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愛するということ
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「大樹との関係、続けてていいの?」
タメ口になったユリ。
あたしはそれすらも気にはしてないから、何を聞かれても別にどってことはなかった。
「さぁ……。あたしには拒否権はないから」
立ち上がると、あたしはユリを見た。
「誰かとヤれって言われたら、あたしは何も考えずにヤることも出来る」
「小花先輩」
「あたしはそういうヤツ。何も思わないから」
そう言って、公園を出て家まで歩いて行く。ユリがどんな顔をして、こっちを見ていたのかなんて、気にもしないで歩いていた。
アパートの前まで来ると、母親が男と歩いて出てくるところに遭遇した。母親はあたしに見向きもしない。
母親の男は通り過ぎる時、あたしのお尻を触って来た。
でも、何も思わない。
喩え、この男があたしを襲ったって何も思わない。それに対して母親が怒り狂っても、何も思わない。
あたしはそういうヤツだ。
その日から、ユリがあたしの回りにウロついた。ヨシキと双子の弟のカズキと一緒に、ウロついていた。
夏休みに入ると、毎日のように大樹に呼ばれて愛のないセックスをする。帰りは、愚連隊のヤツらに送られて家路につく。
そんな毎日だった。
黒龍の倉庫には、ヨシキとヨシキの双子の弟のカズキ、そしてユリが出入りしていた。
ユリは黒龍傘下の青薔薇の人間らしい。なのに、毎日のように出入りしている。その理由はすぐに分かった。ヨシキたち双子の兄弟の友人、シュンイチに会う為だった。
ユリはあたしを見ると、あたしに駆け寄って来る。あたしの肩を抱いた大樹を睨みつけては、何か叫ぶ。
それすらもどうでもいい。
そう思っているのに。
どうしてこの姉弟は、無視をしていてくれないのか。
だから、苛ついた。
「ジュンコ!」
倉庫に行くと大樹が2階から叫ぶ。あたしは顔を上げると、大樹は不適な笑いを零す。
「ヤるぞ」
そう言われると、あたしはそれに拒否権はない。だから、あたしは黙って階段を上っていく。
ここ毎日呼ばれてはここでヤって。倉庫に誰がいようがお構いなしだった。あたしが生理になってようが、関係なしだった。
◆◆◆◆◆
あたしはただの性道具。
「大樹!いい加減にしなっ」
階段を上るあたしの後ろから、大声が響いた。その声に一瞬、倉庫内が凍りついた。
大樹にそんなことを言える人間は、ここにはいない。歴代の総長たち以外いない。しかも叫んだのは女だから、凍りついた。
振り返ると、そこにはユリが仁王立ちしていた。
「あんだよ、ユリか」
参ったな……と言わんばかりの大樹。こんな大樹は初めてだった。
「お前ぇ、また来たんか。青薔薇の倉庫行けよ」
「大樹。ジュンコさんを解放してあげな」
「はぁ?お前、誰にもの言ってんだ」
「大樹」
「煩せー女になったな、お前」
「大樹こそ、酷い男になったな」
倉庫の2階と1階で睨み合うふたり。それを見て、黒龍の面子はオロオロと慌ててた。慌ててないのは、ヨシキとカズキくらいだった。
「女は捨て駒じゃない」
ユリの言葉は強かった。
「ヤるだけの道具じゃねーよ」
大樹に見上げて言うユリは、その辺の男たちには負けない迫力というものがあった。そんなユリに、大樹はウンザリしていた。
「はぁ。お前、煩せー」
「小学3年生までオネショしてた大樹が、ナマイキなこと言うんじゃねーよ」
「おまっ…!」
怒りの為、目が鋭くなる。
ユリの言葉に、ヨシキとカズキがクスクスと笑う。黒龍の面子は、笑いを必死で堪えていた。あたしはどうしたらいいのか分からなくて、その場に立ち尽くしていた。
結局その後、大樹とユリの喧嘩が始まって大樹が大負けして、その大樹が倉庫を出て行った為、あたしはヨシキとユリとそしてカズキと一緒に繁華街に出ることになった。
「ねぇ」
ユリがあたしに言って来た。
「いつもあんなことされていいの?」
目の前にはヨシキとカズキが、じゃれてるのか暴れてるのか分からない状態で、大騒ぎしながら歩いていた。
「別に」
「だけど、好きでもない男とヤるなんて」
「あんたには分からない」
「ジュンコさんが望んだことなら、あたしはもう二度と止めねーけど、それでも自分を大事にした方がいい」
ユリの言ってることは間違ってないと思う。正当なことだと思う。
でもあたしは、それに頷くことは出来ないでいた。
だって、そうでしょ。
あたしなんかが生きててなんの意味がある?
あたしが生きてる意味を教えてくれるのは誰?
大樹に抱かれるのだって、それを知りたいからかもしれない。無理矢理だけど、たまに見せる優しさが好きだったりもする。
それが愛だとか恋だとは思わないけど。それでも今のあたしには、大樹が必要だったりもする。
タメ口になったユリ。
あたしはそれすらも気にはしてないから、何を聞かれても別にどってことはなかった。
「さぁ……。あたしには拒否権はないから」
立ち上がると、あたしはユリを見た。
「誰かとヤれって言われたら、あたしは何も考えずにヤることも出来る」
「小花先輩」
「あたしはそういうヤツ。何も思わないから」
そう言って、公園を出て家まで歩いて行く。ユリがどんな顔をして、こっちを見ていたのかなんて、気にもしないで歩いていた。
アパートの前まで来ると、母親が男と歩いて出てくるところに遭遇した。母親はあたしに見向きもしない。
母親の男は通り過ぎる時、あたしのお尻を触って来た。
でも、何も思わない。
喩え、この男があたしを襲ったって何も思わない。それに対して母親が怒り狂っても、何も思わない。
あたしはそういうヤツだ。
その日から、ユリがあたしの回りにウロついた。ヨシキと双子の弟のカズキと一緒に、ウロついていた。
夏休みに入ると、毎日のように大樹に呼ばれて愛のないセックスをする。帰りは、愚連隊のヤツらに送られて家路につく。
そんな毎日だった。
黒龍の倉庫には、ヨシキとヨシキの双子の弟のカズキ、そしてユリが出入りしていた。
ユリは黒龍傘下の青薔薇の人間らしい。なのに、毎日のように出入りしている。その理由はすぐに分かった。ヨシキたち双子の兄弟の友人、シュンイチに会う為だった。
ユリはあたしを見ると、あたしに駆け寄って来る。あたしの肩を抱いた大樹を睨みつけては、何か叫ぶ。
それすらもどうでもいい。
そう思っているのに。
どうしてこの姉弟は、無視をしていてくれないのか。
だから、苛ついた。
「ジュンコ!」
倉庫に行くと大樹が2階から叫ぶ。あたしは顔を上げると、大樹は不適な笑いを零す。
「ヤるぞ」
そう言われると、あたしはそれに拒否権はない。だから、あたしは黙って階段を上っていく。
ここ毎日呼ばれてはここでヤって。倉庫に誰がいようがお構いなしだった。あたしが生理になってようが、関係なしだった。
◆◆◆◆◆
あたしはただの性道具。
「大樹!いい加減にしなっ」
階段を上るあたしの後ろから、大声が響いた。その声に一瞬、倉庫内が凍りついた。
大樹にそんなことを言える人間は、ここにはいない。歴代の総長たち以外いない。しかも叫んだのは女だから、凍りついた。
振り返ると、そこにはユリが仁王立ちしていた。
「あんだよ、ユリか」
参ったな……と言わんばかりの大樹。こんな大樹は初めてだった。
「お前ぇ、また来たんか。青薔薇の倉庫行けよ」
「大樹。ジュンコさんを解放してあげな」
「はぁ?お前、誰にもの言ってんだ」
「大樹」
「煩せー女になったな、お前」
「大樹こそ、酷い男になったな」
倉庫の2階と1階で睨み合うふたり。それを見て、黒龍の面子はオロオロと慌ててた。慌ててないのは、ヨシキとカズキくらいだった。
「女は捨て駒じゃない」
ユリの言葉は強かった。
「ヤるだけの道具じゃねーよ」
大樹に見上げて言うユリは、その辺の男たちには負けない迫力というものがあった。そんなユリに、大樹はウンザリしていた。
「はぁ。お前、煩せー」
「小学3年生までオネショしてた大樹が、ナマイキなこと言うんじゃねーよ」
「おまっ…!」
怒りの為、目が鋭くなる。
ユリの言葉に、ヨシキとカズキがクスクスと笑う。黒龍の面子は、笑いを必死で堪えていた。あたしはどうしたらいいのか分からなくて、その場に立ち尽くしていた。
結局その後、大樹とユリの喧嘩が始まって大樹が大負けして、その大樹が倉庫を出て行った為、あたしはヨシキとユリとそしてカズキと一緒に繁華街に出ることになった。
「ねぇ」
ユリがあたしに言って来た。
「いつもあんなことされていいの?」
目の前にはヨシキとカズキが、じゃれてるのか暴れてるのか分からない状態で、大騒ぎしながら歩いていた。
「別に」
「だけど、好きでもない男とヤるなんて」
「あんたには分からない」
「ジュンコさんが望んだことなら、あたしはもう二度と止めねーけど、それでも自分を大事にした方がいい」
ユリの言ってることは間違ってないと思う。正当なことだと思う。
でもあたしは、それに頷くことは出来ないでいた。
だって、そうでしょ。
あたしなんかが生きててなんの意味がある?
あたしが生きてる意味を教えてくれるのは誰?
大樹に抱かれるのだって、それを知りたいからかもしれない。無理矢理だけど、たまに見せる優しさが好きだったりもする。
それが愛だとか恋だとは思わないけど。それでも今のあたしには、大樹が必要だったりもする。
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