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これから始まる冒険 6章
11話 クラーケン…なのか?
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『ジャポン』
今度こそ、水の中にはいった感覚が満載の効果音が聞えた。
海の中は…
「綺麗ですね!」
この言葉が、今の気持ちを表現してくれた。
だが、これは今の気持ちの半分を占めているといっていいだろう。
…確かにこの景色は絶景と言うべきであろう。
綺麗な魚たちや、色とりどりのサンゴ…。
幻想的なことこの上ない。
…でもさ、今注目すべきところはそこではない。
何故なら、目の前でうねってるからだ。
…何が?そりゃぁ…イカの足がだ。
「…ええっと…?雅人?これは…イカなのか?」
「…じゃない?僕戻るから颯一人で楽しみなよ…」
そう言って戻ろうとする雅人に一言声をかける。
「…じゃあ、報酬は俺のものになるけどいい?」
そう言うと、
「あれ~?おっかしいな~どうしちゃったんだろなー。さあ!行くぞ!」
と、先陣を切って走り出した。
…この場合は泳ぎだした…かな?
「あ!ちょっと待ってください!」
そう言いながら、ジルがついていく。
……ん?
「おい!ほってくな!」
大声で叫ぶ。
「颯が遅いのが…わ、るい…は?」
俺の大声に反応してしまったのかは分からないが、クラーケンがのそりと動いた。
そして…
「あ、足が…」
俺らに…いや、俺に向かってだ。
足の一本が…つっこんできた。
「や、やばい!」
そう言って、逃げようとするがここは海の中。動きが鈍くなる。
その代わり、イカの足は速い速い…
…俺死亡フラグたっちゃった?
足をひっつかまれた。
「颯!」
雅人が叫ぶのと同時に、クラーケンの目の前へと引っ張られた。
グインといった感じで、水の中をすごいスピードで動いた。
クラーケンと目が合う。
「お願いだから…やめてくれない?」
最後の頼みとして言ってみる。
…いわゆる命乞いだ。
イカに向かってというのが最大の屈辱だが…。
…あぁ…、マルク…ごめんよ…
雅人も…ごめ
俺の思考が途切れた。
…突然だが、君に聞いてみる。
しゃべるイカってさ、この世にいると思うかい?
『…おぬし…、海魚語が使えるのか?』
「へ?」
かかかかか、海魚語???
なんだそりゃ???
…って!
「あの~、喋れるの?」
『アッハッハッハ!ついに人間まで喋れるとな!…そこの二人は喋れるのか?』
会話が成立しない…
……もしかして、魔法か?
言語理解の魔法は常時使っているが、この魔法に命を救われるとは思わなかった。
「ええっと…、俺の場合は魔法を使っていまして…、二人にもかければ喋れると…」
『む?…そんな魔法がこの世に存在しておったのか?』
「えぇっと…俺はもらったんですよ、神様?から…」
まあ、今となってはホントに神なのかすら疑わしいけど…。バカすぎて。
『……聞いてもよいかの?』
「はい?」
『もしやその神とは…マリーか?』
「ええ!?!?知っているのですか?!」
知名度が結構あるんだな…。
『……やはりか?やはりなのか…すまんのう…。どうせ、つまらぬミスのせいなどというのだろう…?』
悪評かよ!
「え?あ、はい…」
『マリーはのう…、我の旧友のディフセの部下なのじゃよ…』
「ええ!…そんな偉い人と仲いいのに…なんで海を荒したりなんか…?」
といったとたん、周りの温度が下がった気がした。
『…荒らしてなどおらぬ。むしろ、おぬしらの方であろう?荒らしておるのは…』
「いえ、俺たちが来たのはついさっきなので、関係ないと思います」
ここは、きっぱりとしておいた方がいいだろう。
『……。ま、まあよい。分かった、おぬしらが関係ないのは認める。だが、ここら辺りに住んどる人たちはのう…』
「騒音やごみ。魚の取り過ぎなどですか?」
『まあのう…、そこら辺りが原因と言えよう。我が来た時など、もうこの辺りは最悪であった』
…まあ、この問題は地球でも同じだ。
でも、
「でも、この問題を解決しようとしている人もいるはずですよ」
『何の根拠をもって言っておるのじゃ?』
「根拠は…ないです。でも、俺達がそういう人たちを作って見せますよ」
…あてはいくらでもある。
『なるほどのう…では、若者の心を信じてみるとするかのぉ…』
「どうして、そんな簡単に…?」
『…なぁに。年寄りの願いじゃよ…』
……?
「…じゃあ、船を壊したりするのはやめていただけたら嬉しいですよ」
『もちろんそのつもりじゃよ』
ニコリと笑ったような気がした。
…顔が顔だから、気だけなんだけど…。
「あ、そういえば…ちょっと前にこの海を通った船…なんで通したのですか?」
『……あやつは…かかわらぬ方がいい』
「え?どうして…」
『あれは、悪魔じゃ…もしかしたら、それ以上かもしれぬ』
「え?」
『あまり近寄らぬことを進めるぞ?』
俺は、それ以上聞けなかった。
この、バケモノのようなクラーケンさえもがそういうのだ。
…俺達は、何かとんでもないことに足を突っ込んでしまったのではないのだろうか…?
「じゃあ、もうそろそろ戻りますね?」
『あぁ、気を付けてのう…』
そう言って、手を振りながら雅人達の元へともどった。
「ちょ、颯?!大丈夫なの?」
「いや~、すっかり話し込んじゃって…」
「話すって…あのクラーケンとですか?!?!」
「あ、そうそう…、魔法使ったら何とかなった!」
「あはは…すごいね(乾いた笑しか出てこないんだけど!?)」
「それに、やめてくれるってさ!」
「おぉ!交渉成立だね!」
雅人とハイタッチをする。
息ぴったりだ。
「よし、まだまだしなくちゃいけないことも増えたし戻るか!」
「はい!」
「オッケー!」
____________________________________________
最後までお読みいただきありがとうございます。
すいません。かなり更新がおくれましたね。
前回同様、誤字・脱字などがあれば感想を通じてお知らせください。
これからもよろしくお願いします。
今度こそ、水の中にはいった感覚が満載の効果音が聞えた。
海の中は…
「綺麗ですね!」
この言葉が、今の気持ちを表現してくれた。
だが、これは今の気持ちの半分を占めているといっていいだろう。
…確かにこの景色は絶景と言うべきであろう。
綺麗な魚たちや、色とりどりのサンゴ…。
幻想的なことこの上ない。
…でもさ、今注目すべきところはそこではない。
何故なら、目の前でうねってるからだ。
…何が?そりゃぁ…イカの足がだ。
「…ええっと…?雅人?これは…イカなのか?」
「…じゃない?僕戻るから颯一人で楽しみなよ…」
そう言って戻ろうとする雅人に一言声をかける。
「…じゃあ、報酬は俺のものになるけどいい?」
そう言うと、
「あれ~?おっかしいな~どうしちゃったんだろなー。さあ!行くぞ!」
と、先陣を切って走り出した。
…この場合は泳ぎだした…かな?
「あ!ちょっと待ってください!」
そう言いながら、ジルがついていく。
……ん?
「おい!ほってくな!」
大声で叫ぶ。
「颯が遅いのが…わ、るい…は?」
俺の大声に反応してしまったのかは分からないが、クラーケンがのそりと動いた。
そして…
「あ、足が…」
俺らに…いや、俺に向かってだ。
足の一本が…つっこんできた。
「や、やばい!」
そう言って、逃げようとするがここは海の中。動きが鈍くなる。
その代わり、イカの足は速い速い…
…俺死亡フラグたっちゃった?
足をひっつかまれた。
「颯!」
雅人が叫ぶのと同時に、クラーケンの目の前へと引っ張られた。
グインといった感じで、水の中をすごいスピードで動いた。
クラーケンと目が合う。
「お願いだから…やめてくれない?」
最後の頼みとして言ってみる。
…いわゆる命乞いだ。
イカに向かってというのが最大の屈辱だが…。
…あぁ…、マルク…ごめんよ…
雅人も…ごめ
俺の思考が途切れた。
…突然だが、君に聞いてみる。
しゃべるイカってさ、この世にいると思うかい?
『…おぬし…、海魚語が使えるのか?』
「へ?」
かかかかか、海魚語???
なんだそりゃ???
…って!
「あの~、喋れるの?」
『アッハッハッハ!ついに人間まで喋れるとな!…そこの二人は喋れるのか?』
会話が成立しない…
……もしかして、魔法か?
言語理解の魔法は常時使っているが、この魔法に命を救われるとは思わなかった。
「ええっと…、俺の場合は魔法を使っていまして…、二人にもかければ喋れると…」
『む?…そんな魔法がこの世に存在しておったのか?』
「えぇっと…俺はもらったんですよ、神様?から…」
まあ、今となってはホントに神なのかすら疑わしいけど…。バカすぎて。
『……聞いてもよいかの?』
「はい?」
『もしやその神とは…マリーか?』
「ええ!?!?知っているのですか?!」
知名度が結構あるんだな…。
『……やはりか?やはりなのか…すまんのう…。どうせ、つまらぬミスのせいなどというのだろう…?』
悪評かよ!
「え?あ、はい…」
『マリーはのう…、我の旧友のディフセの部下なのじゃよ…』
「ええ!…そんな偉い人と仲いいのに…なんで海を荒したりなんか…?」
といったとたん、周りの温度が下がった気がした。
『…荒らしてなどおらぬ。むしろ、おぬしらの方であろう?荒らしておるのは…』
「いえ、俺たちが来たのはついさっきなので、関係ないと思います」
ここは、きっぱりとしておいた方がいいだろう。
『……。ま、まあよい。分かった、おぬしらが関係ないのは認める。だが、ここら辺りに住んどる人たちはのう…』
「騒音やごみ。魚の取り過ぎなどですか?」
『まあのう…、そこら辺りが原因と言えよう。我が来た時など、もうこの辺りは最悪であった』
…まあ、この問題は地球でも同じだ。
でも、
「でも、この問題を解決しようとしている人もいるはずですよ」
『何の根拠をもって言っておるのじゃ?』
「根拠は…ないです。でも、俺達がそういう人たちを作って見せますよ」
…あてはいくらでもある。
『なるほどのう…では、若者の心を信じてみるとするかのぉ…』
「どうして、そんな簡単に…?」
『…なぁに。年寄りの願いじゃよ…』
……?
「…じゃあ、船を壊したりするのはやめていただけたら嬉しいですよ」
『もちろんそのつもりじゃよ』
ニコリと笑ったような気がした。
…顔が顔だから、気だけなんだけど…。
「あ、そういえば…ちょっと前にこの海を通った船…なんで通したのですか?」
『……あやつは…かかわらぬ方がいい』
「え?どうして…」
『あれは、悪魔じゃ…もしかしたら、それ以上かもしれぬ』
「え?」
『あまり近寄らぬことを進めるぞ?』
俺は、それ以上聞けなかった。
この、バケモノのようなクラーケンさえもがそういうのだ。
…俺達は、何かとんでもないことに足を突っ込んでしまったのではないのだろうか…?
「じゃあ、もうそろそろ戻りますね?」
『あぁ、気を付けてのう…』
そう言って、手を振りながら雅人達の元へともどった。
「ちょ、颯?!大丈夫なの?」
「いや~、すっかり話し込んじゃって…」
「話すって…あのクラーケンとですか?!?!」
「あ、そうそう…、魔法使ったら何とかなった!」
「あはは…すごいね(乾いた笑しか出てこないんだけど!?)」
「それに、やめてくれるってさ!」
「おぉ!交渉成立だね!」
雅人とハイタッチをする。
息ぴったりだ。
「よし、まだまだしなくちゃいけないことも増えたし戻るか!」
「はい!」
「オッケー!」
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すいません。かなり更新がおくれましたね。
前回同様、誤字・脱字などがあれば感想を通じてお知らせください。
これからもよろしくお願いします。
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