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第3章
2.
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「えっ、マッカリー?」
ユリアは話を聞いて、食事の手を止めた。
今日は週に一度、ユリアの休日に合わせ、共に過ごす日。街を一緒にぶらついてから、夕食は買ってきたものを部屋で一緒に食べることにした。
「ベン君と?何しに行くの?」
「お父さんっぽい人がいるんだって。手紙を見かけたって。それで会ってみたいって」
「それは……急だね。大丈夫なの?」
「どうかな。まあ、ベンのことだから」
「マッカリー伯爵領かあ」
ユリアの心配はわかる。
マッカリーはヴェッターホーンほど治安の良いところではない。
「僕はちょっと心配だけど……行きたいの?」
「うん。これを皮切りに、ちょっとあちこち行ってみたい」
「え、マッカリーだけじゃないの?」
「マッカリー行ったら一回は帰ってくるよ。マッカリーに行ってみて、旅に慣れたら、あちこち行きたいなって」
ユリアはびっくりしたようで、口を開いたまましばらく止まっていた。
「そんなに驚く?」
「驚くよ。だってルイスまだ十三なのに」
自分はとうに働き出し点々と渡り歩いていたというのに、ユリアの中ではルイスはまだまだ子供だった。
自分より背が高かろうが、勉強ができようが、そこは変わらない。
補佐官としてキャリアを積み、ユリアはもうヘルマンの側近のようなところにいる。自然と身なりもそれに見合うように、と今では仕立ての良い衣服に身を包んでいた。
髪は相変わらず長いまま後ろで編んでいる。公爵邸の方で暮らすようになったら質の良い石鹸等を使っているのだろう。ますます輝きが増していっている。
そうしていると、甥の目から見てもやんごとなきところの貴公子にしか見えない。
視察もいまだに全てヘルマンが同行しているというのも納得だ。
ヘルマンでなければ守れないような気がする。
ユリアはどこか抜けているというか、天然なところがあるから。
もっとも、公爵家の使用人に言わせればルイスも相当な天然である。天然兄弟と言われている。兄弟じゃないけど。
そんなユリアは色々考えてからうーん、と唸る。
「寂しいけど……まあ、ベン君となら安心かなあ」
筋肉バカだから。とにかく強い。ただ壊滅的に頭が悪い。
頼み事をしても忘れるし、約束もよく忘れられたり。とにかく落ち着きもない。
ルイスと付き合いが続いているのが不思議だとみんな言っている。
「ほんと、ずっと仲良しだねえ、二人は」
「幼馴染だからね。気楽なの」
ユリアはふと何かを思いついたような顔をした。
伺うようにルイスを見る。
「なに?」
「もしかして、二人は、お付き合いしてたりなんて……」
「してないよ」
即答した。
「あっ、そ、う……ごめん、変なこと聞いて」
「そんなに仲良しに見える?」
「仲はいいよね。いや、ごめん。そんな甘い雰囲気は一切感じない」
「そうだよ。リアと公爵様みたいな甘々じゃないでしょ」
「ちょっとルイス」
ユリアが照れたように睨みつけるが、全く迫力がない。
先日三人で公爵邸で食事をしたとき、ヘルマンがユリアに触れた回数は三十六回だ。たかだか二時間ほどの食事の間に。
いちいち数えた訳ではないが、勝手に頭が数えてわかってしまう。視線を交わした時間は、ほぼずっと。
ユリアが幸せそうなのはいいが、ちょっとお腹いっぱいという気持ちだ。
「まだみんなに言わないの?」
実は、二人がそういう仲というのは周知の事実になっているものの、特に二人が公言したことはない。
そこはルイスも、思い返してみても舌を巻く。
ヘルマンはゆっくりと外堀を埋めた。少しずつ、無害なものから徐々に匂わせるように動き、ずるずると理由をつけてユリアを手元に置き。そしてまた時間をかけてゆっくりと、二人が実はそんな仲なのではないかと人々に思わせて――今に至る。
表立って言っている訳ではないから反対もされない。そうしてクリスティーナも結局打つ手もなく今日まで大きな諍いはなかったようだ。
「どうかなー。今更って気もするし……」
「ふうん」
サラダの最後の一口を食べて、ルイスは食器を片付け始めた。
「そろそろ帰るでしょ?お屋敷まで送っていくよ」
「何言ってるの、逆でしょ」
ユリアも食器を片付けながら言うが、それは違うと思う。
確かにルイスはまだ十三ではあるが、背は平均より高めだし、骨格も平均的な体格だ。相変わらず華奢で背も自分より小さいユリアに比べたらよほど強く見えると思う。
何よりその顔。
中性的な美貌を持つユリアは、今まさに華の盛りといった美しさで、街を歩くだけで何人の足を止め振り返らせたことか。自覚がないのでそれもまた良くない。
ヘルマンの過保護に拍車がかかる訳だと思う。
対してルイスは近頃また声も低くなり、男性的な顔立ちになってきた。並んで立てば、ルイスの方が強そうに見えると思う。
それを言うと落ち込むだろうから言わないが。
「いいじゃん。もうすぐベン来るから」
噂をすれば影、で。ドアを開ける音がして、ベンが入ってきた。
「ただいまー。あ、ユリアさん。お久しぶりです」
「おかえりなさい、ベン君。元気そうだね。いつもルイスをありがとう」
「俺は遊びに来てるだけだから」
ベンは慣れた手つきで二人から食器を受け取り、片付けに行ってくれた。
戻ってきたベンはボキボキと首を鳴らしながら、鼻歌を歌い、机を拭き始めた。手慣れている。
「ルイス。ベン君を使いすぎないようにね」
「ベンは好きでやってるんだよ」
「またそんな……」
ルイスに生活力がないことはわかっている。そこはちゃんと教えてやれなかった自分の責任でもあるので、なかなか強くは言えないのだが。
こうなるとサラの地道な教育がいかに素晴らしいかが見える気がする。ベンは物覚えのいい方でないというのに、家事のあれこれは体で覚えている感じだ。
「ベン君、マッカリー領に行くって聞いたんだけど」
「はい。ちょっと行ってきますね。あ、母さんには内緒です」
ユリアは、はは、と曖昧な笑いを漏らした。
この母さんには内緒、は内緒にできた試しがない。いつもどこからか漏れて雷を落とされている。
「いつ行くとか、決まったの?」
「今金貯めてるんで、あと二週間くらいですかね」
「そっか……」
「また決まったら言います。ルイスのことはちゃんと見ますんで」
未成年な二人だが、もう十六になると他領では大人扱いだ。普通に働いている者がほとんどである。
「うん……ありがとう。公爵様にも、一応相談しとくね」
数日後、寮に帰ったルイスは懐かしい顔を見かけた。
「デニス!」
数年前に執事見習いから執事になったデニスだった。寮ではなく街に住んでいるため、会うのは久しぶりだ。子供の頃からルイスを可愛がってくれたので、近所のお兄さんという感じがする。ユリアと同い年くらいだ。
「久しぶり。どうしたの?」
「この前食事会に来た以来だな」
「うん。おつかい?」
誰かを待っている様子だったので聞いてみた。
「ああ、公爵様がお呼びだ。来れるか?」
「いまから?」
「晩御飯でも食べながらって」
「リアも?」
「いや、ユリアさんは別件でいないらしい」
ヘルマンと、二人で。滅多にないことである。
何かと気にかけてくれて、服や靴などを買ってくれる。完全なるユリアへの愛の延長のおこぼれだろう。
なので、そんなにしてもらう必要はないといつも言っているのだが。
今日は食事。何か話でもあるのだろうか。
ルイスはわかった、と言って荷物を置き、デニスと共に屋敷へ向かった。
「ご無沙汰してます、公爵様」
ぺこりと頭を下げるルイスに、ヘルマンは苦笑をこぼした。
「――もう少し楽にしてくれ」
今日も黒い服を完璧に着こなしている。
ルイスの見る限りその美貌も衰えることなく、むしろ昔の鋭さが少し和らいで深みが増し、同性から見ても魅力的だ。
わざわざ玄関まで出迎えに来てくれて、一緒に食堂へと向かう。
幼い時は良く抱っこしてもらっていた気安さでつい距離を間違えそうになるが、相手は公爵様である。それでもいつも支えてくれたと思っている。父親がいたらこんな感じかと勝手に思っているところもある。
「今日も学校へ行ってきたのか」
「うん」
「教えるのは楽しいか?」
「――そうでもない。でも他にすることもなくて」
「そうだったのか」
ただ流されるままに残って教えているだけで、ルイスは別に教師の仕事にやりがいを感じているわけでも、長く続けるつもりもなかった。
そもそも、おそらく子供はあまり好きではない。しかし高等教室は年上が多いため、そこに助手とはいえ教師として入るわけにもいかない。仕方なく初等教室で教えている。
「がやがやして、苦手かな。汚いし」
「教師じゃない仕事をしたらどうだ」
「なんでもいいんだけど」
たまたまタイミングよく誘われたからやっているだけだ。手当がもらえて、お昼も出る。
「公爵領の仕事はしないのか?」
「それ、フェル様に会うたびに言われます」
高等教育を始めた頃からだから、十一歳くらいからだろうか。それはもう、フェルナンドからしつこく補佐官に誘われている。
一時期面白くてフェルナンドから勉強を教わっていたから余計だ。補佐官にはならないよ、と言いつつも、学校では習えない専門的な知識は面白かった。
「せっかく教えてもらったのに、悪いなって思う」
フェルナンドと働くのは、ちょっと想像がつかなかった。
「それは気にするな。子供相手に勝手にやったことだ」
親の仕事を継ぐでもなく、選択肢は無限に広がっていると周りからは思われているだろうが。
逆に自由だからこそ、十三歳で仕事を決めるのも難しい話だと思う。
ユリアも気にはしていたが、まだ若いのだからしばらく好きなことをしてから考えてもいいんじゃないか、というのが現在の結論だ。
二人は食堂についた。侍従がドアを開ける。
「今日は、リアは」
「フェルナンドと会計処理に追われている。年末だからな。今日は遅くなると言っていた。帰りに差し入れをしてやるといい。軽食を持たせよう」
「へえ……公爵様、一緒にしないんですか」
「今日はな。少し話したくて」
席に着いてから食事が運ばれてくる。
「まあ、食べながら話そう。まずは乾杯を。何を飲む?」
「水で」
ヘルマンのグラスにはワインが、ルイスには水が注がれた。
静かに乾杯して食事が開始される。
「ユリアから、マッカリーへ行くと聞いた」
「うん」
ルイスは頷いた。
「二人だけで送り出すのは少し心配なんだが……」
だからと言って護衛をつけるというのも変な話だ。
公爵家においてルイスの立ち位置は、ユリア以上に微妙なものだった。それはルイス自身もよく自覚している。
一使用人以上のようで、それですらない。
「ベンのお父さんのいるところに行って帰るだけだから、今回はすぐ戻ってくるつもり、です」
おそらく二、三日だろう。
「マッカリーのどこかわかってるのか?」
「うん。領の境目近くだから、そんなに治安も悪くないと思う」
地理で学んだ上では、である。実際には外に出たことがないからわからないが。
公爵領は豊かだから、自然と周りも潤う。
豊かだが税金も高いのでそれほど流民が流れてくることはなく、むしろマッカリーで留まる。それで余計治安が悪くなる。
「どうやって行くんだ?」
「乗合馬車かな」
「宿泊は?」
「ベンは下手な宿より野宿の方がきれいだって言って。本当ですか?」
「そうだな……宿の程度にもよるが、よほど汚い宿もあるにはあるから」
ルイスのことを一番わかっているベンが宿より野宿がいいと言っているのならそうかもしれないが。そうなると益々心配である。
「野宿はあまり勧められないな。冬の野宿は訓練が必要だ。夜盗も、いないとも限らない」
「ベンにそう言っとく」
「まあ……細かい日程が決まったら、また教えてくれ」
「うん」
とりあえず反対するために呼んだわけではないようだ。
「今日は、その話?」
「ああ。ユリアが心配していたから、何か手伝えることはないかと思ったんだが……」
ヘルマンは優雅にワインを傾けながら言った。
「まあ、大丈夫だろうとは思っている。ベンは腕が立つと聞いているし、お前は頭がいい。二人で行けば危険を避けて帰ってこれるだろう。ただまあ、まだ子供だから。どうしても心配して、手を貸したくなるんだ」
「うん。ありがとうございます」
「本当は騎士か従騎士をつけたいが……いい頃合いかなと思っている」
「頃合い?」
「色々と見てきたらいいと思う。ここで学べることは、もう多くを学んだのだろう」
ルイスはヘルマンをまじまじと見た。
「どうした」
「公爵様の、そういうところなのかなと思って。リアが夢中になるの」
「……………」
ヘルマンは言葉を詰まらせた。思いもよらない返しだったようだ。
咳払いをしてナプキンで口元を拭った。
「ルイスは、本当にユリアとよく似ているな」
思いがけないことをポロリと言うところがそっくりだ。
「まあ、気を付けて行ってきなさい。これを――」
ヘルマンはすっ、と短剣を一つ差し出した。ほとんど装飾のない、彫り物だけの質素な銀の造り。
「懐に忍ばせておきなさい」
「これ……公爵家の家紋が彫ってある」
「何かあればこれを見せれば、大抵のことは解決する」
それはそうだろう。この家紋は直系しか使用を許されないものだ。
「僕がこれを使ったら、公爵様の隠し子って噂が広まってしまうと思う」
「構わない。安全は保障されるだろう」
ルイスは短剣を手に取って、それをまじまじと見つめた。ずっしりとした重みがあり、年季の入った代物だ。
旅行のことを聞かれるとは思っていたが、これは予想外である。破格の待遇にもほどがある。
いくらユリアの甥とはいえ、これはやりすぎではないだろうか。
簡単に言えば、この剣があれば大抵のことはできる。今これを使えるのはクリスティーナとヘルマンだけ。
身分が保証され、大金も借りられる。土地も買えるし、あらゆる関所はほぼ素通りできるだろう。貴族だってもてなすほどのものだ。
「これは、僕が使ってはいけないものだと思います」
ルイスは短剣をゴトン、と置いてヘルマンに押し戻した。
ヘルマンは受け取らなかった。
「これを持って行かないなら、心配で送り出せないな」
「この事……リアは知ってるんですか」
「言っていない。やめろと言われるだろうな」
ヘルマンはおかしそうに笑っている。笑い事ではない。
「公爵様」
「使えと言っているんじゃない。持っていろと言っているだけだ」
ヘルマンは何でもないことのようにワインを飲みながら言い放つ。
「だが、使うときはためらうな」
ルイスはその恐れ多い短剣を見下ろした。
きっとヘルマンは、ユリアに「手を打っておいた」と詳細は伏せて告げるのだろう。ヘルマンにそう言われるだけでユリアは安心する。そして実際に、万全の対策と言えばそうだが。
これは信頼の証でもある。十三の子供に家紋を預けるようなこと、普通はしない。しかしルイスであれば使い方もこの意味も違えないだろうという、信頼。
他でもないヘルマンがこの家紋を預けてくれたことにルイスは少し感動した。
ヘルマンは危険だからと止めるのではなく、違う安全策を考えてくれる人だ。それが成長に必要だからと見守ってくれる。助けるより見守る方がずっと難しいことなのに、難なくやってしまうのだ。
これまでもそうだった。ヘルマンに行く手を止められたことはない。いつも手を引いてくれた。
「――ありがとうございます」
ルイスはそっと短剣を懐にしまった。
「無事に帰ってきて返します」
「一通りの旅が終わったらな」
「それは……まだ、行き先は決まってなくて」
長期的に借りることになってしまう。
「目的もないのか?何が見たいとか」
フェルナンドのようにふらふらと遊び歩くつもりなのだと思っていたという。
ルイスはフェルナンドといることが多かったから、感化されて旅行に関心を寄せたのは自然なことだと思われたようだ。
ルイスはまた少し考えた。ヘルマンは次の言葉を待ってくれる。
言ってみようか。
考えていた色んな方法より、あらゆることが早く解決しスタートできるかもしれない。
ヘルマンが自分を信じてくれたように、ルイスもヘルマンを信じている。
ルイスはフォークを置いた。
「あの。ちょっと考えてることがあって」
ユリアは話を聞いて、食事の手を止めた。
今日は週に一度、ユリアの休日に合わせ、共に過ごす日。街を一緒にぶらついてから、夕食は買ってきたものを部屋で一緒に食べることにした。
「ベン君と?何しに行くの?」
「お父さんっぽい人がいるんだって。手紙を見かけたって。それで会ってみたいって」
「それは……急だね。大丈夫なの?」
「どうかな。まあ、ベンのことだから」
「マッカリー伯爵領かあ」
ユリアの心配はわかる。
マッカリーはヴェッターホーンほど治安の良いところではない。
「僕はちょっと心配だけど……行きたいの?」
「うん。これを皮切りに、ちょっとあちこち行ってみたい」
「え、マッカリーだけじゃないの?」
「マッカリー行ったら一回は帰ってくるよ。マッカリーに行ってみて、旅に慣れたら、あちこち行きたいなって」
ユリアはびっくりしたようで、口を開いたまましばらく止まっていた。
「そんなに驚く?」
「驚くよ。だってルイスまだ十三なのに」
自分はとうに働き出し点々と渡り歩いていたというのに、ユリアの中ではルイスはまだまだ子供だった。
自分より背が高かろうが、勉強ができようが、そこは変わらない。
補佐官としてキャリアを積み、ユリアはもうヘルマンの側近のようなところにいる。自然と身なりもそれに見合うように、と今では仕立ての良い衣服に身を包んでいた。
髪は相変わらず長いまま後ろで編んでいる。公爵邸の方で暮らすようになったら質の良い石鹸等を使っているのだろう。ますます輝きが増していっている。
そうしていると、甥の目から見てもやんごとなきところの貴公子にしか見えない。
視察もいまだに全てヘルマンが同行しているというのも納得だ。
ヘルマンでなければ守れないような気がする。
ユリアはどこか抜けているというか、天然なところがあるから。
もっとも、公爵家の使用人に言わせればルイスも相当な天然である。天然兄弟と言われている。兄弟じゃないけど。
そんなユリアは色々考えてからうーん、と唸る。
「寂しいけど……まあ、ベン君となら安心かなあ」
筋肉バカだから。とにかく強い。ただ壊滅的に頭が悪い。
頼み事をしても忘れるし、約束もよく忘れられたり。とにかく落ち着きもない。
ルイスと付き合いが続いているのが不思議だとみんな言っている。
「ほんと、ずっと仲良しだねえ、二人は」
「幼馴染だからね。気楽なの」
ユリアはふと何かを思いついたような顔をした。
伺うようにルイスを見る。
「なに?」
「もしかして、二人は、お付き合いしてたりなんて……」
「してないよ」
即答した。
「あっ、そ、う……ごめん、変なこと聞いて」
「そんなに仲良しに見える?」
「仲はいいよね。いや、ごめん。そんな甘い雰囲気は一切感じない」
「そうだよ。リアと公爵様みたいな甘々じゃないでしょ」
「ちょっとルイス」
ユリアが照れたように睨みつけるが、全く迫力がない。
先日三人で公爵邸で食事をしたとき、ヘルマンがユリアに触れた回数は三十六回だ。たかだか二時間ほどの食事の間に。
いちいち数えた訳ではないが、勝手に頭が数えてわかってしまう。視線を交わした時間は、ほぼずっと。
ユリアが幸せそうなのはいいが、ちょっとお腹いっぱいという気持ちだ。
「まだみんなに言わないの?」
実は、二人がそういう仲というのは周知の事実になっているものの、特に二人が公言したことはない。
そこはルイスも、思い返してみても舌を巻く。
ヘルマンはゆっくりと外堀を埋めた。少しずつ、無害なものから徐々に匂わせるように動き、ずるずると理由をつけてユリアを手元に置き。そしてまた時間をかけてゆっくりと、二人が実はそんな仲なのではないかと人々に思わせて――今に至る。
表立って言っている訳ではないから反対もされない。そうしてクリスティーナも結局打つ手もなく今日まで大きな諍いはなかったようだ。
「どうかなー。今更って気もするし……」
「ふうん」
サラダの最後の一口を食べて、ルイスは食器を片付け始めた。
「そろそろ帰るでしょ?お屋敷まで送っていくよ」
「何言ってるの、逆でしょ」
ユリアも食器を片付けながら言うが、それは違うと思う。
確かにルイスはまだ十三ではあるが、背は平均より高めだし、骨格も平均的な体格だ。相変わらず華奢で背も自分より小さいユリアに比べたらよほど強く見えると思う。
何よりその顔。
中性的な美貌を持つユリアは、今まさに華の盛りといった美しさで、街を歩くだけで何人の足を止め振り返らせたことか。自覚がないのでそれもまた良くない。
ヘルマンの過保護に拍車がかかる訳だと思う。
対してルイスは近頃また声も低くなり、男性的な顔立ちになってきた。並んで立てば、ルイスの方が強そうに見えると思う。
それを言うと落ち込むだろうから言わないが。
「いいじゃん。もうすぐベン来るから」
噂をすれば影、で。ドアを開ける音がして、ベンが入ってきた。
「ただいまー。あ、ユリアさん。お久しぶりです」
「おかえりなさい、ベン君。元気そうだね。いつもルイスをありがとう」
「俺は遊びに来てるだけだから」
ベンは慣れた手つきで二人から食器を受け取り、片付けに行ってくれた。
戻ってきたベンはボキボキと首を鳴らしながら、鼻歌を歌い、机を拭き始めた。手慣れている。
「ルイス。ベン君を使いすぎないようにね」
「ベンは好きでやってるんだよ」
「またそんな……」
ルイスに生活力がないことはわかっている。そこはちゃんと教えてやれなかった自分の責任でもあるので、なかなか強くは言えないのだが。
こうなるとサラの地道な教育がいかに素晴らしいかが見える気がする。ベンは物覚えのいい方でないというのに、家事のあれこれは体で覚えている感じだ。
「ベン君、マッカリー領に行くって聞いたんだけど」
「はい。ちょっと行ってきますね。あ、母さんには内緒です」
ユリアは、はは、と曖昧な笑いを漏らした。
この母さんには内緒、は内緒にできた試しがない。いつもどこからか漏れて雷を落とされている。
「いつ行くとか、決まったの?」
「今金貯めてるんで、あと二週間くらいですかね」
「そっか……」
「また決まったら言います。ルイスのことはちゃんと見ますんで」
未成年な二人だが、もう十六になると他領では大人扱いだ。普通に働いている者がほとんどである。
「うん……ありがとう。公爵様にも、一応相談しとくね」
数日後、寮に帰ったルイスは懐かしい顔を見かけた。
「デニス!」
数年前に執事見習いから執事になったデニスだった。寮ではなく街に住んでいるため、会うのは久しぶりだ。子供の頃からルイスを可愛がってくれたので、近所のお兄さんという感じがする。ユリアと同い年くらいだ。
「久しぶり。どうしたの?」
「この前食事会に来た以来だな」
「うん。おつかい?」
誰かを待っている様子だったので聞いてみた。
「ああ、公爵様がお呼びだ。来れるか?」
「いまから?」
「晩御飯でも食べながらって」
「リアも?」
「いや、ユリアさんは別件でいないらしい」
ヘルマンと、二人で。滅多にないことである。
何かと気にかけてくれて、服や靴などを買ってくれる。完全なるユリアへの愛の延長のおこぼれだろう。
なので、そんなにしてもらう必要はないといつも言っているのだが。
今日は食事。何か話でもあるのだろうか。
ルイスはわかった、と言って荷物を置き、デニスと共に屋敷へ向かった。
「ご無沙汰してます、公爵様」
ぺこりと頭を下げるルイスに、ヘルマンは苦笑をこぼした。
「――もう少し楽にしてくれ」
今日も黒い服を完璧に着こなしている。
ルイスの見る限りその美貌も衰えることなく、むしろ昔の鋭さが少し和らいで深みが増し、同性から見ても魅力的だ。
わざわざ玄関まで出迎えに来てくれて、一緒に食堂へと向かう。
幼い時は良く抱っこしてもらっていた気安さでつい距離を間違えそうになるが、相手は公爵様である。それでもいつも支えてくれたと思っている。父親がいたらこんな感じかと勝手に思っているところもある。
「今日も学校へ行ってきたのか」
「うん」
「教えるのは楽しいか?」
「――そうでもない。でも他にすることもなくて」
「そうだったのか」
ただ流されるままに残って教えているだけで、ルイスは別に教師の仕事にやりがいを感じているわけでも、長く続けるつもりもなかった。
そもそも、おそらく子供はあまり好きではない。しかし高等教室は年上が多いため、そこに助手とはいえ教師として入るわけにもいかない。仕方なく初等教室で教えている。
「がやがやして、苦手かな。汚いし」
「教師じゃない仕事をしたらどうだ」
「なんでもいいんだけど」
たまたまタイミングよく誘われたからやっているだけだ。手当がもらえて、お昼も出る。
「公爵領の仕事はしないのか?」
「それ、フェル様に会うたびに言われます」
高等教育を始めた頃からだから、十一歳くらいからだろうか。それはもう、フェルナンドからしつこく補佐官に誘われている。
一時期面白くてフェルナンドから勉強を教わっていたから余計だ。補佐官にはならないよ、と言いつつも、学校では習えない専門的な知識は面白かった。
「せっかく教えてもらったのに、悪いなって思う」
フェルナンドと働くのは、ちょっと想像がつかなかった。
「それは気にするな。子供相手に勝手にやったことだ」
親の仕事を継ぐでもなく、選択肢は無限に広がっていると周りからは思われているだろうが。
逆に自由だからこそ、十三歳で仕事を決めるのも難しい話だと思う。
ユリアも気にはしていたが、まだ若いのだからしばらく好きなことをしてから考えてもいいんじゃないか、というのが現在の結論だ。
二人は食堂についた。侍従がドアを開ける。
「今日は、リアは」
「フェルナンドと会計処理に追われている。年末だからな。今日は遅くなると言っていた。帰りに差し入れをしてやるといい。軽食を持たせよう」
「へえ……公爵様、一緒にしないんですか」
「今日はな。少し話したくて」
席に着いてから食事が運ばれてくる。
「まあ、食べながら話そう。まずは乾杯を。何を飲む?」
「水で」
ヘルマンのグラスにはワインが、ルイスには水が注がれた。
静かに乾杯して食事が開始される。
「ユリアから、マッカリーへ行くと聞いた」
「うん」
ルイスは頷いた。
「二人だけで送り出すのは少し心配なんだが……」
だからと言って護衛をつけるというのも変な話だ。
公爵家においてルイスの立ち位置は、ユリア以上に微妙なものだった。それはルイス自身もよく自覚している。
一使用人以上のようで、それですらない。
「ベンのお父さんのいるところに行って帰るだけだから、今回はすぐ戻ってくるつもり、です」
おそらく二、三日だろう。
「マッカリーのどこかわかってるのか?」
「うん。領の境目近くだから、そんなに治安も悪くないと思う」
地理で学んだ上では、である。実際には外に出たことがないからわからないが。
公爵領は豊かだから、自然と周りも潤う。
豊かだが税金も高いのでそれほど流民が流れてくることはなく、むしろマッカリーで留まる。それで余計治安が悪くなる。
「どうやって行くんだ?」
「乗合馬車かな」
「宿泊は?」
「ベンは下手な宿より野宿の方がきれいだって言って。本当ですか?」
「そうだな……宿の程度にもよるが、よほど汚い宿もあるにはあるから」
ルイスのことを一番わかっているベンが宿より野宿がいいと言っているのならそうかもしれないが。そうなると益々心配である。
「野宿はあまり勧められないな。冬の野宿は訓練が必要だ。夜盗も、いないとも限らない」
「ベンにそう言っとく」
「まあ……細かい日程が決まったら、また教えてくれ」
「うん」
とりあえず反対するために呼んだわけではないようだ。
「今日は、その話?」
「ああ。ユリアが心配していたから、何か手伝えることはないかと思ったんだが……」
ヘルマンは優雅にワインを傾けながら言った。
「まあ、大丈夫だろうとは思っている。ベンは腕が立つと聞いているし、お前は頭がいい。二人で行けば危険を避けて帰ってこれるだろう。ただまあ、まだ子供だから。どうしても心配して、手を貸したくなるんだ」
「うん。ありがとうございます」
「本当は騎士か従騎士をつけたいが……いい頃合いかなと思っている」
「頃合い?」
「色々と見てきたらいいと思う。ここで学べることは、もう多くを学んだのだろう」
ルイスはヘルマンをまじまじと見た。
「どうした」
「公爵様の、そういうところなのかなと思って。リアが夢中になるの」
「……………」
ヘルマンは言葉を詰まらせた。思いもよらない返しだったようだ。
咳払いをしてナプキンで口元を拭った。
「ルイスは、本当にユリアとよく似ているな」
思いがけないことをポロリと言うところがそっくりだ。
「まあ、気を付けて行ってきなさい。これを――」
ヘルマンはすっ、と短剣を一つ差し出した。ほとんど装飾のない、彫り物だけの質素な銀の造り。
「懐に忍ばせておきなさい」
「これ……公爵家の家紋が彫ってある」
「何かあればこれを見せれば、大抵のことは解決する」
それはそうだろう。この家紋は直系しか使用を許されないものだ。
「僕がこれを使ったら、公爵様の隠し子って噂が広まってしまうと思う」
「構わない。安全は保障されるだろう」
ルイスは短剣を手に取って、それをまじまじと見つめた。ずっしりとした重みがあり、年季の入った代物だ。
旅行のことを聞かれるとは思っていたが、これは予想外である。破格の待遇にもほどがある。
いくらユリアの甥とはいえ、これはやりすぎではないだろうか。
簡単に言えば、この剣があれば大抵のことはできる。今これを使えるのはクリスティーナとヘルマンだけ。
身分が保証され、大金も借りられる。土地も買えるし、あらゆる関所はほぼ素通りできるだろう。貴族だってもてなすほどのものだ。
「これは、僕が使ってはいけないものだと思います」
ルイスは短剣をゴトン、と置いてヘルマンに押し戻した。
ヘルマンは受け取らなかった。
「これを持って行かないなら、心配で送り出せないな」
「この事……リアは知ってるんですか」
「言っていない。やめろと言われるだろうな」
ヘルマンはおかしそうに笑っている。笑い事ではない。
「公爵様」
「使えと言っているんじゃない。持っていろと言っているだけだ」
ヘルマンは何でもないことのようにワインを飲みながら言い放つ。
「だが、使うときはためらうな」
ルイスはその恐れ多い短剣を見下ろした。
きっとヘルマンは、ユリアに「手を打っておいた」と詳細は伏せて告げるのだろう。ヘルマンにそう言われるだけでユリアは安心する。そして実際に、万全の対策と言えばそうだが。
これは信頼の証でもある。十三の子供に家紋を預けるようなこと、普通はしない。しかしルイスであれば使い方もこの意味も違えないだろうという、信頼。
他でもないヘルマンがこの家紋を預けてくれたことにルイスは少し感動した。
ヘルマンは危険だからと止めるのではなく、違う安全策を考えてくれる人だ。それが成長に必要だからと見守ってくれる。助けるより見守る方がずっと難しいことなのに、難なくやってしまうのだ。
これまでもそうだった。ヘルマンに行く手を止められたことはない。いつも手を引いてくれた。
「――ありがとうございます」
ルイスはそっと短剣を懐にしまった。
「無事に帰ってきて返します」
「一通りの旅が終わったらな」
「それは……まだ、行き先は決まってなくて」
長期的に借りることになってしまう。
「目的もないのか?何が見たいとか」
フェルナンドのようにふらふらと遊び歩くつもりなのだと思っていたという。
ルイスはフェルナンドといることが多かったから、感化されて旅行に関心を寄せたのは自然なことだと思われたようだ。
ルイスはまた少し考えた。ヘルマンは次の言葉を待ってくれる。
言ってみようか。
考えていた色んな方法より、あらゆることが早く解決しスタートできるかもしれない。
ヘルマンが自分を信じてくれたように、ルイスもヘルマンを信じている。
ルイスはフォークを置いた。
「あの。ちょっと考えてることがあって」
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