少女漫画の当て馬に転生したら聖騎士がヤンデレ化しました

猫むぎ

文字の大きさ
31 / 98

お着替え

しおりを挟む
あれからもう一度イかされて、イヴから解放された。

朝のシャワーだけのつもりだったのに、ぐったりしてしまった。
あんな姿を見られて、情けないやらショックやらいろんな感情がごちゃまぜになっていた。

でも、仕事はやらないと…ここから追い出された家に帰るしかなくなる。
家に帰るのが嫌なんかではなく、両親に心配掛けたくない。

何故イヴはあんな事があったのに、昨日と変わらず平然としていたのだろうか。
もしかして、貴族変な遊びでも流行っているのか?…そんな遊び嫌だな。

結局イヴは自分で体を洗っていて、俺はイヴが洗っているのを座りながらジッと見ているだけだった。
イったばかりで疲れているというのもあるが、体を洗っている最中でもイヴは俺の体から目を離さなかった。
イヴに見られると体が言う事を聞かなくなる。

風呂場から逃げ出す事も出来たのに、イヴが終わるまでその場から離れられなかった。

「行こうか、ユーリ」

体を洗い終わったイヴが手を差し伸ばしてきて、その手を取るか迷った。

イヴは目を細めて、俺の腕を掴んで抱き上げられた。
恥ずかしくて「歩けるから、降ろして!」と言ったが、イヴは俺の言葉を無視してそのまま風呂場を出た。

体を拭かれて、どちらが雇い主と使用人か分からなくなる。
まるで小さな子供にするような世話だが、さっきの体を触るのは…

漫画のイヴを見てきたから知った気でいるが、目の前に見える彼はいったい誰なんだ?

「ふ、服は自分でやりますから!」

「もう恥ずかしがる事はない、俺に全部任せてくれ」

「い、嫌です!」

イヴが触れようとするから、はっきりと拒絶した。
イヴの手が止まり、目を見開いて驚いていた。

どうしてそんな顔をするんだろう、そんな…絶望したような顔…

使用人の分際で逆らうなって、そういう事なのだろうか。
呆れて捨てられるかもしれない、俺の代わりなんていくらでもいるから俺でなくても従順な使用人になりたい人なんて沢山いる。

でも、住み込みで働ける条件の仕事はほとんどない…俺は仕事を選べる立場ではない。
今謝れば許してくれるだろうか。

ずっとそのままだった裸の俺の体をタオルが包み込んでいた。

俺が口を開くとその前に、イヴに抱きしめられた。
イヴの行動一つ一つが理解出来なくて、体を硬直させた。

俺はイヴを怒らせた、なのにイヴはなんで俺に向かって謝っているのだろうか。

「ごめん、ごめんね…焦ってあんな事して、ユーリの気持ちを考えなかった…嫌わないで、拒絶しないで、ごめんなさい…ごめんなさい」

今度はイヴが怒られた子供のように謝り続けていた。
俺が許すと言うまで、イヴはずっと謝っていて…俺を抱きしめる手に力が入っていた。

俺なんかそこら辺にいるモブキャラなのに、なんでそんなにイヴは…

「俺の方こそ、失礼な態度を取ってごめんなさい」と言ったが、イヴは首を横に振っていた。
俺の方が謝らないといけないのに、なんでイヴの方が酷い事をしたような顔をするんだろう。

実際イヴは酷い事をしたし、俺の意思なんて関係なくされて悲しかった。
あんな痴態を晒して、嫌だったのに……嫌、だったと思う。
いくら他人に触られるのが敏感になっていたとしても男に触られて………イってしまった。

あれ?可笑しいな、嫌だった筈なのに…今はイヴにほだされかけている。

「ユーリが失礼なんて思った事ない…俺は…」

「お、俺も…もう怒っていません、だからもう謝らないで」

イヴの背中に腕を回して、そう言うとイヴが俺の方を見た。
その瞳は俺の見た事がない悲しい色をしていた。

本当に俺に嫌われたくないんだろう事が分かる。

ここまで俺に対して必要としてくれる人はいただろうか。

なんで俺なんだという気持ちがあるが、イヴの瞳をまっすぐ見つめてもう一度「嫌ったりしませんから」と言った。

イヴの瞳は相変わらず光がないけど、笑っていた。

えっと…なんか怖いんだけど、やっぱり俺に怒ってない?

「ユーリ、裸でいたら風邪を引いてしまう…着替えよう」

「あ……そう、ですね」

「………」

俺とイヴは二人共裸で、このままだと確かに風邪を引く。
俺が着替えている時、イヴは手を出さなくなったがずっと見られている。

見るなとは言えず、震える指先でボタンを掛ける。
まだ俺にはこの次も仕事が残っているんだし、もたもたしていられない。

イヴは服を着ていない、俺の仕事としてイヴを着替えさせるのが本来の使用人の仕事だ。
相手が大人だろうと子供だろうと、それは変わらない。

使用人の仕事は掃除や料理だけではなく、雇い主の身の回りの世話もある。
普通なら執事とかがやるんだろうが、イヴにはいないようだから俺がやる。

「イヴさん、俺が服を着替えさせます」

「……それも仕事?」

「あ…えっと」

そうだ、確か風呂場の時と似たような会話をしていた。
イヴは俺を雇っているのに、仕事という言葉を異常に嫌っている。

また仕事と言ったら怒らせるかもしれないから、口を閉ざした。

イヴは俺の口から言葉を出るのをずっと待っていた。

言葉を間違えてはいけない、イヴは俺の雇用主だから…

「俺がしたいからです!…ダメ、ですか?」

「ダメじゃない、ユーリがしたいならいいよ」
しおりを挟む
感想 59

あなたにおすすめの小説

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

ヤリチン伯爵令息は年下わんこに囚われ首輪をつけられる

桃瀬さら
BL
「僕のモノになってください」 首輪を持った少年はレオンに首輪をつけた。 レオンは人に誇れるような人生を送ってはこなかった。だからといって、誰かに狙われるようないわれもない。 ストーカーに悩まされていたレある日、ローブを着た不審な人物に出会う。 逃げるローブの人物を追いかけていると、レオンは気絶させられ誘拐されてしまう。 マルセルと名乗った少年はレオンを閉じ込め、痛めつけるでもなくただ日々を過ごすだけ。 そんな毎日にいつしかレオンは安らぎを覚え、純粋なマルセルに毒されていく。 近づいては離れる猫のようなマルセル×囚われるレオン

転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています

柚吉猫
BL
生前の記憶は彼にとって悪夢のようだった。 酷い別れ方を引きずったまま転生した先は悪役令嬢がヒロインの乙女ゲームの世界だった。 性悪聖ヒロインの弟に生まれ変わって、過去の呪縛から逃れようと必死に生きてきた。 そんな彼の前に現れた竜王の化身である騎士団長。 離れたいのに、皆に愛されている騎士様は離してくれない。 姿形が違っても、魂でお互いは繋がっている。 冷然竜王騎士団長×過去の呪縛を背負う悪役弟 今度こそ、本当の恋をしよう。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

処理中です...