目覚めなくていい才能に目覚めた男が、兄の歴代α彼氏たちをレイプし雌に変えてゆくお話

雷尾

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人の男を欲しがる義兄と終わってる家族たち

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 人生という名の歯車が高速で動き出し、あっという間に狂い散らかしながら理性というタガと共に、どこかに転げ落ちてしまったのはいつ頃からだろうか。

「あっ♡あっ♡やぁん♡ そこ、気持ちいい♡」

「ああくそ、何でこんなにエロいんだよお前は♡ 出すぞ!」

「やぁあっ♡ ナカ、だめぇっあっあっあん♡」

 涼し気なグラスに入った麦茶の中でカランと解ける氷の音……などという古き良き日本の夏はとうの昔に終わりを告げている。
灼熱か熱帯雨林かと見紛わんばかりの気候である令和の日本で、八月の気温と湿度よりも暑苦しい雄と雌、いや雄αと雄Ωの粘膜の擦り合いを繰り広げているのは、本作の主人公C崎ハヤタの義兄であるC崎美亜と、そしてハヤタの親友で密かな想い人であったはずのタカノブだった。

 α、β、Ω……オメガバースのこの世界では男女という性別の他に、さらに第二の性で枝分かれしている。
αは社会的に優位な性とされており、フィジカルや頭脳などのあらゆる能力が高いとされている。能力面の他、彼らにはフェロモンというものが存在し、これはΩと番と呼ばれる関係を結ぶための道しるべにもなるが、威圧として他者を牽制、時には攻撃するためにも用いられる。

 βは一般層であり、世界で最も人口が多い。βにもαに負けず劣らず優秀な者もいるが、αとの明確な差は、フェロモンの有無と言えるだろう。
 戦いの場でαとβが対峙をすれば、やはり彼らにとってαのフェロモンは脅威となるだろう。

 Ωは三カ月に一度やってくるヒートと呼ばれる発情期や、βの雄やαを惑わすフェロモンの放出により、長い事歴史上社会的弱者とされてきた。
か弱く、儚げで、そして性の捌け口や子を産むための道具とされてきた黒い歴史は、ヒートの抑制剤の開発や人権の擁護などによって徐々に過去のものへと変わりつつある。

 しかし、実のところΩの守ってやりたくなるような儚げさとフェロモンは、自然界に置いて強いαを手中に収めるための生存戦略でもあり、その心根は案外強かでずる賢い者も多い。例えばハヤタの義兄、美亜のように。

「……ハヤタ」

「きゃっ」

 わざとらしく可愛い悲鳴を上げる美亜は無視し、ハヤタはずかずかと情交の熱がまだこもっているむせ返るような瘴気もといフェロモンを放つ部屋へ踏み込むと、そのまま窓をガラリと開けて空気の入れ替えをした。
 野球部の声出しだろうか、遠くから聞こえる音は吹奏楽の練習か、青春の一ページといった夏の風と共に流れてくる爽やかな音たちは、どこか非現実的で今の三人とは縁遠かった。

「……色々言いたい事はあるが、ここは俺の部屋だ」

「えっ……?」

 小奇麗なアパートは、ハヤタが数週間前に借りた彼の部屋だ。
 知らずに連れ込まれた気まずそうな幼馴染の顔も、見かけ上だけ恥ずかし気にタオルケットで身体を隠す愚兄も、ハヤタの光が失われた両の眼を見て「これはまずい」と判断はついたようだ。

 ハヤタはβだった。178㎝と日本人男性としては長身で、スラリとした体形と男らしくも色白でどこか色香を放つ風貌、黒髪に黒い瞳の容姿は誰が見ても「美しい」と思う程で、Ωと見紛われることも多々あった。
 しかしその内面は儚さとはかけ離れており、そこら辺の戦闘民族よりも好戦的で土佐犬のように気性が激しい。

 反対に義兄となる美亜は、160㎝前半の一般的な男性としては小柄なほうで、つぶらな瞳や少しだけ癖のある巻き毛、ミルクブラウンの軽い髪色やヘーゼルナッツ色の瞳は庇護欲を煽る。外見だけは誰もが小動物のような愛くるしさを覚える、そんなΩらしいΩだった。

「……死ね」

 瞬間、愚兄と幼馴染は炎天下の最中、ハヤタによって裸のまま外に追い出された。靴下と靴、そして財布を持たせてやった自分はなんて優しいのだろうと冷たい心の内でぼんやり思いながら。

「開けて!ごめんなさいハヤタ君、開けてください!!せめて服を!」

「ちょっと、何すんの!!開けてよ!」

 馬鹿たちが騒ぎ立てれば騒ぎ立てるほど、そこからはなんだなんだと外野と野次馬がやって来る。ついでに勤勉なポリスもやってきたようで、ハヤタは「部屋に何者かが忍び込み、剰えいかがわしいことをしていたので追い出した」と説明をした。

「母さん、義父さん」

「……」

 一人暮らしのC崎ハヤタの家に呼び出されたのはハヤタの実の母……生物学的には男性のΩであるC崎ノウラと、そんな彼と再婚したαの男、ハヤタの義父であるC崎正雄だ。
 両親によって警察から引き取られた美亜は正雄の連れ子であり、ハヤタと血は繋がっていない。

「何故、義兄さんに俺の家の鍵を渡したんですかね」

「その……美亜ちゃんがハヤタに会いたいって寂しがっていたから」

 実の息子を「ちゃん」付けで呼ぶのは父親の正雄だ。今は亡き妻との忘れ形見を異様なほどに溺愛しており、子供の頃の「大きくなったらパパのお嫁さんになる」を成人しても地で行くほどに、美亜と正雄の距離感はバグっている。

 初めてハヤタが美亜と遭遇もとい初顔合わせをした時、幼き義兄は「パパは美亜のダーリンなの」と正雄の腕に絡みつきながら悍ましくも愛くるしい台詞をさらりと吐き、父親である正雄も満更でもない様子だった。
 幼いながらに「この親子はだめだ」と自身の家庭環境が恵まれていないことを瞬時に察し、一切の希望を抱くことなかったハヤタは、やはり聡明な子だったのだろう。

「毎回毎回まいっかい……!人の部屋をホテル代わりに使われる息子の気持ちが貴方にわかります? 誰が掃除をすると思ってんだ?俺だよ。誰が不審者だと思ってビビりながら対応していると思ってんだ、俺だよな……それに!」

 ハヤタはその先の言葉をぐっと飲み込むと、愚かな家族から瞬時に目を逸らす。
 先ほど美亜が連れ込んだのは、ハヤタが小学生の頃からの親友で、最近淡くも切ない恋心を自覚したばかりのαだった。

 βとαの恋なんて不毛だと、ハヤタは早々に希望を捨てようとはしたが心の整理はそうすぐについてくれることもなく、長い片思いが始まった。それなのに、目の前の化け物こと認めたくもない義兄は、そんなハヤタの心を踏みにじるような真似をいともたやすく行う。

「あ、もしかしてハヤタくんさぁ、タカノブの事好きだった?なんかごめんね……」

「そうだったのかハヤタ。でもβとαなんて不毛なんだから諦めなさい」

「は?」

 古き悪きαの考えを煮詰めたような正雄は「生産性がない」とハヤタの気持ちを踏みにじった。怒りのあまり視界が真っ赤に燃え上がりそうなほどのハヤタが母親に目線を向けると、ノウラは居心地が悪そうにそっとハヤタから目を逸らす。

 ノウラは外国人の母と、恐らく日本人であろうαの間に生まれた子で、ノウラの母はαにレイプされてノウラを産んだ。
 望まない妊娠であったにも関わらず母、つまりはハヤタの祖母はノウラを懸命に育てたが、彼女は彼女でΩの悪いところが前面に出ていた気の毒な人だった。

 元々の性質なのだろうか、それとも強いヒートによるものだろうか。彼女は判断力が人より無く、か弱く、そして誰かに頼らないと生きていけないΩだった。
 彼女はうまくかなり年の離れた成金の後妻に収まり、ノウラを育てることができたが、ノウラもまた母の生き方をなぞらえるようにして、行きずりのαにヤリ捨てられた過去がある。

 その時に孕んだ子がハヤタであり、彼も堕胎という道は考えられなかったようだ。
子を抱えたノウラはやはり自身の母親と同じように懸命にαを探し求め、美形で金持ちだが性格に難があり過ぎる正雄に縋りつき、結婚にこぎつけたというわけだ。
当時、ハヤタと美亜はまだ小学生だった。

「……不毛?」

 激昂したハヤタはそのまま眩暈に見舞われ、この世の地獄みたいな家族の前で不覚にも意識を失った。終わっているファミリーとは言え、流石に人命救助の知識はあったのだろうか、彼は無事救急車に搬送され、そしてやってきた病院にて衝撃の事実を突きつけられる。
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