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ほんとは好きなだけなのに
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ヨシキの様子がおかしくなったのは、1年の冬休みに入る前。3年のジュンコ先輩が亡くなったって話で、持ちきりだった時。
3年生たちがジュンコ先輩のお葬式に行ったその場に、ヨシキもカズキも2年にいるふたりのお姉さんである私の先輩に、連れられて行ったって聞いた。他の先輩たちが話しているのを聞いてしまった。
なんでジュンコ先輩のお葬式にヨシキが行くのか、分からなかった。その場にシュンくんもいたのか分からないけど、ヨシキが行ったってことは、シュンくんも行ったのかもしれない。
「シュンくん!」
放課後の教室で、帰ろうとしているシュンくんを呼び止めた。
「なに」
「話がある」
私はシュンくんにそう言うと、シュンくんを裏庭へと連れて行った。
裏庭には大きな桜の木がある。春にはキレイなピンク色の花を咲かせる。だけど今は、寂しい裸の木となっていた。
「ねぇ。シュンくん」
その木の下に座り込んだ私は、シュンくんに聞いた。
「ヨシキとジュンコ先輩って付き合ってたの?」
そう聞いた。
ジュンコ先輩が亡くなった後、ヨシキが元気なかった。
ううん。
そのずっと前からかもしれない。そのせいか、学校をサボることが多くなった。
「あー……、俺も詳しいことは知んねぇんだ」
シュンくんなら知ってると思ったことは、知らないと言われてお終いだった。
「シュンくんも知らないの?あんなに仲いいのに?」
思わずシュンくんの顔を見た。
「何もかも話すわけじゃねぇよ。でもま、あのふたりには何かあるんだよ。ジュンコさんが学校休むようになってから、アイツ学校をサボる日が多くなったしな」
そう言うシュンくんは、煙草を取り出した。
「シュンくん。ここじゃ目立つよ」
そう言って止めた私に、シュンくんは私を見た。煙草を学ランのポケットに仕舞い込むと、私に近付いてくる。
「マミはいつもヨシキだな」
その言葉に思わず「え?」と答えてしまった。
「だから、いつもヨシキのことしか考えてねぇのな」
シュンくんの言葉に、顔が真っ赤になる。
「えっ。そ、そんなことないッ!」
そう叫んだけど、顔が真っ赤だから否定したことにならない。
「なぁ。ヨシキが好きか?」
そう聞かれて「うん」と答えられなかった。恥ずかしさで、答えることが出来なかった。
「なぁ。もし、ヨシキに惚れてないんだったら」
私の目の前にシュンくんの顔。その距離があまりにも近くて、ドキドキしてしまう。
「俺と付き合えよ」
シュンくんの言葉にびっくりした。
──今、何言ったの?
私、シュンくんに告られたの?
目が点となり、ただただシュンくんを見ているだけの私の唇に、シュンくんの唇が重なった。軽く触れただけのそれに、私は思考が止まった。
「目くらい閉じろよ」
至近距離にあるその顔に、「ごめん」としか言えなかった。
「……あの、シュンくん」
私はシュンくんの胸に、手を置いて呼びかけていた。
「なんで……?」
そう言うとシュンくんは笑った。
「お前のこと、ずっと好きだった。初めて会った時から」
顔が真っ赤になる。
人生初の告白。
それは好きな人の親友からだった。
「お前はどうなの?俺と付き合う?付き合わない?」
その言葉はないんじゃない?
告白してその言葉を聞かずにキスしておいて、それはズルイ。
私が断れなくなるんじゃん。
そんな目をしたら、私、断れなくなるじゃん。
「シュンくん……」
俯いたままの私に、シュンくんが私を自分の方へ抱き寄せる。
「ズルイよね」
「ん?」
「私の気持ちなんか、聞かないつもりでしょ」
「バレたか」
いつものように笑うシュンくん。私はこの日、ヨシキを好きなままシュンくんの女になった。
3年生たちがジュンコ先輩のお葬式に行ったその場に、ヨシキもカズキも2年にいるふたりのお姉さんである私の先輩に、連れられて行ったって聞いた。他の先輩たちが話しているのを聞いてしまった。
なんでジュンコ先輩のお葬式にヨシキが行くのか、分からなかった。その場にシュンくんもいたのか分からないけど、ヨシキが行ったってことは、シュンくんも行ったのかもしれない。
「シュンくん!」
放課後の教室で、帰ろうとしているシュンくんを呼び止めた。
「なに」
「話がある」
私はシュンくんにそう言うと、シュンくんを裏庭へと連れて行った。
裏庭には大きな桜の木がある。春にはキレイなピンク色の花を咲かせる。だけど今は、寂しい裸の木となっていた。
「ねぇ。シュンくん」
その木の下に座り込んだ私は、シュンくんに聞いた。
「ヨシキとジュンコ先輩って付き合ってたの?」
そう聞いた。
ジュンコ先輩が亡くなった後、ヨシキが元気なかった。
ううん。
そのずっと前からかもしれない。そのせいか、学校をサボることが多くなった。
「あー……、俺も詳しいことは知んねぇんだ」
シュンくんなら知ってると思ったことは、知らないと言われてお終いだった。
「シュンくんも知らないの?あんなに仲いいのに?」
思わずシュンくんの顔を見た。
「何もかも話すわけじゃねぇよ。でもま、あのふたりには何かあるんだよ。ジュンコさんが学校休むようになってから、アイツ学校をサボる日が多くなったしな」
そう言うシュンくんは、煙草を取り出した。
「シュンくん。ここじゃ目立つよ」
そう言って止めた私に、シュンくんは私を見た。煙草を学ランのポケットに仕舞い込むと、私に近付いてくる。
「マミはいつもヨシキだな」
その言葉に思わず「え?」と答えてしまった。
「だから、いつもヨシキのことしか考えてねぇのな」
シュンくんの言葉に、顔が真っ赤になる。
「えっ。そ、そんなことないッ!」
そう叫んだけど、顔が真っ赤だから否定したことにならない。
「なぁ。ヨシキが好きか?」
そう聞かれて「うん」と答えられなかった。恥ずかしさで、答えることが出来なかった。
「なぁ。もし、ヨシキに惚れてないんだったら」
私の目の前にシュンくんの顔。その距離があまりにも近くて、ドキドキしてしまう。
「俺と付き合えよ」
シュンくんの言葉にびっくりした。
──今、何言ったの?
私、シュンくんに告られたの?
目が点となり、ただただシュンくんを見ているだけの私の唇に、シュンくんの唇が重なった。軽く触れただけのそれに、私は思考が止まった。
「目くらい閉じろよ」
至近距離にあるその顔に、「ごめん」としか言えなかった。
「……あの、シュンくん」
私はシュンくんの胸に、手を置いて呼びかけていた。
「なんで……?」
そう言うとシュンくんは笑った。
「お前のこと、ずっと好きだった。初めて会った時から」
顔が真っ赤になる。
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それは好きな人の親友からだった。
「お前はどうなの?俺と付き合う?付き合わない?」
その言葉はないんじゃない?
告白してその言葉を聞かずにキスしておいて、それはズルイ。
私が断れなくなるんじゃん。
そんな目をしたら、私、断れなくなるじゃん。
「シュンくん……」
俯いたままの私に、シュンくんが私を自分の方へ抱き寄せる。
「ズルイよね」
「ん?」
「私の気持ちなんか、聞かないつもりでしょ」
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