通に言いそうだもんな。後は黙って受け取るとか。
「で、どうする? カルカラの貴族を襲った連中の調査は」
カルディアにそう言われた。依頼をこなしたばかりなのに、もう次の依頼を受けようとしているけど、どこからその体力湧いて来るんだ?
「長年やっていると疲れないように連続で動ける癖がつくらしい」
周りはカルディアがいきなり脈の無い話をしていたのでピンとこなかった。
「何か心読むの止めてくれね?」
「無理だな」
カルディアはそう言って鼻を鳴らした。
「とりあえずこれで抗体薬が作れるね」
ルミエールがそう言ったので俺は「そうだな」と言って笑みを浮かべた。
ヴェドラウイルスに関しては問題は無さそうだ――ただ、カルカラの貴族達では無いと仮定すると果たして誰が俺の情報を密告し、誰がカルカラの貴族達を襲ったのだろう。
その疑問に歯がゆさを覚えた。
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