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第4章
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「あ……っ、あん…っ、ンっ……!」
リビングにそんな声が響く。崇弘の指は、沙樹の中に入ってくる。
「タ、タカちゃ……、ダ、ダメ…っ」
顔を真っ赤にして抵抗を試みる。だが崇弘は沙樹を離さない。
「タカ……ちゃ……ん、んん……っ」
くちゅくちゅと、なんとも恥ずかしい水音が沙樹を更に辱しめる。
「あ…、も……、ダメ…ぇ……」
立っていられなくなった沙樹は、足をガクガクさせて力が抜けるように崩れていく。沙樹の中から指を抜き、しっかりと抱きかかえた。
「可愛い」
なにも話せなくなってる沙樹を抱き上げて、寝室へと向かった。
「あ、……ア、んんっ、あぁ……っ」
ベッドの上で崇弘は沙樹を何度も抱いた。
◇◇◇◇◇
「もうっ、信じられない!」
時刻は9時半。10時には出なきゃいけないと言っていたのに、こんな時間になってしまったことを怒っていた。そもそも朝からそんなことをするなんてと、沙樹は怒っていた。
「ゴメン、ゴメン」
謝ってくるが、沙樹は崇弘の腕をするりと躱し、バスルームへと駆け込んでいく。
バタバタと身支度を整える沙樹を見て、崇弘はまずかったなという顔をする。
「もう出るけど!」
素早く身支度を終えた沙樹は、崇弘に向き直る。
「あぁ、分かった」
崇弘は答えて立ち上がった。
◇◇◇◇◇
「はぁ…、間に合った……」
バイト先のカフェ。息を切らして滑り込んだ沙樹に、結子が声をかける。
「どうしたの?」
「タカちゃんのせいだよぉ……」
結子はあははっと笑う。
高校を卒業してもこのふたりは仲がいい。その為か、バイト先も同じだった。
「大学では会えないからね」
そう言ってカフェの制服に着替える。
「バイト終わったら話、聞くからね」
結子がそう言うと、今度は沙樹があははっと笑う。
更衣室を出たところに、他のバイト仲間が走ってふたりのところに来ていた。
「どうしたんですか?」
「凄い人が来てる!」
バイト仲間のひとりがふたりを連れて行く。柱の陰からホールを見ると、ビックリする人がそこにいた。
「あ」
思わず声を出した沙樹。その声に、結子はマズイと感じたのか沙樹の制服の裾を引っ張る。
(ヤバい……)
だけどバイト仲間は、それに気付きもしなかった。
「ねぇ、高幡。ちょっとオーダー取ってきてよ!」
「えー」
「いいから」
そう言われ、背中を押された。
「いらっしゃいませ」
と一応はそう言うが、小声でその相手に言う。
「なにしに来たの」
「お、沙樹」
「お、じゃないわよ」
「元気そうだな」
「この前会ったでしょ」
そんな会話を繰り返す相手は輝だった。
「なんで来るのよ」
「妹のカフェ制服を見に」
「ヘンタイ」
「兄貴に向かってそんなこと言うか」
「隠してるくせに」
「じゃコーヒー」
話の間に注文を入れると、輝はそれ以上なにも言わなかった。呆れた沙樹は輝から離れた。
「あれ、AKIRAよね!」
バイト仲間たちが騒ぐ。そして裏から店長もやってきて、輝の様子を伺っていた。
「コーヒーひとつ」
沙樹はそう言うと、ため息を吐く。そんな沙樹に気付いているのは、結子だけだった。
「輝さん、なんだって?」
「妹のこの姿見に来たんだって」
呆れてる沙樹は、小声で結子と話す。
「あははっ。相変わらずだねぇ」
輝のシスコンぶりを知ってる結子は、笑っていた。
沙樹と結子が働くこのカフェは、それなり大きいカフェ。制服が可愛いと有名で、女性のバイト応募者が多い。男性の制服も格好いいから、男性従業員を目当てに来る女性客がいるくらいだ。
「はい。高幡。7番テーブルに」
珈琲を入れたキッチンの店員に、持っていけと渡される。
(なんで輝兄のとこに持っていかなきゃいけないのよ)
うんざりしながらも、持って行く。バイト仲間は、沙樹が輝の妹だとは知らないから、こればっかりは仕方ないことだった。
「お待たせしました」
と、輝の目の前に珈琲を置くと「ん」と声を出して広げているなにかも見ていた。それはこれからやるライブのセットリストの候補や会場の図面などが書かれていた資料だった。真剣にそれらを見て、なにかを書き込んでいく。そんな真剣になにかをやってる兄を見るのは、珍しい。
アメリカで仕事をしている時も真剣ではあったが、みんなでワイワイやって楽しそうではあった。でも今はひとりで何かを考えている。
沙樹はそっと兄から離れた。そして、他の客のオーダーを聞きに行くことにした。
リビングにそんな声が響く。崇弘の指は、沙樹の中に入ってくる。
「タ、タカちゃ……、ダ、ダメ…っ」
顔を真っ赤にして抵抗を試みる。だが崇弘は沙樹を離さない。
「タカ……ちゃ……ん、んん……っ」
くちゅくちゅと、なんとも恥ずかしい水音が沙樹を更に辱しめる。
「あ…、も……、ダメ…ぇ……」
立っていられなくなった沙樹は、足をガクガクさせて力が抜けるように崩れていく。沙樹の中から指を抜き、しっかりと抱きかかえた。
「可愛い」
なにも話せなくなってる沙樹を抱き上げて、寝室へと向かった。
「あ、……ア、んんっ、あぁ……っ」
ベッドの上で崇弘は沙樹を何度も抱いた。
◇◇◇◇◇
「もうっ、信じられない!」
時刻は9時半。10時には出なきゃいけないと言っていたのに、こんな時間になってしまったことを怒っていた。そもそも朝からそんなことをするなんてと、沙樹は怒っていた。
「ゴメン、ゴメン」
謝ってくるが、沙樹は崇弘の腕をするりと躱し、バスルームへと駆け込んでいく。
バタバタと身支度を整える沙樹を見て、崇弘はまずかったなという顔をする。
「もう出るけど!」
素早く身支度を終えた沙樹は、崇弘に向き直る。
「あぁ、分かった」
崇弘は答えて立ち上がった。
◇◇◇◇◇
「はぁ…、間に合った……」
バイト先のカフェ。息を切らして滑り込んだ沙樹に、結子が声をかける。
「どうしたの?」
「タカちゃんのせいだよぉ……」
結子はあははっと笑う。
高校を卒業してもこのふたりは仲がいい。その為か、バイト先も同じだった。
「大学では会えないからね」
そう言ってカフェの制服に着替える。
「バイト終わったら話、聞くからね」
結子がそう言うと、今度は沙樹があははっと笑う。
更衣室を出たところに、他のバイト仲間が走ってふたりのところに来ていた。
「どうしたんですか?」
「凄い人が来てる!」
バイト仲間のひとりがふたりを連れて行く。柱の陰からホールを見ると、ビックリする人がそこにいた。
「あ」
思わず声を出した沙樹。その声に、結子はマズイと感じたのか沙樹の制服の裾を引っ張る。
(ヤバい……)
だけどバイト仲間は、それに気付きもしなかった。
「ねぇ、高幡。ちょっとオーダー取ってきてよ!」
「えー」
「いいから」
そう言われ、背中を押された。
「いらっしゃいませ」
と一応はそう言うが、小声でその相手に言う。
「なにしに来たの」
「お、沙樹」
「お、じゃないわよ」
「元気そうだな」
「この前会ったでしょ」
そんな会話を繰り返す相手は輝だった。
「なんで来るのよ」
「妹のカフェ制服を見に」
「ヘンタイ」
「兄貴に向かってそんなこと言うか」
「隠してるくせに」
「じゃコーヒー」
話の間に注文を入れると、輝はそれ以上なにも言わなかった。呆れた沙樹は輝から離れた。
「あれ、AKIRAよね!」
バイト仲間たちが騒ぐ。そして裏から店長もやってきて、輝の様子を伺っていた。
「コーヒーひとつ」
沙樹はそう言うと、ため息を吐く。そんな沙樹に気付いているのは、結子だけだった。
「輝さん、なんだって?」
「妹のこの姿見に来たんだって」
呆れてる沙樹は、小声で結子と話す。
「あははっ。相変わらずだねぇ」
輝のシスコンぶりを知ってる結子は、笑っていた。
沙樹と結子が働くこのカフェは、それなり大きいカフェ。制服が可愛いと有名で、女性のバイト応募者が多い。男性の制服も格好いいから、男性従業員を目当てに来る女性客がいるくらいだ。
「はい。高幡。7番テーブルに」
珈琲を入れたキッチンの店員に、持っていけと渡される。
(なんで輝兄のとこに持っていかなきゃいけないのよ)
うんざりしながらも、持って行く。バイト仲間は、沙樹が輝の妹だとは知らないから、こればっかりは仕方ないことだった。
「お待たせしました」
と、輝の目の前に珈琲を置くと「ん」と声を出して広げているなにかも見ていた。それはこれからやるライブのセットリストの候補や会場の図面などが書かれていた資料だった。真剣にそれらを見て、なにかを書き込んでいく。そんな真剣になにかをやってる兄を見るのは、珍しい。
アメリカで仕事をしている時も真剣ではあったが、みんなでワイワイやって楽しそうではあった。でも今はひとりで何かを考えている。
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