あたたかな鳥籠を君に、優しい口づけをあなたに

サイ

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第2章

10.もっと

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 ひとしきり口付けを交わした後、ユリアはそっとヘルマンの昂ったものに手を伸ばした。
 ヘルマンが口付けを中断して、ユリアを見つめる。
「この間まで息の仕方も分からなかったのに。これを気にするようになるとは、余裕だな」
「よ、余裕はないです」
 余裕があると思われたらまた無理難題をさせられそうで、つい答えてしまう。
 ヘルマンはそんなユリアの事もお見通しなようで、微笑んでくれた。
「大丈夫だ、今日は十分頑張ってくれたから、もうしない」
「え、もう……?」
「そんな顔をするな。――口づけて、抱きしめてほしいんだろう?」
 そう言うとヘルマンはユリアの横に移動して、するりと首の下に手を挿し込んでくれる。さらりとした冷たい感触のシルクケットをふわりと被せられる。
 腕枕をされて、抱きしめられるような形だ。
「ほら、もう寝よう」
「えっ……」
 ユリアは納得できなかった。
 だって先ほどまで太ももに当たっていたものは、絶対にまだそのままのはずだ。
 じっとユリアはヘルマンを見た。ヘルマンは目を閉じている。気づかないはずがない。知らぬふりをしているのだ。
 ヘルマンはユリアを気持ちよくさせることには積極的なのに、どうもユリアにさせることには抵抗があるようだった。
 ユリアはヘルマンに密着するように左足をヘルマンの足に絡めた。
 ぐ、っとヘルマンの太ももに力が入ったような気がする。それでもまだヘルマンの目は閉じたままだった。
 それなら……。
 ユリアはごそごそとヘルマンの上に乗りあげてうつぶせに寝る形で重なった。
 ――これは。
 温かいヘルマンの胸板に密着して、鼓動が伝わってくる。頬に当たる筋肉のしまった感触と、呼吸で上下する緩やかな動きがこの上なく安心できた。
 最高だ。
 このまま寝たら最高の寝心地だ。
 胸は幸せでいっぱいで、ユリアは深呼吸した。
 ヘルマンの匂い。ヘルマンの体温。ヘルマンの……。
 ここまできて、はたと本来の目的を思い出す。
 密着した下半身に、ヘルマンの固くなったそれを思い出す。
 ユリアはすりすりと下半身を動かし、ヘルマンのその固いものを布越しにこすってみた。
 ぴく、とヘルマンの表情が動いたものの、まだ目を開けない。
 ユリアはぐ、っと自分のものも押し付けてみた。
 ヘルマンの眉が寄せられる。耐えているように。
 それなら……。
 ユリアはヘルマンの首筋に唇を寄せた。浮き出る太い血管にそっと沿うように滑らせて――。
「ユリア!」
 ヘルマンがついにユリアの顔を抑えた。
 嬉しくなってユリアはつい笑顔になる。
「本当に……君は……わからない人だ」
「一緒に気持ちよくなりたいだけです」
「一緒に……」
 ヘルマンはぎゅっとユリアを抱きしめた。
「触ってもいいですか?」
「じゃあ……私も、ここを触ってもいいか?」
 そういってヘルマンの手がすっとユリアのおしりの方へ回される。
 言わんとしていることを察して、ユリアは一瞬止まった。
 そこは……。
 ヘルマンの青い瞳が、また窺うようにこちらを見ていた。
「今日でなくてもいい」
 ユリアはごくりと唾を飲み込んで、もう一度ヘルマンの胸に頭を乗せた。
 この至上最高の寝心地の上でなら。
「――やります。あの……こうして、くっついていてもいいですか」
「ああ」
 ヘルマンはそう言って手を伸ばし、ベッド脇の棚から瓶を取り出した。するりとユリアのズボンを取り払った。そして続けて自分のズボンも脱ぎ捨てる。
 下半身だけとはいえ、裸になった状態で密着するのは、思った以上に興奮する。ぷるん、と勃ち上がったお互いのものがかすかに触れ合っただけで、からだはびくりと跳ね上がった。
 先ほど達したとは思えない勃ち上がり方だ。すでに先っぽは濡れている気がする。しかもそれがヘルマンの太ももを濡らしているかと思うと、とてつもなく恥ずかしかった。
「ユリア」
 そういってヘルマンの手が再びユリアの前に触れる。
「ああっ――」
 おしりと言って覚悟していたのに前を触られて、先ほどの興奮を思い出し、つい声を上げた。
「いいのか?また私がやっても」
 逃げそうになる体を、ヘルマン手はお尻のふくらみを持って固定した。
 上半身は密着しているのに、下半身は馬のようにまたがる形で少し腰を浮かせ、恥ずかしい恰好になる。
 その指がすす、と窄まりの方へ移動するので、ユリアは体を緊張させる。
「ほら、手を――」
 ヘルマンが前を触っていた手を離し、ユリアの手を誘導して自分のものに触れさせる。
 ヘルマンの大きくてかたいそれを握ると、ユリアは急に元気になった気がした。
 この興奮に勃ち上がったものを、自分が気持ちよくしたい。
 そう思うとゆるゆると手を動かした。
「ユリア、自分のものも、触っておきなさい」
 ヘルマンはそういってユリアのものと自分のものを同時に触らせた。
「あっ……だ、ダメです。これ。気持ちよすぎて――」
 敏感な部分と、ヘルマンの固い部分とがこすれ合って。こんなに繊細なところ同士をくっつけているなんて。
 恥ずかしくて、興奮して、気持ちよすぎて。
 ヘルマンはくすりと笑って両手を離した。
 ぽたりとお尻に何かが落ちる感触で、ヘルマンが手に香油を垂らしているのだと感じる。
「あ、あああ―――」
 ヘルマンの指が、そっと窄まりに触れる。いつ侵入するともしれないそれに身構えたいのに、前の気持ちよさのせいで集中できない。
 ヘルマンは時折腰を揺らすから。ユリアがせっかく緩やかに握っているのに、強烈な刺激を与えられる。
「前に集中していろ。――私を気持ちよくしてくれるんだろう?」
 ヘルマンの声が胸から頭に響く。
 くるくると何度か円を描いたと思ったら、ヘルマンの指がゆっくりとユリアの中に入ってきた。
「ん、う……」
 久しぶりに感じる圧迫感。それでもゆっくりと香油と共に侵入するので抵抗なく進んでいく。
 少し押し進めてから、ヘルマンは止まった。
「――ユリア。大丈夫か」
「う、は……いい」
 返事をしたかったが、息の吐き方がうまくいかず変な声になる。ヘルマンは空いた手でユリアのお尻を撫でた。
「ゆっくりしよう。ほら、私の指を思い出してみなさい。さっき、ユリアの舌を触っていた指の形を覚えているか?」
 そう言われて、先ほど散々口内を蹂躙した指を思い出す。
 それが今、後ろに入っている。
「ああ……上手に、きゅっと絞めたな」
 ユリアは恥ずかしくて顔を上げられない。
 しかし意識するとさらにヘルマンの指は存在感を増すようだった。
 きゅう、と締め付け、また緩む隙に、更にぐぐ、と入ってくる。
「ああ……ん、ん」
 ヘルマンの指をどうしても意識しすぎてしまう。
 指はゆっくりと出たり入ったりを繰り返して、時折探るように動く。
 慎重に、少しずつヘルマンは指を動かしていた。
「かわいいな、ユリア。しっかりと中で私の指を味わってくれている」
 ヘルマンが喋るたびに、体に低音の声が響くように聞こえる。
 もう前を触る余裕もなくてほとんど動かなかった手を、ヘルマンの熱い手が覆った。ぎゅ、と握り込まれ、びくんと体が反応する。
「はは……前も後ろも、敏感だな」
「あ、だめ……ご主人、さま……これ、こわい」
 ヘルマンが握ると、敏感なくびれの部分にヘルマンのものが擦れて鋭い快感が走る。
 びりびりと痺れるような快感に合わせるように、後ろはゆるゆると刺激された。
「大丈夫だ。上手にできている…そのまま」
 ヘルマンは指を増やした。ユリアのそこは難なくヘルマンの指を受け入れた。
 そして間も無く探り当てたその場所を刺激された時。
「あ、ぁぁぁあ、ん、あ、だめ、そこ――」
「ここだろう?……ああ、本当に可愛いな。きゅうきゅうと締め付けて、もっと、ここ、と誘っているようだ」
 ヘルマンはその敏感な部分を絶妙な力加減で押した。それに合わせて前をやんわりと刺激していたかと思うと、突然腰を振り始めた。
「あ、あ、ぁあ……、だ、だめ、だめ、それ、あああ――っ」
 前も後ろも強烈な刺激に、ユリアは目の前が真っ白になった。ヘルマンの体温と、指と、荒い呼吸が染み込むように、自分に重なってくるような感覚。
 いつもより密着しているから、ほかのことを考える余裕などなかった。
 何より、ヘルマンの興奮した息づかいをきくと、それだけでもう競り上がってくるように興奮する。
「ご、ごしゅじ、さま……ふ、うう、う、んあっ!」
「ああ、動いて、吸い付いて、熱くて……なんて穴だ。入れたい。ここに入れて、思い切り突いて、わたしのものを、思いっきり注いでやりたい」
「ああ、こ、こわい……こんな、だめ、だめだめ……!」
 ヘルマンの動きに合わせて、無理やりこじ開けられて押し入られることを想像して――。
 ユリアは後ろをぎゅうっ、と締め付け、足をぴん、と突き出すようにして達した。ヘルマンも熱い白濁を放っている。
 あまりにも大きく、深い絶頂に、ユリアは全身脱力してヘルマンの上に倒れ込む。
 いった後の気だるさをヘルマンが包み込んでくれるようだ。
「ん、ふぁ……」
 ヘルマンの指が抜かれるのに、余韻でまた体が震えた。声も出てしまうが、もう気にする余裕はなかった。
「ユリア。つらくなかったか?」
 顔が見えないので、ヘルマンはぽんぽん、と背中を叩いてくれた。
「はい……ご主人様に包まれて……」
 つらいことは何もなかった。
 あまりにもヘルマンの存在が大きくて、その他を考える余裕はなかった。
「よく頑張ったな。ありがとう」
「僕は、ただ、気持ちよくて……」
 結局ろくにヘルマンのものを触らなかった。
 ただ気持ちよくなっただけだった。
「――ユリア。眠いんだろう。寝てなさい。片付けておくから」
「んん……でも」
「構わない」
 ユリアは覆い被さってくるような眠気に、ヘルマンの胸の動きと相まって、もう逆らうことができそうになかった。
「つぎは、ぼく、が……す、から」
 ユリアの寝言のような呟きに、ヘルマンは愛おしくてたまらなくなる。
 すぐにユリアの寝息がきこえ、規則的に肩が上下する。
 元々体力がないのに、今日は色々あって、しかもこれである。無理もない。
 そっとベッドにおろし、頼りなさそうに掴んでくる腕を自分の腰に回した。
 ユリアはほっとしたようにまた力を抜いて眠った。
 少し汗ばんだ額を拭いてやりつつ、ヘルマンはとりあえず手の届くところだけ拭いてやった。
 もう少し眠りが深くなれば、温かいタオルで清めてやろう。
 ユリアが安心できるように、もう少し、このまま……。
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