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第2章
9.ふたりの時間
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遅い昼食をとった後、二人は再び街に繰り出した。
図書館、商店を回り、古い街並みの中に歴史を感じつつ回る。
夕方には高台に登り、遠くの農村に沈む夕日を2人で眺めた。
視察で来たはずがしっかりと観光のように楽しんでしまっていた。
夏なので、あたりが暗くなる頃に城に着いたが、夕食にも少し遅い時間だった。もともと遅くなると伝えてあったので、それから夕食が用意されてた。
それを食べ、少しだけお酒を飲んで、二人でヘルマンの部屋まで戻ってきた。
「――大丈夫か」
ヘルマンの心配そうな声。
少しふらついただけで、大袈裟だとユリアは思った。
ヘルマンはお酒を飲もうとするユリアになかなか注いでくれなかった。そのため飲んだのはほんの一杯半程度である。
酔ってはなかった。ユリアの自覚としては。
「ご主人様、僕が酔ってると思ってるんですね」
そう言ってユリアはベッドに腰掛ける。
「……………」
「この前みたいには酔ってないですから、大丈夫です」
ヘルマンは黙って水を差し出した。
ユリアはそれを受け取り、一口飲む。
「そんなに心配しなくても……」
「――君は普段、私のベッドにいきなり座ったりしないだろう」
ヘルマンの言い方がおかしくてユリアはくすくす笑った。
「ご主人様も早く座ってください」
ヘルマンはそっとユリアの横に腰かけた。
ユリアがグラスを置いたのを見て、ヘルマンがそのグラスをまた取る。
「もう少し飲みなさい」
「もうお腹いっぱいで」
「食事中もあまり飲んでいなかっただろう」
ユリアはヘルマンの肩に頭を預けた。
「飲ませてください」
「君って人は……」
言って、ヘルマンは水を口に含み、ユリアに口付けて飲ませた。ユリアの目が見開かれる。つ、と口の端から水がこぼれ落ちた。
ユリアがごくり、と音を立てて水を飲み込むのと、ヘルマンが立ち上がり見下ろしてくるのが同時だった。
ユリアがじっと見上げるのに対し、ヘルマンは上着を脱ぎ捨て、タイを外して前を緩め、上からユリアを見下ろした。
威圧感のある視線にユリアは身震いした。ヘルマンの青い瞳には欲の色が灯っている。その目で見下されると、畏怖と、畏敬と。色々な感情が入り混じって、身が竦む。
「ご主人様……」
願うように呼び掛けた。ヘルマンはそれでもまだ見下ろしたままだ。
「ユリア。どうしてほしい」
「抱きしめてください。だきしめて、もっと……」
「もっと?」
「今みたいに、もっと、口で……」
ヘルマンに手を伸ばそうとして、その手を取られる。抱きつきたいところを止められて、ユリアは戸惑いの目を向けた。
「今日は、少し、我慢をしてみようか。酔っ払いじゃない時のユリアはちゃんと待てるだろう?」
意味がわからなくて、ユリアは瞳を揺らした。
「ご主人様、怒ってるんですか?」
「いいや。私は今、とても気分がいい」
「だったらどうして……」
悲しくなって縋りそうになるユリアを押し留め、ヘルマンはさらにその唇に指を当てた。
「確かめさせてくれないか?ユリア。君が、どこまで我慢できるのか」
ユリアは焦れて、ヘルマンの指に軽く触れるように舌を出した。びくりとヘルマンの指が反応する。それに力を得て、さらに指に絡めるように舌を動かした。
熱く湿った舌が這う感覚に、ヘルマンはぞくりと湧き上がる欲望を抑えるのに苦労する。
今日は流されないようにしたい。きっとそれもこの美しい悪魔のような恋人の前では難しいのだろうが。
「ユリア」
ヘルマンの手がユリアの顎を掴んだ。――と思ったら、親指がゆっくりと口の中に入ってくる。
「―――っ」
驚いたが、ヘルマンの瞳がじっと見下ろしているので、動けなくなる。ユリアはさせるがままに、口を半分開けてヘルマンの太い指を迎え入れた。
「勝手に舐めて、悪い子だ」
そう言ってヘルマンの指がさらに侵入してくる。指の腹で舌を押され、撫でられている。
「苦しくないか?」
苦しくはない。が、恥ずかしい。
ヘルマンの節のある固い指を、自分の唾液で汚してしまう。
「そのまま動くな。つらくなったら、噛みなさい。そうしたら終わりにするから」
動くな、とは舌も動かすなと言うことだろうか。
不安になってヘルマンを見るが、ヘルマンの感情は読めない。ただじっとユリアを見ていた。
夜のせいか、ヘルマンの瞳が銀に光ったような気がする。いつもと違うような気がして、どうも落ち着かない。
指がゆっくりと動く。舌の先端を何度か撫でたかと思ったら、今度は下の歯をずらりとなぞるように動く。
びっくりして引きそうになって、慌てて思いとどまる。今日はいつもと違って、いつでも逃げられるように頭も支えられていない。
いっそ頭も固定してくれたらいいのに。
ユリアは頭のどこかでそんな風に考える。
ヘルマンの指がもう一本侵入してくる。今度は二本の指でさっきより強く舌を撫でられる。
ユリアの口内と同じように熱くなりぬめったヘルマンの指が、口付けの時の舌のようだと錯覚する。
けれどヘルマンの顔は遠く、じっと見つめられている。観察されているから羞恥心が湧き上がる。
「ふっ……、あ」
息があがって、自然と声が漏れる。
ヘルマンの指はそれでも止まらなかった。バラバラと動き、更に縦横無尽に動き回る。上顎を撫で、歯をなぞり――。
噛んだら終わる。
そう思うと、ユリアの口は自然にどんどん開いていった。
苦しくて、少し怖いのに、逃げることもできない。
「―――っ、ぁあ」
ヘルマンの指がユリアの舌を挟み、ゆっくりと扱くように動く。
苦しくて涙が滲んでくる。唾液が溢れて伝い落ちるのも構っていられない。
苦しいのに、恥ずかしいのに……ヘルマンの目に魅入られるように、ユリアは前に熱が集中してくるのを感じた。
どうして……こんなので。
そう思い手を伸ばそうとして。
「ユリア」
ヘルマンはそれを許さなかった。
「動くな、と言っただろう?」
ずるりとヘルマンの指が抜かれた。
「あ………」
突然訪れた開放感に不思議な寂しさを感じて、ぼうっとした頭のままユリアはヘルマンを見上げた。
「立ちなさい」
ユリアはほとんど無意識でその命令に従った。
どうしよう。言いつけを破ってしまった。これ以上失敗したくない。
「触るぞ」
そう言ってヘルマンはユリアの勃ち上がりかけたそれを、器用に、あっという間に外に出した。
「――っ、ご主人様……」
突然出されて流石に恥ずかしくてユリアは俯いた。なんとか下半身は動かずにいられたが。
「ユリア。噛まずによく耐えたな。偉かった」
そう言って、褒められた喜びにユリアが小さく身を震わせる。俯くとヘルマンの指が見えた。それはユリアの唾液でしっかりと濡れて光っていた。
その手がゆっくりとユリアのそこに近づいてくる。
「あ、だめです、それ……」
そんなので触られたら。
逃れようとしたわけではないがかすかに抵抗の気配を察し、ユリアの腰はヘルマンのもう片方の手で支えられていた。
「大丈夫だから。――頑張ったご褒美に、気持ちよくなろう」
ヘルマンはその熱くぬるりとした指でユリアのものをやんわりと握った。
十分に唾液で濡れた指は生温かく、それでいてヘルマンの固い手の感触もあって、一気に興奮を増した。ゆるゆると扱かれ、すぐに先端から先走りが垂れる。そこからさらに濡れそぼった手で握りこまれ、緩急つけて動かされる。
先端を包み込むように撫でられて動かされると、静かな室内にくちゅくちゅという水音が響く。そこからゆっくりと竿を上下に動いたり、にぎにぎと圧迫されたり。
ユリアは立っているのがやっとだった。いつの間にかヘルマンの肩に上体をもたれさせるようにして、一気に湧き上がってくる下半身の熱と快感に何とか耐えている。
「う、あ、ご、ご主人様……」
絶頂はすぐそこに来ていた。褒められ満たされた状態から高められて、ユリアはあまりの気持ちよさに涙をこぼした。
「そろそろ、いきそうか?」
聞かれてユリアは何度も首を振った。
ヘルマンは手の動きを早くする。水音が更に卑猥な音を立てて響いた。
「うっ、んあ………」
びくん、と跳ねながら、ユリアは達した。
あふれ出る白濁を掬い取ってまた撫でるようにされて、余韻に更に体が震える。
ユリアの体が崩れ落ちそうになり、ヘルマンはそっとベッドに横たえさせた。
気持ちよくて、頭がぼうっとして。
ヘルマンが、ユリアに覆いかぶさるようにしてベッドに上がった。
愛おしそうにユリアの頬を撫で、濡れた唇を拭ってやる。そしてゆっくりと、唇を重ねた。
すぐにどちらともなく唇を開き、舌を絡ませ合う。
指より柔らかくて温かいヘルマンの舌は、どこか甘く、あちこち掠めるよう動かれるたびに、ぞくぞくと痺れるような気持ちよさが駆け巡る。
「ん、んん……」
舌を吸われ、どう動いていいかわからず声が漏れる。
ヘルマンはそうやってようやく、くすりと笑いながら離れた。
ゆっくりと髪を撫でられれ、その一束にキスを落とされる。
「夜だと、この金の髪も緑の瞳も、一際輝いているな」
「そうですか?自分では……」
言いながら、ふとユリアはヘルマンの頬に手を当てた。その青い瞳が見たくて。
「ご主人様の瞳の方が、夜だとシルバーみたいに光って。星が瞬いているようです」
「それは……初めて言われたな」
すっ、と指の背でユリアの顔の輪郭をなぞられる。
「大丈夫だったか?」
大丈夫……?ユリアは一連の行為を振り返った。
自分だけ達してしまった恥ずかしさに少し目を伏せる。
「僕だけ気持ちよくて……」
「そんなことはない」
ヘルマンはぐい、と自らの昂ったをそれをユリアに押し付けてきた。ユリアの太ももに、布越しでもしっかりとその存在が主張している。
「―――――――っ」
「興奮した」
「でも、殴ったり、縛ったりは……」
ヘルマンは苦笑した。
「だから。そういうんじゃないんだ。まあ、君がしてほしいなら、そのうちしてもいいが」
ヘルマンに殴られるなんてとても想像できず、ユリアは首を傾げた。
ちゅ、と軽くキスを落とされる。
「――そうだな。縛るのはちょっとしてみたいかもしれないな」
縛る。そう聞いて脳裏を掠めた記憶があった。
それを辿るのは危険だから……ヘルマンの瞳を見上げる。どこかほっとして、ユリアは自分の顔に触れているヘルマンの手に自分の手を重ねた。
――ヘルマンになら、されても。
この手になら。そう思えた。
「まずはもっと可愛がりたい。私の腕の中で――」
そう言って、ヘルマンは再び深い口付けをした。
図書館、商店を回り、古い街並みの中に歴史を感じつつ回る。
夕方には高台に登り、遠くの農村に沈む夕日を2人で眺めた。
視察で来たはずがしっかりと観光のように楽しんでしまっていた。
夏なので、あたりが暗くなる頃に城に着いたが、夕食にも少し遅い時間だった。もともと遅くなると伝えてあったので、それから夕食が用意されてた。
それを食べ、少しだけお酒を飲んで、二人でヘルマンの部屋まで戻ってきた。
「――大丈夫か」
ヘルマンの心配そうな声。
少しふらついただけで、大袈裟だとユリアは思った。
ヘルマンはお酒を飲もうとするユリアになかなか注いでくれなかった。そのため飲んだのはほんの一杯半程度である。
酔ってはなかった。ユリアの自覚としては。
「ご主人様、僕が酔ってると思ってるんですね」
そう言ってユリアはベッドに腰掛ける。
「……………」
「この前みたいには酔ってないですから、大丈夫です」
ヘルマンは黙って水を差し出した。
ユリアはそれを受け取り、一口飲む。
「そんなに心配しなくても……」
「――君は普段、私のベッドにいきなり座ったりしないだろう」
ヘルマンの言い方がおかしくてユリアはくすくす笑った。
「ご主人様も早く座ってください」
ヘルマンはそっとユリアの横に腰かけた。
ユリアがグラスを置いたのを見て、ヘルマンがそのグラスをまた取る。
「もう少し飲みなさい」
「もうお腹いっぱいで」
「食事中もあまり飲んでいなかっただろう」
ユリアはヘルマンの肩に頭を預けた。
「飲ませてください」
「君って人は……」
言って、ヘルマンは水を口に含み、ユリアに口付けて飲ませた。ユリアの目が見開かれる。つ、と口の端から水がこぼれ落ちた。
ユリアがごくり、と音を立てて水を飲み込むのと、ヘルマンが立ち上がり見下ろしてくるのが同時だった。
ユリアがじっと見上げるのに対し、ヘルマンは上着を脱ぎ捨て、タイを外して前を緩め、上からユリアを見下ろした。
威圧感のある視線にユリアは身震いした。ヘルマンの青い瞳には欲の色が灯っている。その目で見下されると、畏怖と、畏敬と。色々な感情が入り混じって、身が竦む。
「ご主人様……」
願うように呼び掛けた。ヘルマンはそれでもまだ見下ろしたままだ。
「ユリア。どうしてほしい」
「抱きしめてください。だきしめて、もっと……」
「もっと?」
「今みたいに、もっと、口で……」
ヘルマンに手を伸ばそうとして、その手を取られる。抱きつきたいところを止められて、ユリアは戸惑いの目を向けた。
「今日は、少し、我慢をしてみようか。酔っ払いじゃない時のユリアはちゃんと待てるだろう?」
意味がわからなくて、ユリアは瞳を揺らした。
「ご主人様、怒ってるんですか?」
「いいや。私は今、とても気分がいい」
「だったらどうして……」
悲しくなって縋りそうになるユリアを押し留め、ヘルマンはさらにその唇に指を当てた。
「確かめさせてくれないか?ユリア。君が、どこまで我慢できるのか」
ユリアは焦れて、ヘルマンの指に軽く触れるように舌を出した。びくりとヘルマンの指が反応する。それに力を得て、さらに指に絡めるように舌を動かした。
熱く湿った舌が這う感覚に、ヘルマンはぞくりと湧き上がる欲望を抑えるのに苦労する。
今日は流されないようにしたい。きっとそれもこの美しい悪魔のような恋人の前では難しいのだろうが。
「ユリア」
ヘルマンの手がユリアの顎を掴んだ。――と思ったら、親指がゆっくりと口の中に入ってくる。
「―――っ」
驚いたが、ヘルマンの瞳がじっと見下ろしているので、動けなくなる。ユリアはさせるがままに、口を半分開けてヘルマンの太い指を迎え入れた。
「勝手に舐めて、悪い子だ」
そう言ってヘルマンの指がさらに侵入してくる。指の腹で舌を押され、撫でられている。
「苦しくないか?」
苦しくはない。が、恥ずかしい。
ヘルマンの節のある固い指を、自分の唾液で汚してしまう。
「そのまま動くな。つらくなったら、噛みなさい。そうしたら終わりにするから」
動くな、とは舌も動かすなと言うことだろうか。
不安になってヘルマンを見るが、ヘルマンの感情は読めない。ただじっとユリアを見ていた。
夜のせいか、ヘルマンの瞳が銀に光ったような気がする。いつもと違うような気がして、どうも落ち着かない。
指がゆっくりと動く。舌の先端を何度か撫でたかと思ったら、今度は下の歯をずらりとなぞるように動く。
びっくりして引きそうになって、慌てて思いとどまる。今日はいつもと違って、いつでも逃げられるように頭も支えられていない。
いっそ頭も固定してくれたらいいのに。
ユリアは頭のどこかでそんな風に考える。
ヘルマンの指がもう一本侵入してくる。今度は二本の指でさっきより強く舌を撫でられる。
ユリアの口内と同じように熱くなりぬめったヘルマンの指が、口付けの時の舌のようだと錯覚する。
けれどヘルマンの顔は遠く、じっと見つめられている。観察されているから羞恥心が湧き上がる。
「ふっ……、あ」
息があがって、自然と声が漏れる。
ヘルマンの指はそれでも止まらなかった。バラバラと動き、更に縦横無尽に動き回る。上顎を撫で、歯をなぞり――。
噛んだら終わる。
そう思うと、ユリアの口は自然にどんどん開いていった。
苦しくて、少し怖いのに、逃げることもできない。
「―――っ、ぁあ」
ヘルマンの指がユリアの舌を挟み、ゆっくりと扱くように動く。
苦しくて涙が滲んでくる。唾液が溢れて伝い落ちるのも構っていられない。
苦しいのに、恥ずかしいのに……ヘルマンの目に魅入られるように、ユリアは前に熱が集中してくるのを感じた。
どうして……こんなので。
そう思い手を伸ばそうとして。
「ユリア」
ヘルマンはそれを許さなかった。
「動くな、と言っただろう?」
ずるりとヘルマンの指が抜かれた。
「あ………」
突然訪れた開放感に不思議な寂しさを感じて、ぼうっとした頭のままユリアはヘルマンを見上げた。
「立ちなさい」
ユリアはほとんど無意識でその命令に従った。
どうしよう。言いつけを破ってしまった。これ以上失敗したくない。
「触るぞ」
そう言ってヘルマンはユリアの勃ち上がりかけたそれを、器用に、あっという間に外に出した。
「――っ、ご主人様……」
突然出されて流石に恥ずかしくてユリアは俯いた。なんとか下半身は動かずにいられたが。
「ユリア。噛まずによく耐えたな。偉かった」
そう言って、褒められた喜びにユリアが小さく身を震わせる。俯くとヘルマンの指が見えた。それはユリアの唾液でしっかりと濡れて光っていた。
その手がゆっくりとユリアのそこに近づいてくる。
「あ、だめです、それ……」
そんなので触られたら。
逃れようとしたわけではないがかすかに抵抗の気配を察し、ユリアの腰はヘルマンのもう片方の手で支えられていた。
「大丈夫だから。――頑張ったご褒美に、気持ちよくなろう」
ヘルマンはその熱くぬるりとした指でユリアのものをやんわりと握った。
十分に唾液で濡れた指は生温かく、それでいてヘルマンの固い手の感触もあって、一気に興奮を増した。ゆるゆると扱かれ、すぐに先端から先走りが垂れる。そこからさらに濡れそぼった手で握りこまれ、緩急つけて動かされる。
先端を包み込むように撫でられて動かされると、静かな室内にくちゅくちゅという水音が響く。そこからゆっくりと竿を上下に動いたり、にぎにぎと圧迫されたり。
ユリアは立っているのがやっとだった。いつの間にかヘルマンの肩に上体をもたれさせるようにして、一気に湧き上がってくる下半身の熱と快感に何とか耐えている。
「う、あ、ご、ご主人様……」
絶頂はすぐそこに来ていた。褒められ満たされた状態から高められて、ユリアはあまりの気持ちよさに涙をこぼした。
「そろそろ、いきそうか?」
聞かれてユリアは何度も首を振った。
ヘルマンは手の動きを早くする。水音が更に卑猥な音を立てて響いた。
「うっ、んあ………」
びくん、と跳ねながら、ユリアは達した。
あふれ出る白濁を掬い取ってまた撫でるようにされて、余韻に更に体が震える。
ユリアの体が崩れ落ちそうになり、ヘルマンはそっとベッドに横たえさせた。
気持ちよくて、頭がぼうっとして。
ヘルマンが、ユリアに覆いかぶさるようにしてベッドに上がった。
愛おしそうにユリアの頬を撫で、濡れた唇を拭ってやる。そしてゆっくりと、唇を重ねた。
すぐにどちらともなく唇を開き、舌を絡ませ合う。
指より柔らかくて温かいヘルマンの舌は、どこか甘く、あちこち掠めるよう動かれるたびに、ぞくぞくと痺れるような気持ちよさが駆け巡る。
「ん、んん……」
舌を吸われ、どう動いていいかわからず声が漏れる。
ヘルマンはそうやってようやく、くすりと笑いながら離れた。
ゆっくりと髪を撫でられれ、その一束にキスを落とされる。
「夜だと、この金の髪も緑の瞳も、一際輝いているな」
「そうですか?自分では……」
言いながら、ふとユリアはヘルマンの頬に手を当てた。その青い瞳が見たくて。
「ご主人様の瞳の方が、夜だとシルバーみたいに光って。星が瞬いているようです」
「それは……初めて言われたな」
すっ、と指の背でユリアの顔の輪郭をなぞられる。
「大丈夫だったか?」
大丈夫……?ユリアは一連の行為を振り返った。
自分だけ達してしまった恥ずかしさに少し目を伏せる。
「僕だけ気持ちよくて……」
「そんなことはない」
ヘルマンはぐい、と自らの昂ったをそれをユリアに押し付けてきた。ユリアの太ももに、布越しでもしっかりとその存在が主張している。
「―――――――っ」
「興奮した」
「でも、殴ったり、縛ったりは……」
ヘルマンは苦笑した。
「だから。そういうんじゃないんだ。まあ、君がしてほしいなら、そのうちしてもいいが」
ヘルマンに殴られるなんてとても想像できず、ユリアは首を傾げた。
ちゅ、と軽くキスを落とされる。
「――そうだな。縛るのはちょっとしてみたいかもしれないな」
縛る。そう聞いて脳裏を掠めた記憶があった。
それを辿るのは危険だから……ヘルマンの瞳を見上げる。どこかほっとして、ユリアは自分の顔に触れているヘルマンの手に自分の手を重ねた。
――ヘルマンになら、されても。
この手になら。そう思えた。
「まずはもっと可愛がりたい。私の腕の中で――」
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