異世界の魔法使い

にぎり玉子

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第一話

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「ねえ、ユウキ。今日は何をするの?」

「え? 何をするって……」

ユウキは、隣に座る幼なじみのミナミに訊ねられて、困ったように顔をしかめた。

「だって、今日は土曜日だよ。学校もないし、部活もないし、宿題も終わったし。せっかくの休日なんだから、何か楽しいことをしようよ」

ミナミは、元気に言って、ユウキの腕を引っ張った。

「楽しいこと……」

ユウキは、そう呟いて、自分の部屋を見回した。

ユウキの部屋は、普通の高校生の部屋と変わらない。ベッド、机、本棚、クローゼット、テレビ、ゲーム機などがある。壁には、アニメやゲームのポスターが貼ってある。本棚には、漫画やライトノベルがぎっしりと並んでいる。

ユウキは、そんな自分の部屋を見て、ため息をついた。

「ミナミ、正直に言ってくれよ。俺の部屋には、楽しいことがあると思う?」

「うーん……」

ミナミは、ユウキの部屋を見て、首を傾げた。

「まあ、ゲームとか漫画とかは楽しいけど、そればっかりじゃない? たまには、外に出て、違うことをした方がいいと思うよ」

「違うことって、何があるんだよ」

「そうだね……」

ミナミは、考え込んだ。

「例えば、映画とか、カラオケとか、ショッピングとか、遊園地とか、水族館とか、動物園とか……」

「全部、金がかかるじゃないか」

「じゃあ、公園とか、山とか、川とか、海とか……」

「全部、遠いじゃないか」

「じゃあ、近所の神社とか、図書館とか、美術館とか……」

「全部、つまらないじゃないか」

「もう、ユウキは何にも満足しないんだから」

ミナミは、怒って、ユウキの肩を叩いた。

「だって、俺はこういうのが好きなんだよ。異世界とか、魔法とか、冒険とか、そういうのがある物語が」

ユウキは、本棚にあるライトノベルを指差して、言った。

「それはわかるけど、それだけじゃないでしょ。現実にも、楽しいことはたくさんあるよ」

ミナミは、そう言って、ユウキの手を引っ張った。

「ほら、早く起きて。今日は一緒に出かけるんだから」

「え? どこに行くの?」

「それは、行ってからのお楽しみ」

ミナミは、そう言って、ユウキを部屋から引きずり出した。

「ちょっと、待ってよ。せめて、着替えさせてよ」

「いいから、いいから。そのままでいいよ」

ミナミは、そう言って、ユウキを玄関まで連れて行った。

「靴は?」

「あ、そうだね。靴は履いてね」

ミナミは、そう言って、ユウキに靴を履かせた。

「じゃあ、行こうか」

「行くって、どこに?」

「それは、秘密」

ミナミは、そう言って、ユウキの手を引っ張って、外に出た。

「ミナミ、ちょっと待ってよ。せめて、目的地を教えてよ」

「だから、秘密だって」

ミナミは、そう言って、ユウキを引きずりながら、歩いていった。

「ミナミ……」

ユウキは、ミナミについていくしかないと思って、ため息をついた。

ユウキは、ミナミに連れられて、しばらく歩いた。

「ねえ、ミナミ。もう、どこに行くのか教えてくれない?」

「もう少し、もう少し」

ミナミは、そう言って、ユウキの手を引っ張った。

「あ、あそこだ」

ミナミは、突然、指差して、言った。

「あそこ?」

ユウキは、ミナミが指差した方を見た。

そこには、古びたビルがあった。

ビルの一階には、カフェが入っていた。カフェの看板には、「魔法の扉」という文字が書かれていた。

「魔法の扉? それが、どこに行くところなの?」

「そう。魔法の扉っていうカフェなの。すごく不思議なところなんだよ」

「不思議なところ? どういうこと?」

「それは、行ってからのお楽しみ」

ミナミは、そう言って、ユウキをカフェに連れて行った。

「いらっしゃいませ」

カフェの中に入ると、女性の声が聞こえた。

ユウキは、声の主を見た。

そこには、黒いロングヘアーに白いエプロンを着た、美しい女性が立っていた。

女性は、ユウキとミナミに笑顔で微笑んだ。

「あら、ミナミちゃん。久しぶりね」

「こんにちは、マリアさん」

ミナミは、女性に挨拶した。

「マリアさん? この人、知り合いなの?」

ユウキは、ミナミに訊ねた。

「うん。マリアさんは、このカフェのオーナーなの。私、ここによく来るの」

「そうなの? じゃあ、このカフェは、何が不思議なの?」

「それは、ね……」

ミナミは、そう言って、ユウキに耳打ちした。

「このカフェには、魔法の扉があるの。その扉を開けると、異世界に行けるんだよ」

「は? 異世界?」

ユウキは、ミナミの言葉に驚いて、言った。

「うん。異世界。剣と魔法の世界とか、獣人や妖精がいる世界とか、そういうの」

ミナミは、うんうんと頷いて、言った。

「本当に? そんなの、ありえないよ」

ユウキは、信じられないという表情で言った。

「本当だよ。信じてよ。私、何回も行ったことあるんだから」

ミナミは、そう言って、ユウキの手を引っ張った。

「ほら、見てごらん。あそこが、魔法の扉なの」

ミナミは、そう言って、カフェの奥にある扉を指差した。

扉は、普通の木製の扉だった。扉には、何も書かれていなかった。

「それが、魔法の扉? どう見ても、普通の扉じゃないか」

ユウキは、そう言って、扉を見た。

「だから、魔法なんだよ。普通に見えるけど、開けると、違う世界に繋がってるんだよ」

ミナミは、そう言って、扉に近づいた。

「マリアさん、今日はどこに行けますか?」

ミナミは、カフェのオーナーであるマリアに訊ねた。

「今日はね……」

マリアは、そう言って、扉の横にあるパネルを操作した。

パネルには、いくつかのボタンと画面があった。

「今日は、ここに行けるわ」

マリアは、そう言って、画面を指差した。

画面には、緑の草原と青い空が映っていた。草原には、白い羊や黒い牛がいた。空には、大きな鳥が飛んでいた。

「これは……」

ユウキは、画面を見て、言った。

「これは、エルフィアという世界よ。自然豊かで平和な世界なの。人間とエルフとドワーフが仲良く暮らしてるの」

マリアは、そう言って、説明した。

「エルフィア……」

ユウキは、そう呟いて、画面を見つめた。

「ユウキ、行こうよ。きっと楽しいよ」

ミナミは、そう言って、ユウキの手を引っ張った。

「でも、本当に大丈夫なの? こんなの、あり得ないよ」

ユウキは、そう言って、抵抗した。

「大丈夫だって。マリアさんが、ちゃんと管理してるんだから」

ミナミは、そう言って、マリアに目配せした。

「そうよ。私が、このカフェのオーナーで、魔法の扉の管理人なの。この扉は、私が作った魔法の道具なの。異世界との交流を促進するために、私が選んだ世界に繋がってるの。だから、安全に行き来できるのよ」

マリアは、そう言って、説明した。

「でも、どうして、こんなことをするの? 異世界との交流って、何の意味があるの?」

ユウキは、そう言って、訊ねた。

「それはね……」

マリアは、そう言って、微笑んだ。

「それは、行ってからのお楽しみ」

マリアは、そう言って、扉を開けた。

扉を開けると、画面に映っていた草原と空が現れた。

「すごい……」

ユウキは、目を見張って、言った。

「ね。すごいでしょ」

ミナミは、うれしそうに言った。

「じゃあ、行こうか」

マリアは、そう言って、ユウキとミナミに手を差し出した。

「行くの? 本当に?」

ユウキは、迷って、言った。

「うん。行こうよ。ユウキ、あなたは、異世界が好きなんでしょ。魔法とか、冒険とか、そういうのがある物語が」

ミナミは、そう言って、ユウキの手を握った。

「だったら、自分で体験してみたらいいじゃない。本物の異世界に行って、本物の魔法を見て、本物の冒険をして」

ミナミは、そう言って、ユウキを誘った。

「本物の……」

ユウキは、そう呟いて、扉の向こうを見た。

「どうする? 行く? 行かない?」

マリアは、そう言って、ユウキに訊ねた。

ユウキは、マリアとミナミと扉の向こうとを見て、迷った。

「行くか……行かないか……」

ユウキは、そう言って、決断した。

「……行く。行ってみる」

ユウキは、そう言って、マリアの手を握った。

「よかった。じゃあ、行こう」

マリアは、そう言って、笑顔で言った。

「行こう」

ミナミも、そう言って、笑顔で言った。

「行こう」

ユウキも、そう言って、笑顔で言った。

そして、三人は、手をつないで、扉をくぐった。

扉の向こうには、異世界が広がっていた。

「ようこそ、エルフィアへ」

マリアは、そう言って、ユウキとミナミに言った。

「これから、あなたたちには、素晴らしい冒険が待っているわ」

マリアは、そう言って、微笑んだ。

「冒険……」

ユウキは、そう呟いて、目を輝かせた。

「冒険」

ミナミも、そう呟いて、目を輝かせた。

「さあ、行こう」

マリアは、そう言って、ユウキとミナミを連れて、草原に歩いていった。

「行こう」

ユウキとミナミも、そう言って、マリアについて、草原に歩いていった。

こうして、ユウキとミナミの異世界の冒険が始まった。

これは、彼らが魔法の扉を通して、様々な世界を巡り、様々な出会いと別れと感動と驚きと楽しみと苦しみと喜びと悲しみとを経験していく物語である

【第一話 おわり】
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