89 / 160
死闘続発★ホモら共存編
一方その頃王城では
「こっ国王との面会許可が下りました! セイ殿、オウ殿、どうぞお進みください!」
「もぉ~遅いっつーの! 普通5分以内に終わるだろ! 何で30分もかかったんだよ! ノロマかよ化石になるところだったわ!」
顔色の悪い衛兵に、オウがブツブツと文句をぶつけて、俺達は城に足を踏み入れた。
セキに『お前は煽られればほぼ確実に戦闘に入るだろう』と言って連れてこなかった分、高圧的な態度の衛兵を数人吹っ飛ばした身として、セキに何か奢ってやる必要がありそうだ。
オウも、我らを『ホラ吹きの下賤な者共』呼ばわりした衛兵の頭を握り潰した手前、『セキになんて言い訳しよう』と頭を悩ませている。
……それにしても。
人間というものは、ここまで愚かな生き物だっただろうか?
いや、コージやその周囲の人間達であれば、力はあれど面識の無い他者をここまで貶める事はしない。
我らを貶めようとした馬鹿共は、恐らくこの城を自分達のテリトリーと思い、強気に出たのだろう。『自分には、いざという時に参戦してくれる仲間がいる』と思い込んで、我らを侮辱した。
相手の力も見極めずに。
体に付着した返り血を魔法で落とし、怯える案内役を横目に、我らは豪華絢爛な道を進む。
着いたのは、謁見の間ではなく、それなりに豪勢な客間だった。
「このような部屋で対応させて頂く事を詫びよう」
落ち着いた色合いのローテーブルを挟んだソファの横に、1人の男が立っていた。
「構わぬ。それより、急な訪問を許せ」
王と思わしき威厳を纏った初老の男と、ソファの後ろに控える逞しい体つきの男を鑑定し、我とオウはソファに座った。それに続き、王もソファに腰掛ける。
「我らの正体は既に知っているだろうが…。世界序列92位、青古龍代表のセイだ」
「はいはーい! 世界序列93位で、黄古龍代表のオウだよ~。よろしくねぇ~」
「お初にお目にかかる。グリス王国第58代国王、バージル・A・ガーディアンと申す。後ろの者は…、…王国騎士団長を務める世界序列100位の、アルバート・ビーターだ」
王国騎士団の赤をベースとした鎧とマントを纏う逞しい男が、我らに軽く会釈した。
仏頂面のこの男こそ、人類が『切り札』として扱う序列入り。
100位と言えど、人の身で世界序列に食い込むなど…、知った時は驚いたものだがこの男の様子を見る限り、確かに序列100位にふさわしいと言えるだろう。
「お前の噂は聞いてるよ! まさかヒトが序列入りになるなんて信じられなかったけど…、うん、まぁ流石に強そうだね~!」
オウがそう褒めても、アルバートは小さな声で感謝を述べて終わり。
強者には変わり者も多いので、さして気にせずに我らは王に向き直った。
「さて…、何故我らがここに来たのか、見当は?」
「…不甲斐ないが、ハッキリとは」
「だろうな。別に期待はしていない。気にするな。我らがお前達のナトリ領という場所で暴れていた理由だが…、……この国の騎士の鎧を纏った者が、我らの同胞の子を拐ったのだ」
「………そんな、バカな」
王が目を見開き、狼狽えた。が、すぐに威厳ある姿に戻り、我らの話をよく聞こうと身を乗り出す。
「知らなくとも問題は無い。我らが主とその周囲のヒトによって、『帝国』の仕業ではないかと結論が出た」
「…………そうか…、そうか…」
目を伏せ、苦々しく呟く様子を見ると、この王も『帝国』には苦労させられているようだな。
「我らの願いは『帝国』が我らの子を拐った証拠を掴む前に『帝国』に報復措置を取るな、という事だ。先走ると国に被害が及ぶのだろう?」
「あぁ。心遣い、感謝する。『帝国』に直接攻撃をしないのは、やり過ぎると管理者が来てしまうからか」
「んー、それもあるけどぉ~、俺らの主ってさぁ、平和主義って言うか…殺生嫌い? だからさ、俺らも嫌われたくないし、我慢してるって言うか~」
コージの話を聞けば、コージが平和主義の優しい子供という事は容易に分かる。
もし、我とオウが威圧的な王国騎士達を殺したと知られれば…。……嫌われてしまうかもしれない。
「オウ、ダメだ。コージにはナイショだ」
「セイって頭良いくせに言葉足りない事多々あるよな~。何がナイショ? 変に秘密を作ればまた契約解除を切り出されかねないじゃん?」
「ヒトを殺したとバレれば、契約解除の可能性が高まる。絶対に知られぬようにしなければ」
「あー…、確かに。……という事で王様さん。俺らの主には、俺らがヒトを殺した事、ナイショな?」
「…承知した」
世界序列100位のこの男がいるのであれば、我らとコージが契約した際に、この男もコージの本名を知った筈だ。そして、王に報告したのだろう。
それはつまり、王がコージの存在を認識したという事。
恐らくではあるが、コージのもとに、視察が向かった。…セキを残してきているので、今頃は捕まっているだろうがな。
「……貴殿らの主について、聞いても?」
「我らの答えられる範囲でなら」
「では率直に。………何者なんだ?」
「お前にそれを教える訳にはいかない」
軟弱なヒトは、力を欲す。
自国に世界をひっくり返す程強力な者がいると知れば、どんな行動を取るか分からない。
利益の為に囲おうとするか、害を及ぼすと危険視するか、争いの火種になると始末するか。
コージが自らの目的の為に接触したセキはともかく、我とオウは完全に我らだけの意志でコージと契約を結んだ。
………守らなければ、いけないのだ。
我とオウのワガママに付き合い、従魔契約を結んでくれた、あの子を。創造主の愛し子を。
コージの幸せは、この世界の総意だ。
********************
「お前は歴代稀に見る賢王だと聞いていたのだが…、部下への管理が行き届いていない以上、期待外れと言う他あるまい。そのような者に、我が主について教えるつもりはない」
ソファに座る青古龍…、いや、セイ殿の言葉に、私は頭の中で小さく舌打ちをした。
セイ殿の言う事は、何一つ間違っていない。実際、セイ殿とオウ殿はガラの悪い衛兵に侮辱され、その衛兵達は無惨に死に絶えた。
私が逆の立場でも、『教育が行き届いていない』と相手を信用しなかった事だろう。
近頃、兵の不足が続き、採用条件を引き下げて募集し、やっと数を補えたばかりだったのだが…。やはり、数より質を重視するべきであったか。
兵が足りなくなった理由として、古龍討伐へ赴いた騎士や兵士達が一人も帰って来なかった事にある。
そう考えると、セイ殿らが討伐兵を皆殺しにした事が原因なのだが、当然そんな言い訳が通用する訳もない。
なるべく彼らを怒らせないよう進めたかったのだが、彼らは理性も充分にあるからして…、仕方ないが、少々強引な手を取らせてもらう。
「どのみち、私は王として阿山康治郎に登城の命を出さねばならない」
「………なんだと?」
「貴殿らを従える程の者だ。私自ら見極める必要がある。……既に気付いていると思うが、阿山康治郎のもとへ視察を送った。報告によると、『重力操作』を使ったと」
「………………」
「…だから? 言っとくけど、コージを傷付けたりしたら万単位でこの国のヒトを殺すからね」
決してハッタリなんかでは無い。そう思わせるほどの殺気を私にぶつけ、オウ殿が言い放った。
しかしここで怯む訳にはいかない。王としての務めは、果たさなければならない。
「無論、そちらに害意が無いと分かれば、阿山康治郎を傷付けぬ事は勿論、帝国への対応も協力しよう」
「…………………………」
「…………………………」
「…………………………」
「……………はぁ~。コージ、巻き込んじゃったね」
数分の沈黙の後、諦めたかのようにオウ殿がため息を吐いた。
「…我らが守れば問題は無い。………が、周囲のヒト達には恨まれるだろうな。特に…、あの、ガレとか言う盗賊と、ロイとか言う冒険者には」
「………ロイ…?」
阿山康治郎に執着を見せているという男達の名前をセイ殿が出した時、今まで黙っていたアルバートが小さな声で反応した。
「…そー言えば……、お前、アルバートって言ったっけ? あの冒険者の名字、ビーターだったんだけど、身に覚えは?」
…ロイ・ビーター? それは…アルバートが、前に話してくれた…。
「………………弟、です…」
********************
はぁい(* ̄∇ ̄)ノ
メルです。
お偉い人達の口調なんて、分かりません。
GWなんて存在しなかった作者に、遅い五月病が襲ってきました。
あなたにおすすめの小説
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。
※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました!
えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。
※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです!
※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!
由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった。しかしハルの血が特殊だと知ったダンピールはハルを連れ帰って?
いっそ美味しい『血』(治癒)と『体液』(バフ)と『癒し』を与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。
牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。
牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。
そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。
ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー
母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。
そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー
「え?僕のお乳が飲みたいの?」
「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」
「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」
そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー
昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」
*
総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。
いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><)
誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。