少女漫画の当て馬に転生したら聖騎士がヤンデレ化しました

猫むぎ

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本日も騒がしい朝

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人肌は寂しくても、布団の温もりはとても暖かい。
もう少しだけ寝てもいいかな、昨日イヴは帰って来なかった。
結構遅くまで起きていて、眠気に耐えられなくて眠った。

今頃イヴは城の自分の部屋で泊まったんだろうし…
エマの護衛もしているから、行ったり来たりするのは大変そうだな。

俺がここに居なきゃ城に住んで楽だったのに、なんで俺を雇ったんだろう。
漫画ではないイヴの知らない一面ばかりよく見る。

今日は学校が休みだし、ちょっとくらい贅沢しててもバチは当たらないよな。
後五分くらい寝たら、イヴが帰ってきた時のために朝食を作ろう。

俺より城の朝食の方が当然美味しいけど、俺はいつ帰ってきてもいいように食事を用意するだけ。
さすがに食事はいらないと言われたら作らないけど…

髪を撫でる手の感触が余計に俺を夢の世界に誘っていく。

あれ?可笑しいな…なんで髪を撫でられているんだろう。
この家というか、俺の部屋は俺しかいない筈だ。

ゆっくりと目を開けると、俺の目の前には真っ黒なシャツから覗く男らしい胸板が…

びっくりして、体を硬直させていると髪を撫でる手が止まった。

「おはよう、ユーリ…よく寝れた?」

「えっ…あれ?なんでここに…いや、それよりも俺のベッドになんで…」

頭が追いつかなくて、目を丸くさせながらイヴを見つめるとイヴは朝から美しい笑顔で微笑んでいた。

俺は仕事が終わって一人でベッドで寝た筈だ。
なのに何故起きたらイヴと一緒に寝ているのか理解が追いつかない。

さっきまであった眠気が一気に覚めて、ベッドから転がるようにして落ちた。
イヴは俺に手を差し伸ばしてきて、それを掴んで起き上がる。

一つ一つ冷静になって考えよう、まず一番気になる事は…

「イヴさん、なんでここに?」

「寝ぼけてユーリの部屋に入ったみたいだ」

「そうだったんですか」

イヴはここの主なのに部屋を間違える事があるのか、広い家に住むと大変だな。
使用人が勝手に雇い主の部屋に入るのはダメだが、逆ならそんなに問題ではないか。

イヴの爽やかな顔に流されて、そうなのかなと思い始めていた。

まさか帰って来るとは思っていなかった。
それほど俺の料理が気に入ってくれたのかな、と自惚れてもいいかな。

雇い主の期待に応えるのも使用人の大切な仕事だ。

椅子の背もたれに掛けてある、エプロンを身に付けた。

「イヴさん、今日の朝食楽しみにしてて下さい!」

「ユーリが楽しいなら俺も楽しいよ」

イヴがよく分からない事を言っていたが、朝食を作ろうと部屋を出ようとした。
ドアノブを掴むと、後ろからイヴに呼び止められた。

後ろを振り返ると、イヴが真後ろに立っていた。

気配を消して背後に立たないでほしい、心臓に悪い。

イヴに後ろの髪を撫でられて、すぐに手を離された。
自分の頭を触ってみても、特に何もなかった。

「寝癖取れたよ」

「寝癖付いてましたか?ありがとうございます」

「跳ねた髪も可愛いけどね」

そう言ってイヴは笑っていたが、俺は複雑な気持ちだった。

恥ずかしい、イヴに子供っぽいって思われたよな。
次は自分の部屋でも、常にイヴがいると思って身だしなみもきちんとしないと…

朝食を作って、いつものように一緒に食べた。

イヴは仕事だから出かけるから、俺はまた一人で留守番をする。
今日は学校ではないから、外に出る用事がない。

家の掃除でもしようかなと考えながら食器を片付ける。

イヴも俺と同時に起きたからシャツとズボンというラフな格好をしていた。

「ユーリ、今日は家にいるよね…」

「は、はい…今日は家の掃除をしようと思って」

「そう、良かった」

イヴも学校に通っていたから休みを知っているのは不思議ではない。
イヴの声に圧を感じて怖くなり、慌てて今日の予定を話した。
すると、嬉しそうに笑っていて…昨日のように怒られる事はなかった。

そんなにエマが心配なのか、大丈夫なのにな。

イヴは俺が食器を洗っているのをジッと見つめていた。
俺の仕事を手伝う事はしないが、ずっと見守られている。

食器を洗い終わるのと同時にイヴはカウンターから離れた。

「イヴさん、ちょっと待って下さい!」

「どうしたの?」

俺が呼び止めると、すぐにイヴの足は止まり俺の方を振り返る。
俺の方はイヴが行ってしまうと思って、慌てて厨房から食堂に出ようとしてつまづいた。

とっさに手を前に出して痛みを和らげようとした。

しかし俺の体は地面ではなく、イヴの体で受け止められた。

俺がまるでイヴに抱きついているかのような体勢で慌てて離れようとした。
でもイヴがそれを許してくれなくて、俺の背中に腕を回してイヴの腕の中に閉じ込められた。
今のこの状況っていったいどうなっているんだ?

「えっと…とりあえず手を離して」

「ユーリからせっかく触れてきたのに?」

「慌ててて、ごめんなさい…とりあえず手を…」

この体勢は誰も見ていないと言っても話す体勢ではない。
でも、イヴは離すどころかより強く抱きしめてきて離さない。

仕方ない、このまま話すしかない…イヴの胸に頬を付けて見上げる。
俺を見下ろすイヴは俺をジッと見つめていた。

「イヴさん、俺に着替えをお手伝いさせてください!」

「……え?」

「あっ、嫌なら良いんです…俺もお手伝いさせてください!」

「喜んで」

イヴはとてもいい笑顔で俺に微笑みかけていた。
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