471 / 565
黒龍との死闘Ⅱ
しおりを挟む
「まだ出し惜しみしているアクティブスキルがあるだろう? 先程俺様にダメージを与えた技をもう一度使ってみたらどうだ?」
突如、黒龍がそう言ってきた。先程、咄嗟の反応で出した技の事だ。
「埒が明かないのであればもう一度使ってみるのも有りなのじゃないか?」
「それはそうかもな」
冥王ゾークを倒して授かった魂魄に宿されたいくつかのアクティブスキルとアルティメットスキル。そして、俺は今回黒龍と戦っていく中で成長をしている。黒龍の戦い方もまた独特で、刀の太刀筋やユニークな発想の攻撃。それらを真似すれば必然と新しいアクティブスキルを習得できてもおかしくない。
MP結構消費するけど仕方ない。
「良いだろう。貴様の剣技。受けて立つ」
黒龍はそう言って俺に向けて黒刀を向けてきた。
俺が構えると黒龍は刀を横にして防御態勢に入る。以前なら棒立ちだったのに、今はきちんと警戒している。俺の事を侮っていない証拠だ。
俺が試していない剣のスキル。無双神冥斬。これは神罰空堕からの名残りと、冥王ゾークの剣技を混ぜた為に付けたオリジナルのアクティブスキル。
先程ダメージを与えたと言っても黒龍は避けてしまったので、致命傷を負わせるほどのダメージは与えられていない。しかし技の破壊力は烈冥斬を上回る事は分かっている。分かっているというより直感的にそう感じているだけと言う方が正しい。
刀を鞘に納めて、肩の力を抜いてリラックスする。そして呼吸を整える。
「ほう――」
黒龍はそう言って口元を緩めた。
「これは俺様も油断はできないな」
黒龍がどのようなイメージを受け取ったかは分からないが推測ならできる。俺は黒龍に全身傷だらけの大ダメージを与えるイメージができていた。黒龍は恐らくそれを受け取ったのだと推測できる。
「いくぞ」
「来い」
黒龍のその返事を聞くと俺は大地を蹴り上げて黒紅煉刀を抜刀。神々しい光を刀が纏い1秒で1,000刀繰り出すこのスキルは、普通の相手であれば防御不可能。また、これほど強力なのにアクティブスキルというお手軽さだ。
そしてこのスキルの発動時間は5秒。つまり5,000刀入れる事になる。
黒龍に向けて放ったこの技の斬撃で、辺りの大地は切り刻まれて地形そのものが変わっていた。また、この強力な技の影響が地層プレートにも衝撃が届いていた為か、アードルハイム全体で地震が起きていた。
「どうだ?」
俺がそう問いかける相手の黒龍は、全身血まみれになっており両目が流血していた。
「やるな」
MPをかなり消費したが黒龍にこれほどのダメージを与えることができるのであれば安いものだろう。俺のMPは残り半分程。ミクちゃんの強化のお陰で消費量は抑えることができているから、まだまだ戦えるけど、ミクちゃんがいなければ完全にアウトだな。
「これほどまでとは。俺様は刀だけではなく、全身に身体向上と、硬質化のパッシブスキルを駆使されているにも関わらず、ここまでのダメージを1つのスキルで負わせるとはな」
「それはどうも。褒めてくれて嬉しい限りだ」
実際にこのスキルがいかに強力かを物語っていたのは言うまでもない。黒龍の自動回復と自動再生が異常に遅い。自動再生は失われた体の部位を3秒もあれば元通りになるイカれたパッシブスキル。脳さえ残っていれば失われた頭も、腕も足も目も再生できるスキルだ。また、自動回復は体力や傷を癒すスキルだ。俺達の体力の消耗は激しすぎる上に、戦闘時間が長すぎるので普通の体力面での回復は効果が薄れてきている。その影響もあるのか、黒龍は今の攻撃の修復に1分程はかかりそうだった。
「貴様も同じ苦しみを味わってみろ」
その台詞に背筋が凍るような悪寒が走った。これほど傷だらけの黒龍が一体どんなスキルを発動するのか?
あの時と同じ目をしていた。怨嗟や憎悪と言った感情がこもった恐ろしい目だ。漆黒の炎と禍々しいオーラを纏った黒刀。そして黒龍の全身から放たれているとてつもないパワー。強くなったと思っていた自信が打ちひしがれそうになる――。そう思わせる程の恐怖を植え付けてくるのだ。
俺の予測では自身の痛み――或いは倍に返すなどの効果を含んだ剣技スキルが発動されると推測した。俺はそのとてつもないパワーに圧倒され、震えている手にグッと力を入れた。
そして必死にこう念じる。
臨戦態勢に入らなければ――!
そう思っていた次の瞬間。黒龍が動き始めた。
相手の技を迎撃するスキル――。そう咄嗟に思い浮かんだのが黒絶斬だった。斬ったという結果のみを残す代わりに、自身も同じ苦痛を味わうという諸刃の剣。しかしながら、今弱っている黒龍に対してはかなり有効な筈。そう踏んだ俺は納刀していた黒紅煉刀を抜刀していた。無双神冥斬を上回る神速の攻撃。
「ナリユキ!」
「黒龍!」
互いの名前を呼び合う刀同士の衝突。俺はユニークスキルが中心で銃撃が得意。黒龍は刀ではなく超攻撃特化の遠距離系統のアクティブスキルが得意。
その筈なのに俺達は刀という共通点で戦っている。黒龍は本来であれば、遠距離のアクティブスキル連発で俺を屠る事だって容易な筈だ。その筈が、黒龍は自身で最高の剣技スキルで挑んできている。そんな熱い戦い方をする相手に俺が持つ最高の剣技スキルをぶつけなくてどうする?
いや違う。寧ろこの技でしかこの凶悪すぎる龍に勝てる算段は無い。出すしかないのだ。
突如、黒龍がそう言ってきた。先程、咄嗟の反応で出した技の事だ。
「埒が明かないのであればもう一度使ってみるのも有りなのじゃないか?」
「それはそうかもな」
冥王ゾークを倒して授かった魂魄に宿されたいくつかのアクティブスキルとアルティメットスキル。そして、俺は今回黒龍と戦っていく中で成長をしている。黒龍の戦い方もまた独特で、刀の太刀筋やユニークな発想の攻撃。それらを真似すれば必然と新しいアクティブスキルを習得できてもおかしくない。
MP結構消費するけど仕方ない。
「良いだろう。貴様の剣技。受けて立つ」
黒龍はそう言って俺に向けて黒刀を向けてきた。
俺が構えると黒龍は刀を横にして防御態勢に入る。以前なら棒立ちだったのに、今はきちんと警戒している。俺の事を侮っていない証拠だ。
俺が試していない剣のスキル。無双神冥斬。これは神罰空堕からの名残りと、冥王ゾークの剣技を混ぜた為に付けたオリジナルのアクティブスキル。
先程ダメージを与えたと言っても黒龍は避けてしまったので、致命傷を負わせるほどのダメージは与えられていない。しかし技の破壊力は烈冥斬を上回る事は分かっている。分かっているというより直感的にそう感じているだけと言う方が正しい。
刀を鞘に納めて、肩の力を抜いてリラックスする。そして呼吸を整える。
「ほう――」
黒龍はそう言って口元を緩めた。
「これは俺様も油断はできないな」
黒龍がどのようなイメージを受け取ったかは分からないが推測ならできる。俺は黒龍に全身傷だらけの大ダメージを与えるイメージができていた。黒龍は恐らくそれを受け取ったのだと推測できる。
「いくぞ」
「来い」
黒龍のその返事を聞くと俺は大地を蹴り上げて黒紅煉刀を抜刀。神々しい光を刀が纏い1秒で1,000刀繰り出すこのスキルは、普通の相手であれば防御不可能。また、これほど強力なのにアクティブスキルというお手軽さだ。
そしてこのスキルの発動時間は5秒。つまり5,000刀入れる事になる。
黒龍に向けて放ったこの技の斬撃で、辺りの大地は切り刻まれて地形そのものが変わっていた。また、この強力な技の影響が地層プレートにも衝撃が届いていた為か、アードルハイム全体で地震が起きていた。
「どうだ?」
俺がそう問いかける相手の黒龍は、全身血まみれになっており両目が流血していた。
「やるな」
MPをかなり消費したが黒龍にこれほどのダメージを与えることができるのであれば安いものだろう。俺のMPは残り半分程。ミクちゃんの強化のお陰で消費量は抑えることができているから、まだまだ戦えるけど、ミクちゃんがいなければ完全にアウトだな。
「これほどまでとは。俺様は刀だけではなく、全身に身体向上と、硬質化のパッシブスキルを駆使されているにも関わらず、ここまでのダメージを1つのスキルで負わせるとはな」
「それはどうも。褒めてくれて嬉しい限りだ」
実際にこのスキルがいかに強力かを物語っていたのは言うまでもない。黒龍の自動回復と自動再生が異常に遅い。自動再生は失われた体の部位を3秒もあれば元通りになるイカれたパッシブスキル。脳さえ残っていれば失われた頭も、腕も足も目も再生できるスキルだ。また、自動回復は体力や傷を癒すスキルだ。俺達の体力の消耗は激しすぎる上に、戦闘時間が長すぎるので普通の体力面での回復は効果が薄れてきている。その影響もあるのか、黒龍は今の攻撃の修復に1分程はかかりそうだった。
「貴様も同じ苦しみを味わってみろ」
その台詞に背筋が凍るような悪寒が走った。これほど傷だらけの黒龍が一体どんなスキルを発動するのか?
あの時と同じ目をしていた。怨嗟や憎悪と言った感情がこもった恐ろしい目だ。漆黒の炎と禍々しいオーラを纏った黒刀。そして黒龍の全身から放たれているとてつもないパワー。強くなったと思っていた自信が打ちひしがれそうになる――。そう思わせる程の恐怖を植え付けてくるのだ。
俺の予測では自身の痛み――或いは倍に返すなどの効果を含んだ剣技スキルが発動されると推測した。俺はそのとてつもないパワーに圧倒され、震えている手にグッと力を入れた。
そして必死にこう念じる。
臨戦態勢に入らなければ――!
そう思っていた次の瞬間。黒龍が動き始めた。
相手の技を迎撃するスキル――。そう咄嗟に思い浮かんだのが黒絶斬だった。斬ったという結果のみを残す代わりに、自身も同じ苦痛を味わうという諸刃の剣。しかしながら、今弱っている黒龍に対してはかなり有効な筈。そう踏んだ俺は納刀していた黒紅煉刀を抜刀していた。無双神冥斬を上回る神速の攻撃。
「ナリユキ!」
「黒龍!」
互いの名前を呼び合う刀同士の衝突。俺はユニークスキルが中心で銃撃が得意。黒龍は刀ではなく超攻撃特化の遠距離系統のアクティブスキルが得意。
その筈なのに俺達は刀という共通点で戦っている。黒龍は本来であれば、遠距離のアクティブスキル連発で俺を屠る事だって容易な筈だ。その筈が、黒龍は自身で最高の剣技スキルで挑んできている。そんな熱い戦い方をする相手に俺が持つ最高の剣技スキルをぶつけなくてどうする?
いや違う。寧ろこの技でしかこの凶悪すぎる龍に勝てる算段は無い。出すしかないのだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
326
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる