1 / 6
プロローグ
しおりを挟む
「魔女には死をっ!」
「「「魔女には死をっ!」」」
満月の夜。
青く淡い光に包まれた処刑場。
2メートル程の高さに作られた木製のステージ。
その上で、杖を高々と掲げる司教の声に民衆が沸き立つ。
何百人いるのだろうか?
皆、拳を高々と上げ、目は血走っていた。
黒い鎧を纏った5人の騎士が松明を片手に歩みを進める。
その炎は禍々しく闇を照らしていた。
その先には、5メートル程の高さだろうか?
木製の十字架に架けられた女がいた。
見窄らしい服を着た彼女は、目隠しと猿ぐつわをされぐったりしている。
鞭を何度も打たれたのだろう。皮膚は所々裂けひどく痛々しい。
そして、足元には、大量の藁が敷き詰められていた。
「やめろっ!やめてくれっ!彼女が何をしたっていうんだ!」
ステージ上の断頭台に首を置かれた男が必死に叫ぶ。
男は拘束具で固定され、身動きが取れないでいた。
「んんー!んーーー!んーーー!」
その声を聞いた十字架の女は必死に声を絞り出す。
残り少ない力を振り絞って必死に首を大きく横に振った。
彼女はまだ知らない。
彼が断頭台に上げられていることを。
「彼女が魔女なんかじゃない事ぐらい皆も知っているだろう!もう、こんな事はやめ⋯⋯グフゥッ!」
口から小さな肉片が勢いよく飛び出す。
それは、赤い飛沫を連れながら弧を描くように地に落ちた。
断頭台の男は執行人に顎を蹴り上げられ、そのまま頭を踏みつけられていた。
木製の断頭台が首にミシミシとめり込んでいく。
男は血を吐きながらみるみる鬱血していった。
肉片を踵で擦り潰すと、ニヤニヤと笑う司教。
「ん~。予定を変更する。この男から殺れっ!そっちのほうが盛り上がりそうだ」
小さな声で執行人に伝えると、右腕を上げる。
処刑執行の合図だ。
無言のまま大きく剣を振り上げる斬首役の執行人。
「いや、待て。女の目隠しを外せ」
補佐役の司祭に、司教はそう指示を出す。
果実をむしり取るように目隠しを外された彼女は、慌てて男の声のした方へと向く。
男は十字架の女の方を向くと静かに微笑んだ。
「フフ。殺れっ!!」
そう言うと、司教は右手をスッと下ろす。
大きく振りかぶられた剣は一気に振り下ろされた。
大きな塊が勢いよく吹き飛ぶ。
「んんーーーーー!んんーーんーー!んーーーっ!!」
目を見開き、気が狂ったかのように絶叫する彼女。
縛られた両手両足をガタガタ振るわせ思いっきり暴れる。
十字架がミシミシと音を立て今にもへし折れそうだ。
手首や足首に減り込む荒縄が赤く染まっていき次第に雫を垂らし始める。
猿ぐつわを噛み切る事が出来なかった歯はへし折れ、口からヨダレのように血を流し始めた。
目頭からは赤く染まった涙が流れ始める。
その目は怒りと憎しみを混ぜ合わせた呪いを漂わせていた。
「民衆よ、見よっ!この顔を。やはりこの女は魔女だ!」
左腕を彼女の方へ大きく広げアピールする司教。
うおおおおおおおおお!
民衆のボルテージは最高潮に達していた。
「燃やせっ!」
「焼き殺せっ!」
「聖火にて粛正をっ!」
司教は両手を広げ天を仰ぐとそのまま膝から崩れ落ちる。
その目は大きく見開き、すでに絶頂に達しているようだった。
止まぬ罵声に心の底から快楽を感じている司教。
人を絶望のどん底にたたき落とすことで快楽を得るサディストだ。
頃合いか。
「さぁ、火を放てっ!!」
「「「魔女には死をっ!」」」
満月の夜。
青く淡い光に包まれた処刑場。
2メートル程の高さに作られた木製のステージ。
その上で、杖を高々と掲げる司教の声に民衆が沸き立つ。
何百人いるのだろうか?
皆、拳を高々と上げ、目は血走っていた。
黒い鎧を纏った5人の騎士が松明を片手に歩みを進める。
その炎は禍々しく闇を照らしていた。
その先には、5メートル程の高さだろうか?
木製の十字架に架けられた女がいた。
見窄らしい服を着た彼女は、目隠しと猿ぐつわをされぐったりしている。
鞭を何度も打たれたのだろう。皮膚は所々裂けひどく痛々しい。
そして、足元には、大量の藁が敷き詰められていた。
「やめろっ!やめてくれっ!彼女が何をしたっていうんだ!」
ステージ上の断頭台に首を置かれた男が必死に叫ぶ。
男は拘束具で固定され、身動きが取れないでいた。
「んんー!んーーー!んーーー!」
その声を聞いた十字架の女は必死に声を絞り出す。
残り少ない力を振り絞って必死に首を大きく横に振った。
彼女はまだ知らない。
彼が断頭台に上げられていることを。
「彼女が魔女なんかじゃない事ぐらい皆も知っているだろう!もう、こんな事はやめ⋯⋯グフゥッ!」
口から小さな肉片が勢いよく飛び出す。
それは、赤い飛沫を連れながら弧を描くように地に落ちた。
断頭台の男は執行人に顎を蹴り上げられ、そのまま頭を踏みつけられていた。
木製の断頭台が首にミシミシとめり込んでいく。
男は血を吐きながらみるみる鬱血していった。
肉片を踵で擦り潰すと、ニヤニヤと笑う司教。
「ん~。予定を変更する。この男から殺れっ!そっちのほうが盛り上がりそうだ」
小さな声で執行人に伝えると、右腕を上げる。
処刑執行の合図だ。
無言のまま大きく剣を振り上げる斬首役の執行人。
「いや、待て。女の目隠しを外せ」
補佐役の司祭に、司教はそう指示を出す。
果実をむしり取るように目隠しを外された彼女は、慌てて男の声のした方へと向く。
男は十字架の女の方を向くと静かに微笑んだ。
「フフ。殺れっ!!」
そう言うと、司教は右手をスッと下ろす。
大きく振りかぶられた剣は一気に振り下ろされた。
大きな塊が勢いよく吹き飛ぶ。
「んんーーーーー!んんーーんーー!んーーーっ!!」
目を見開き、気が狂ったかのように絶叫する彼女。
縛られた両手両足をガタガタ振るわせ思いっきり暴れる。
十字架がミシミシと音を立て今にもへし折れそうだ。
手首や足首に減り込む荒縄が赤く染まっていき次第に雫を垂らし始める。
猿ぐつわを噛み切る事が出来なかった歯はへし折れ、口からヨダレのように血を流し始めた。
目頭からは赤く染まった涙が流れ始める。
その目は怒りと憎しみを混ぜ合わせた呪いを漂わせていた。
「民衆よ、見よっ!この顔を。やはりこの女は魔女だ!」
左腕を彼女の方へ大きく広げアピールする司教。
うおおおおおおおおお!
民衆のボルテージは最高潮に達していた。
「燃やせっ!」
「焼き殺せっ!」
「聖火にて粛正をっ!」
司教は両手を広げ天を仰ぐとそのまま膝から崩れ落ちる。
その目は大きく見開き、すでに絶頂に達しているようだった。
止まぬ罵声に心の底から快楽を感じている司教。
人を絶望のどん底にたたき落とすことで快楽を得るサディストだ。
頃合いか。
「さぁ、火を放てっ!!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる