少女漫画の当て馬に転生したら聖騎士がヤンデレ化しました

猫むぎ

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休日の過ごし方

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イヴの部屋に行き、騎士服を着る手伝いをする事になった。
学校の制服は紺色の騎士服に似た軍服だし、イヴを着替えさせるのは二度目で風呂に入った時に着替えさせた事はあるから大丈夫だ。

イヴの黒いシャツに青いネクタイを回して、普段自分にしているように結ぶ。

「ユーリ、上手だね」

「人のネクタイ結ぶの慣れなくて」

「俺だけにしないとダメだよ、俺で練習して俺にだけしてね」

今はイヴに雇われているから、イヴ以外にはしないと頷く。

上着を手に取り、イヴが服に腕を通してボタンを留める。
俺の腰に腕を回すイヴはどういうつもりなのか。
服の装飾も付けて、いつものかっこいいイヴの姿になった。

「イヴさん、終わりましたよ」

「もう少しこのまま…」

「でも時間が…」

イヴは時間なんて気にしていないのか、ずっと立ったまま俺を抱き寄せていた。

固まって動かない俺にイヴは「ユーリ…」と囁いてくる。

鼻がくっつくほどイヴの顔が近付いてきて、その時家に訪問者を知らせるチャイムが鳴り響いた。
俺がイヴに雇ってもらってから初めての訪問者だった。

イヴは全く訪問者を気にしていない様子だったけど、もう一度チャイムが鳴り俺はイヴの肩に触れた。

「イヴさん、出ないと…大事な来客かもしれないし」

「……分かった」

イヴは分かっていなさそうな顔をしているが、俺から離れて部屋を出た。
イヴに待つように言われたから、部屋を見渡しながらイヴが来るのを待っていた。

締め切っているカーテンを開けると薄暗くなっていた部屋が明るくなった。
こんなに明るいのに、イヴは部屋のカーテンを開けない。
眩しいのが苦手なのかもしれない、聖騎士は光を司る騎士なのにな。

魔騎士は闇を司る騎士だから、光を好まない…でもそれだけでイヴを魔騎士と判断するのは早すぎる。

「ユーリ」

「あ、おかえりなさい」

「もう行かないといけない、ごめんね」

イヴはそう言って、俺の頬に触れた。

誰かが迎えに来たのかな、眉を下げてイヴはとても残念そうにしていた。
頬を親指で撫でられて、顔が近付いてとっさに目蓋を閉じた。

チュッと音を立てて、イヴが俺の頬から手を離した。

柔らかい感触がした額に触れるとイヴは「行ってきます」と言って俺に背を向けた。

そうか、これがメインヒーローの余裕というやつか。

イヴが居なくなったドアを見つめながら、手で自分の顔を扇ぐ。

「あー熱い…一気にこの部屋の気温が上がったのかな」

換気のために、イヴの部屋のドアを開けて掃除を始める。
シーツを洗って、布団を干そうと持ち上げて運ぶ。

前が見えないからゆっくり動いて、ランドリーまで向かう。
そうだ、母さんに連絡しないと…前の住んでいた場所は教えているがなにかあった時に連絡が取れないとマズイよな。
でも、貴族の家に住み込みで働いてるなんて言うと心配されるよな。
イヴのところだって言ったら倒れてしまうかもしれない。

イヴの事は伏せて、場所を伝えて大丈夫だと念入りに書こう。

通信用の水晶型の魔道具は全て失った俺が持っているはずはない。
給料が溜まったら買おうとは思っているが、今は手紙を書いて伝書鳥に運ばせるアナログの方法でしか出来ない。
イヴに借りれば良いんだけど、俺の連絡にイヴの魔力は使わせたくない。

水晶は一度使った人の魔力レベルを登録して使うから、俺の魔力でイヴの水晶型の魔道具は使えない。

魔術が使えない人間の国では伝書鳥が当たり前だし、ちょっと不便だけど仕方ない。
伝書鳥を使うには安いけどお金が必要だし、ちゃんとした紙とペンも買わないといけない。
何でもイヴに借りるわけにはいかない、自分の用事は自分でなんとかしたい。
他の仕事は分からないがなんでも屋は日給だから、イヴに働いた分を貰っている。

でも今日は家にいるって言っちゃったし、学校に通う時に帰りに買いに行っても大丈夫だろう。
そんなにすぐに緊急な用事はないだろうと思ってランドリー室に入って布団を干した。

廊下を掃いて、窓ガラスを拭いて…結構この家は広いからそれだけで一日の半分は終わりそうだ。
気合いを入れて、ランドリー室を出て掃除道具を取りに向かった。

まだ日は経っていないから目立つ埃はないが、毎日掃除をしないとすぐに埃が溜まる。
そのために俺がいるんだ、ほうきを動かして掃く。

風の魔力レベルが3くらいあれば自動でほうきが動かせるんだけどね。
でも、楽しないで体を動かす事で綺麗にしているという実感が湧くからそれはそれでいい事もある。

バケツを用意して、水の魔術を使って水を溜めていく。
俺の魔術では少し時間が掛かるけど、窓掃除は水がないとどうしようもない。
水の魔術を溜めている間にもう片方の手で、布を濡らして窓ガラスを拭いた。

窓ガラスの向こう側には、外の景色が見える。
ここは一番街で人があまり住んでいないからか道を歩く人はいない。

まるで、賑やかな広場から離れたところのように感じる。
窓ガラスを掃除するのに夢中になってしまい、足元が冷たく感じて下を見た。
バケツから溢れた水を見て慌てて水の魔術を止めた。

濡れた水を掃除して、余計な時間が過ぎていった。
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