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看病
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イヴのお許しをもらって、服を脱がした。
白い肌がほんのりと赤くなっていて、怪我人相手に悪いと思いつつドキドキする。
汗ばんだ体を拭いて、ときどき息を吐く仕草の色気がヤバい。
腕を拭こうとして、包帯に触れた…包帯も変えないとな。
イヴを見ると、俺を潤んだ瞳でジッと見ている。
瞳は潤んでいるが、目力は全く衰えてはいなかった。
さっきの腕力といい、本人は力が出ないとか言っていたが俺からしたら充分過ぎる力があるように思えた。
風邪でも、イヴはイヴのままという事なんだろう。
あまり包帯を見てほしくないと言いたげな瞳だった。
傷口を何度も見ているが、お互いいいものではないのは確かだ。
「イヴ、ごめんね…でも手当てしないといけないから」
「……しなくていい」
「でも…」
「今日はまだ…してないから、ダメ…」
イヴはボソボソとなにか呟いていて、至近距離にいる俺に微かに聞こえたが内容までは理解出来ない。
何の話をしているのか分からなかったが、まずはイヴの体を拭いてから手当てしようと思った。
風邪を引いているのに、半裸のイヴを放置なんて出来ない。
ズボンを脱がして、足も拭って服を着替えさせた。
「ユーリにそこまでさせてごめんね」とイヴが言っていたが、俺は大変だとは思わないから大丈夫だと微笑んだ。
今は病気を治す事だけを考えればいい、そう思ってベッドから離れて救急箱を取りに向かった。
再びベッドに戻ってくると、またイヴは猫のように丸まっていた。
「ユーリ、俺が弱くても見捨てないで……見捨てるならその前に俺を殺して…」
「見捨てないし殺さないから」
イヴはまたマイナス思考になっていて、ベッドに座る。
とはいえ、俺もイヴに食べてとか言ってたし…人の事言えないよな。
イヴの腕に触れて、包帯をゆっくりと解いていく。
ビクビク震えているが、清潔なものに変えるだけだから痛くない筈なんだけどな。
それとも傷口が痛い?確かに日に日に傷口が酷くなっていっているから痛いだろう。
傷口を見ると、まだ治っていなくて…消毒してから包帯を巻いた。
普通は治っていない傷口を見たら、落ち込んだりするのにイヴはホッとした顔をしていた。
「イヴ、何か食べたいものある?」
「何もいらない、またユーリが離れるから」
「食べないと薬が飲めないよ」
「……薬?」
「自分の治癒能力で風邪を治せない人は薬を使って治すんだ、その薬はなにか食べた後じゃないと飲んじゃいけないから」
「……そんな薬あったっけ」
「いつもイヴが食事を頼んでいる人に頼もうかと思って」
俺がそう言うと、イヴは目を見開いて驚いていた。
俺をよく思ってなくても、イヴのためならやるかなと考えた。
一番はエマなんだろうけど、腕の事といい…イヴはエマに頼るのは嫌みたいだからエマには言わない事にした。
風邪なら聖女の力はいらないから大丈夫。
俺が魔導通信機を使って向こうが応答してくれるかは怪しいが、やってみないと分からない。
イヴは俺の手をギュッと痛いほど強く握っていた。
「それって、会話するの?」
「そりゃあ薬を頼むからね」
「ダメ、ダメだ…俺がやる」
「イヴは安静にしてないと…」
「絶対にダメ、ユーリがそれをするなら…魔導通信機を…破壊……ごほごほっ」
イヴが不穏な事を言いながら咳をするから、背中を撫でた。
弱っていると口で言っているだけだから、本当に今のイヴでも破壊くらい出来るだろう。
魔導通信機を破壊なんてされたら、凄く不便な事になる。
いちいち用事がある度に外に出なくてはいけなくなる。
しかも、俺とイヴの連絡手段がなくなって…ますますイヴの仕事に支障が出てしまう。
俺は一度試したが外に出れなかった事が分かっている。
だからイヴの薬が手に入らなくなって、食べ物もない。
今のイヴには栄養と薬が大事なのに、それはダメだ。
立ち上がって魔導通信機のところまで行こうとするイヴの肩を押してちょっと待ってもらった。
イヴを立たせるわけにはいかない、俺が持ってくればいいんだ。
それならイヴも文句はないだろう、イヴに喉を酷使してほしくないけどイヴがそうしたいなら俺はそれに従うだけだ。
魔導通信機を持ってイヴの横に座るとイヴが「置いても大丈夫だから」と言った。
ベッドに置くと、イヴは魔導通信機をいつもの人に繋げた。
いつものように食事だと思っているのか、明るく挨拶する声が聞こえた。
俺は魔導通信機の後ろ側にいるから、映像は何も見えない。
『聖騎士様!今日の食事は何にしましょう!』
「あー…食事?」
チラッと俺の方に目線を向けていて、俺はサイドテーブルにあった紙とペンを取り出して書いた。
今のイヴは食欲がないから何を食えばいいのか分からないのだろう。
思いつく事を書いて、イヴにその紙を見せるとイヴの視線が魔導通信機に向けられた。
白い肌がほんのりと赤くなっていて、怪我人相手に悪いと思いつつドキドキする。
汗ばんだ体を拭いて、ときどき息を吐く仕草の色気がヤバい。
腕を拭こうとして、包帯に触れた…包帯も変えないとな。
イヴを見ると、俺を潤んだ瞳でジッと見ている。
瞳は潤んでいるが、目力は全く衰えてはいなかった。
さっきの腕力といい、本人は力が出ないとか言っていたが俺からしたら充分過ぎる力があるように思えた。
風邪でも、イヴはイヴのままという事なんだろう。
あまり包帯を見てほしくないと言いたげな瞳だった。
傷口を何度も見ているが、お互いいいものではないのは確かだ。
「イヴ、ごめんね…でも手当てしないといけないから」
「……しなくていい」
「でも…」
「今日はまだ…してないから、ダメ…」
イヴはボソボソとなにか呟いていて、至近距離にいる俺に微かに聞こえたが内容までは理解出来ない。
何の話をしているのか分からなかったが、まずはイヴの体を拭いてから手当てしようと思った。
風邪を引いているのに、半裸のイヴを放置なんて出来ない。
ズボンを脱がして、足も拭って服を着替えさせた。
「ユーリにそこまでさせてごめんね」とイヴが言っていたが、俺は大変だとは思わないから大丈夫だと微笑んだ。
今は病気を治す事だけを考えればいい、そう思ってベッドから離れて救急箱を取りに向かった。
再びベッドに戻ってくると、またイヴは猫のように丸まっていた。
「ユーリ、俺が弱くても見捨てないで……見捨てるならその前に俺を殺して…」
「見捨てないし殺さないから」
イヴはまたマイナス思考になっていて、ベッドに座る。
とはいえ、俺もイヴに食べてとか言ってたし…人の事言えないよな。
イヴの腕に触れて、包帯をゆっくりと解いていく。
ビクビク震えているが、清潔なものに変えるだけだから痛くない筈なんだけどな。
それとも傷口が痛い?確かに日に日に傷口が酷くなっていっているから痛いだろう。
傷口を見ると、まだ治っていなくて…消毒してから包帯を巻いた。
普通は治っていない傷口を見たら、落ち込んだりするのにイヴはホッとした顔をしていた。
「イヴ、何か食べたいものある?」
「何もいらない、またユーリが離れるから」
「食べないと薬が飲めないよ」
「……薬?」
「自分の治癒能力で風邪を治せない人は薬を使って治すんだ、その薬はなにか食べた後じゃないと飲んじゃいけないから」
「……そんな薬あったっけ」
「いつもイヴが食事を頼んでいる人に頼もうかと思って」
俺がそう言うと、イヴは目を見開いて驚いていた。
俺をよく思ってなくても、イヴのためならやるかなと考えた。
一番はエマなんだろうけど、腕の事といい…イヴはエマに頼るのは嫌みたいだからエマには言わない事にした。
風邪なら聖女の力はいらないから大丈夫。
俺が魔導通信機を使って向こうが応答してくれるかは怪しいが、やってみないと分からない。
イヴは俺の手をギュッと痛いほど強く握っていた。
「それって、会話するの?」
「そりゃあ薬を頼むからね」
「ダメ、ダメだ…俺がやる」
「イヴは安静にしてないと…」
「絶対にダメ、ユーリがそれをするなら…魔導通信機を…破壊……ごほごほっ」
イヴが不穏な事を言いながら咳をするから、背中を撫でた。
弱っていると口で言っているだけだから、本当に今のイヴでも破壊くらい出来るだろう。
魔導通信機を破壊なんてされたら、凄く不便な事になる。
いちいち用事がある度に外に出なくてはいけなくなる。
しかも、俺とイヴの連絡手段がなくなって…ますますイヴの仕事に支障が出てしまう。
俺は一度試したが外に出れなかった事が分かっている。
だからイヴの薬が手に入らなくなって、食べ物もない。
今のイヴには栄養と薬が大事なのに、それはダメだ。
立ち上がって魔導通信機のところまで行こうとするイヴの肩を押してちょっと待ってもらった。
イヴを立たせるわけにはいかない、俺が持ってくればいいんだ。
それならイヴも文句はないだろう、イヴに喉を酷使してほしくないけどイヴがそうしたいなら俺はそれに従うだけだ。
魔導通信機を持ってイヴの横に座るとイヴが「置いても大丈夫だから」と言った。
ベッドに置くと、イヴは魔導通信機をいつもの人に繋げた。
いつものように食事だと思っているのか、明るく挨拶する声が聞こえた。
俺は魔導通信機の後ろ側にいるから、映像は何も見えない。
『聖騎士様!今日の食事は何にしましょう!』
「あー…食事?」
チラッと俺の方に目線を向けていて、俺はサイドテーブルにあった紙とペンを取り出して書いた。
今のイヴは食欲がないから何を食えばいいのか分からないのだろう。
思いつく事を書いて、イヴにその紙を見せるとイヴの視線が魔導通信機に向けられた。
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