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ほんとは好きなだけなのに
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あなたと初めて会ったのは,中学1年の教室。初めて見た時、私の中で衝撃が走った。
まだ入学したてなのに、平気で髪を染めて来た私に目を奪われた。そしてその隣には、必ず君たちもいた。
ヨシキとシュンイチ。
そしてカズキ。
この3人は有名人だった。
仲良くなったきっかけは、なんだったのだろうか。今はもう覚えてない。
だけどいつの間にか、私もその中にいた。そしていつの間にか、私はヨシキが好きになっていた。
学校でも目立つその金髪が、私は好きだった。
──柿沼真美 中学生の頃のお話──
「おはよ~」
教室に入ると、ベランダ側の席に目を向ける。そこにはヨシキとシュンイチがいつも話していた。そして隣のクラスの、ヨシキの双子の弟のカズキも一緒にいるっていう光景はよく見られた。だから私は教室に入ると、真っ先にベランダ側に向かう。
「おはよ。ヨシキ」
そう言うとヨシキは、「ああ」と答えてくれる。そっけない態度をするけど、それだけでも私は嬉しかった。
「おいおい。マミ。俺らには挨拶なしかよ」
シュンイチとカズキがそう言ってくる。
「あ。忘れてたわ」
なんてことを言って笑う。
「なんだよ~、ちぇっ」
カズキがそう笑うからヨシキも笑う。シュンイチもガハハッなんて笑ってる。
そんな些細な時間が私は好きだったりする。
クラスメートの殆どは、この集団には入っていけない。男子はお構いなしで入っていけるけど、女子は遠目で見ているだけ。だけど私は入っていけるのは、昔から女子には受けが悪いから。
◆◆◆◆◆
「あれ?」
昼休み。
給食が終わってすぐに、ヨシキの姿が見えなくなった。いつからかヨシキは昼休みには、姿を消すことが多くなった。
「シュンくん。ヨシキは?」
シュンくんの傍に行って、ヨシキの行方を聞く。
「え。あ。そういや、いねぇな」
なんて笑うシュンくん。
シュンくんは茶色い髪に!茶色い目をした子。
ハーフの彼は、かなりかっこいい。
ヨシキもカズキもかなりかっこいい。
だから女子の間では、密かにファンクラブがあるってくらい。でもやってることがやってることなだけに、誰も近付けないのだ。
今もほら。
シュンくんと話している私を、女子が恨めしそうに見ている。
「最近、ヨシキいないよね、昼」
私はシュンくんにそう言うと、私の顔を見て来た。
「お前ぇ……」
そう言いかけて口を噤む。
「なに」
私がシュンくんの顔を覗き込む。
「なんでもねぇよっ!」
小さく叫んだシュンくんが、心なしか顔を赤らめていたのは気のせいかな?
その日。
5時間目の授業が終わっても、ヨシキが教室に戻ってくることがなかった。
まだ入学したてなのに、平気で髪を染めて来た私に目を奪われた。そしてその隣には、必ず君たちもいた。
ヨシキとシュンイチ。
そしてカズキ。
この3人は有名人だった。
仲良くなったきっかけは、なんだったのだろうか。今はもう覚えてない。
だけどいつの間にか、私もその中にいた。そしていつの間にか、私はヨシキが好きになっていた。
学校でも目立つその金髪が、私は好きだった。
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「おはよ~」
教室に入ると、ベランダ側の席に目を向ける。そこにはヨシキとシュンイチがいつも話していた。そして隣のクラスの、ヨシキの双子の弟のカズキも一緒にいるっていう光景はよく見られた。だから私は教室に入ると、真っ先にベランダ側に向かう。
「おはよ。ヨシキ」
そう言うとヨシキは、「ああ」と答えてくれる。そっけない態度をするけど、それだけでも私は嬉しかった。
「おいおい。マミ。俺らには挨拶なしかよ」
シュンイチとカズキがそう言ってくる。
「あ。忘れてたわ」
なんてことを言って笑う。
「なんだよ~、ちぇっ」
カズキがそう笑うからヨシキも笑う。シュンイチもガハハッなんて笑ってる。
そんな些細な時間が私は好きだったりする。
クラスメートの殆どは、この集団には入っていけない。男子はお構いなしで入っていけるけど、女子は遠目で見ているだけ。だけど私は入っていけるのは、昔から女子には受けが悪いから。
◆◆◆◆◆
「あれ?」
昼休み。
給食が終わってすぐに、ヨシキの姿が見えなくなった。いつからかヨシキは昼休みには、姿を消すことが多くなった。
「シュンくん。ヨシキは?」
シュンくんの傍に行って、ヨシキの行方を聞く。
「え。あ。そういや、いねぇな」
なんて笑うシュンくん。
シュンくんは茶色い髪に!茶色い目をした子。
ハーフの彼は、かなりかっこいい。
ヨシキもカズキもかなりかっこいい。
だから女子の間では、密かにファンクラブがあるってくらい。でもやってることがやってることなだけに、誰も近付けないのだ。
今もほら。
シュンくんと話している私を、女子が恨めしそうに見ている。
「最近、ヨシキいないよね、昼」
私はシュンくんにそう言うと、私の顔を見て来た。
「お前ぇ……」
そう言いかけて口を噤む。
「なに」
私がシュンくんの顔を覗き込む。
「なんでもねぇよっ!」
小さく叫んだシュンくんが、心なしか顔を赤らめていたのは気のせいかな?
その日。
5時間目の授業が終わっても、ヨシキが教室に戻ってくることがなかった。
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