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ヘキサグラム・サミットⅤ

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「しかし、問題はナリユキ閣下が黒龍に触れることができるかどうかだ。奴の前ではどんな罠も通用しない。故に真っ向勝負を仕掛ける必要がある」

「そもそもだが青龍リオよ。黒龍はどんなスキルを使うのだ?」

 レンファレンス王の問いに顎をかく青龍リオさん。

「そもそもだが能力がありすぎる。まあ、特殊な武器でしか斬撃や物理攻撃は効かない。アクティブスキルに関しては基本的にはダメージを与える事はできないのだ。光剣セイバー黒刀ハデスに含まれているオーラルドと呼ばれている成分があることによって初めてダメージを与えることができる。また、自動再生や自動回復も付いている。攻撃系統に関しては、黒炎系統のスキルや、闇属性のスキルも得意だ。威力一つ一つが桁違いだな。余は水のスキルが得意だから相殺できた。相性は奴からすると悪いだろう」

「そんな化物を倒すための具体的な対策はあるのか?」

 そう問いかけたのはヴェストロさんだ。つか思ったけど、今回の会議はレンファレンス王とヴェストロさんの発言が多いな。

「勿論だ。ナリユキ閣下に渡した黒紅煉刀くろべにれんとうは、オーラルドが含まれている。それに余が集めた勇敢な戦士達にも、オーラルドが含まれている刀を渡している。ダメージを与えることができないという事は無いだろう」

「因みにじゃが、天を穿つ者エンデュアーはMPを込めて放つ銃じゃが、プラスの邪気を放出することができるぞ? ヒーティスに置かれている武器は、物にはよるがプラスの邪気が放出されるような仕組みになっておる」

「ナリユキ閣下は相当好かれているのだな」

 そう呟くレンファレンス王。

「2人の国から手に入れた特別な武器。負けることは許されないな」

 何気に圧をかけてくるヴェストロさん。

「た――確かに」

 苦笑いしかできないな――。

「でもまあ、私には4つのユニークスキルとこの2つの特殊な性能を持った武器があります。何とかしてみますよ」

「威力はどんな感じだったの? そもそも試した?」

 そう問いかけてきたのはルミエールだった。

「試したぞ――」

 俺はそう言いつつも苦笑いを浮かべていた。と、いうのもこの2つの武器は威力が可笑しい。マーズベルで試し撃ちをしたけど、天を穿つ者エンデュアーはMPをたくさん込めると山を吹き飛ばし、黒紅煉刀くろべにれんとうは一振りすると山を真っ二つに――威力が桁違い過ぎて俺は夢でも見ているのかと思った。

「銃は一発で山を吹き飛ばし、刀は一振りで山を真っ二つするくらいの斬撃を飛ばすことができる――」

 俺がそう言うとルミエールは苦笑いを浮かべて、レンファレンス王とヴェストロさんは「はあ?」と疑いの目を向けてきた。

「流石黒紅煉刀くろべにれんとうだな。余でも扱えない刀だけの事はある」

天を穿つ者エンデュアーもあの爺が傑作だ! と騒いでおったからのう。納得がいく威力じゃな」

「威力が高すぎて、人には撃てないですね」

「そもそもじゃがナリユキ閣下は銃のスキルが付いておるからのう。それに狙撃手もあるので、ナリユキ閣下が狙いいを外すことは無い。あとは、敵がガードするか否かで決まってくる。それと銃を防ぐ何らかのスキルを発動しているとかじゃな」

「そうですね」

 俺が平気な顔をしてそう言うと、レンファレンス王とヴェストロさんは「はあ」と溜息をつく。勿論、付き人達は俺の武器の威力を聞いて唖然としたままだ。

「まあそれだけの威力があるなら、ナリユキ閣下と青龍リオには先頭を切って戦ってもらう必要があるな」

「それにナリユキ閣下は自動再生と自動回復が付いているからな」

 ヴェストロさんの発言に俺は疑問が浮かんだ。つまり俺が肉壁になれと言う訳か――いや、確かに合理的かもしれないけど少し酷くね?

「だからと言って攻撃を受け続けるのは非常にマズい。攻撃を受けるという事はマイナスの邪気を受け続けるという事だ。するとどうなるか? 闇堕ちする可能性もあるし、ナリユキ閣下のパッシブスキルは弱体化していく。攻撃は原則受けない方が良い」

 青龍リオさんがそう付け加えてきた。

「そんな効果があるのか――マイナスの邪気万能過ぎない?」

「万能じゃの。まあ普通の邪気は微量なので、魔族が人間と戦う時でも大した影響は出ない。何か思い当たる節はあるかの?」

「確かに無いですね――」

「そういう事じゃ。プラスの邪気やマイナスの邪気と言ったものの、普通であれば特に影響はない。ただ黒龍が別格過ぎるのじゃ。あと邪気で影響を及ぼす事ができるのは魔王クラスだけじゃ」

「そうなると、プラスの邪気で黒龍のマイナスの邪気を本当に抑制することができるのか?」

「話を聞いている限りでは難しそうじゃな」

 レンファレンス王の後にヴェストロさんがそう続いた。

「正直なところ、ダメージは相当与えないといけない。でなければ抑制できないからのう。その局面に関しては妾が最も重要な役目と言える。ナリユキ閣下は銃と剣。両方の攻撃を行い、黒龍を弱めてほしい」

「任せろ」

 俺がそう言うとアスモデウスさんは満足気な笑みを浮かべていた。

「それでは今日はこの辺りで良さそうだな」

「確かに罠が効かないとなると正面からの勝負だな。後は全軍集めて当日の連携をどう取るかを考えておいた方が良い。場所に関してはヴァース島の真北にある小さな島、パラディン島で良いじゃろう」

「余もそう思っていたところだ。あそこであれば魔物も少ないので、大規模な生態系破壊にはならない筈だからな」 

 また知らない島の名前が出来てきたよ。

「ナリユキ閣下は行った事が無いだろ? 余が迎えに行くとしよう。それまでカルベリアツリーのダンジョンに潜って天眼を手に入れておいて欲しい」

「分かりました」

 こうして、六芒星会議ヘキサグラム・サミットは無事に終了した。今回は、色々と準備をすることがあるので自由解散となった。勿論、ドラグーンタワーで食事をしても構わない。いつも通り用意をしてくれているからだ。ただ、俺とミクちゃんは早速帰って、カルベリアツリーのダンジョンに潜ることを決意した。

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