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カルベリアツリーのダンジョン最後の挑戦Ⅴ
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「デアは自分が何をされたのか覚えているのか?」
俺は立ち上がるデアを眺めながらそう問いかけた。
「うん。一応ね。でもデアという名前は本当の名前じゃないの。私もアナタ達と同じ転生者。ただ、コヴィー・S・ウィズダムの実験によって私は前の世界の記憶を失った。その代わりに永遠の命と永遠の若さを手に入れたけどね」
「成程。色々と複雑そうだな――少し頭に触れてもいいか?」
「何をする気?」
「君の記憶を俺に共有してほしいんだ」
「知性・記憶の略奪と献上ね。いいわ」
そして俺はデアの頭に触れて知性・記憶の略奪と献上を発動。流れ込んでくるデアの記憶は、龍族、魔族、森妖精族以外にも様々な魔物のDNAが組み込まれているようだった。これはあくまで予測にはなるが、デアの実験を経て完成したのがワイズだ。あの人の事だ。他にも様々な交配種の新種の生物を生み出しているだろうけど、デアがコヴィー・S・ウィズダムの実験の全てと言っても過言では無かった。
「ねえ博士。私のような人々を生み続けるの?」
「そうだ。私も君と同じようにこの体を永遠のモノにし、人類の新たなる可能性にかけたいのだ」
俺が見ている記憶は水槽の中にいるデアと、デアの視界に映っているのは、年老いたコヴィー・S・ウィズダムだった。アヌビスの記憶で視た彼と随分違う。
「それは嘘ね。私は転生者なんでしょ? それでも私は転生した時から病気を患っていて、この世界での余命もあと一年も無かった。そんな時に博士は私を見つけてくれて、博士は私に永遠の若さと命を授けてくれた。それについては感謝をしているわ。けど、私のように博士の実験を望んでない人もいるの。貴方がやっている事は犯罪者と同じよ」
デアはそう冷たく言い放った。それに対してコヴィー・S・ウィズダムは不服な表情を浮かべていた。
「お互いにメリットしか無い筈だが?」
「それは私と博士の話でしょ? 私は上手くいったかもしれないけど、他の人は次々と死んでいるじゃない。私が起きている時、世界の全てを視る事が出来ているのよ? 博士の非道は見過ごす訳にはいかない」
「面白い事を言うようになったなデアよ。しかし現段階で君はそこから出ることはできない。龍族、魔族、森妖精族の血に君の体が馴染んでいないのに、その生命の水から出てしまえば、君は数時間で命を落とすことになるのだぞ? 君がどれだけ強力な力を持っていようと私に逆らう事ができないのだ」
そう突き放されたコヴィー・S・ウィズダムの言葉にデアは心底自分の無力さを感じていた。
「これ以上話をしていても無駄だな。長い眠りにつくといい」
コヴィー・S・ウィズダムはそう言ってボタンを押した。流石にこの時はパソコンで制御している訳では無く、複雑な制御盤のようなモノでデアのこの水槽を管理していたようだ。
「成程な」
俺がそう呟くとミクちゃんが「どう?」って聞いてきた。
「まあ少しだけ情報を得れたかな。デア、俺水槽から出してしまったけど大丈夫か?」
「それは大丈夫よ。それより博士は――」
デアはそう言いかけた時、一瞬だけ目を瞑った。
「博士を追いたい気持ちはあるけど、今はこの龍のほうが先ね」
「黒龍が今、どんな被害を出しているのか知らなかったのか?」
「ええ。私は数百年間ずっと眠っていたもの。その間、世界がどうなっているか何て事は知らなかったわ。けど、今なら分かる。黒龍を野放しにしておく訳にはいかないわね」
「そういう事だ。けど黒龍がどこにいるのか分かったのか?」
「いえ。どこかの国の惨状が視れているだけよ」
「それって天眼の千里眼か?」
「少し違うわ。今、ステータスを視ながら必死にスキルを見つけようとしていると思うけど、これも私の特性なの。因みに他の特性だと魔真王も使えるわよ」
「凄いな――めちゃくちゃ」
コヴィー・S・ウィズダム目線だとデアは最高傑作なんじゃないだろうか? だとしたら奴はいずれここのダンジョンに来て、デアを迎えに来るのではないだろうか?
そう考えると益々ここにいていたら危険だな。記憶を視た感じではデアはコヴィー・S・ウィズダムの事を良く思っていないようだし。
「デア、もしよかったら俺達と一緒に来てくれないか?」
俺がそう言うと、デアは神妙な顔つきになっていた。
「でも、私は貴方達を信用できていないわ。足手まといになられては困るからね」
「どうしたら信用してくれる?」
「勿論、私と戦って私が満足出来たら貴方達について行ってもいいわ」
「つまり俺と戦いたいと?」
「そういう事ね」
デアと戦うのか――。相当手強いからあんまり気が進まないけど仕方ない――。
「いいだろう。受けて立とう」
「そうこなくちゃ」
デアはニッと笑みを浮かべると、俺に向かって魔刀と神樹の宝刀を振りかざしてきた。いきなりMPを大量に消費するアクティブスキルを二つも繰り出してくるとは――。
「嬉しいね。全力ってやつか」
俺は黒紅煉刀でデアの魔刀と神樹の宝刀を受け止めた。
俺は立ち上がるデアを眺めながらそう問いかけた。
「うん。一応ね。でもデアという名前は本当の名前じゃないの。私もアナタ達と同じ転生者。ただ、コヴィー・S・ウィズダムの実験によって私は前の世界の記憶を失った。その代わりに永遠の命と永遠の若さを手に入れたけどね」
「成程。色々と複雑そうだな――少し頭に触れてもいいか?」
「何をする気?」
「君の記憶を俺に共有してほしいんだ」
「知性・記憶の略奪と献上ね。いいわ」
そして俺はデアの頭に触れて知性・記憶の略奪と献上を発動。流れ込んでくるデアの記憶は、龍族、魔族、森妖精族以外にも様々な魔物のDNAが組み込まれているようだった。これはあくまで予測にはなるが、デアの実験を経て完成したのがワイズだ。あの人の事だ。他にも様々な交配種の新種の生物を生み出しているだろうけど、デアがコヴィー・S・ウィズダムの実験の全てと言っても過言では無かった。
「ねえ博士。私のような人々を生み続けるの?」
「そうだ。私も君と同じようにこの体を永遠のモノにし、人類の新たなる可能性にかけたいのだ」
俺が見ている記憶は水槽の中にいるデアと、デアの視界に映っているのは、年老いたコヴィー・S・ウィズダムだった。アヌビスの記憶で視た彼と随分違う。
「それは嘘ね。私は転生者なんでしょ? それでも私は転生した時から病気を患っていて、この世界での余命もあと一年も無かった。そんな時に博士は私を見つけてくれて、博士は私に永遠の若さと命を授けてくれた。それについては感謝をしているわ。けど、私のように博士の実験を望んでない人もいるの。貴方がやっている事は犯罪者と同じよ」
デアはそう冷たく言い放った。それに対してコヴィー・S・ウィズダムは不服な表情を浮かべていた。
「お互いにメリットしか無い筈だが?」
「それは私と博士の話でしょ? 私は上手くいったかもしれないけど、他の人は次々と死んでいるじゃない。私が起きている時、世界の全てを視る事が出来ているのよ? 博士の非道は見過ごす訳にはいかない」
「面白い事を言うようになったなデアよ。しかし現段階で君はそこから出ることはできない。龍族、魔族、森妖精族の血に君の体が馴染んでいないのに、その生命の水から出てしまえば、君は数時間で命を落とすことになるのだぞ? 君がどれだけ強力な力を持っていようと私に逆らう事ができないのだ」
そう突き放されたコヴィー・S・ウィズダムの言葉にデアは心底自分の無力さを感じていた。
「これ以上話をしていても無駄だな。長い眠りにつくといい」
コヴィー・S・ウィズダムはそう言ってボタンを押した。流石にこの時はパソコンで制御している訳では無く、複雑な制御盤のようなモノでデアのこの水槽を管理していたようだ。
「成程な」
俺がそう呟くとミクちゃんが「どう?」って聞いてきた。
「まあ少しだけ情報を得れたかな。デア、俺水槽から出してしまったけど大丈夫か?」
「それは大丈夫よ。それより博士は――」
デアはそう言いかけた時、一瞬だけ目を瞑った。
「博士を追いたい気持ちはあるけど、今はこの龍のほうが先ね」
「黒龍が今、どんな被害を出しているのか知らなかったのか?」
「ええ。私は数百年間ずっと眠っていたもの。その間、世界がどうなっているか何て事は知らなかったわ。けど、今なら分かる。黒龍を野放しにしておく訳にはいかないわね」
「そういう事だ。けど黒龍がどこにいるのか分かったのか?」
「いえ。どこかの国の惨状が視れているだけよ」
「それって天眼の千里眼か?」
「少し違うわ。今、ステータスを視ながら必死にスキルを見つけようとしていると思うけど、これも私の特性なの。因みに他の特性だと魔真王も使えるわよ」
「凄いな――めちゃくちゃ」
コヴィー・S・ウィズダム目線だとデアは最高傑作なんじゃないだろうか? だとしたら奴はいずれここのダンジョンに来て、デアを迎えに来るのではないだろうか?
そう考えると益々ここにいていたら危険だな。記憶を視た感じではデアはコヴィー・S・ウィズダムの事を良く思っていないようだし。
「デア、もしよかったら俺達と一緒に来てくれないか?」
俺がそう言うと、デアは神妙な顔つきになっていた。
「でも、私は貴方達を信用できていないわ。足手まといになられては困るからね」
「どうしたら信用してくれる?」
「勿論、私と戦って私が満足出来たら貴方達について行ってもいいわ」
「つまり俺と戦いたいと?」
「そういう事ね」
デアと戦うのか――。相当手強いからあんまり気が進まないけど仕方ない――。
「いいだろう。受けて立とう」
「そうこなくちゃ」
デアはニッと笑みを浮かべると、俺に向かって魔刀と神樹の宝刀を振りかざしてきた。いきなりMPを大量に消費するアクティブスキルを二つも繰り出してくるとは――。
「嬉しいね。全力ってやつか」
俺は黒紅煉刀でデアの魔刀と神樹の宝刀を受け止めた。
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