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権力系ホモ★グリス王国編
米食って寝るとか幸せすぎる
「ご馳走さまでしたぁ」
夕食を食べ終わって、扉付近に立って俺らを見ていたおっちゃんに、ぎゅっとハグする。今日のご飯は白米とだし巻き玉子があって最高だった。おっちゃん大好き。すんごい美味かった……。
ちなみに、みんなの感想は
『トウモロコシみたいなのを想像していたから、柔らかくて驚いた』A級冒険者
『味噌スープとの相性がよろしい』ギルドマスター
『味が…ない………?』黄古龍
『ふっくらとしていて美味だ』聖騎士団長
『炊く、という調理法に興味ある』青古龍
『手に付いたんだが、この微妙な粘着性は何なんだ…。乾くと白くこびりつく………』赤古龍
…とのことです。
ベタベタの米に苦戦しているセキは放っておいて、まぁ概ね好評だ。おっちゃんも満足そうにニッて笑ってる。
「今度は気絶しなかったな?」
「昼間は多大なるご迷惑をお掛けしてごめん……」
「ブハハハハ! 良いんだよ、『美味すぎ』って理由ならな! 倒れた時は焦ったが、可愛いもんじゃねぇか! 美味すぎて気絶されるとか料理人冥利に尽きるぜ?」
「……そういうもん?」
「そういうもんそういうもん」
ポンポンワシャワシャ。ワーナーさんもそうだけど、なんで料理する人って頭撫でるの上手いんだろう…。衛生に気を遣ったり、ミリ単位までキッチリ計量するから、神経質なイメージあったんだけどなぁ。
ワーナーさんもおっちゃんも、すっごい朗らかでフレンドリー。大好きです。
それはそうと、セキが手に付いた米に対して『一生取れないかも知れない』みたいな悲しい顔をしているので、パパっと拭き取って手を洗わせねば。セキの弱点に米が増えた…。
その後、俺はロイと2人で王様の寝室へ向かった。
お城とギルドを行き来するための、転移場所。王様の寝室の続き部屋が、このお城で俺の居場所になるらしいから、今からブルーノ宰相と王様が、直々に案内してくれるって。
でも、セキュリティ的な意味で俺ともう1人しか入れないって言うから、他のみんなはお風呂へ。
珍しく『一緒に行きたい』って言ったロイに着いてきて貰ったのだ。
うーん、クールなロイの珍しいワガママ、俺弱いんだよなぁ…。
寝室前で会ったさっきぶりの王様、「ジルと盃を交わしたのか?」って聞いてきたから「はい」って答えたら「マジか」って言われた。マジかって何だよ。マジかって。
いや、安易だったかなって思いはしたけど…、後悔はしてないからさ。
でもなんか不安になってきた。王様がスラング使うレベルなの? その程度のヤバいことしちゃったの、俺?
「いや、コージが良いなら良いんだが」
「なに! なにその含みのある言い方!」
「いや………うん、魔導具の説明は受けたね?」
「鑑定はしましたけど……」
「なら良いんだが………」
「こわい!」
ジル兄ちゃんって、もしかして俺の思ってる10倍はヤバかったりするのか…? いや、24時間体制の張り付きストーカーって点じゃ、充分ヤベーんだけど。
「………じゃあ、行こうか…」
哀れみを込めた目で、王様がポンと俺の肩を叩いた。不穏な空気に恐る恐る天井を見上げて、心臓がビクン!
床に叩き付けたスーパーボールみたいに跳ね上がった。
「ギャア!!」
「うわ……。いるな………」
隙間から覗くジル兄ちゃんの黒い目に、ちょっとチビりそう。てか夢に出そう。王様も視線に気付いて引いてる。
勘弁してくれ兄ちゃん。そういう感じのホラー無理なんだ……。
*********************
ー国王の寝室ー
「すやぁ……」
「………見事におやすみ三秒でしたね」
「嘘だろう…」
「コージはいつもそんな感じです」
ベッドの上で健やかにねむねむ眠るコージ。寝室の続き部屋を案内した際、私の大きなベッドに興味津々な様子だったので、「寝てみるかい?」と尋ねたところ、恐る恐る寝転がって、寝た。「ふぉぉぉ、ふっかふか~! ……すやぁ」だった。もうそれは目を見張るほどの一瞬で寝落ちてしまった。
国王の寝室でこんなにも堂々と寝こけるなんて、本当にコージには驚かされる。
アルバートの弟、ロイは慣れているように、コージの顔を覗いた。
「すみません。今日色々あって、疲れてたんだと思います。寝室に運びますので」
「……いや。このままで構わない。寝かせよう」
「…………あの、色々マズいです」
「手は出さないが?」
「いえあの、マズいっす……」
ロイが兄に似た真顔で首をブンブン振る。男しての嫉妬心は勿論、万が一にも国王と既成事実だけは作らせたくないのだろう。逆に私は既成事実を作りたい。
一度致してしまえばこの子を絆すのは簡単だろうから、一気にアルカ十字団にも入り込めると思う。上手く行けば王妃プランにも進める。
……それを見越して、ロイはコージと私の間に入り、コージを抱き上げようとしている。共にいたブルーノは、私とロイのバチバチとした目線を無視して、ベッドの反対側からコージの寝顔を眺めているだけだ。どちら側にも付く気はないらしい。
ブルーノはキレ者だが、割とマイペースなところもある。この男もコージを狙っているので、横から奪われないように用心しなければならない。
「セキさんやギルマスが怒るので……、すみません連れ帰ります」
「過保護だな。……まぁ、気持ちは分かるが」
寝顔を見てアゴヒゲを擦れば、ロイも『まったくだ』みたいな顔で、コージを見下ろす。
「すぴょー……すやすや」
「………」
変な寝息が愛らしい。まろい頬を撫でてコージに歩み寄る。ロイは制止しようと手を少し浮かせたが、国王を制止することは通常許されない。ロイが固まったのを良いことに、コージの首下と膝裏に両手を滑り込ませて抱き上げた。15歳と聞いていたが、まるで幼子のように軽い。
「ッ…」
何か言いたげなロイ。
抱き上げたのが私ではなく、大臣や魔導師団長であれば彼も文句を言えていただろうが、国王が抱える人間を奪うほど、鋼のハートでもないらしい。
こういう時以上に、王族で良かったと思うことはない。権力は良い。依存して振りかざす者が多く出てくるはずだ。
「宰相、良いんですかアレ。王様に抱っこさせちゃって」
「王がしたいと言うのであれば、私に止めることは出来ません」
「俺、セキさんが怖いです」
「私もです。ロイくんはセキ様に気に入られているでしょう。なんとか宥めてください」
「無理です。セキさん今日、コージを怒らせて一緒に寝れないって落ち込んでるんですよ」
「おや。…では、アヤマ様はどなたの部屋に送りましょう?」
「あ、俺の部屋で」
「……本当は?」
「…………ギルマスの部屋で」
ロイとブルーノのポショポショ話をスルーして廊下へ。近衛兵の1人が、私と抱き上げられているコージを見て一瞬ギョッとした顔になるが、構わず進む。
後ろからブルーノと、真顔のロイが付いてくる。真顔は真顔でも、その動作には複雑な感情が表れており、その点は兄のアルバート王国騎士団長よりも分かりやすい。
「……コージくん!!?」
しばらく歩いて、風呂上がりのギルドマスター一行と遭遇した。ルーク・アラウザはコージを目視してすぐに駆け寄って、コージを受け取ろうと腕を差し出す。私のことは目に入っていないようだった。これでもこの国の王なのだが。
「コージくん…、寝てるのか」
返したくはなかった。このままギルドマスターの部屋まで送り届けて、キスの1つでもしてやりたかった。しかし目の前に現れられては仕方がない。
目の前で反抗し、古龍殿らの機嫌も必要以上に損ねたくない。
「私のベッドでお休み3秒だ」
「国王様のベッドで!?」
「手は出していないぞ。ハハハ」
「笑えません…!」
濡れた長髪をひとまとめにしたカイル聖騎士団長が額を押さえる。彼らはすやすや健やかに眠るコージの顔を覗き込み、口々に「危機感がない」だの「警戒心もない」だの「野生なら2秒で食われている」だの「今日ちょっと寝すぎじゃない?」だの文句を言う。
コージはそんなことも露知らず、締まりのない緩い表情で眠る。
はて、神の子はどんな夢を見るのだろうか。
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