少女漫画の当て馬に転生したら聖騎士がヤンデレ化しました

触れられた熱

「鳥？」

「俺の思い過ごしだと思うけど、一応イヴにも知らせようと思って」

イヴが帰ってきて、今日見た鳥の話をした。
廊下に通信魔導機を置いていたから、イヴは見ていない。
白い鳥について考えていた。

そういえば鳥って何処かで見た事あったような気がする。
あまりマジマジと見た事がなかったから、ぼんやりしか覚えていない。

イヴも見覚えがあったのか、顔を険しくしていた。

「普通だったら、何もないと言えるがユーリを追いかけていたのが気になるな」

「追いかけていたのかどうかは分からないけど」

「なにかあってからじゃ遅い」

確かにイヴの言っている事は最もだ。
何度もなにかあっているし、少しの違和感も無視出来ない。

イヴは鳥の正体が分かるまで窓を開けないようにと言われた。

なんで俺を見ていたんだろう、こんな事初めてだ。

考え事をしていると、イヴは箱を見せてきた。
中身を開けると中には何も入っていなかった。

「ユーリのお弁当、美味しかった…ありがとう」

「元気出た？」

「あぁ」

イヴが笑うと俺まで嬉しくなった。
次はもうちょっと凝ったものにしよう。
当然片手で食べやすい前提だけど…

イヴは明日は帰りが遅くなると言っていた。
だから絶対に通信魔導機は肌身離さず持つようにと言われた。

そうか、明日はエマの祝祭だ…だからイヴも忙しいんだろう。

「イヴ」

「どうした？」

「イヴは祝祭で護衛するの？」

祝祭を見たいなんて言ったらきっとイヴを困らせてしまう。
それに鳥の正体をまだ分かっていないんだし、外に出るのは危ないよな。

イヴは祝祭の主役であるエマを護衛する役目があるみたいだ。
そういえばチラシに気になる事が書いてあったな。

重大発表っていったい何なんだろう。

当日はイヴが祝祭の様子を見せてくれるようで楽しみだ。
イヴもやっぱり祝祭だからかっこいい服を着るんだろうな。

それが一番楽しみでもある。

「ユーリ」

「ん？何？」

「好きだよ」

不意打ちで甘い言葉を囁くからびっくりした。

俺もイヴが好き、だけどいきなり過ぎて気持ちが追いつかない。
口で言う変わりに、イヴの肩を掴んでちょっと体を傾けた。

頬にチュッとキスをして、イヴを見る。
これしか愛情表現を思いつかなかったから、とっさにしたけど好きって言うより恥ずかしい！

イヴはキョトンとした顔をして「ユーリ」というからつい「はい！」と敬語になった。

「頬じゃ嫌だ」

「…へ？」

「口でして、ユーリ」

そう言って、イヴは目蓋を閉じてキスを待っていた。
さっきは勢いでしただけだが、ハードルが上がってる。

顔を真っ赤にさせて、いっぱいいっぱいの顔になる。
唇と唇が重なり合い、すぐに離れようと思ったが後頭部を掴まれて口の中にイヴの舌が入ってきた。

絡まり合い、吸われて、ビクビクと腰が浮いた。
どのくらいそうしていたのか、頭がボーッとした時に口が離された。

「はぁ、はぁ…」

「ユーリはいつになってもウブで可愛いな」

イヴはそう言って、俺の頬から首筋をなぞってシャツの中に指を滑られた。
鎖骨がくすぐったくて、身をよじるとイヴは耳元で唇を押し当てた。

吐息混じりの声は俺の理性を消してしまいそうだ。

でも、明日イヴは祝祭で忙しくなるのに体力を消費していいのか？

胸元を押すとイヴは俺から少し離れた。
でも鎖骨に触れる指はそのままだ。

「イヴ、明日早いんだし…ダメだよ」

「ユーリが眠かったら俺が朝食作るよ」

「そうじゃなくて、イヴが…」

「俺？そんな体力がないように見える？」

確かにイヴはした後でも平然と仕事に行くタイプだけど…

イヴは「最近ユーリとしてない、ユーリを感じたい」と吐息混じりの甘い声で囁いてきた。
そう言われると俺も弱い、俺だって寂しかったんだから…

イヴに誘導されて、一緒に部屋に向かった。

部屋に入るなり、歩きながら服を一枚一枚脱いでいく。
ベッドに身を乗り出す頃には、裸になっていた。