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神との対面Ⅰ
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何やら声が聞こえる。
「いてぇ――」
俺がゆっくりと目を開けると辺りは何も無い白い空間だった。俺と戦っていた筈の黒龍の姿は無い。
「私の能力を使っておきながら無様だな」
「そんなに言わなくてもいいじゃない。ナリユキは頑張ったんだから。というか、元はと言えば貴方が元凶でしょ!?」
そう男性と女性の声がした。一人の男は緑の長い髪を持っている美丈夫だった。額には宝石で作られた額の装飾品。確か名前はフェロニエールってやつだな。神話とかでちょくちょく登場するアレだ。そして。右手には尋常じゃない程のMPを宿している杖を持っていた。端正なルックスと相まって、晒されている上半身は鋼のように強靭な肉体で、強者の風格がにじみ出ていた。
そして、もう一人の女性は本を両手で胸に抱え込んでいた女性だった。黒い眼鏡をかけ、おっとりとした雰囲気を持ち、雪のように白い肌が特徴的な青い着物に身を包んでいる。
二人共、只者ではない異質のオーラがある。それこそ、青龍さんやアスモデウスさん。黒龍のような圧倒的存在感があった。
「アンタ等誰? 俺の名前知っているようだけど。それにここはどこ?」
「質問が多い。ではまず自己紹介からだな。私の名前はブラフマー。神だ」
「私はメーティス。ブラフマーと同じ神です」
――何を言っているんだ――。
「ん? 今メーティスって言った?」
「そうですよ。私とブラフマーは貴方が持つユニークスキルのベースです」
「て、事は俺は夢を見ているって事でいいよな?」
「ん~。ちょっと違いますがそういう事にしておきましょう」
アハハと苦笑を浮かべるメーティス。一方ブラフマーは「困った坊主だ」と小さく揶揄していた。
「坊主。お前は黒龍との戦いで油断して黒滅炎光線が心臓を貫いた。そしてお前は死んだ。だからここにいる。あっちの世界では心肺停止している状態だ」
「……やっぱり俺死んだのか」
なかなか現実を受け止める事ができない。じゃあ何で死んだのにこの人達と会話する事ができているのか? それもまた謎だ。
「アンタ等と話をしている時点で死んだ実感微塵も無いな」
「だろうな。お前がここに来れたのは死んで魂が天に近付いたからだ。君達を見守っている世界に、坊主の魂が近付いたから、こうして顔を合わせることができた」
「――理解するのが難しいな。でもまあこの世界に魂が存在するってのは何となく理解している。俺には冥王ゾークの魂魄が宿っているからな」
「なかなか物分かりがいいじゃないか。まあ黒龍を生んでしまった点については謝らないといけないな。申し訳ない」
そうブラフマーに謝罪された。黒龍を生んだって一体どういう事だよ。
「ん? どういう事だ?」
「ブラフマーはナリユキ君が持つ創造主のベースです。元々、この能力は万物を創造する事ができる能力。黒龍という怪物を生み出したのは、世界に破壊と再生をもたらす為に生み出された龍です。青龍もその一人。つまり、四龍全てはブラフマーが生み出した生物となる訳です」
「おいおい。何て出鱈目なモンを生み出しているんだよ」
「仕方ないだろう。性格とかまでを細かく設定する事はできないからな」
「もういいよ。めちゃくちゃ腹が立つけどな。でも俺はそんな能力使えないぞ? 水や炎。生物と言った類は出せない」
「でも、ナリユキ君は知性・記憶の略奪と献上を持っていますよね? 元々そのスキルはどんな能力でしたか?」
「――そう言えば記憶は奪う事ができなかったな」
ガープから譲り受けたこの能力は、譲り受ける直前に覚醒した――。
「もしかして俺の創造主が覚醒すると……?」
「万物を生み出すことができる。今まで出せなかった水も炎も森も油もな。そして魔物も生み出すができる。まあ、生み出す前に以前よりしっかりとしたイメージが出来ていなければ無理だがな。勿論、細かい性格も設定することはできない」
「なんつーユニークスキルだよ」
「お前が以前の世界でそう願ったから与えられた。決して私達がスキル保有者を選んでいる訳じゃないからな。しかし、せっかくここに来ることができる程の魂レベルがあるんだ。手助けしてやってもいいぞ?」
「手助け?」
「ええ。私からもブラフマーからもナリユキ君にはできるだけ助力したいのです」
「助力って言っても俺死んでいるんだろ?」
「そこは自分次第だ。もう一度胸に手を当てて聞いてみろ。魂がここじゃ終われない! と強く願っている筈だぞ?」
そうブラフマーに言われてハッとした。死んだと言われて受け入れる馬鹿がどこにいる。俺はミクちゃんや皆を守らないといけない。それに黒龍を倒さないといけないんだ。こんなところで油を売っている場合じゃない。
「確かにそうだな。黒龍はまだ生きているんだよな?」
「生憎生きている。流石に重傷を負った事もあり、お前に残念だなと別れを告げて傷を癒すことに専念している」
「ちょっとだけ律儀になったな」
「黒龍はお前に対して敬意を払っていた。お前がそれほど強かった。また、楽しい戦いができた証拠だろう」
「でも死んだら意味が無い。あいつを止めることができない」
「そうだろ? 創造神ブラフマーに会えたのだ。私達はお前達の世界に行くことはできない。お前が黒龍を止めるんだ。あの世界でやりたい事は沢山あるだろう?」
「勿論だ」
俺はそうブラフマーの目を真っ直ぐ見てそう告げた。
「いい瞳」
「いてぇ――」
俺がゆっくりと目を開けると辺りは何も無い白い空間だった。俺と戦っていた筈の黒龍の姿は無い。
「私の能力を使っておきながら無様だな」
「そんなに言わなくてもいいじゃない。ナリユキは頑張ったんだから。というか、元はと言えば貴方が元凶でしょ!?」
そう男性と女性の声がした。一人の男は緑の長い髪を持っている美丈夫だった。額には宝石で作られた額の装飾品。確か名前はフェロニエールってやつだな。神話とかでちょくちょく登場するアレだ。そして。右手には尋常じゃない程のMPを宿している杖を持っていた。端正なルックスと相まって、晒されている上半身は鋼のように強靭な肉体で、強者の風格がにじみ出ていた。
そして、もう一人の女性は本を両手で胸に抱え込んでいた女性だった。黒い眼鏡をかけ、おっとりとした雰囲気を持ち、雪のように白い肌が特徴的な青い着物に身を包んでいる。
二人共、只者ではない異質のオーラがある。それこそ、青龍さんやアスモデウスさん。黒龍のような圧倒的存在感があった。
「アンタ等誰? 俺の名前知っているようだけど。それにここはどこ?」
「質問が多い。ではまず自己紹介からだな。私の名前はブラフマー。神だ」
「私はメーティス。ブラフマーと同じ神です」
――何を言っているんだ――。
「ん? 今メーティスって言った?」
「そうですよ。私とブラフマーは貴方が持つユニークスキルのベースです」
「て、事は俺は夢を見ているって事でいいよな?」
「ん~。ちょっと違いますがそういう事にしておきましょう」
アハハと苦笑を浮かべるメーティス。一方ブラフマーは「困った坊主だ」と小さく揶揄していた。
「坊主。お前は黒龍との戦いで油断して黒滅炎光線が心臓を貫いた。そしてお前は死んだ。だからここにいる。あっちの世界では心肺停止している状態だ」
「……やっぱり俺死んだのか」
なかなか現実を受け止める事ができない。じゃあ何で死んだのにこの人達と会話する事ができているのか? それもまた謎だ。
「アンタ等と話をしている時点で死んだ実感微塵も無いな」
「だろうな。お前がここに来れたのは死んで魂が天に近付いたからだ。君達を見守っている世界に、坊主の魂が近付いたから、こうして顔を合わせることができた」
「――理解するのが難しいな。でもまあこの世界に魂が存在するってのは何となく理解している。俺には冥王ゾークの魂魄が宿っているからな」
「なかなか物分かりがいいじゃないか。まあ黒龍を生んでしまった点については謝らないといけないな。申し訳ない」
そうブラフマーに謝罪された。黒龍を生んだって一体どういう事だよ。
「ん? どういう事だ?」
「ブラフマーはナリユキ君が持つ創造主のベースです。元々、この能力は万物を創造する事ができる能力。黒龍という怪物を生み出したのは、世界に破壊と再生をもたらす為に生み出された龍です。青龍もその一人。つまり、四龍全てはブラフマーが生み出した生物となる訳です」
「おいおい。何て出鱈目なモンを生み出しているんだよ」
「仕方ないだろう。性格とかまでを細かく設定する事はできないからな」
「もういいよ。めちゃくちゃ腹が立つけどな。でも俺はそんな能力使えないぞ? 水や炎。生物と言った類は出せない」
「でも、ナリユキ君は知性・記憶の略奪と献上を持っていますよね? 元々そのスキルはどんな能力でしたか?」
「――そう言えば記憶は奪う事ができなかったな」
ガープから譲り受けたこの能力は、譲り受ける直前に覚醒した――。
「もしかして俺の創造主が覚醒すると……?」
「万物を生み出すことができる。今まで出せなかった水も炎も森も油もな。そして魔物も生み出すができる。まあ、生み出す前に以前よりしっかりとしたイメージが出来ていなければ無理だがな。勿論、細かい性格も設定することはできない」
「なんつーユニークスキルだよ」
「お前が以前の世界でそう願ったから与えられた。決して私達がスキル保有者を選んでいる訳じゃないからな。しかし、せっかくここに来ることができる程の魂レベルがあるんだ。手助けしてやってもいいぞ?」
「手助け?」
「ええ。私からもブラフマーからもナリユキ君にはできるだけ助力したいのです」
「助力って言っても俺死んでいるんだろ?」
「そこは自分次第だ。もう一度胸に手を当てて聞いてみろ。魂がここじゃ終われない! と強く願っている筈だぞ?」
そうブラフマーに言われてハッとした。死んだと言われて受け入れる馬鹿がどこにいる。俺はミクちゃんや皆を守らないといけない。それに黒龍を倒さないといけないんだ。こんなところで油を売っている場合じゃない。
「確かにそうだな。黒龍はまだ生きているんだよな?」
「生憎生きている。流石に重傷を負った事もあり、お前に残念だなと別れを告げて傷を癒すことに専念している」
「ちょっとだけ律儀になったな」
「黒龍はお前に対して敬意を払っていた。お前がそれほど強かった。また、楽しい戦いができた証拠だろう」
「でも死んだら意味が無い。あいつを止めることができない」
「そうだろ? 創造神ブラフマーに会えたのだ。私達はお前達の世界に行くことはできない。お前が黒龍を止めるんだ。あの世界でやりたい事は沢山あるだろう?」
「勿論だ」
俺はそうブラフマーの目を真っ直ぐ見てそう告げた。
「いい瞳」
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