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第2章
5.もっと、触れたい
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ヘルマンの手がゆっくりとユリアの前に触れる。
それだけで達しそうになって、ユリアは声もなく身体を震わせた。ゆっくりとヘルマンの手が下着の中に入る。
そっと握られて、ユリアは全身を硬くした。ヘルマンはそれを宥めるように、ゆっくりと上下に動かす。
暖かい手。ヘルマンの手が。そう思うだけで、一気に絶頂を迎えそうになる。
ヘルマンの手はユリアの先走りを受けて、ぬるりと先端を刺激した。
「んあっ……ふ……」
たまらなくて声が漏れる。
そのまままた上下にしごかれて、その絶妙な動きにユリアは熱がどんどん集中して行くのを感じた。今まで感じたことのないほどの快感。
――同時に、湧き上がってくる、あの得体の知れないおぞましい感覚。
一気に背筋に凍るような感覚がして、ユリアはヘルマンの首筋にしがみついた。汗で滑ってうまくしがみつけず、不安やらもどかしさやらでユリアは急激に落ち着かなくなった。
ユリアの腰に回した手と、前を優しく触れる手。どちらもヘルマンの手だ。そう自分に言い聞かせているのに、恐ろしさは自分の内から湧き上がってくる。
ヘルマンに触れられる快感の逃し方が分からず、どちらの感情も大きすぎて、ユリアは激しく動揺した。
「ご、ご、主人、さま……」
震えるほどではないが、舌が固まったように動きにくい。
ヘルマンが腰にあった手を上げて、ユリアの顔を掴んだ。前の手も止まる。そうして顔を覗き込まれた。
「ユリア?どうした、つらいのか」
ユリアは首を振った。
つらくはない。間違いなく、ヘルマンに触って欲しいと思っている。
むしろ今も、もどかしくて。それなのに……。
こわい。
「うっ、うう……ご主人様……」
ユリアはいつのまにか泣き出していた。
ヘルマンはユリアの頭に手をやり、ゆっくりと撫でた。
「ユリア」
いつもの優しい声だ。
「なにも恐ろしいことはない。私の手に集中しなさい」
染み込むようにヘルマンの声が頭に入ってくる。
「ほら、ゆっくり動かすぞ……私の手の中で、気持ちよさそうにビクビクと、可愛らしく震えている」
ヘルマンが話していると、うすら寒いあの感覚が、すうっと引いていくようだった。
ぼうっとした頭で考える。――あの手を握る練習のときも、ヘルマンはずっと話をしてくれていた。
その時の感覚を思い出す。あの満ち足りた感覚。
ヘルマンの声だけで、他は何も考えられない。
「蜜があふれてきた。上手だ。もっと気持ちよくなりなさい。ほら、手伝ってやるから」
「ふぁ、ああ、あああ―――っ」
ヘルマンの手がだんだんと早くなってくる。くちゅくちゅと音を立てながら、快感をどんどんと高めていく。
息が荒く、熱く漏れる。
「いけ」
ヘルマンの低く強い命令が耳元でして。ユリアは先端から白濁を溢れさせた。
びく、びく、と体が痙攣する。その首筋へヘルマンはちゅ、と口づけをした。
「出せたな。偉かった」
偉かった。じん、とその言葉が胸を締め付けた。
初めてだった。
気持ちよくなって、快感に身を任せても良いのだと、言ってもらえたようで。
愛する人と触れ合うだけで、ただ快感を覚えるのだと。
鼻がまたツン、と痛くなる。
やがてヘルマンの手がそっと離れる。
手が離れていく刺激でも反応してしまう。
「ん、っはぅ――」
びくりと漏れた声に、恥ずかしくて口を押さえた。
「いい声だ」
恥じらっているのを分かっていて、ヘルマンは軽く笑ってユリアの頬にまた口付けた。
何をしてもヘルマンは褒めてくれる。ヘルマンも嬉しそうにしてくれている。幸せに包まれるようだった。
ユリアが呼吸を整えるのを待って、ヘルマンは汗で張り付いた髪を分けてやりながら優しく抱きしめてくれた。
「大丈夫か?」
途中ユリアの様子がおかしかったのをヘルマンも察していた。
「――はい」
自分だけ達した恥ずかしさもあって、ユリアは何を言ったらいいか分からなくなった。
「あ、あの、ご主人様も――」
「私はいい」
ヘルマンはきっぱりと言い放った。
ユリアはついヘルマンの前の昂りへ視線を落とした。それはまだ――むしろ先ほどより怒張している。
視線を感じ、こほん、とヘルマンが咳払いをした。
「どうしてですか。――僕、やりたいです」
ヘルマンはしばらく沈黙する。
「なぜそこで生き生きしているんだ」
急に。先ほどまでと別人のようだ。
「ご主人様の……やりたいからです」
ヘルマンの凍りついたような顔は初めて見た。
感情が読めない。
「ご主人様?――だめですか」
「――ユリア」
ヘルマンはユリアの両肩を掴もうとして――手にまだ白濁があるのを見て自分の衣服でさっと拭ってから、しっかりと掴んだ。
「無理をしてほしくない」
「無理なんて、してません」
「さっき、様子がおかしく思えたのは私の気のせいか?」
「でも、最後は気持ちよかったです。幸せでした」
ユリアがあまりにもきっぱりと言うので、戸惑うのはヘルマンの方だった。
この行為全体に注意が必要というわけではないのか。
そもそも今日はここまでするつもりはなかった。それなのに、あまりにもユリアが、色気を出して、濡れた舌で誘ってくるから……。
せいぜい口付けで終わるつもりだったのに。昂ったものを押し付けられて、触れて、快感に慄くユリアの顔がどうしても見たくなった。そしてそれは想像以上になまめかしく、うつくしくて……たまらなかった。
それ故の、この昂りである。
だがユリアの快感を求めていた時、たしかにユリアは何かに怯えていた。いや、怯えていたのか、混乱したのか。不安気に身体を硬くしていた。
それも一時のことではあったが。だからこそ、ここが限界だと言い聞かせたというのに。
ユリアの禁忌がわからない。
傷つけたくはなかった。それは絶対にだ。
ユリアを傷つけたものたちを思い起こすようなことは、絶対にやりたくない。欠片ほどでも。
……だというのに。
目の前のユリアは、不安どころか先ほどの欲情した色などもはや微塵もなく、意気揚々と。まるで目の前に新しいおもちゃでも見つけたようにキラキラとした目で見てくるのだ。
「――わからない」
ヘルマンは低く唸り声を上げた。
「ユリア。私はお前を傷つけたくないんだ」
「傷つきません。気持ちよくなるのは、ちょっと……怖かったのかもしれません」
身を任せて快感を呼び起こされるのは、怖かった。
ヘルマンと触れ合いたい、共に気持ちよくなりたいと思うだけに、その葛藤には今も戸惑っている。
しかしそれは以前人が苦手だった時と同じ。ユリアも何が恐怖となるのかわからないのだった。優しい人だとわかっているのに、身体が自分のものじゃないように震え、嘔吐していた時もそうだった。
だから説明はできないが……これは大丈夫だと、確信があった。
ヘルマンに気持ちよくなってほしい。褒めてもらいたい。
「お願いします」
あまりにも押しが強く、生き生きしているので、ややあってヘルマンが折れた。
「――絶対に無理をしない。約束できるか」
「はい」
ユリアは返事をしてヘルマンの前をくつろがせ、それを取り出した。ヘルマンは一度許可したことを覆したりはしないだろうが、待っていた分、勢い余って情緒も何もなくさっさと行動してしまう。
ためらいもなく一瞬で取り出したそれを両手で包み込む。
「――――――っ」
それでだけで、びくん、とヘルマンのものが反応した。
「……まだ大きくなる」
ユリアの独り言にヘルマンは天を仰いだ。
――これは、新しい拷問だろうか。
ユリアの小さな手が、ゆるゆると動く。先走りがたらりと垂れてくるのを見ると、ユリアは思わずそれを口に含んだ。
「なっ―――、っく……」
ヘルマンが驚いたのは一瞬だった。口で、と思う間もなく、生温かな感触が先端を包み込むと、あまりの気持ちよさに意識を飛ばしそうになる。
油断すれば達していた。
ユリアの舌は先端を絶妙な強さで舐めたかと思うと、そのままくびれへと移動した。そこも丁寧に舐め取りながら、両手を添え、竿の部分をしごきつつ舌を這わせる。
下から上に舌がすーっと移動すると、あまりの快感に下腹からビクビクと反応してしまう。
「ユ、リア……」
ヘルマンの悩まし気な声に、ユリアは耳から快感が抜けるような感覚になった。
ヘルマンのそんなに色っぽい声は初めて聞いた。自分の前が、また勃ち上がってくるのが分かる。
視線を向けると、目が合った。ヘルマンは耐えるように眉を寄せ、それでも青い瞳はユリアを優しく見下ろしてくれている。
――もっと、したい。
ユリアはしばらく舌を動かした後、再び先端を口に含んだ。先走りはさらに増し、その塩気が舌に当たると、ユリアはますます興奮した。
――もっと、味わいたい。
ユリアはその思いのままに、一気に奥まで咥え込んだ。
「まっ……まて、ユリア」
チラリと見上げると、ヘルマンの目元は赤く色づき、興奮をたたえている。
歯が当たらないように注意しながら、ユリアは口全体を使って奉仕した。大きくて、先端が喉に当たるのに半分も咥えられない。下の方は手で撫でる。
どくどくとヘルマンのそれは脈打っている。もう限界が近いのだろう、視界の横に、ヘルマンが手を握りしめているのを見つけた。
何かに耐えるようにぐっと握り込まれていた。
どうすればもっと気持ちいいんだろう。舌を動かし、そうして、もっと深く――。
「――っ、ユリア!!」
喉を開いてそれを迎え入れようとした時。
嗚咽が漏れそうになるのと、ヘルマンがユリアの顔を掴み離したのとが同時だった。そのまま、ぐいっと持ち上げられ、深く口付けられる。
貪るように口内を舌が動き、絡め取られる。急激な口付けに苦しくて、どうして、と思うものの力が入らない。
ユリアが握ったままにしていたヘルマンの勃ち上がりを、その上からさらにヘルマンの手が覆い、一緒に扱く。
「――ん、ふぅっ、はぁ……」
ユリアの漏れ出る声に、ヘルマンのくぐもった声が重なった。
ユリアの手はヘルマンのもので濡れた。
ヘルマンがゆっくりと離れていく。
ユリアはやっと呼吸を整えた。
「――まさか、口で……するとは」
「……だめでしたか」
「だめじゃないが……ユリア。無茶はするな。喉は大丈夫か」
そう言って首筋を撫でられる。
ユリアはヘルマンの体に自分の体を預けた。
汗で濡れて、白濁に汚れて。ベタベタとしてはいたが、多幸感に包まれていた。
「嬉しいです。こうして、ご主人様と触れ合えて」
「――ありがとう。頑張ってくれて」
「ちゃんと、気持ちよかったですか?」
「ああ、最高だった」
言って、ヘルマンはユリアに軽い口付けをした。
これ以上いてはさすがにのぼせそうだったので、余韻もそこそこにして蒸し風呂を出ることにした。
お湯が桶に貯めてあるので、それを使って体を拭いて出る。
ヘルマンはユリアの体を拭きたがったが、ユリアは真っ赤になって最後まで固辞した。
まだ裸を見られる勇気はない。
そんなユリアに笑いながら、お風呂から上がっても、ヘルマンは香油を塗ったりと、世話を焼いてくれる。そうして穏やかに過ごし、その日はゆっくりと疲れを癒しながら過ごした。
それだけで達しそうになって、ユリアは声もなく身体を震わせた。ゆっくりとヘルマンの手が下着の中に入る。
そっと握られて、ユリアは全身を硬くした。ヘルマンはそれを宥めるように、ゆっくりと上下に動かす。
暖かい手。ヘルマンの手が。そう思うだけで、一気に絶頂を迎えそうになる。
ヘルマンの手はユリアの先走りを受けて、ぬるりと先端を刺激した。
「んあっ……ふ……」
たまらなくて声が漏れる。
そのまままた上下にしごかれて、その絶妙な動きにユリアは熱がどんどん集中して行くのを感じた。今まで感じたことのないほどの快感。
――同時に、湧き上がってくる、あの得体の知れないおぞましい感覚。
一気に背筋に凍るような感覚がして、ユリアはヘルマンの首筋にしがみついた。汗で滑ってうまくしがみつけず、不安やらもどかしさやらでユリアは急激に落ち着かなくなった。
ユリアの腰に回した手と、前を優しく触れる手。どちらもヘルマンの手だ。そう自分に言い聞かせているのに、恐ろしさは自分の内から湧き上がってくる。
ヘルマンに触れられる快感の逃し方が分からず、どちらの感情も大きすぎて、ユリアは激しく動揺した。
「ご、ご、主人、さま……」
震えるほどではないが、舌が固まったように動きにくい。
ヘルマンが腰にあった手を上げて、ユリアの顔を掴んだ。前の手も止まる。そうして顔を覗き込まれた。
「ユリア?どうした、つらいのか」
ユリアは首を振った。
つらくはない。間違いなく、ヘルマンに触って欲しいと思っている。
むしろ今も、もどかしくて。それなのに……。
こわい。
「うっ、うう……ご主人様……」
ユリアはいつのまにか泣き出していた。
ヘルマンはユリアの頭に手をやり、ゆっくりと撫でた。
「ユリア」
いつもの優しい声だ。
「なにも恐ろしいことはない。私の手に集中しなさい」
染み込むようにヘルマンの声が頭に入ってくる。
「ほら、ゆっくり動かすぞ……私の手の中で、気持ちよさそうにビクビクと、可愛らしく震えている」
ヘルマンが話していると、うすら寒いあの感覚が、すうっと引いていくようだった。
ぼうっとした頭で考える。――あの手を握る練習のときも、ヘルマンはずっと話をしてくれていた。
その時の感覚を思い出す。あの満ち足りた感覚。
ヘルマンの声だけで、他は何も考えられない。
「蜜があふれてきた。上手だ。もっと気持ちよくなりなさい。ほら、手伝ってやるから」
「ふぁ、ああ、あああ―――っ」
ヘルマンの手がだんだんと早くなってくる。くちゅくちゅと音を立てながら、快感をどんどんと高めていく。
息が荒く、熱く漏れる。
「いけ」
ヘルマンの低く強い命令が耳元でして。ユリアは先端から白濁を溢れさせた。
びく、びく、と体が痙攣する。その首筋へヘルマンはちゅ、と口づけをした。
「出せたな。偉かった」
偉かった。じん、とその言葉が胸を締め付けた。
初めてだった。
気持ちよくなって、快感に身を任せても良いのだと、言ってもらえたようで。
愛する人と触れ合うだけで、ただ快感を覚えるのだと。
鼻がまたツン、と痛くなる。
やがてヘルマンの手がそっと離れる。
手が離れていく刺激でも反応してしまう。
「ん、っはぅ――」
びくりと漏れた声に、恥ずかしくて口を押さえた。
「いい声だ」
恥じらっているのを分かっていて、ヘルマンは軽く笑ってユリアの頬にまた口付けた。
何をしてもヘルマンは褒めてくれる。ヘルマンも嬉しそうにしてくれている。幸せに包まれるようだった。
ユリアが呼吸を整えるのを待って、ヘルマンは汗で張り付いた髪を分けてやりながら優しく抱きしめてくれた。
「大丈夫か?」
途中ユリアの様子がおかしかったのをヘルマンも察していた。
「――はい」
自分だけ達した恥ずかしさもあって、ユリアは何を言ったらいいか分からなくなった。
「あ、あの、ご主人様も――」
「私はいい」
ヘルマンはきっぱりと言い放った。
ユリアはついヘルマンの前の昂りへ視線を落とした。それはまだ――むしろ先ほどより怒張している。
視線を感じ、こほん、とヘルマンが咳払いをした。
「どうしてですか。――僕、やりたいです」
ヘルマンはしばらく沈黙する。
「なぜそこで生き生きしているんだ」
急に。先ほどまでと別人のようだ。
「ご主人様の……やりたいからです」
ヘルマンの凍りついたような顔は初めて見た。
感情が読めない。
「ご主人様?――だめですか」
「――ユリア」
ヘルマンはユリアの両肩を掴もうとして――手にまだ白濁があるのを見て自分の衣服でさっと拭ってから、しっかりと掴んだ。
「無理をしてほしくない」
「無理なんて、してません」
「さっき、様子がおかしく思えたのは私の気のせいか?」
「でも、最後は気持ちよかったです。幸せでした」
ユリアがあまりにもきっぱりと言うので、戸惑うのはヘルマンの方だった。
この行為全体に注意が必要というわけではないのか。
そもそも今日はここまでするつもりはなかった。それなのに、あまりにもユリアが、色気を出して、濡れた舌で誘ってくるから……。
せいぜい口付けで終わるつもりだったのに。昂ったものを押し付けられて、触れて、快感に慄くユリアの顔がどうしても見たくなった。そしてそれは想像以上になまめかしく、うつくしくて……たまらなかった。
それ故の、この昂りである。
だがユリアの快感を求めていた時、たしかにユリアは何かに怯えていた。いや、怯えていたのか、混乱したのか。不安気に身体を硬くしていた。
それも一時のことではあったが。だからこそ、ここが限界だと言い聞かせたというのに。
ユリアの禁忌がわからない。
傷つけたくはなかった。それは絶対にだ。
ユリアを傷つけたものたちを思い起こすようなことは、絶対にやりたくない。欠片ほどでも。
……だというのに。
目の前のユリアは、不安どころか先ほどの欲情した色などもはや微塵もなく、意気揚々と。まるで目の前に新しいおもちゃでも見つけたようにキラキラとした目で見てくるのだ。
「――わからない」
ヘルマンは低く唸り声を上げた。
「ユリア。私はお前を傷つけたくないんだ」
「傷つきません。気持ちよくなるのは、ちょっと……怖かったのかもしれません」
身を任せて快感を呼び起こされるのは、怖かった。
ヘルマンと触れ合いたい、共に気持ちよくなりたいと思うだけに、その葛藤には今も戸惑っている。
しかしそれは以前人が苦手だった時と同じ。ユリアも何が恐怖となるのかわからないのだった。優しい人だとわかっているのに、身体が自分のものじゃないように震え、嘔吐していた時もそうだった。
だから説明はできないが……これは大丈夫だと、確信があった。
ヘルマンに気持ちよくなってほしい。褒めてもらいたい。
「お願いします」
あまりにも押しが強く、生き生きしているので、ややあってヘルマンが折れた。
「――絶対に無理をしない。約束できるか」
「はい」
ユリアは返事をしてヘルマンの前をくつろがせ、それを取り出した。ヘルマンは一度許可したことを覆したりはしないだろうが、待っていた分、勢い余って情緒も何もなくさっさと行動してしまう。
ためらいもなく一瞬で取り出したそれを両手で包み込む。
「――――――っ」
それでだけで、びくん、とヘルマンのものが反応した。
「……まだ大きくなる」
ユリアの独り言にヘルマンは天を仰いだ。
――これは、新しい拷問だろうか。
ユリアの小さな手が、ゆるゆると動く。先走りがたらりと垂れてくるのを見ると、ユリアは思わずそれを口に含んだ。
「なっ―――、っく……」
ヘルマンが驚いたのは一瞬だった。口で、と思う間もなく、生温かな感触が先端を包み込むと、あまりの気持ちよさに意識を飛ばしそうになる。
油断すれば達していた。
ユリアの舌は先端を絶妙な強さで舐めたかと思うと、そのままくびれへと移動した。そこも丁寧に舐め取りながら、両手を添え、竿の部分をしごきつつ舌を這わせる。
下から上に舌がすーっと移動すると、あまりの快感に下腹からビクビクと反応してしまう。
「ユ、リア……」
ヘルマンの悩まし気な声に、ユリアは耳から快感が抜けるような感覚になった。
ヘルマンのそんなに色っぽい声は初めて聞いた。自分の前が、また勃ち上がってくるのが分かる。
視線を向けると、目が合った。ヘルマンは耐えるように眉を寄せ、それでも青い瞳はユリアを優しく見下ろしてくれている。
――もっと、したい。
ユリアはしばらく舌を動かした後、再び先端を口に含んだ。先走りはさらに増し、その塩気が舌に当たると、ユリアはますます興奮した。
――もっと、味わいたい。
ユリアはその思いのままに、一気に奥まで咥え込んだ。
「まっ……まて、ユリア」
チラリと見上げると、ヘルマンの目元は赤く色づき、興奮をたたえている。
歯が当たらないように注意しながら、ユリアは口全体を使って奉仕した。大きくて、先端が喉に当たるのに半分も咥えられない。下の方は手で撫でる。
どくどくとヘルマンのそれは脈打っている。もう限界が近いのだろう、視界の横に、ヘルマンが手を握りしめているのを見つけた。
何かに耐えるようにぐっと握り込まれていた。
どうすればもっと気持ちいいんだろう。舌を動かし、そうして、もっと深く――。
「――っ、ユリア!!」
喉を開いてそれを迎え入れようとした時。
嗚咽が漏れそうになるのと、ヘルマンがユリアの顔を掴み離したのとが同時だった。そのまま、ぐいっと持ち上げられ、深く口付けられる。
貪るように口内を舌が動き、絡め取られる。急激な口付けに苦しくて、どうして、と思うものの力が入らない。
ユリアが握ったままにしていたヘルマンの勃ち上がりを、その上からさらにヘルマンの手が覆い、一緒に扱く。
「――ん、ふぅっ、はぁ……」
ユリアの漏れ出る声に、ヘルマンのくぐもった声が重なった。
ユリアの手はヘルマンのもので濡れた。
ヘルマンがゆっくりと離れていく。
ユリアはやっと呼吸を整えた。
「――まさか、口で……するとは」
「……だめでしたか」
「だめじゃないが……ユリア。無茶はするな。喉は大丈夫か」
そう言って首筋を撫でられる。
ユリアはヘルマンの体に自分の体を預けた。
汗で濡れて、白濁に汚れて。ベタベタとしてはいたが、多幸感に包まれていた。
「嬉しいです。こうして、ご主人様と触れ合えて」
「――ありがとう。頑張ってくれて」
「ちゃんと、気持ちよかったですか?」
「ああ、最高だった」
言って、ヘルマンはユリアに軽い口付けをした。
これ以上いてはさすがにのぼせそうだったので、余韻もそこそこにして蒸し風呂を出ることにした。
お湯が桶に貯めてあるので、それを使って体を拭いて出る。
ヘルマンはユリアの体を拭きたがったが、ユリアは真っ赤になって最後まで固辞した。
まだ裸を見られる勇気はない。
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