追放悪役令嬢は、絶品農業料理で辺境開拓！気づけば隣国を動かす「食の女王」になってました

緋村ルナ

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番外編2：ローゼンベルク亭、とっておきのレシピ集

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「さあ、皆さん。今日は、ローゼンベルク亭で特に人気の、とっておきのレシピをご紹介しましょうね」

　セリアが、真っ白なコック帽を被り、エプロン姿で朗らかに笑った。ローゼンベルク亭の厨房は、いつも活気に満ち溢れ、香ばしい匂いが漂っている。かつては王都で優雅に暮らしていた公爵令嬢が、この地で生み出した料理の数々が、今や世界中の人々の舌を魅了している。

　1. 黄金のジャガイモフライと特製ハーブ塩

「これは、ベアトリス様がこの辺境で最初に作られた、記念すべき料理の一つです！」

　材料：ヴェルムント産ジャガイモ（男爵系）、揚げ油、特製ハーブ塩（岩塩、ローズマリー、タイム、パセリを細かく刻んだもの）

　作り方：

　収穫したての新鮮なジャガイモは、皮を剥き、細長いスティック状に切り揃えます。水にさらして澱粉を洗い流し、しっかりと水気を切るのがポイントです。

　厚手の鍋にたっぷりの油を熱し、低温（160℃程度）でじっくりと揚げることで、ジャガイモの中心まで火を通し、ホクホクとした食感を引き出します。この「二度揚げ」の工夫は、ベアトリス様が日本の前世知識から応用されたものなんです。

　一度油から上げて少し冷まし、油温を高温（180℃程度）に上げてから再び投入します。表面がこんがりと黄金色になるまで揚げることで、カリッとした食感が生まれます。

　揚げたての熱いうちに、特製ハーブ塩をたっぷりと振りかければ完成です！

　エピソード：最初に村人たちに振る舞った時、彼らは油で揚げたジャガイモの味に、本当に驚いていました。それまで煮るか焼くかしか知らなかったんですから。「こんなに美味しいジャガイモがあるのか！」って、皆が目を輝かせて食べてくれたのが、ベアトリス様と私たちが料理を続けていく大きな力になりました。今では、ローゼンベルク亭の定番中の定番で、子供から大人まで、みんなが笑顔になる一品です。

　2. 彩り豊かな野菜の濃厚ポタージュ～季節の恵みを凝縮して～

「このスープは、体を温めるだけでなく、心まで温めてくれる、そんな優しい味わいです」

　材料：ヴェルムント産カブ、ニンジン、タマネギ、セロリ（野生の物でも可）、少量のお肉のブイヨン（または水）、牛乳（または山羊乳）、バター、塩、胡椒、仕上げに刻んだハーブ

　作り方：

　野菜は全て丁寧に洗って薄切りにします。厚手の鍋にバターを溶かし、弱火でじっくりと、焦がさないように野菜を炒めます。ここで野菜の甘みを引き出すのが肝心です。

　野菜がしんなりしたら、ブイヨン（または水）をひたひたになるまで注ぎ、野菜が柔らかくなるまで煮込みます。

　煮込んだ野菜を裏ごしするか、魔法の道具（ミキサー）で滑らかになるまで潰します。

　牛乳を加えて再度温め、塩と胡椒で味を調えます。沸騰させないように、優しく混ぜながら温めるのがコツです。

　器に盛り付け、お好みで刻んだハーブを散らせば、彩りも美しいポタージュの完成です。

　エピソード：寒い冬の日に、このポタージュを作って村人に振る舞った時のことは忘れられません。皆、体が冷え切っていたので、温かいスープを一口飲むたびに、「ああ……」「じんわりと体が温まる……」と、幸せそうなため息が聞こえてきました。栄養が不足しがちな冬の時期には、このスープが村人たちの健康を支える大切な一品となりました。聖女リリアーナ様も、お気に入りだと言ってくださるんですよ。

　3. 秘伝のスパイスで煮込んだ肉料理～辺境の獣肉を極上の逸品に～

「辺境で手に入る肉でも、スパイスと煮込みの工夫で、こんなにも美味しくなるんです！」

　材料：骨付きの野獣肉（猪や鹿の部位）、ヴェルムント産根菜類（ジャガイモ、カブ、ニンジン）、赤ワイン、ブイヨン、秘伝のスパイスミックス（ローレル、クミン、コリアンダー、パプリカ、少量のアニスなど）、トマトペースト、塩、胡椒

　作り方：

　肉は大きめに切り、塩胡椒と秘伝のスパイスミックスを揉み込んで下味をつけます。

　鍋に油を熱し、肉の表面を焼き色がつくまでしっかりと焼きます。これにより、旨味が閉じ込められます。

　肉を取り出し、同じ鍋で乱切りにした根菜類と、みじん切りにしたタマネギを炒めます。

　トマトペーストを加えて香りが立つまで炒め、赤ワインを加えてアルコールを飛ばします。

　肉を鍋に戻し、ブイヨンを注いで、アクを取りながら弱火でじっくりと煮込みます。少なくとも3時間以上、肉がとろけるほど柔らかくなるまで煮込むのがポイントです。

　途中、煮詰まりすぎないように適宜ブイヨンを足しながら、スパイスの香りが肉にしっかりと染み込むように煮込み続けます。

　最後に塩胡椒で味を調え、お好みでハーブを添えれば、骨付き肉の煮込みの完成です。

　エピソード：辺境で手に入る肉は、どうしても獣臭さが残ったり、硬かったりすることが多かったんです。でも、ベアトリス様は、前世の知識から様々なスパイスの組み合わせを試し、この「秘伝のスパイスミックス」を完成させました。これにより、どんな肉でも驚くほど美味しくなる魔法のレシピが生まれたんです。この料理を口にした客は、皆一様に「この味は、まさに芸術だ！」と感動の声を上げます。特に、レガリア帝国のルードヴィヒ宰相閣下も、この料理の虜だとか……。

　セリアは誇らしげに、満面の笑みを浮かべた。ベアトリスがこの地にもたらした美食の文化は、決して色褪せることなく、世代を超えて、これからもヴェルムントの人々の心と体を豊かにし続けるだろう。

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