世界樹の下で

瀬織董李

文字の大きさ
17 / 51

二度目の転機①

しおりを挟む
「……というのが、顛末だ」

「……はぁ」

 ていうか、なんで私がこんなとこに呼ばれて、聖女騒動の顛末聞かされてるんだろ。

 聖女様が追い出される様に出立してから、たった半年で帰ってきたと噂話で聞いた翌日。いつもの様に畑仕事に邁進していた私は、何故か突然宰相様の呼び出しを受けた。

 王宮へやって来た時だって面談したの大臣さんだったのに、宰相様なんて国の最高家臣でしょ?まるで呼び出される心当たりがない。なにかヘマやってクビとか?だとしてもそれをわざわざ宰相様から宣告される筋合いないしなあ。私が転生者だっていうのは、誰にも、親や兄弟にだって話したことないし。

 ビクビクしながらメイドさんの案内で執務室へ向かい、部屋を警護する騎士さんに名前を告げると中へ通され、いつぞやを彷彿させる高級っぽいソファで待つこと暫し。現れた宰相様は予想よりも随分と若かった。

 なんでも、聖女騒動で聖女様の取り巻きだった子息達の父親が引責辞任したらしく、宰相位は副宰相様が昇格したんだそうだ。

「聖女はただその場に居れば良いという訳ではない。こちらの勝手で世界を救えと異界から見知らぬ地へたった一人で召還された、年端もいかぬ少女のその心細さを思えば、と望むものを望むだけ与えたが、あの聖女の欲は止まるところを知らなかった。なにせこの一年で国家予算に匹敵する金が、聖女の為に消えたからな。世界樹を救えるのなら、と我慢もしたが、何もせずに利益だけ享受するなら聖女などいても害悪にしかならない。教会からは反対の声もあったが、これは神の試練だ、と適当な理由を付けて放逐したという訳だ」

 ぐえ。なにやってんの聖女様。

「で、でも帰って来たんですよね?聖女様達」

「ああ。だが、帰ってきた、というのは間違いだ。旅の資金にと渡した、贅沢せねば六人で一月は保つ金子をあっという間に使い果たし、どうにもこうにもいかなくなった奴らが選んだのは、旅人を襲って金品を奪う野盗に成り下がる事だったからな」

「は、はあぁっ!?」

 いや、ホントマジでなにやってんの聖女様と攻略対象達。

「なにせ奴らは順当ならば国の要職に付けるだけの実力はあったからな。魔法を使ってくる少人数の野盗が出ると商人ギルドから訴えがあり、ならばと騎士団を出動させて捕らえてみれば、奴らだったという訳だ。この国では野盗は基本極刑。多額の保釈金を納めた場合にのみ減刑もあり得るが、恐らく皆除籍されているだろうから、そのまま刑が執行されるだろうな」

 あーあ。乙女ゲーム台無しじゃん。誰がそんなストーリー喜ぶのよ。やっぱりここがゲームの世界そのものだと思ってたのかな?なんでも、何をやってもやらなくても自分の思い通りになる、って。

「でも、何故帰ってきた事に?」

 そのまま行方不明にしとけば良かったんじゃないのかな?後腐れないし。

「確かに出来ればそうするのが最善なのだろうが、行方不明のまま次を行かせる訳に行かないからな。聖女が旅に出ているのに何故、と教会が騒ぎそうだ。騎士団に箝口令を敷き、奴らは捕らえたのではなく、旅の途中で野盗に捕まっていた所を救出、そのまま役目を放棄し騎士団と共に帰還した事にした。まあ、今後奴らは順当に病死、聖女は教会で生涯奉仕タダ働きだな」

 ……oh……超絶嫌な予感。

「えと、それって私が聞いても大丈夫な話……ですよね?」

「いや?不味い話だな」

 ニヤリ、と宰相様は意地の悪い笑みを浮かべた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

正しい聖女さまのつくりかた

みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。 同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。 一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」 そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた! 果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。 聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)

ラララキヲ
ファンタジー
 乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。  ……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。  でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。 ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」  『見えない何か』に襲われるヒロインは──── ※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※ ※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※ ◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

悪役女王アウラの休日 ~処刑した女王が名君だったかもなんて、もう遅い~

オレンジ方解石
ファンタジー
 恋人に裏切られ、嘘の噂を立てられ、契約も打ち切られた二十七歳の派遣社員、雨井桜子。  世界に絶望した彼女は、むかし読んだ少女漫画『聖なる乙女の祈りの伝説』の悪役女王アウラと魂が入れ替わる。  アウラは二年後に処刑されるキャラ。  桜子は処刑を回避して、今度こそ幸せになろうと奮闘するが、その時は迫りーーーー

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

処理中です...